平置きで肩幅76cm身幅70cm / Diary1352
7.11.2025

となると相当なオーヴァーサイズに感じられるかと思いますし実物を見ても相当にオーヴァーサイズに感じられるのですが、その実サイズ表記46であるこのコートは誰でも着られそうな寸値であるにも関わらず例えば48や50の身体にはしっかりとしっくりこないという的確なサイジングが成立しているのです。肩幅76cmで身幅70cmですからもちろん着ることはできるのですが、ふとした挙動で背中が突っ張ったりINにさほど着込めずざっくりとした羽織りコートとして成立しなかったりと、一見すると戸惑ってしまうかもしれませんが背骨を認識すればしっかりと御理解御納得頂けるはず。天才ジャンニ・ヴァルサーチェのメンズクリエイション最初期である80年代初頭の一着ですから。

 

 

後々に世を席巻したヴェルサーチェ帝国が築かれるより以前の規模が小さくだからこそ濃密かつ徹底的なクオリティー管理によって良い意味で“いわゆる”なGianni Versaceではない印象の最初期Gianni Versaceのメンズクリエイション、天才の略歴の中でも弊店はこの最初期を特に特別に想い扱っています。

強いて称するとしたらPコートと言ったところでしょうか、このウール80%×モヘア20%の上品さと古典感に満ち溢れた獣毛プロダクトは。でも前立ても不可思議過ぎるアシンメトリーだしポケットの位置は造形的だしレザーのボタンホールパイピングは素敵過ぎだしレインヨークはもはやレインヨークではない、本当に“強いて”なだけで完全な別もの,別言語もの,別次元もの。これだから私は想い続けるのです、鳴々ジャン兄が長生きしてくれていたらファッションデザイナーの勢力図はきっと変わっていたのだろうな と、もしかしたら今よりももっと素敵な世界になっていたかもな と。まぁそんなこと言っても仕方ありませんね。

なのでプロダクトで心を満たしましょうぞ。最初期Gianni Versaceのメンズクリエイションでしか得られない栄養素は確かに存在しますから。このコートにおいて語られるオーヴァーサイズは近代のただ大きいだけのオーヴァーサイズとは根本的に異なります。紳士服の歴史にあった重ね着をするため内側に空間を大きく配置するというレイヤードを目的とし哲学と美意識が詰まったオーヴァーサイズの概念に異国の天才,三宅 一生大先生から学んだKIMONOの世界観を注入した服飾史と文化が混ざり合った純然たるモードのオーヴァーサイズなのです。

 

 

 

 

 

New early80s Gianni Versace wool & mohair oversized design coat

 

以上を踏まえたうえで唯一無二のオーヴァーサイズコートとして御提案致します。MYサイズじゃなくて本当に良かったー。

 

 

SURR 福留

ミウッチャの“好き” / Diary1350
31.10.2025

親愛なる敬愛なるミウッチャ・プラダ。一貫した哲学と美意識を貫き続けた彼女,ファッションデザイナーとして才覚を発揮するまでに紆余曲折あった彼女,特有の愛で服飾業界を包み続ける彼女にもまた他の天才や鬼才や奇才と同じく明らかなる“好き”が在りまして、いや彼女のそれは他よりも分かりやすいんじゃないかとすら思ったりすることもしばしばあったりするくらい彼女の“好き”ははっきりしているなぁと、皆様方にVintage PRADA Uomoを御提案するその日のために虎視眈々と文字通り彼女のクリエイションを見続けてきた私は幾度と無く思ったものです。

 

それは例えばイタリアンカルチャーらしくあるものの日本では馴染みの薄い,きっとまだまだ薄いですよね、な半袖セーターを一貫して製作し続ける姿勢に留まらずとあるランウェイのファーストルック採用したりとか、

 

 

これまでのクリエイションにおいて偶然では片付けられない頻度で登場し、今やブランドの象徴の一つと言っても過言ではないスタッズをとあるクリエイションにおいてはタキシードトラウザーの前面に文字通り星のように散りばめたり、

 

 

PRADA Uomo発足にあたり唯一外部職人に学んだ技術と哲学であるテーラーリング、“スーツが着にくいと思うなら我々の工房に来い。寝られるスーツを仕立ててやる”で御馴染みな世界最高峰の職人技術を吸収したうえで再構築されたミウッチャならではの明らかなる柔軟性のデザインテーラードジャケットであったり

 

と、彼女の“好き”は本当に心地良いほどに分かりやすく受け入れやすく、何よりも一貫したモード目線の美しさと格好良さと崇高なまでの上質な水準が秘められていて、いつ見ても着ても捉えても切り取っても成立するし圧倒的な唯一無二で在ってくれます。それらは言うまでもなく彼女が手綱をしっかりと握っていた時代,弊店というか私にとって2018AWまで、は濃い要素性として受け継がれ時にヘリテージ的な安心感と共にクリエイションを文字通り彩ってくれていましたが、それ以降はどうなのでしょうか。私はもう見ていないので分かりません。受け継がれていたらなんとなし嬉しい気持ちではあるのですが。

 

 

 

 

 

New Vintage PRADA Uomo 1998AW fleece wool design tailored jacket,00s Virgin wool short sleeve sweater & 2009AW pure virgin wool studz tuxedo trouser

 

ということでミウッチャの“好き”新作でした。

 

 

SURR 福留

こんなのあったんだ / Diary1349
30.10.2025

 

ティンバーランドと聞くと、やっぱり一番に思い浮かぶのは定番のブーツですよね。 実際、僕も学生時代にアメリカのヴィンテージを扱うお店で働いていたので、ティンバーのブーツやウェアは日常的に目にしていて、当たり前の存在みたいに感じていました。 でも、このジャケットに出会ったときは正直びっくりしました。「え、こんなのあったんだ」っていう、思わず声が出るような新鮮さ。ずっと見慣れていたはずのブランドなのに、まだ知らない一面を見せられたようで、ちょっとワクワクするような感覚でした。 洋服に触れていると、知っているつもりのブランドから意外なアイテムが出てきて、「また新しい発見があったな」って思える瞬間があるんですけど、まさにそれ。ティンバーランドってブーツだけじゃなく、実は奥行きのあるブランドなんだなと改めて感じさせてくれる一着でした。

 

 

 

ワークの雰囲気を色濃く残しながらも、よく見るとフィッシャーマンジャケットをサンプリングしたようなディテールが随所に見られます。胸のポケットの配置やDリングはまさにその名残で、アウトドアの機能性とタフなキャンバス地が絶妙に調和しています。特に印象的なのが、前身頃にカーブを描くように配されたポケット。単なるデザインとしてではなく、閉じたままでも手を差し込めるナポレオンポケット的な発想が込められていて、実用性とデザイン性を巧みに両立させているなと。

 

 

背中に大きく仕込まれたポケットは、フィッシャーマンジャケットのDNAを強く感じさせる部分で、もともと釣りのシーンでは、濡れた道具や魚を一時的に入れるための仕様で、両手を空けたまま作業できるよう考えられており、だからこそ前面だけじゃなく背面にも収納を置く発想が自然に生まれたのだと思います。

裾に付いたアジャスターは、本来は動きやすさを高めたり、体に合わせて調整するためのものですが、現代的な感覚で着ると、細部のニュアンスとして軽く効いてくれる。

 

 

New 90s Timberland WEATHERGEAR multi pocket cotton jacket

 

サイズはMで、ほどよい余裕がありながら大きすぎずバランスよく着用できるシルエットで、キャンバス地も思ったより硬さがなく、羽織ったときに自然と体に馴染んでくれます。デニムでカジュアルに合わせてもハマるけど、あえて綺麗なスラックスに合わせると一気に雰囲気が変わって、ジャケットの魅力を違う角度から楽しめると思います。

 

 

SURR 古川

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