ネームプレートの大きさ,色,文字体によって該当年代やナンバー、さらに何れ程の貴重性を孕んでいるかまでを特定できる今現在では、個体や性質よりも最重要項目として存在している内容でしょう。とはいうものの、それは事実に基づく詳細であり、その個体を知る上では必要なファクターのひとつなのかもしれません。
時はたまに、混乱させるディテールもございますが、ネームプレートはネームが刻まれたプレートにすぎず、見た事がないタグは見た事がないタグにすぎません。その個体を知る上では必要なファクターかもしれませんが。
スコールやスモックが日常的な英国の地で、1800年代後半より労働者や警察部隊を陰ながら支え続けたメイカー。語弊が混じりましたが、それは今現在においても尚。オイルドを浸透させたデューティーなコットン地は水に対する圧倒的な強さを備え、その分野においてはエポックメイキングな内容といえるでしょう。オリジナルジップからバージップに変更されたディテールや、NATO軍に配給していたミリタリーナンバー、競馬観戦用、乗馬用、狩猟用、対極寒用など時代によってその時代に適応した個体が存在。そしてその要素こそ、「Vintage oild jacket」を追求することに際し、強烈に感覚体を刺激される内容とわたくしはこの季節愉しませて頂いているのですが、そもそもとしまして、オイルドを浸透させたデューティーなコットン地というある種のファブリックは、特徴的な香りや通常のコットン地と比べるとまるで “ 革 ” のように重厚。身体を暖めるならばカシミアや上質なウールで良いでしょうし、水への強さを求めるなら高機能な現代ファブリックも存在する事でしょうし、わざわざとして其れらを選択する理由というのが見当たらないといえば見当たらない。にもかかわらず驚異的に惹き付けられる引力は、やはりオイルドを浸透させたデューティーなコットン地というある種のファブリックであり、もっと謂えば、時間を吸収したその生地は、浸透していたはずのオイルは程よく抜け、ささやかなテクスチャーと痕跡のみを残し、有効的なファブリックとして確実な働きをコンスタントに示してくれる。それはヴィンテージジーンズにどこか近しいムードと感じます。チューニングやリペアワークを施しながら大切に向き合い、気付けば現オーナーの身体に驚くほど馴染む過程こそまさに。時代相応の裏地のテキスタイル、丁寧に施されたチューニング細部、ヘヴィなパーツ、ユーティリティポケット。ネームプレートの色やジップに記載された文字体はあくまで必要なファクターのひとつ、素直にも1着のオールウェザージャケットとしまして、お認めを頂けましたら何よりに想います。それは引き続きのエントリー通り。
Newarrival 50s Barbour personal custom vest jacket model “ INTERNATIONAL ”
Newarrival 50s Barbour model “ INTERNATIONAL ”
Newarrival 40s Barbour model “ SOLWAY ”
是非ともこの機会に。
SURR by LAILA 小林
03-5468-5966
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良質なLANA WOOLを丁寧に織り上げたローゲージ組織は、1980年代、当時ARMANIの信頼を勝ち取っていたイタリの工場、又はニッターが仕上げたもの。すべてリブで織られており、懐かしさを吸収した具合は、ソフィスティケートさせていない点がそうであると思うのですが、肉厚なリブのゲージをより甘く編み上げることで、又はそれをフィニッシュとしている事。砕いて表現すると、「手編み」のイメージそのままを具現化したようで、とはいうものの、“ 丁寧に編まれた ” と表現することが適うように、やはり丁寧に編まれているのです。「手編み」のイメージそのままを具現化したように。
それは、折り返しを設けず、頭形にそのままフィットさせる種類のもの。所謂、“ ビーニー ” にあたるのでしょうが、鮮やかなネイヴィ色にしっかりとした太さの羊毛は、カシミアのそれらとは対極に位置する強さを秘めたもので、雑に、無造作に、そして深く被った際に、どこかナーディーで、どこか無遠慮で、にもかかわらず男性的でセクシーな要素であるイタリの本質を、本国ニッターの手仕事を通じて知ることに。
ともあれ、鮮やかなネイヴィ色に明瞭に浮かぶホワイトの羊毛。“ A ” と “ J ” と端正に編まれた二文字は、1981年に発足したGiorgio Armaniのデイリーラインに位置するArmani Jeansの頭文字を意味するのでしょう。
意味するのでしょうが、この “ A ” と “ J ” を視界に捉えた際は、Giorgio Armani氏には申し訳がないことに、1998年公開の「Armageddon」作中の主演ブルースウィルスが演ずるハリーの部下であり、グレースの恋人であるA.J.フロストが浮かんだ次第。一度イメージしてしまいますと、もう頭から離れません。
80s Armani Jeans knit Beanie “ A J ”
作中の彼のアイコンがビーニーだったわけでもなく、むしろスタンパー・オイル社から世界を救いにいくジャンプスーツとヘルメット。それほど、ベンアフレックの演じるやんちゃながら才気溢れる青年、そして作中の愛称「AJ」という二文字の威力でしょう。いずれにしても、AWシーズンにて新作でありながらひっそりと置かせて頂いているAJビーニーを見て、「お、アルマゲドンのAJじゃん」とお声を頂くこともなく、何なら「Armani JeansのAJですか」とご着眼頂くこともなく、「Aと、、何ですか?」という具合。
いつも分かりづらいディスプレイで申し訳ありません。
どうぞアルマゲドンファンでも、ベンアフレックファンでも、イタリニット工場の名も知らぬニッターファンでも。
SURR by LAILA 小林
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東西ドイツが統一、イギリスではマーガレット・サッチャーによる政権が終わり、マイルス・デイヴィス、フレディ・マーキュリー、カート・コバーンは神に看取られ、WTOが発足、タイガーウッズはマスターズを制し、インターネット、携帯電話が爆発的に普及、わたくしが誕生した年に「羊たちの沈黙」でアンソニー・ホプキンスが偉大な功績を残した。
そんな1990年代に仕立てられた3着の衣類は、「傑作」という二文字で括るには安易やもしれないと臆する程に、素直にも素晴らしい内容で御座いました。延々と綴るわけにはまいりませんので、数枚のピクチャーとともにご賢察の上、あとは是非とも店頭にて。兎にも角にも触れて頂きたいという無垢な思いが強い3着ですので(内1着は特に)、お時間叶いましたら、どうぞ宜しくお願い致します。
1990年代のムードをストレートに感じて頂きたいのではなく、ファッションという見地では過去の歴史があるからこそ成立した良き時代であると同時に、またはそれを背景として忍ばせながら、引き続き、男性のための上質な衣類としてご潜考の程を頂けましたら、何よりに想います。
90s Yves Saint Laurent wool & cashmere short coat
この1着に関しましては、申し上げることは何も御座いません。
能力の許す限りに向き合ったのですが、どの視点から考察しようとも悠々と遥か上を往く。
そんな1着は、驚くべき事に90年代に製造されたロイヤルピース。アナーキーなこの1点をお認めになる方もまた、大変失礼ながらアナーキーな飛上り者であると。
90s British royal army tanker crew piece utility vest jacket
まさに傑作。
カシミア、カシミア、カシミアと、先日より口数も多くしつこいばかりにエントリーが御座いましたひとつの天然素材。
例えばその天然素材を用いた衣類、「コート」という区分になりますと、くっきりと鮮明に明瞭に “ その差 ” に気付いてしまうステージであると思いますゆえに、少なからず男性のための上質な衣類として皆様に、さらに絶対的な自信をもってご紹介するとなると、 “ その差 ” をある意味では感じて頂きたくない想いのみで精査してまいりましたが、幾分そこに厳格な基準値を設けてしますとそう易々と見つかるものでもなく、昨年漸くエントリーが叶いましたその1着はやはり其の1着で御座いました。
手のひらを垂直に5cmほど滑らせるのみ。瞬時に算出するコンピューターのように、明示的かつ鮮明に、どれほどの内容かをご理解頂けるやもしれません。ましてや、少しばかり摘んでしまいでもしたら。
どの角度から眺めようとも強力な吸引力によって惹き付けられ、あまりにも強烈で、あまりにも勁烈なその1着は、これからしばらくは脳内イメージを支配されそうです。内側に端正に縫い付けられたファブリックネームを垣間みますと、点と点が結びつくより前に、そりゃそうだろうと、納得のゲージが溜まると同時に妙な安心感に襲われ、にもかかわらず脳内イメージは支配されたまま。
シンボリズムとは真逆に位置する素晴らしき衣類。
90年代の傑作としまして、ご賢察の程を宜しくお願い申し上げます。
90s Balenciaga pure cashmere oversized coat fabric from “ Loro Piana ”
SURR by LAILA 小林
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