どうもおかしい。こんなにもセクシーで、こんなにも男性的なテーラーなのに。副次的な印象のみがひっそりと漂う「イタリテーラー」という区分。そもそもとして、テーラードジャケットを日常で着るか着ないかで謂いますと、圧倒的に後者の選択肢が優先されるのだろうと哀しい妄想が広がりますが、仮にもその選択肢じゃないにしろ、ボックススタイルのフレンチモダニズムや、オーセンティックブレザー、3つ釦でノッチド・ラペルの正統的スタイルが浸透している今現在では、着丈や袖丈が妙に長い、ラペルも主張性はない、ながらもやはり妙に長い。そして釦の位置が下部すぎる。そんなイタリテーラーを街中で渾然一体となりながら愉しまれているコントローラーはいるか否か。答えは否でしょう。まず見かけません。
だからこそ、愚直にもご提案をしたいのです。
こんなにもセクシーで、こんなにも男性的なテーラーなのに。
ご身長のある方、あるいは、男性的肉体を獲得している方。
正直申し上げましても、このステータスを保持している男性は、圧倒的にイタリテーラーが似合います。
該当しない方は、男性的肉体を獲得するよう努力あるのみ。テーラードとはそういうものです。とはいえ、ロベルトベニーニのようにどちらにも該当しない男性(彼に失礼ですね)でも似合うのは、特質的な魅力ですので、上記が必ずしも、という事由にはなりません。しかしいずれにしてもそれは、限定性が認められた唯一の区分とさえ思いますが、なんなら似合うのに着ないなんてそんな勿体ない、と、よく謂われそうな文句をストレートにそのまま申し上げたい心持ちを抑えましても、男性をより美しく、よりエレガントに、より魅力的に、そう魅せるための確実なロジックに基づいた仕立てでありましょう。
そう確信してます。
長くとられた着丈と袖丈。なぜ男性的にセクシーかと問われるもんなら、どうぞ360度ぐるりと回って視てみて下さい、最高にセクシーでしょう。そう答えるほかない特徴性でしょうが、これを実践的にかつ有効的にその上、象徴的に実行したのは、トムフォード氏ではなかろうかと。彼のテーラー哲学は、おそらくイタリに起因するのではと過去のアーカイブピースを賢察する度に思います。
とは謂うものの、その証明がある/ないは特に重要な問題ではないです。モダンかどうかも知りません。敢えていうならばクラシカルでしょう。ライアン・ゴズリングのようにダンスやピアノが上手くなくてもよいですし、ラウル・ボヴァのごとく端から端まで女性を抱く必要もありません。羨ましいですが。
ただ、シャツを着る感触と同じようにさらりと羽織り、レストランに入る前には腕にかけ、格好良くウェイターに渡せば良いのです。
ひとりの男性としまして、永い人生のプログラムに是非とも加えていただきたい。
そして、一切触れず触らずにここまで進行を続けました本作。「世界の万物はメタファーである」一例を借りますと、「頭がおかしいパープル」「シンボリックなジャケット」どちらも正解でしょう。このテーラードの真実はあとで明かすとしましても、手によく馴染み、肉厚ながら吸い付くような肌目、圧倒的に柔軟なウール地、ジャージ素材のような強度、恐ろしくなめらかなフォルム、
そして、濃厚なパンジーパープル。
early80s Gianni Versace Italy tailored
赤みを帯びていないブルーよりの美しいパープル。日本色名では「菫色」と表しますが、スミレの花言葉は「謙虚」。このジャケットの真実は、
「最も謙虚な色を纏ったイタリメイドのクラシカルテーラー」
“ 頭がおかしいパープル ”
“ シンボリックなジャケット ”
仮にどちらも正解と旗を揚げましても、着用する際はどうぞ、控えめなお心で。
SURR by LAILA 小林
03-5468-5966
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バーガンディでも、バーミリオンでも、チョコレートブラウンでもない。その絶妙な中間地点にて「朱殷」というカラースタイルを獲得した1着。
日光というコントロールが利かないフィルターを通したとき、包み込まれる特別的なあたたかさ。スタティックでなければむしろダイナミック。肉厚でありながら軽やか。濃密でありながら現実的。上等な毛布のようなフィジカル。偽りのない具体性をもった強力なエネルギー。
触れようとも、たとえ、触れずとも。
フードという機能と、フードの淵を絞ったり緩めたりできる機能と、ウエストを絞ったり緩めたりできる機能。
そんなことは横に置きましても、“ 驚くほど軽くて、驚くほどあたたかい ” アントワープの地で巧妙に仕掛けられたHooded Coatというその1着は、敢えてそうジャンルを設けずとも完璧に身体を包み込むオーバースタイルの1着として強い完結力をもったコートでしょう。
事務的に眺めましても、やはりそう思います。
90s Dries Van Noten oversized hooded long coat
朱殷の正体をこの辺りで。
弊店にとって大事な要素のひとつであるドリス氏のプロダクトですが、コートという区分におきまして、目にしてきたその全てがハーフ丈のスタイル。
意外にもロングスタイルのコートは、初のお披露目でございました。
素直に、素晴らしい洋服でございます。どうぞ、ご賢察のほどを。
SURR by LAILA 小林
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シャツにタイ、ウールトラウザー、内羽のストレートチップ。日が沈むまでのフォーマルな外着であるフロックコートは、着丈が長くダブルブレスト。目立たせず、そして女性を際立たせる黒のみ。髭を立派に蓄えたジェンツに愛され、少年ではない成長を顕示する。
そのような1着にブラッシングをかけた後、気軽に袖を通したときの感情は、“ 久しぶり ” という不可思議なもので、当然ワードローブには常にフロックコートという粋な男ではないので(いつかは必ず)、以前着ていたから “ 久しぶり ” というわけではないことを申し上げておきますが、これがフロックコートであれ、モーニングコートであれ、背面裏地に施されたシガレットポケットがどうであれ、なにに置いても “ おおきい ” がマストポイントな今、コートを身体に沿わせてしっかり着用する感覚は、海底に沈下されてる泥を掘り起こされたように、確実な感覚として紛れもない “ 久しぶり ” でございました。
ジェンツの仕草や作法はその国や土地や習慣によっても異なってまいりますが、これもひとつの流派とするならば、やはり英国や美的感覚を優先する仏という国には学ぶべきことが多いと思いまして、手はポケットに入れないのもそう。そこでようやく、グローブの存在に気が付きましょう。
男性たるもの、ジェントルマンの心得はいくつメモに記してもマイナスにはならないと、私もみえないところで箇条書きにしていますが、先日ディレクターから教わった事柄もひとつ。タクシードライバーに代金を支払う際におつりは貰わない。早速実行しておりますが、これもつい先日、2メーターの距離を走行してもらい、千円札を出す「おつりは結構です」と一言。そこで五千円札だと気が付いたときには後ろには引けず。降りたあと両の手で頭を抱える私も、未だ未だという事でしょう。そう思うことにしてます。
20-30s France antique wool frock coat
シャツにタイ、ウールトラウザー、内羽のストレートチップ。そして身体に沿わせてしっかり着用する男性的シンボライズ。勿論、ハンドウォームポケットは排除。内ポケットにはマネークリップに挟んだお札を。ここは静かに、千円札のみで参りましょう。
SURR by LAILA 小林
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