7つの収納口に背面の巨大なゲームポケット。綿生地に対して綿糸で補綴した具合。襟は立ち、スクイーズ可能な袖口。結局のところ、当時のフィールドで活躍しただけの面々だろうと謂えば勿論その通りでしょう。しかしながらそれは、人がロボットを創り,ロボットがロボットを作る今現在においてしても、効果的かつプラクティカル、何より実効性を具した現実的な機能であると同時に、手によく馴染み、気持ちがよい音がするコットンは、ナチュラリーで即物的、衣類として強い完結力をもった1着であるとわたくしは思います。
New arrival 50s France hunting cotton jacket
いずれにしましても、一般的な理解の範囲において相反するはずの、“デューティーさ” と、“ホワイトコットン” 。両者が異常反応を示さず共存しているだけでセンサーが過敏に反応してしまう私もおかしいかもしれません。
どうぞ汚れを気にせず、現代のフィールドで。
SURR by LAILA 小林
03-5468-5966
[email protected]
//
早朝の話を少しばかり。
「街の匂い」自分は確かに存在すると思っているのですが皆さん如何でしょうか。抽象的かつドラマチックな表現ではなく、嗅覚で感じるくっきりとした匂い。特に慣れ親しんだ街で、特に季節の変わり目に、特に早朝か夕暮れどき。深呼吸とともに脳の奥の底に沈下した記憶の表面のみを掘り起こし、明瞭に “あの時の匂いだ” と感じることはないまでも、純粋に懐かしむほどのパワーがあると思っています。ある場合には音楽がそうであり、ある場合には書籍がそうであると思うのですが、わたくしの場合は基本的に嗅覚が鈍いまでも「街の匂い」はふとした時に感じまして、そのふとした時とは、大半が深呼吸という人間らしい行いをした場合。時間をかけて深く呼吸をし、脳の奥の底に沈下した記憶の表面のみを掘り起こし、純粋に懐かしむと同時に脳がオールクリアになる現象もまた、生命的であり不思議なことです。そして朝食を考え出すまえに浮かんだ事柄が「一日一品」。元々が仕事脳ですのでオンもオフもなく常に頭の片隅が動いているのですが、具体的にはそう、Diaryについて「一日一品」綴らせて頂こうかなと。シャツを着てタイを結ぶ間にはもう決まっておりました。弊店では所謂Shop blogなるセクションを「Diary」と表現させて頂いているのですが、文字通り、SURRという空間において一日一品ご紹介させて頂く連続した5日間もあって良いのではと、勝手ながら思いに至った次第です。
静かな落ち着きを与えてくれるクリームイエローは、みずみずしいライムの果汁を絞ったような絶妙色。カシミア60% / コットン40%で構成された上品なニットウェアは、柔らかく、しっとりとした繭のような肌触り。加え、丁寧に設置されたハーフジップという機能は、好青年または礼儀正しい男性を連想させる本日の一品。
温和な男性の象徴色であるチャコールと、クリーム色との対比。ブラックやネイヴィ、同色ではなくあくまでチャコールという選定は、こうしてみますと代替性を問えないほど魅力的に感じます。わたくしの場合、単にチャコール贔屓なだけですが。
着ては脱ぐというなんとも習慣的な匂いまで齎すのは、おそらくカシミアという上質な素材のみではなく、コットンという優しい要素が織り混ざってこそ効果的な理由として挙げられる気がします。毎日同じ時刻に家を出て、同じ時刻に電車に乗り、同じ時刻に会社に着く。昼食はいつもコッペパンとミルク。退社後はジムのプールで身体を絞り、就寝前の30分は読書。システマティックな方にこそ、お勧めをさせて頂きたい本日の一品でございました。
New arrival 90s Hermes zip knit “ cashmere & cotton ”
SURR by LAILA 小林
03-5468-5966
[email protected]
//
2017A/Wシーズンも誠に勝手ながら「原点回帰」というテーマを軸にエントリーを続けさせて頂きますが、それは弊店においての心棒をぶらさないという内容に加え、男性にとっての上質な衣類をVintageというカテゴリーから掘り下げ,追求,研究し、じっくりとご提案をして参りたいと思っております。例えばその1着が皆様の原点となり得ましたら、素直にも嬉しく思いますし、そして其れを切に願います。このサブジェクトを核心にしっかりと懐抱し、始まったばかりのAWシーズン、勝手ながらゆっくりと愉しんで参りたいと思います。
さて、店内中央の重厚なケース内に収められている写真を視ますと、写っている彼らが何を感じ、何を考え、何に興味を持ち、何を美徳と説いたのか、終着駅のみえない妄想に駆られます。環境、国勢、様式、生活、価値観、それこそ洋服との向き合い方や感じ方、そこに存在する美意識。当然、それは各時代や国によって、ましてや電車で隣合う他人まで異なるものでしょうが、男性にとっての上質な衣類を探求する際、上記のようなベクトルが当てはまるのではと憶いに至りました。例えば1920年代、夜な夜なの賭け事と煙草と女性を愛したひとりのフランス人男性。彼が男性で在るため自身が憶う最高の衣類を検討した着地点が、ピークドラペルのウールテーラード,デイリーに着用するため頑丈なハードコットンコート,絶大な信頼を寄せるメーカーシャツとシューズ,手元にはルビーのリング。それらを細部まで隙をなくすため行き着いた向こう側が、“ 誂える ” という選択ならば、その彼にとっての衣類の原点は其処でしょうか。その行き着いた場所こそ、原点となり得る領域。少しばかり飛躍しましたでしょうか。ともあれ、当時生きた彼の美的センスや取り巻く環境、あらゆ意図思考趣味嗜好、そこにエッセンスとして加えられる職人とのダイアローグ。其れを忠実なまでに完成させる技術。その先人達が過去に誂えた逸品を、現在の環境、国勢、様式、生活、価値観、それこそ洋服との向き合い方や感じ方、そこに存在する美意識によって、男性にとっての上質な衣類を検討するには十二分な気さえ致します。そう、「男性にとっての上質な衣類」これを追求した際に浮かぶ、例えばひとつの回答を得られた気がしました。
【 Bespoke 】
当然、富裕層にこそ愉しめる行いですので当時もそう多くはない品々でしょうが、それを現在でこそ “ 貴重 ” という言葉で括り上げるのは簡単な事で、とは謂うものの、本当に貴重としか謂いようがないので心苦しいばかり。引き続きご提案を続けて参りたいと切に願いますが、A/W開始と共に店内に数着,数点のみ静かに潜むそれらは、確実に世界中の衣料においてマイノリティながら匿名性のみが力強く浮遊する存在感。ましてや、時代を越え、大きくも小さくもない、“ 丁度宜しく ” 身体に沿えるものならば、私からは何も申し上げることは御座いません。
Newarrival 70s J.M WESTON 180 signature loafers “ Bespoke to lizard leather ”
Newarrival 1930s France Bespoke to cotton coat “ short style ”
1930s France Bespoke ring “ 12k pure gold with garnet stone ”
Newarrival 1920s France Bespoke antique wool tuxedo
Newarrival 00s Charvet Bespoke cotton shirt
SURR by LAILA 小林
03-5468-5966
[email protected]
//