少々肌寒いですが気持ち良い季節がやってまいりましたので、このエントリーは SURR のベランダで書いています。このように気まぐれでベランダで過ごすことがありますので、お見かけの暁にはお気軽にお声がけくださいまし。
さて、” アートリペア ” という区分にてコツコツと御提案してまいりました中でも、愛着心という名の手ほどきが最も施されているのではないかと思われるのが今回の一品ですが、当エントリーにおきましてはあえてそれ以外に触れさせて頂こうと思います。
フランスにおいてのみならず、全てのワークウェアにおいて最も代表的なスタイルと言えるカバーオール。その名に相応しく、就労時等に身体を包む目的を秘めた一着は、言うまでもなく着飾るための ” ファッションアイテム ” ではなく、更に言えばそれと対極に位置する目的に則って生まれました。時代を経て産業が発展すると共にその容貌は微細ながら確実に変化を遂げ、現代においても同じ区分であるワーク・カバーオールという存在は受け継がれていると共に、モードやハイファッションの世界においても、そのDNAを如実にを受け継いだピースを目にする機会は枚挙にいとまがありません。
想い返してみたらフレンチワークという区分を弊社で扱うようになって10年以上経ちますが、カバーオールはいつも共にございまして、常に純粋に ” 格好良い ” と思える存在でありスタイルでした。特に産業的な技術が現代とは大きく異なる, 現代と比べると稚拙であり、何より素朴で丁寧であった古き時代のカバーオールは格別でして、着飾るためのファッションアイテムとは対極に位置している存在にも関わらずそれら通じる構築の美学、イコール着飾るためでは無いものにも当たり前のように “ 美しいと思う要素を丁寧に時間をかけて注ぎ込む心 ” があった時代のそれはとにかく格別でして、“ 絶対 ” という言葉を重んじているため滅多に使わないよう心掛けている私ですが、この想いに関してはのべつ幕無し使わせて頂きたく。
このような美しさは絶対にこれからも輝き続けます。
テーラーの世界においての美意識とされる “ 前から見えないと美しい ” という考えに則り、後ろに逃がされた肩線。フランスの上質な紳士服の傾向である、一番上まで留めてもタイの結び目が丁度良く覗く V 字のネックカーブ設計。そして仕立て屋の技術力と配慮を隅から隅にまで感じられる、贅沢なほどに曲線なパターンメイク。
余談と申しますか私の一個人的な願いですが、是非上から2番目のボタンのみを留めるフロント X を基本スタイルにして頂きたく思います。その願いに至ったきっかけはとある2人の存在ですが、その話は御興味ございましたら店頭にてお声がけくださいまし。
30s French work art repair coverall
歴代最高の手仕事量であるだろう点も、希少性の高いブラックモールスキンである点も、出逢いの確立も差し置いて綴らせて頂きました土台の話でした。今回もお付き合いくださった皆様に心からの謝意を。
SURR by LAILA 福留
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Newarrival many vintage pieces
勝手ながら、本日より並べさせて頂いております。
ご紹介は、追々各々じっくりと。
風邪が流行っているようですので、皆様どうぞご自愛くださいませ。
SURR by LAILA 小林
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私事にて恐縮ですが、先日、友人からお声掛けを頂き、 久方ぶりに芝の上でサッカーというスポーツを愉しみました。元々サッカーは、12.3年間程やっておりましたので、経験者といえばそうなるのでしょうが、俗にいう “ ブランク ” なる期間が5.6年存在しておりますゆえに、開始5分で息があがる始末。後頭部に水をかけるという行為も何十年振りでしょう.. 最後まで愉しませて頂きました。
サッカーをやりました。というお話をしたいのではございませんが、20代後半となりますと「スポーツをする」という機会がめっきり減る気がしまして、めっきり機会が減りながらも、生活または健康にスポーツという行いがどれほど有効的か、しみじみと痛感致しました。強烈な筋肉痛とともに。
まず、質のよい睡眠を獲得できます。これは習慣的な前日との質に比べますともう歴然なほど。
そして食欲が増します。何故、という問いに対して、医学的に無知ですので偉そうに綴るわけにはまいりませんが、
“ 食事 ” と “ 睡眠 ” このふたつの質が格段に上がるというのは実体験をもって感じた事でして、中心的にワークスタイルな日常サイクルであったとしても、本気で行ったスポーツは疲れが翌日に残らないという七不思議は、スポーツをする機会がめっきり減ったであろう方々に、是非ともお勧めしたい内容です。サッカーであろうとなかろうと。あとは此れを習慣的に取り入れるスケジューリングが大事だと今後とも意識的に行ってまいりたいと思います。
失礼を致しました。
さて、目の前にした1着のコートについて。
ウール、そしてアルパカという御素材によりまるで上質なカシミアのように柔らかい表情が獲得されながら、粗めの毛羽立ちにグレイ色の毛糸が不規則にコンヒュージョン。
「たとえば、天候をまるで気にしない日常性」
それが否が応でも叶う、事実上の強さと、“寒いから着る” “着たらあたたかい” という当たり前のベクトルとリザルトこそ何より大切で、その期待をほんのすこしも裏切らず、完璧に、なおかつ実践的に、認められましょう。
ウィンターコートとしまして最も完成形に近いタッチではないだろうかと、昨年目にした際から、その意見は引き続きでございます。
1999年というメンズコレクションがスタートした伝説的年代と、偉大なるプレート、歴史の遍歴については、Diary226にてご説明の通りですので、わたくしから改めて追加する項目は御座いませんが、やはりこの年代の、たとえばこの1着に関して謂うならば、 “彼の偉業だからこそ” 、という文句も、 “彼の偉業だと証明できずとも”、 という文句も、両成立する純粋に素晴らしいウィンターコートであると、ひしひしと想いを馳せる1着。
二足のわらじの素晴らしき両刀の時代、HERMESの一貫された、上の上の上質なる御素材を彷彿とさせるタッチ。ミニマルの最果てとも謂うべき一切のディテールを完膚なきまで排除されたフォルム。ランニングは袋縫いされ、やわらかくもふっくらとしたコットン。ハーフランニングにはゴワりとしたシャギーセーターも着れるようにレーヨンの気配り。袖はお好きな位置で上げれるようにと切羽はなく、習慣性のみを具えたハーフスタイルの着丈。ポケットは両の手が自然と吸い込まれる巧妙に仕掛けられた配置。質の良いボタン。直線に伸びるシーム。セットインスリーブながら通常のフィッティング概念から逸れた位置でエントリーされる美しきオーバーサイジング。
そして、育ちの良い愛用者を連想させるアノニマスな匂い。
其処こそ、彼が求めた領域なのではと、やはり想いを馳せずにはいられない1着。
1999s Maison Martin Margiela , wool & alpaca coat
いいように申し上げるつもりは御座いませんが、毎年、必ず到来する冬という不可避な季節に着用するコートが、“ このたった1着 ” によって呆気なく完結してしまう、それほど、非常に強力な存在であることは先に記しておきます。
あえてマイナス的要素を拾い上げるならば、“ おもしろくない ” でしょうか。様々なバージョンにて不可避なる季節を愉しまれる方には、素直に他のプロダクトをお勧めさせて頂きます。それほど、“これしかない” と思わせる完結力と、コレクションラインとは思えない無機質さ、サマセットモームなら「現実的」と表現しそうな1着。
そして、これをひとつの完成形とお認め頂けるならば、
不可避なる季節 / わたし との間に存在する哲学とともに、じっくりとご賢察を頂き、なにより注意深く、ご潜考の程を頂けましたら、わたくしからは何も申し上げることは御座いません。
SURR by LAILA 小林
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