夏の主役 / Diary1308
12.6.2025

色はクリーンな白、程よくラフで、でも上品さが伝わってくるリネンのロロピアーナ。

織る前に糸を染色し、模様が出るように染め分けたあとに織る技法”絣”(かすり) これにより機械では表現できない素朴さと奥行きのある表情を生み出す。時間と手間が織り込まれ、経年変化・風合いを共に楽しめる。

シルエットに派手さがあるわけではないですが、縫い目のラインやカフスの張り、ボタンの質感にいたるまで抜かりがなく完璧で美しく、リネン特有のシワ感がリラックスした雰囲気を出し、いい意味で肩の力が抜けた印象を与え、シンプルなデザインだけど、素材の良さがあるからこそそれで十分。 カメラを構えた何気ない瞬間でさえ、どこか品のある雰囲気に見えるのは、ロロピアーナならではかもしれない。

サイズはMサイズで肩、身幅共にそこまで広くはなく、細身な私で丁度いいサイズ感のピュアリネンで軽くて夏場でも重宝するシャツ。綺麗なスラックスでも無骨なミリタリーのパンツでもこのトップスならきっと自然に奥行きはでます。肌寒くなればお気に入りのジャケットを羽織るだけ。いい意味で考えなくていいから簡単。

 

 

続きましては

 

 

こちらの二着をご紹介させていただきます

2006s PRADA cotton×nylon Velcro shirt

00s GUCCI saxblue dress shirt

淡いブルーの色味に、セミワイドカラーの襟。ボタンを全部留めてるのに、どこか艶っぽさが漏れてるのがすごい。 表記サイズは38でこのシャープな設計ですので、コンパクトになりすぎてしまうかと思っていたのですが、窮屈にならずにストレスもなく余裕のあるシルエットこのバランス感覚が、トム・フォードらしい。

伸縮性のある生地にウエストあたりの一本ラインで完璧な中に遊びを入れてくるプラダらしいシャツ。 比翼で装飾もほとんどないこのミニマル空気感は、2000年代初期のミウッチャ・プラダが得意としていた、削ぎ落としながらも確実に残すデザイン。いま着ても全然古びないどころか、むしろ現代的に見えるのがすごい。 サイズは42ですが伸縮性がありますのでストレスなく幅広い方に楽しんでいただけますし、個人的な気分では膝上あたりのショーツにブーツやサンダルで合わせたいです。 

 

 

  

以上、ロロピアーナメインで三着ご紹介させていただいたのですが、それらに合わせていた90s Daniel Hechterのサマートラウザーズは腿は太くテーパードのかかったワイドシルエットで、素材も軽いコットンで硬さはなく柔軟は肌触りのですのでこれからの季節にお勧めしたいです。

夏の装いに是非に。

 

 

SURR 古川

モードヒストリーにおける伝説 / Diary1307
11.6.2025

母が営む縫製会社に幼少期から入り浸っていたジャンニ,ファッションに携わる前は建築を学んでいたジャンニ,ロイ・ リキテンシュタインやアンディー・ウォーホルからの影響でグラフィックデザインにも精通していたジャンニ,デビューしてすぐに注目され当時のブティックスタッフに“Armaniは奥さんに、Versaceは愛人に贈ってください”と言われていたジャンニ,数多くの著名人や音楽家と交流をもち様々な衣装を手掛けていたジャンニ,モデルを服を着るだけの存在ではなくブランドの顔として起用することで昨今のファッションモデルの礎を築いたジャンニ,そして天才ゆえ50歳という若さで神さまのもとへ呼び戻されてしまったジャンニ。

そんな彼がデビュー直後から終年に至るまで一貫して製作し続けた彼の生まれ故郷であり原点でもある古代ギリシャ文明や神話をモティーフとしたグラフィックシャツというプロダクトは近年のVersaceにおいても度々姿を見せる正真正銘のアイコンであり、そのデザイン面における存在感とクオリティと世界観ゆえ昨今のアーカイヴという言葉が多様・乱用される遥か以前,一部ながら確かな服飾史愛好家達がアーカイヴという言葉や意味合いを丁寧に適切に用いていた時代からモードヒストリーにおける伝説的な存在として扱われ続けています。

ジャンニ・ヴェルサーチェというファッションデザイナーを心から敬愛し尊敬する弊店にとってはGianni Versaceの古代ギリシャ文明グラフィックシャツという存在は極めて重要なのですが、前述の通りかねてよりモードヒストリーにおける伝説なものですから、稀に出逢えたとしても容易に扱える存在ではありませんでした、その理由は単純明快に市場価値です。でもそれは“高い”ではなく“適正”、正しい評価なのでした。しかしながら前回の旅順にて幸運にも縁あって手に入れることが出来たのです、しかも初期個体、しかもシルク個体。

 

 

 

震えました。三宅一生大先生から顕著に影響を受けた唯我独尊なデザインシルエットもファッションというよりも絵画なカラーコントラストも信じられないほどにモッタリとしたシルクテクスチャーもそれに伴うシルエットの迫力も実物を目の前にしないとSURRの空間で冷静に向き合わないと実感できない。なんですか金の箔のプリントって、私見たことないんですけど。親愛なる有識者も見たことないどころかきっと現代においては禁止されている製法や技術力なのではないかというところまで読み解いてくれました。(いつもありがとうございます)

スタッフの古川と向き合ってお互いに着て思いました、鳴々これは似合う似合わないを超越しているな って。似合う似合わないじゃなくて着たい着たくないだな って。それだけシルエットもスタイル性も唯我独尊だし、言うまでもなく古代ギリシャ文明グラフィックが唯一無二ですから。

 

 

 

 

New New early80s Gianni Versace culture of Greece graphic band collar short sleeve silk shirt

 

洋服と向き合う時に“これって私、似合うなぁ”って嬉しい出逢いが度々?稀に?あるかと思いますが個人的にそれを上回る最上位が“これは私が着るべき”や“これは私が着なくてはいけない”というレベルで同調できる出逢いです。御客様方と交流していても稀にあるんですよ、これは貴方様が着るべきだ,これは貴方様が着なくてはいけないっていう最高の御縁の瞬間。

僭越ながらこのシャツは私にとって“私が着るべき”と秒で思った出逢いでしたし実際に袖を通したら完璧に似合っていました、あくまで私にとってはですが。なので地獄です、ジャン兄が愛した古代ギリシャ文明グラフィックシャツ。

 

 

SURR 福留

Antique Fine Jewelry 2025 / Diary1306
6.6.2025

まず初めに空調設備が一新されたこと、御報告させてくださいませ。

 

“北青山って響き、格好良くない”というシンプルな理由で入居した2002年から大きな窓の上部に鎮座していた初代空調は、これまでに裏路地のマンションの一室でひっそりながら確実に御愛顧くださる皆様方を時に涼しく時に暖かく見守ってきましたが、ある時(15年前とか?もう忘れました)ある理由(これももう忘れました)によって配管を触る必要があったものの壁に埋め込まれてしまっていたため一部分を削除せざるえなくなり、更に今後のことを考えて一部分を露出したままにしなくてはいけなくなってから徐々に老化を感じさせるようになり、明らかに効きが悪かったり突然止まったりを繰り返しながらセルフクリーニングなどでなんとか持ち堪えていたものの昨年夏前に専門業者に“もうクリーニングできない”と通達されたと思ったらその冬の終わりに暖房機能および冷房機能および除湿機能が完全に不動となりました。車を買い替えようと運転席で呟いたら直後に調子が悪くなるみたいなものでしょうか、ただし暖房を使用しなくても大丈夫くらいのタイミングで完全に壊れたことは何か心にくるものがあります。

これまでエアコンを交換しなかったのもシンプルな理由で一つは壁に埋め込まれてしまっていたこと、そしてもう一つは秀和レジデンスのとある決まりごとゆえだったのですが、この状態では御客様方に安心安全な空間を御提供できないのは火を見るより明らかだったのでエイヤソイヤと一大決心でついに一昨日、三週間に亘る工程を経てついに2台目エアコンが完成致しました。着想したのが10年以上前、ついに終幕です。

ここ数年間においては明らかに冷房が効いていない環境,なんだったら冷房が効いていない環境,暖房が効いていなくてコートが脱げない環境など本当に沢山の御客様方に御不便と御迷惑をおかけしてしまいました。直近ですと5月の第三週の土曜日、気温が上がって湿度が高いにも関わらず冷房がなく外の僅かな風のみでお過ごし頂いた皆様方には本当に申し訳なかったです。私も汗でビシャビシャでした、比喩じゃなく、本当に単純に。でももう御安心くださいませSURRの2台目空調は2025年生まれ、ピカピカ新品でございます。ということで迫り来る梅雨も夏も秋も冬も可能な限り特に快適な空間を御約束致しますので引き続き機会ございましたら宜しくお願い致します。

 

以上、御報告でした。続きましては今週の新作、しっかりと涼しい空間にて新作ファインジュエリーのセレクションを是非に御査収頂きたく。

 

 

 

本当に心から有り難いことに年々御愛顧くださる御期待くださる方々が増加してくれており、それに伴い御要望の声も多く頂けるようになり、御人によっては“次の新作はいついつですよね?”と先読みくださったりと本当に本当に嬉しい限りですし変な言い方かもしれませんが私の誇りの一つとなっているアンティークファインジュエリー。先読みというか単純だからバレているだけですが枝豆やとうもろこしやスイカがスーパーに並び始めるような段々と雲が大きくくっきりとしていくような街中でTEEシャツ姿をちらほらと見かけるような旬を感じさせる要素の一つに弊店のファインジュエリーが成れたら なんておこがましくも夢想しちゃったりなんかして。

御期待くださるなら絶対にお応えしたい御要望頂けるならお届けしたい、それが人間ってもんですから前回の買い付け旅順では思い切り気合を入れてセレクションしてきました、シンプルに数字で分かる気合の入れようです。なのでしっかりたっぷりと御提案させて頂くべくこれまた変な言い方かもしれませんがシンプルに出し惜しみゼロにて御披露目。あっ一点だけ都合により職人の元にありますが、戻り次第メンバーに加えますので宜しくお願い致します。

 

 

 

 

 

New Antique Fine Jewelry Selection

 

ということでこれまでに御披露目した面々と併せまして元は1940年代に英国教会で司祭の装身具を保管・展示していた弊店のジュエリーケースの中はアンティークファインジュエリーで一杯です。数えていませんし振り返って調べていませんが過去最大数量だと思います。

今回は1817年から1985年にかけて、168年間の年代分布と相成りました。この度の面々も皆様の御手元・御手首元・首元などを彩ることで日常のちょっとした瞬間が楽しくなって嬉しくなって自然と所作も美しくなってやがて身体の一部として欠かすことができなくなって、あわよくば誰かと相対していたら不意に“そのジュエリー素敵ね”といったさりげなくもかけがえの無い交流が生まれますような存在に成れますに。

 

 

SURR 福留

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