怪作 / Diary1210
10.4.2024

学生生活を経たのちにパントマイムを学んだり政治活動を行ったりと日々を過ごしてきたミウッチャ・プラダが家業に加わったのは29歳頃で、幾つかの改革と成功を収めたのちにメンズクリエイションであるPRADA Uomoを始めるのが46歳頃。数字で見ると“着手する“としたらややばかり成熟したタイミングなのかもしれませんが、だからこそミウッチャ・プラダというファッションデザイナーによるPRADA Uomoの最初期クリエイションには後々のクリエイションの全てが揃っているという表現が過剰ではないほどに完成された世界観と感性が詰まりに詰まっているのではないかと私は常々思っています。

 

 

その世界観と感性は彼女の生きてきた足跡そのものであると同時に、元はPRADAの模造バッグ制作会社社長で後の伴侶からの“君はメンズをやった方が良い“といったアドバイスであったり、それこそパントマイムの師でありマイムの父と呼ばれるエティエンヌ・ドゥクルー氏などからの刺激があってこそかと思いますが、長らく彼女のクリエイションを見つめ続けていると(私はPRADA Uomoのオタク)いつからか“メンズはこれくらいで良いのよ、これくらいが良いのよ“と微笑むミウッチャさんの姿が目に浮かぶような、そんな決して深刻過ぎず程良い軽やかさと清涼感があると同時にしっかりと美しくて凛々しい、そんな男性像との向き合い方,ファッションの在り方を楽しむようになりました。

 

 

なんて言うんでしょうか、ミウッチャさんのメンズウェアって根本的に軽やかなんですよね。もちろん時に濃い創造性や大胆なデザイン性があるのですが濃くて大胆でありながらもやり過ぎていないというか、意図的に煮詰めずに着用者に任せる感じと言うか。完成された美意識と独創的なオリジナリティがありながら“これくらいで良い、これくらいが良い“でちょうど良く終わらせるバランス感覚が控えめに言って天才的だなと。

 

 

PRADA Uomo初のAWショーであり僭越ながらMY BEST3シーズンの一つとさせて頂いている1998AWクリエイションであるこちらの弊店新作は、いわゆる中綿が入ったテーラードジャケットの形状ながらテーラードジャケットにあらずなまさに絶妙かつ抜群にちょうど良い一着でして、このシーズンと言うか1998のイヤーテーマが平面であり一貫して独創的なオーヴァーサイズ設計が軸となった一年間でこのジャケットもまさにその通りなのですが、身体にフィットさせないアンフィットがまさに今のオーヴァーサイズのモード概念に通じることなんかどうでもよくなってしまうほどに抜群な異素材×クラシックのマリアージュであり、なんなら着た時の方が着ていない時よりも軽やかに感じされるほどの圧巻な着用感であり、肉眼でないと正確に捉えられない色彩美を秘めた、有りそうで無いったら無いプロダクトバランス感と個性的でありながら抜群にエレガントな世界観と良い意味で時代性も性別も国も感じさせない不変性と何より圧倒的なモードを秘めた、テーラードジャケットの形でありながらテーラードジャケットとしては着られない、デザインジャケットないしハーフコートと捉えて然るべきな怪作です。

 

 

 

 

 

New arrival,1998AW PRADA Uomo oversized padded nylon jacket.

 

そう、まさしく怪作です。

 

 

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