生産環境がより整頓された1950年代フランス。ワークウェアという区分でさえも、皆が皆、木を切り倒すわけではないしょうし、無我夢中で絵を描くわけでもないしょうが、身なりをきちんと整える内容を職とする彼らのために仕立てられる “ 上着 ” も、当然ながら点在していたと予想することは、ファッションという世界でなくとも想像しうる事と存じます。
日常的にテーラードを着る上で、快適性なるものを求めるのは至極当然。動きやすさではなく、立ち姿の美しさを限りなく追求した英国の其れらとはまた一線横にある内容でしょう。そりゃそうです、そもそもが「ワークウェア」というから、立ち姿の美しさを添える衣類など役に立つはずがないでしょう。つまりは、ビスポークレヴェルの具体性を用いずとも、動きやすくて、丈夫、そのうえ、きちんと見えるテーラードスタイルである “ 上着 ” 。其れは当時、一部の彼らにとって必要な衣類だったでしょうし、必要とされるべき種類の衣類なのでしょう。
然るに、出土された其の必要とされるべき “ 上着 ” が、カジュアル度数が高い4つ釦となりますと、必然的に意識が傾注する始末。
生産環境がより整頓された1950年代フランス、素晴らしき時代。
時を現在に戻しまして、動きやすくて、丈夫、そのうえ、きちんと見えるテーラードスタイルである “ 上着 ” をいざ探すとなると、世の中よく出来たもの。適度なものが見つからない。欲するものを探すと見つからない。おそらくそのようなシステムになっているのでしょう。磁場とか、宇宙に神秘とか、その類の。
この場合、当て嵌める条件の中で、“ 動きやすくて、丈夫 ” というのが鬼門になるのでしょうが、やはりそこでいとも簡単に解決してくれる区分がワークウェアでしょうし、“ きちんと見える ” を解決してくれる内容こそ、随一フレンチワークなのでしょう。
しかしながら “ テーラードスタイルである上着 ” そのうえ4つ釦という限定性を加味しますと、磁場とか、宇宙に神秘のせいにせざるを得ない内容でしょうが、それはツチノコを捜索するような種類の希少性ではなく、あくまで存在しうるシステムの話。
ともあれ、AをA的に理解する美しさのように、ワークウェアをワークウェア的に理解し、自身の習慣性のもと向き合った際、どんな職種であろうと短い人生において必要なミルクチョコレートとミントガム、道に迷っときの質の良いコンパス、文庫本が気持ちよく収まる収納力と、それを現実的に可能にする計4つのポケットの内、わざわざフラップが設置されたチェストポケットには、失くしたら困る週末のゲームチケット。
動きやすくて、丈夫、そのうえ、きちんと見えるテーラードスタイルであり、日常的な4つ釦で、ミルクチョコレートとミントガム、道に迷っときの質の良いコンパス、文庫本が気持ちよく収まる力を有した “ 上着 ” である其の1着、が、結局は想起させるきっかけとなりましたが、キャラクターに上手に昇華されたフレンチブルーほど魅力的な色はないと今一度考えさせられた次第。
柔らかく肌馴染みの良いお素材に合わせたしっかりとした羊毛のセーターは気持ちよく馴染み、それがスチールブルーであれば文句のつけようもなく。
50s France tailored cotton work jacket
磁場とか、宇宙に神秘とか感じる前に、どうぞ、北青山3丁目まで。
SURR by LAILA 小林
03-5468-5966
[email protected]
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Newarrival.
60s HERMES
“ 24 faubourg Saint Honoré PARIS ”
SURR by LAILA 福留
03-5468-5966
[email protected]
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1月27日 ( 土 ) 12:00より御披露目。
なお、こちらはお問い合わせ段階での御予約受領をお応え致しかねる一品となります。
弊店の取り扱いは全て1点ものとなり、これまでの御提案で光栄にも幾度がお問い合わせが重複したことから、誠に勝手ながら稀にこのような状況を付与させて頂いておりますこと、御了承お願い申し上げます。
引き続き常に皆様の御来店を心よりお待ち申し上げております。
SURR by LAILA 福留 小林
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これもまたタイムリーな内容と感じますが「だから今」というエントリーでもなく、偶発的なタイミングと出逢いゆえに、嬉しくもあり、ひとりのファッションが好きな男として純粋な思いで楽しくもあり、アドレナリンが通常時の2.5倍程放出しているそんなこの頃。
アントワープ出身者で歴史に名を残した数名の内、今、この瞬間までクリエイションを継続している/又は冠を継続している人物は、記憶が正しければ彼ひとりでしょう。弊店ではクリエイションが開始された90年代初期〜の作品を中心に検分しておりますが、当時のクリエイションであれば端から端まで、というわけでは当然になく、彼の息と手がかかった作品であったとしましても、そうでないバイブル的存在の1着としましても、男性にとってのスタイルを向上させるに適切な衣類であるかどうか、これは少なからず重要項目のひとつとしてフィルターを用意して御座います。ここでいう「スタイル」とは身体のラインやプロポーションではなく、長い人生においてその方本来の個性と、一般的にも弊店なりにも共通する理想の男性像に添える「スタイル」で御座いまして、そこに合致するか否かというのは目の前の1着と向き合う上では大切にさせて頂いている想いのひとつで御座います。
逸れたお話を戻しまして、彼の作品のうち、弊店なりにご提案したい「スタイル」に合致する衣類の大半を占める例えばのステージが「ニット」。
90年代初期頃「タフな靴ならウェストン」のような相互関係を世にスプリードした素晴らしい内容で御座いました。かたや現代のニットプロダクトも高い評価を得ている区分であるのはご周知の通りと存じますが、当時彼が構成する内容ではやはり中心的なポジションを獲得しており、それは「だから今」というエントリーでは決してない、時間を吸収し続けるほど質の高いセーターとして昇華されていく完成度の高さと、それを据えて可能にした当時の生産環境、ハンドニッティングのような始末とフィニッシュ。着用と洗いと乾燥を重ねる度に生じる “ 歪み ” は、マイナスポイントとして捉えるほうが困難なほど魅力的な “ 歪み ” であり、ゆえに着用者に添うセーターとして完成されていく過程、身体を包み込む手編みのような独特のフィッティングバランス、交互に編み施された特有のテキスタイル、毛玉など恐れないデューティーな仕上がり。それはニッターから直接提供されたような贅沢な内容であり、何かの拍子にネームプレートが外れてしまったとしても実際的な内容のみが残り続ける素晴らしい編み物で御座います。
90s Dries Van Noten alpaca & wool knit jumper
そしてこの度、出逢いで叶いました中で感興を抱いた彼の作品のひとつに「ジーンズ」が御座いました。
あってもおかしくないと分かりながら、実際に目にしたのは今回が初。ともあれ残色度やコンディションどうこうは語らずとも見て取れる素晴らしい内容で御座いまして、そんな事は扨置きも、初見で感じたアノニマスな印象は、検分すればするほど印象ではなく確実性をもった具体像のようにダイレクトに伝わります。控えめなアーキュレイトステッチ、アウトサイドに施さない余計なプレート、無地のパーツ、12オンス程の軽やかなコットン地ながらやや伸びのある習慣的な生地、ダブルに仕上げられた裾、某メーカーの606をベースとしたエレガントかつ現実的なテーパードスタイル。某メーカーを除いたとして、素敵なシルエットを精査/探求/捜索したところで此処に辿り着くのは長い道のりになるだろうと素直に感じるのは、ヴィンテージという区分で類似する1本を視界に捉えたことがない、という明確な理由が存在致します。そうそうこれこれ、と言わんばかりの完璧無比なプロポーションは、「履いてこそ」ご理解頂ける種類のものと、かたや其れが90年代に、ベルギーという国で、ドリス氏の選定によってプロダクトされた1本であれば、タイムリーでもなんでもなく、「だから今」というものでもありませんが、偶発的なタイミングと出逢いゆえに、嬉しくもあり、ひとりのファッションが好きな男として純粋な思いで楽しくもあり、アドレナリンが放出されながら、そして恒久的な思考を確実に当て嵌め、1本のワーキングジーンズとして完成されたトラウザーであるか否か、じっくりと御賢察を頂けましたら。
90s Dries Van Noten denim trouser
宜しければ、この機会に。
SURR by LAILA 小林
03-5468-5966
[email protected]
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