






モーターサイクルカルチャーとファッションがリンクが旺盛を極めた70年代にフランスで産まれ、ムーヴメントというファッションの濁流に呑まれて姿を消したことで一種の伝説的存在となったリー・トレヴォー。それを認識して痺れた私は完璧な新たな風として今後の出逢いと発見を心から楽しみにしていたのですが結局のところ二着目に辿り着くのに三年もかかってしまいました。
60年代に主に英国にて“本格的なモーターサイクルでもありファッションでもある”という角度のバイカージャケットが芽吹いてから一気にその市場が拡大するのと並行して英国の各メーカーはアメリカンSTYLEとデザインを積極的に取り入れていましたが、それらは全て忠実に再現する踏襲性であることが多かったのに対しトレヴォーは踏襲ではなく再構築によるオリジナリティを大切にしていたためやはり英国各社とは異なるモード本国らしさを感じさせる唯一無二の個性と尖りとファッションとしての強さを有していました。そしてレザークオリティにも徹底的にこだわっていたため一見するとオリジンカルチャー的な男臭さ泥臭さを感じさせながらも明らかなる品の良さと美しい仕上がりもフレンチメーカーならではだったのですが、そのカルチャーが盛り上がり過ぎて競合他社が増えたことで納得ゆくレザーが確保できなくなってしまい約十年間という短い期間で幕を下ろすことになりました。“優れ過ぎていたがために自分たちの環境が盛り上がり、その盛り上がりが要因となって姿を消す”、同じような経緯と結末を迎えたサンフランスシコの伝説的なレザーブランドを私は知っています、そういえばそれも偶然かなほぼ十年間のみの活動でしたね。
三年前はレーサーデザインでしたがこちらはアメリカの某ウェスタンデニムブランド,Wra○glerのジャケットデザインを大胆に模すと同時にアレンジも加えたというトレヴォーを代表する個体となりまして、私としてはようやく出逢えた象徴的な一着となります。エイジングも本当に素晴らしい、これが閉業に至るほどこだわったレザークオリティかと、ここまで美しく仕上がったヴィンテージレザーはかなり久しぶりな気がします。ちなみに弊店では当然全てのプロダクトに何かしらのケアや修繕やクリーニングなどのメンテナンスを施してから皆様方に御提案していましてレザージャケットも漏れなくなのですが、スタッフの古川が“これは綺麗にしないで風合いを残したい”と言ってきた時に、フムフム分かってるじゃねーか と。このエイジングをリセットするなんて、そりゃあ絶対にできませんよねぇ。

80s Lee TREVOR Wrangler-style leather design jacket
肩も落としめ着丈短めのデザインシルエットも最高で立体感がとにかく秀逸なのでしっかりとしたレザーのテクスチャーながら軽やかで滑らかな着用感すら感じる抜群に“ファッションしている”一着です。また痺れた。
SURR 福留
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私はつくづくアメリカンヴィンテージを知らない人生を過ごしてきましたので昨今のヴィンテージフックアップ・モードアプローチの御陰もあって特に新しく知る機会が増えるのと同時にデザイナーズヴィンテージの文化においてもいかにアメリカンデザインが多いかを、ヨーロピアンデザイナーたちがいかにアメリカンカルチャーを吸収していたかを再確認するここ数年ですが、だからと言ってアメリカンヴィンテージを勉強しようと思うかというとそうでもないのは結局のところファッションを好きになったあの頃の自分の根っこがまだ腐らずにあるんだなぁと独り言ちます。もっともっと月齢を重ねまくったら興味を抱くかもしれませんねもしかしたら、還暦からのG⚪︎Pとかカーハー⚪︎とか。
でもやっぱりモードカルチャーとヨーロピアンデザインが好きだし、何よりヨーロピアンデザイナーによるアメリカ解釈が好き。だから引き続き私の中でのアメリカンカルチャーの解釈はワンクッション入っていてイコール捻くれているんだと思う。とは言え特に油が乗り始めるのがやはり80年代に突入してからで、となると往々にして生産背景の精査によってメンズウェアはヨーロッパ圏外アトリエでのクリエイションがほとんどになってしまいまして、もちろんそれらも立派なデザイナーズプロダクトだし素敵な品も存在するのですがなかなかどうして個人的に比喩じゃなくて本当の意味で手が伸びなくてもどかしい限りですが、その傾向は昨今国内でメンズヨーロピアンヴィンテージの提案店が増え始めたなどは全く関係なく遥か昔からそうでしたので、ある種諦めの境地に達しているレベル。まぁ心境的に一番健康なのは生産背景を気にせずにブランドラベルで選ぶことですが、それをしたら私ではなくなってしまうもんなーと。
だからブルーデニムとグリーンピケのコントラストが心地良いこの一着との出逢いは嬉しかった、80年代Yves Saint Laurent Jeanswearクリエイションのイタリア・アトリエによる一着。これまた心地良いアメリカンSTYLEで濃度はきっとほぼMAXに近いけれど明らかに服飾史的美意識が際立つ立体構築と色彩感覚が光ってくれ増すし、なんと言っても最大の個人的求心点は生地感で、イタリアの糸と染料だからこその上品なエイジングは同時代・同ヨーロッパ圏外アトリエクリエイションではほぼ間違いなく辿り着けませんし、良い意味でオリジンカルチャーとも異なるベクトルの説得力。これは本当に稀有な到達点です。

New 80s Yves Saint Laurent Jeanswear quilting lining denim & pique half coat
見た目で一目惚れして掘り下げたら驚きと喜びに満ち溢れた納得の実情。生産背景にこだわり過ぎるのは時に野暮ですがしっかりと条件が揃った際には徹底的な意義と圧倒的な価値になります。仕立てに長けたイタリアの立体構築で糸も染料もイタリア本国が手掛けたことが無意味なんてことは絶対にあり得ないでしょ。
SURR 福留
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New 1995-2014SS PRADA Uomo Selection
今回は最初期から2014SSコレクションまでとなりました。これは結果論ではあるのですが、ミウッチャ・プラダのランウェイ表現歴を今まで以上に振り返ることができるセレクションになったのは個人的にとっても嬉しい限りで、もっと彼女のキャリアハイである(私が勝手にそう定めました)2018YEARに近づきたいとすら思った次第です。“6年前の2018年を扱ってヴィンテージショップって言って良いの?”となるかもしれませんがこれに関してはその論点は関係ありません。
あとこれも結果論なのですが、今回は今まで以上にしっかりとした数量のご用意が叶いました。となると概算ではありますが三年とか五年とか御披露目しなければSURRの空間全てをPRADA Uomo Selectionで埋め尽くすことができるかもしれなくて、それって私にとってかなり夢の風景なので猛烈に惹かれるのですがまぁ我慢できんだろうなぁ。





ランウェイを行わずプレゼンテーション形式で発表されていたので資料そのものがほとんど残っておらずルックという概念も基本的にない時代からランウェイを行なって徐々に男性用のモードブランドとしての側面を強化してゆく時代まで。古典的な紳士服の要素性を色濃く残した時代から徐々に特に研ぎ澄ましたミニマムモードの要素性を反映させてゆく過程の各時代まで。それぞれに様々な角度と側面がありますが言うまでもなくいずれも等しくミウッチャ・プラダの哲学そのもので今回のセレクション過程でも改めて思いましたがなんとまぁ最初期から既に完成されまくっていたか。あの時代とあの時代が時を越えて繋がって、それぞれに違った良さがあるといった彼女なりのヘリテージの連なりはきっと新体制になった2021年以降も多々あるんだろうなと思います。
このDiaryは悲しくも私にとって現時点で最後となった“最新のコレクションをオンタイムでワクワクドキドキしながら買う=ファッションを楽しむ上で最上の幸せ”体験である2018AWコレクションのナイロンコートを着ながら書いています。その年はランウェイ画像とキャンペーンビジュアルを見た時点で個人的に堪らないコレクションだったので絶対に何か買いたいと息巻いていたのですが(その時点では外部デザイナーを招集するニュースは発表されておらず、彼女のキャリアハイになるなんてつゆ知らず)買い付け旅順の隙間時間にパリのSaint-Honore店にふらりと立ち寄った時に見つけた一着で“ちょうど今日入荷したんだよ”って言われちゃったもんですから御縁として購入。6年経ちますが今でも新鮮さを味わえる大切な存在で今年は特にジーンズとの組み合わせが楽しそうだなって。
そういう存在になり得る一着を弊店のPRADA Uomo Selectionから御提案できたら幸せですねぇ。
SURR 福留
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