フランス的で左岸的、構築的な思考の彼女は、洋服に人生を注ぎながらも日常の中で絵を描き、都会に重きを置きながら田園風景を愛した。“ 本来の洋服の在り方 ” について強い認識と見解。その主張は専ら、彼女が仕事をするアトリエと、其処で仕立てるプレタポルテの作品から力強く伝わってきます。 “ 長く、長く、着る ” ことを意図とし、ファッションモード界の中核でその早い流れを丁寧に汲取りながらも、極めて前衛的で、彫刻的で、何より 静止的な面持ちをくっきりと宿した衣類。ヴィンテージやアンティークの作品と対面する際、各所ディテールやファブリック、その1着の主張性から、「今でこそモダンだ」と、解釈する機会が多いですが、彼女の仕立てる衣類はむしろ、「当時からこの瞬間までずっとモダンなのでは」と、作品と出逢う度に感じます。彼女にとって “ 長く、長く、着る ” とは、自国の地において信頼の二文字で縫製を一任する背景や、天然素材に拘ったファブリックのみならず、 “ 時代性に配慮して尚、常にモダンであり続ける ” という事なのではと、私はそう想います。
幅6cmの前立て。特徴的なシルバースナップ。直線的なカットライン。高めに位置するヨーク。まろやかなミントグリーン色は、絵描きを趣味としていなければ選択しないのではと、美術的な面持ち。オックスのように粗いコットンファブリックは、1960年代スポーツ衣類のデザインに携わった彼女ならではの選定。洋服を仕立てる上で何よりも “ フォルム ” に気を配った彼女の旨趣を、この1着から汲み取る事ができましょう。
ともあれ、
「このパーツがどう, 色がどう, だからこう。という細部を論点の軸としてご提案するのではなく、それらを判断基準としながらもあくまで一枚のシャツとして一つの服として “ 格好良いか否か ” 」という弊店ディレクターの言葉を拝借致します。
80s Anne Marie Beretta cotton shirt made in France “ mint green “
丁寧にチューニングしながらも永くご着用頂きたい1着で御座います。ベーシックなシャツをお求めのお客様へはご提案しかねますが、パーソナリティと合致する感覚を味わえる本品もまた贅沢な1枚。引き続きご提案の通り、宜しくお願い致します。
SURR by LAILA 小林
03-5468-5966
[email protected]
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弊店にてカリームのクリエイションピースをお選び頂く際、お客様は其々のベクトルによって唯一の1着をご選択頂くようで、当然といえば当然かもしれませんが、例えばヴィンテージピースや、拡大して“ ファッション ” を選択する際、個人の基準またはルール若しくは決まり事なるものが何かしら存在するのだろうと思います。
約30点もの『個』を目の前にどのようなベクトルで御選び頂くか、失礼ながらも大変興味深く、拝見させて頂いております。クリエイションによっては偶発的な縮率つまりフィッティングが1点1点異なるので当然 “ サイズ表記 ” なるものが存在しない、よって、フィッティングからお選び頂く方。自然の恩恵と天然染料による唯一無二なカラーパターン。ぼくはパープル、わたしはブルー、あなたはブラック。お好きなカラー,テキスタイルからお選び頂く方。ハンドソーイングによる繊細で緻密、大胆な補修やチューニング、他の染料やクリエイションでは成立しない圧倒的な死海の泥染め。唯一のミリタリーピース。クリエイションラインからお選び頂く方。2face(リバーシブル)の凡庸性、毎日でも着用できるコットンブルゾン。初夏でも着れるサマーニット。プロダクトからお選び頂く方。昨日申し上げたように、インスピレーションのみに委ねてお選び下さる方。様々と基準を搔い潜り、将又、ご自身の感覚によって引き寄せられた1着をお手に取られた際、背景, ベースとなる衣類,年代, クリエイション過程やアプローチ, 隅々とご説明をさせて頂きます。ご予算ともじっくりご検討頂き、最終的には良き時間を御過ごし頂けましたら。
さて、
何を基準に選ぼうか。
パーソナリティに寸分なく合致する感覚、それはファッションにおけるフローに当てはまるか否かではなく、人にとっての個に調和するか、しないか。謂わずもがな、贅沢な一瞬でございます。Karim Hadjabのクリエイションに用いられる衣類は、1920年〜1960年代のヨーロッパヴィンテージの原型が大半。それら衣類に完全たる「個」として自立させるきっかけを模索し続けた境地が、Karim Hadjabのクリエイションでしょうか。
どうぞ、自由に。
SURR by LAILA 小林
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地中、水中、雨風、森木、昆虫、生物、そして太陽。あらゆる自然環境と時間,空間を共有することにより生じる多面的な変化を、ヒトと同様に “成長” と捉え、究極なる「個」に置換する“ 4Saison ” ( フォーシーズン )。障害物のない北フランスの風車機や、時に燦々と降り注ぐ灼熱の太陽光が適切な北アフリカの地上。仮に同一同地に同色,同素材の衣類を共有させようとも、端倪すべからざる自然環境直下では、全く同一の成長を確認することは不可能に近く、よって、完璧なる「個」を世界の地に堕とすクリエイション。
天然素材を食すというバクテリア(微生物)の特殊性を活かすべく、培養した液体に衣類を浸けるクリエイションライン “ Bacter ”によってコットンやウールなどのナチュラルファブリックに独特の変化、変調を齎します。バクテリアの食すスピード,範囲は、当然ながら人為的に操作できるステージではないため、推測が及ばない偶発的な美しさを説いた極点の一種。
例えば4SaisonやBacterのプロセスを経て生じた不規則的な瑕疵や変調。当然ながら自然環境や自然作用であるからこそ予測がつかない不可避かつ必然の項目でございますが、それらをカリーム氏が絶大なる信頼を寄せるアトリエ在籍のたったひとりの女性、彼女の多種多様なアプローチにより修繕、調整、整合、チューニングを行う “ Hand finish ”。
西アフリカに位置するマリ共和国。そのマリに存在する死海の泥に衣類を浸け,染め上げるアプローチ、“ Argile mali ”。固体と液体の狭間である「泥」は、世界各地それこそ千差万別なる存在が当然なる自然物質でございますが、「マリの死海の泥」でなければ発生しない特質的な変調。2nd Collections時に新たに生まれたクリエイションライン。
上記載のクリエイションラインは、一部の紹介内容でございますが、『 衣類=ヒト つまり、1つ1つの自立性 』という理解に到達したカリーム氏のアプローチングは、その1つ(1着)に命を吹き込むきっかけを作っただけと、彼の口癖のように、全体におけるコンポーネントにすぎない内容でございます。各種クリエイションはその1着を自立させる目的に対し局所性を帯びたエレメントであり、ヒトと同様に『 個 』が何より重要だと、彼の内なる想いが具現化された例えばのメソッドでございましょう。『個』が確立された1着には魂が宿るとカリーム氏は表現しておりましたが、数在る内よりその1着に引き寄せられる独特の体験は、当時ハンドメイドで仕上げていたアンティークジュエリーと近しいものを感じますが、ご自身の感覚体に全心を委ね、自然とお手に取られたその1着にもまた、全身を御委ね下さい。後に選ばれたそのたった1着は、生涯の付き合いとなりましょう。
決して、誇張して申し上げるわけではなく。
Karim Hadjab , Bacter & Argile mali , base : 70s French knit
Karim Hadjab , 4Saison in North africa , base : 90s Tee shirt
Karim Hadjab , 4saison & Hand finish , base : fabric from 30s french dead stock. Kalim made jacket
Karim Hadjab , 4saison & Argile mali , base : 60s French work ,waiters tailored
Karim Hadjab , 4saison & Metaphor , base : 90s US military MA-1 jointed cotton scarf
SURR by LAILA 小林
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