「呼吸する碧」
端から端までとカラーチャートに属する青色を確認致しましたが、 “ 青 ” と限定な上での探索で御座いましたので、当然、近しい色合いは存在したものの、確実性を帯びた色名に辿り着くことは叶いませんでした。
何処にも属さない碧。広域的な表現で “ 青 ” ですが、感覚的に(なんとも説得性に欠けますが) “ 碧 ” と表したくなる程、極めて日本的で,奥床しく,情緒すら有ると。どこか無機的に感じられない表情は、夕暮れを過ぎた水上,海面,深海のように緩やかな水の動きを連想できる、その色を乗せた生地は、合理的に無機的で終わるにはあまりにも勿体がなく、それでいて反発したくなる程に優美。詰まるところ、有機性を帯びた表情「呼吸する碧」で御座いましょう。
シャツかブラウスか、大きいか、小さいか。恐らくか、其の領域ではない例えばの1着だろうと感じますが、適合する表現のひとつは「羽織り」。肩幅、身幅とジャストフィットで着用する事を想定して仕立ててはいないと推定できる程、余白を残したパターンと空間の使い方。ドロップショルダーという仕組み、フレンチアンティークにみられる大きめのチェストポケット。背は1枚仕立て、ヨークを排除するという選択。
ともあれ、無機性を感じないその碧は、和を放ち、自然に溶け込み、主に添う。狙った芸当と思いますが、オーソドックスではなく、かといってアバンギャルドでもない、その狭間に存在する絶妙な均衡。前衛的か、官能的か、古典的か。其々のエレメントが複合的に重なる中間地点に、堂々と自立する1着。袖を通した際に確実性を帯びて伝わってくるエッセンス。
“ 大胆な空間バランス ” “ アダルトな色気 ” “ 無駄を削ぎ落とした上での構築性 ”
彼が手をかけた衣類を視ますと、こうすればこう、というロジックや論理など実は存在せず、存在したとて頭脳や経験則では包容できない際に、砦として君臨する人知が及ばない領域、圧倒的なまでの“センス”によってコントロールしていたのではと、思う程に、所謂イメージソースやガイドとなった “教科書” が思い当たらないし見当たらないし浮かばない。
兎も角も、彼の頭の中でしか成立しない別次元の世界であり、それが具現化された1980年代というプレタポルテ全盛の時代。彼が哀しい事件の末,命を絶たれるまで全盛期と詠われたその時代の1着は、写真を愛し、ファッションを近くで触れる事ができた幼少時代、大国イタリという地、誇大して申し上げるわけではなく、彼の逸脱なる其のセンスが凝縮された,感服する程に素晴らしい既成衣類であると、私はそう想います。
「呼吸する碧」であるかないか。あったとしたら。そうでないとしたら。
例えばこの1着は、和を放ち,自然に溶け込み,主に添う。極めて日本的で,奥床しく,情緒すら有る。夕暮れ過ぎの水上,海面,深海のように緩やかな水の動きを連想できる程、無機性に反発したくなる程に優美。其れ程に魅力的かつ「呼吸をする碧」であるからこそ、感服する程に素晴らしい既成衣類であると、そして1着の紳士服としまして敬畏の意を表したいと、切に想います。
80s Gianni Versace blue cape shirt
SURR by LAILA 小林
03-5468-5966
[email protected]
//
Newarrival 1948s〜90s Vintage summer style for gentleman
初夏のお召し物をたっぷりとご用意させて頂きました。
ヴィンテージの一角を、少しばかりお愉しみ頂けましたら。
それでは、皆様のご来店を心よりお待ち致しております。
SURR by LAILA 小林
03-5468-5966
[email protected]
//
英国の地で紳士向けにレザーシューズの製造を始めた、John Lobb , Edward Green。今でも尚、英国の双璧と詠われている2大メーカーですが、歴史が語り継がれているJohn Lobbより37年早く、ノーザンプトンの地で靴を提供し続けていた、とあるメーカー。
お察しの通り、英国最古のシューメーカーで御座います。
「Tricker’s」
高級靴として知られる文頭2大メーカーに対して、そう、“ 対して ” という目線の向け方をされる方も少なくないのでは。おそらくは、“カントリーという名のオブラートに包まれたイメージ” が、存在するのではと推測致しますが、屈強で頑丈、コンクリートや石道より土、レザーソールよりコマンドソール、張り出したコバ、丸紐に丸みを帯びたトゥ。そこを持ち味にプロダクトしているのも事実。お好きかお好きじゃないか。
勝手ながら私にとっては贔屓にさせて頂いているメーカーのひとつでして、ウェストンに並ぶ最も信頼に置けるメーカーと認識に至っております。ノーザンプトンにてメイドトゥオーダーした1足のダービーは未だ衰えを知らず現役の最中、足を通す度に納得のゲージが溜まっております。
そもそも今回の出逢いに際して、「ヴィンテージが存在したのか」と少々驚きを隠せない一時でしたが、まぁ冷静に再考しますと存在はするのだけれど、いかんせん出逢ったことがないというのもまた正直なところでして、その上、叶ったものが「ドレスシューズ」となりますと何回喉元を鳴らした事か。いつの日か出逢いが叶えば、くらい思っておりましたが、その意図を福留には伝えておらず、帰国後「素晴らしいトリッカーと出逢えた」という一言には気持ちが悪い程に以心伝心の境地を感じました。
扨措き、洗練されたラストとフィッティングは、“例えば2大メーカーの包み込まれる其れ” に寸分の引けを取らず。
“ 対して ” が “ 加えて ” に変わる確信を愛靴のみならず、ドレスシューズにて感じた一時。
将又、チャーチのチェットウィンドと肩を並べる程美しいフルブローグ。
ここまでの道のりや熱意、私の愛靴等も含め、我々の勝手な内容で御座いますが、そもそも英国最古だから、歴史がある、 “靴を履く身” としては重要な事柄ではないにしろ、やはり目の前の一足が本質的に良い靴か否かが重要。だからこそか、そうでなくとも、約188年もの間愛され続けてきたという頑な事実はあくまでひとつの裏付けとしまして、どうぞ頭の片隅に。
1940〜1970s Tricker’s vintage dress shoes
90s Churchs leather shoes
こちらの1足を口切りに、今一度、英国靴をお愉しみ頂けましたら。
SURR by LAILA 小林
03-5468-5966
[email protected]
//