きっかけ / Diary1436
10.9.2026

 

お久しぶりです。

古川です。

そして、初めましての方もいらっしゃるかと思います。どうぞ宜しくお願い致します。 数ヶ月ぶりのDiary更新となりますが、これからまた、店頭での出来事や日々感じたことなどを、少しずつ綴っていければと思います。

 

2週間ほど前に休暇をいただき、韓国へ行ってきました。初めて訪れる街を歩き、その国ならではの食と文化を楽しみながら、普段とは少し違った時間を過ごしてきました。 日本へ戻ってくると、店頭はすっかり秋冬のムードに。ついこの間まで夏だったように感じていましたが、店頭に並ぶ洋服が変わることで、季節の移り変わりを改めて感じています。 

 

 

 

先日、よく音楽や映画、お笑いなど、幅広いお話をしてくださるお客様から、最近観たおすすめの映画を教えていただきました。 タイトルは『気狂いピエロ』。ジャン=リュック・ゴダール監督の作品で、私自身初めて知った作品でした。 内容は少し難しいけれど、それ以前にファッションの勉強になる映画だと教えていただき、さらに「観終わった後は赤い洋服が着たくなる」とのお話もあり、より興味が湧きました。 いつも素敵な情報を共有してくださり、ありがとうございます。必ず観ます。 このように、日々店頭でお客様とお話をさせていただく中で、自分では思いつかなかったことや、新しい視点を教えていただくことが多くあります。洋服そのものだけではなく、音楽や映画からファッションについて考えるきっかけをいただけることも、店頭に立つ楽しみの一つです。

90s Chevignon Aviator-style sleeveless leather bomber jacket

丁度店頭に赤が。お客様から「観終わった後は赤い洋服が着たくなる」と伺っていなければ今回のDiaryで触れていなかった気がします、何事もきっかけって大事ですよね。

 

このDiaryを見て、少しでもご興味を持っていただけたら、大変嬉しく思います。

 

 

SURR 古川

Armani philosophy coat / Diary1435
4.9.2026

始めに白状しますがこれは出逢った直後に1時間ほど着て過ごしてしまいました。そういった行動は買付の旅順において稀にあるのですが動機は寒いからもしくは素敵過ぎて惹かれ過ぎて自分のパートナーになった気分で過ごしたかった(更に言えば欲しくて堪らない欲求をその限られた時間で少しでも満たして自分を騙さないとやるせない)からなのですが今回は完全に後者、素敵過ぎて惹かれ過ぎました。

 

 

私ごときが恐縮の極みながら勝手に想定する“アルマーニらしさ”、その要素は各プロダクトで散見しますがやはりコートは特にシンボリックな存在でして、しかしながらだからこそコートというプロダクトにおいてアルマーニらしさの濃度が特に濃いと思える個体にはなかなかどうして出逢えないのですが、特急電車を降りて改札から広場に出た瞬間に日本では香らない,香ってはいけない葉の香りが鼻を突くヨーロッパのとある街のコレクターのもとで運良く出逢えたこれはまさしくアルマーニのヴィンテージ広告からドラえもんの秘密道具“実物立体日光写真”を用いて取り出したかのようなアルマーニらしさ120点のコート。近代の過度なそれらとは根幹が異なり和装からも影響を受けたからこそどこか懐かしくもある大胆かつ古典的なヨーロピアンクラッシックのオーヴァーサイズ、凝視すると認識できるレベルで細かく走る線のような織りの紋様による特有の立体感、コットンモールスキンの堪らなさ過ぎる存在感、カメラのレンズでは表現が叶わないものの実物を眼の前するとしっかり把握できるため“人間の眼ってすげぇんだなぁ”と度々思わせてくれるヨーロピアンカルチャー特有のなんとも言えないカーキカラー。全てにアルマーニ大先生の美学と哲学と驚異的なクオリティの濃さが散りばめられています。

日本の誇りを想起させると同時にそれらとは一線を画す“洋”の“服”ならではの曲線美によって描かれる衣の迫力、裏地に軽微のパデッドを配することで生まれるドラマチックな立体感、これらトレンチコートで必ずと言っていいほどに存在するウエストベルトをあえて無くすほどにドラスティックなスタイルへの美意識。心から惚れました、全てにおいてここまでアルマーニらしさを感じさせてくれるコートは本当に出逢えません。

 

 

 

 

 

New 90s Giorgio Armani cotton moleskin oversized trench coat

 

すみません、コッソリ1時間ほど着ちゃって。御陰様で本当に幸せでしたしキッパリ諦めることができました。格好良いロングコートって本当に残酷なまでに格好良いですね。

 

 

SURR 福留

Multi patchwork / Diary1434
3.9.2026

70年代が主に10代の終わりから20代の始めだったドルチェさんと10代真っ只中だったガッバーナさんですから当時のカルチャーはファッション哲学形成に大きな影響を与えていまして、彼らに限らず近代のモードカルチャーを特に牽引した人々に多く該当する年代傾向だからこそセブンティーズというデザイン要素やスタイル性や空気感は90年代の終わりから現代に至るまでモードの文化に存在し続けていますし、それから影響を受けた後年のデザイナーがどんどん輩出され続けているのでこれからも変わらないでしょう。そう、パッチワークデザインもセブンティーズカルチャーの一つですが軽くネットサーフィンしただけでも国内外問わず様々なデザインやプロダクトが挙がりますので、既にセブンティーズという感覚ではない独立した一つの存在として認識されている方も多いことと思います。まぁ本音を言えばその感覚で良いと思うしセブンティーズだからうんぬんと言った解釈は基本的に必要無くって好きだったり素敵と思う感覚が一番、これはパッチワークデザインに限らずですね。まぁ私はそういった文脈を紐解くのが元々好きなタイプだったみたいだしヴィンテージという服飾史に関わる職務なのでそういう角度の解釈も必然的に必要ですが、まぁだからこそ“本音を言えば”そういう事柄は必要無いと思うようになったんだなぁって。

ファッションヒストリーとしてのパッチワークには様々な側面がありまして、一つはハンドメイドと言った健康的な側面、そしてもう一つはWar is overやFreedomと言ったヒッピーカルチャーによる健康的だけではない側面、そしてもう一つが社会情勢と政治的背景が関わるため健康的うんぬんでは測れないパンクカルチャーの側面,まぁこれに関しては芽吹きが70年代中期を少し越えた頃で全盛が80年代のため厳密にはセブンティーズ&エイティーズカルチャーになりますが。と言いながらもハンドメイドもヒッピーもパンクも数珠的に繋がっているのも興味深く結局のところソウルが繋がっていたりするのですが、ことドルチェさんとガッバーナさんのこちらに関しては70年代後期にモードカルチャーに登場したインサイドアウト(裏返し)も取り入れているので、ヒッピーカルチャーにパンク精神プラスといったところではないかと想像できます。そういえばパンクカルチャーも服飾史と根強い関係性がありますね。

ハンドメイド=ホッコリ / ヒッピー=働いてないしドラッグも買っちゃうから金無いけど結婚したいからそこら辺のカトラリーを曲げてお手製の結婚指輪にしちゃうぜ!あわよくばそれ売っちゃうぜ! / パンク=体制なんて既成概念なんてクソ喰らえ!好きに切ったり貼ったりしちゃうし裏返しで着ちゃうぜ!。ではドルチェさんとガッバーナさんのモード解釈は?=ヒッピーでありパンクであると同時にウール&カシミアによるフランネルによる上品さと内側にキルティングライナーを配置することでの凛々しい立体感を。なんとまぁシンプルで強い源流と、美しく的確な新しい解釈でしょう。

その本質的な主役とも言える生地感に関してはヴィンテージ年代特有あるあるの一つである“この時代は普通の水準だけど現代では異常なほどに上質”が最高に効いています。触れると脳に電気信号が伝達されて即座に眠気を誘発するその様はまさに着る毛布でここまでの生地感はヴィンテージ年代では一部において確認されているものの織り機などの兼ね合いで現代では製作できない・再現できないロストテクノロジーだし、別で近代にも存在するのでしょうがその(主に販売価格的な意味合いでの)ハードルを想像すると生唾を飲み込んでしまいますね。今の今だとしたら、もう震えます。

 

 

 

 

 

New late90s Dolce&Gabbana multi patchwork wool cashmere duffle coat

 

その稀有な生地感も複数種類のチェックパターンと上品なトーンのヘリンボーンによるパッチワークデザインも広い身幅と短めな着丈の独特なボリューム感も全てが抜群、この場合往々にしてクラッシックな印象になりがちなフランネルのテクスチャーが見事なモダン要素に変換されます。

設計要素的に便宜上ダッフルコートと称しましたが完全な別の存在価値です、なんとも言えない抜群にモードで創造的な新しいコート。

 

SURR 福留

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