Antique fine jewelry collection for men / Diary427
4.8.2017

 
 
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例えば、上質な無垢のリングで男性が身に着けられるものとなると、ブライダル的なベクトルをどうしても払拭できず、純粋にファッションとして愉しむ心持ちと、ひとつのリングにひとつの願いを付与するベクトルが同時に存在したとしても、選択肢そのものに圧倒的に幅が無いという現実に突き当たりました。そこを掘り下げることで認識出来たのが、数シーズン前から少量ばかりエントリーを続けている「ファインジュエリー」という区分であり表現です。その定義は人によって,ブランドによって様々ありますが、SURRではそれらを統括したうえで要約しますと、以下のように表現しています。
 
 
【純金やダイヤモンドなど、質の高い天然素材を用いて創られる上質なジュエリー】
 
 
しかしながら、またしてもそこで突き当たるのが “紳士向けの存在が圧倒的に少ない” という現実です。
日本以上にアンティークジュエリーという存在が身近であり、現代のジュエリーと同じくハイエンドな存在として主に富裕層が親しみ楽しんでいるヨーロッパにおいて、ファインジュエリーを主としたアンティークジュエリー専門のコレクターが数多く点在していながらも、彼ら/彼女らが所有する品々のほとんどが女性向け・女性用なのです。とは謂うものの、全体の9割近くがパーソナルオーダーで創られていたであろう(アンティーク)ファインジュエリー。男性向けが存在しないはずがないと思い、地道に追い求め、道中幸運なことに男性向けを少量ながら所有しているコレクターに出逢えたりしつつで、偶発的なご縁が幾重にも重なり、漸く今回のラインナップが実現致しました。
 
 
 
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ジュエリーを日常的に愉しむ一連の流れ,その先の方向を「文化」という定義で括れるとして、前述の通り、ヨーロッパ諸国より本国では未だ未だその文化すら誕生していない気さえ致しますが、それが悪、前者が良、という検討外れな偏見を晒すつもりもなく、偉そうに文言を連ねるつもりも御座いません。取って付けたような表現で歯がゆく思う方もいらっしゃるかと思いますが、純粋にも、より沢山の人々にファインジュエリーの上質さを味わって頂きたい,広く認知されていないであろう男性向けのステージにおいて、ファインジュエリーをより広くお伝えしたい、不躾がましい想いのみで御座います。
 
 
 
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Antique fine jewelry collection for men
 
launch on 5th August , 2017
1854 – 1980s
22k , 18k , 12k , 10k
yellow gold , white gold , pink gold
diamond , ruby , sapphire , garnet , onyx ,andmore
 
 
 
今回、過去最多である約20点ものエントリーが叶いましたが、弊店において最古の生産期をさらに更新する「Georgian」期の逸品もお披露目が叶いますことを素直に嬉しく思います。
 
 
明日、8/5 12:00 より。どうぞ宜しくお願い致します。

 

 

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この先もきっと応えてくれる / Diary426
1.8.2017

不思議なことに、 “ XX ” というたった2文字のアルファベットが有るか,無いか、其れだけでその1本の貴重性や高級度は変わってくる今の世の中ですが、現存数が少ないから貴重であり、伴って額面上立派なものだから高級である。仮に前者が正しく、後者を再考しようものなら、 “ XX ” と記されているのには意味がないわけがないと先ずはそこから。当時は「最も丈夫な生地、かつ、上質の証明」という意味もそのまま、この上なくスペシャル印字なわけです。と謂いますとチープなニュアンスに聴こえますが、とはいえ、あくまで当時の証明表記。現在では素晴らしい織り機や生産背景、丈夫なパーツ、丁寧な縫製、工夫を凝らしたパターンメイクが御座いますので、偏に謂ってしまえば、当時の “ XX ” よりも上質なジーンズは当然に生産できるだろうと、生産のプロでないので安易に申し上げることはできませんが。さらに、現在のあらゆるメーカーやデザイナー、存在する千差万別なるブランド、そこから送り出される多くのジーンズの外形やディテールは、「Levis」というメーカーのジーンズを教科書としている事実もまた無視はできない事実でありましょう。「おまえは是だけ世の中に認められてるレッグラインだってよ」と、目の前の1本に対する付加価値や敬意に値するものですが、ともすれば、現在の卓越した加工技術を保って、リアルな人間が、リアルの日常で、リアルの動きで、膨大な時間をかけて、生活に徹した着地点の証、例えば、腰回りの迫力を再現したとて、裾の2重線や偶発的に出現した膝下の狙っていないホールまでも、“わざわざ”再現する必要はなく、再現するとすれば、もっと良い位置に、もっと格好良く。将又、忠実に再現したところで、何故こういう加工を?と疑問符が付き纏う中、裾の2重線や偶発的に出現した膝下の狙っていないホールを有した50年代のXXが、疑問すらなく許される事由は、とてつもない時間を過ごし蓄えられた経験値と、吸収し続けた水と酸素、日の光も天水も支配者までもも全てを許し、最も丈夫な生地、かつ、上質さを、腰の小さなパッチが取れようとも結果で証明してきた柔軟の上に頑丈な青い生地。対面した際に、敬意すら払う心境を無下にはできず、「これからもよろしく」と挨拶を交わし、ふと我にかえった瞬間、疑問すらなく許される事由と、額面上立派なものだから高級ではない回答に気付き、そのときに感じた感情は、そっと心の引き出しにしまっておいて下さい。そして挨拶を交わしたその1本は、現在のハイクオリティな生産環境で生まれたものではなく、1950年代初めてジップという機能を取り入れた501Zというナンバーであり、「最も丈夫な生地、かつ、上質の証明」が成された2文字のアルファベットを有しただけのジーンズで御座います。ステッチはどうか、赤タブは付いているか、パッチは、アーキュレイトステッチは、裾上げは、其れよりも、この1本が過ごしてきた過程に想像を巡らせ、「おまえはこの先も応えてくれるか」とセカンドコンタクトを。それはクエスチョンというより、大きな期待。
 
あえて申し上げるならば、この先もきっと応えてくれるでしょう。
 
 
 
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50s Levis 501ZXX vintage jeans

 

 

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Antwerpen / Diary425
28.7.2017

 
1993年〜2001年
 
アントワープ王立芸術学院のファッション科を経てモードファッションに進出した彼女が自らのクリエイションにその頭脳と手腕を揮った期間は、僅か10年未満。その限定的な時間の中で儚くも色濃いデザイナー人生を歩んだ彼女の感性は、その後、人財育成の分野で発揮され、現代のファッションシーンに脈々と引き継がれたとされておりますが、彼女が最も評価されるべきは、ファッションシーンに一石を投じた数々の功績を脇に置いても、第一線で製作し続けたコレクションピースであると我々は感じております。
ドリス・ヴァン・ノッテンやマルタン・マルジェラ氏の7年後輩にあたる彼女は、文頭の通り、1993年に小物のデザイナーとしてデビュー。専ら、製作するにあたって一貫して拘り続けたひとつの素材があるのですが、彼女の出発点とも謂うべき小物類は、殆どが “ その素材 ” で構成されておりました。後に発展したフルコレクションは、第一歩を踏み出した素材があってか、彼女の脳内の要素が既にそうであったか、一部を除いて大概がモノクローム・トーンという彩度を排除した世界。音楽への造詣を活かしたアントワープ出身者らしい濃密さとマニアックさは、当時においても、現在におきましても、一層と際立つものでしょう。
 
 
堅苦しい前置きはここまでとしましても、声を大にして申し上げたいのが、彼女が試行錯誤の末に辿り着いた “出発点なる作品” や、手腕を揮った全盛期の作品が、素直にも、真から素晴らしいと思えるプロダクトであるという事。
 
 
先ずは、 “ その素材 ” に関しまして、以前ご紹介した1点を口切りに。
 
 
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謂わずもがな、 “ Leather ” で御座います。
 
 
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誇大して申し上げるつもりは毛頭御座いませんが、今まで視界に捉えてきた彼女のレザープロダクトで「普通」と感じたことは一度もありません。突出して90年初期〜中期にかけての彼女のレザーへの選定は本当に素晴らしいもので、“目的”に乗じて確実に条件を満たすのが前提か、モノや衣類によって多種多様に使い分ける程。前述の通り、彼女の出発点ともいうべき小物類は一貫してレザーを用いている事から、革質に対しての熱量がそれは半端ではなく、クリエイションにおけるキーマテリアルであると同時に、〜といえば、というイコール的存在と謂いましても過言ではないでしょう。1999awにマルタンマルジェラ氏が発表した名作中の名作と詠われている、とあるレザージャケット(黒)も同質の素材だったと記憶しておりますが、奇しくも同じアントワープ。大きくも小さくも彼女の波が及んだのではと、想像を巡らせます。
 
そう、彼女はアントワープきっての、レザー使いのウイザード。
 
 
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そして次に記しておかなければならないのが、 “ 工業性 ”
 
彼女がレザーを用いる作品は、“その素材本来の魅力をそのままの状態で表現する” ことを主軸に置いておりますが、その大半が工業的な匂いを付加させております。分かりやすい一例ですと「レザー と ジップ」のように、謂うなれば生命の先に位置する革に対して、無機的かつ工業的な匂いを纏った金属,鉄製,アルミ,ステンレス等をチューニングすることによる前衛的アプローチ。施すか、施さないか、否、前者であるからこそ生じたモダン性は、最高レヴェルまで急上昇しながらも、使用する前提である“道具”としての理解すら与えるので本当に凄いです。
 
 
 
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90s Lieve Van Gorp leather T-shirt with Zip
 
 
 
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彼女を代表する作品において、マスターピースと位置づけられている「バッグ」。初期のクリエイションから一貫して拘り続けたひとつの仕様が、手に持つことのみを許したハンドバッグスタイル。硬く、しなやかで、光を吸収するような漆黒。しっとりとした油分を多く含んだようなキメの細かい質感は、J.M WESTONのブラックカーフと同等の印象を受けます。力学的な作用を完璧に捉えたかように、最少数に打ち込まれた鋲。恐ろしくミニマムな作りながら、的を得たように簡易的かつ頑丈そのものは、縫うという行程も目立たぬよう確実に施してある点と、バッグとしてのモノを持ち運ぶ機能をデザイン性を超えた位置に的として定めている点。エルメスやセリーヌにみられるボリード型のバッグは、弧を描く外形に対して持ち手の長さを完璧に計算されているからこそ認められる使いやすさですが、本品も同様に、39cm×40cmと正確無比なカッティングは、正方形に見えて実はという拘りと、ガーメントバッグのように2つ折りの仕様は中を空洞にし、約13cmのハンドルはそれが計算の上かは扨措き、全て驚異的な“軽さ”を実現するための布石。
 
メインコンパートメントを2つ設け、ジップの開閉のみのシンプルな構造、空洞の片面に同じくジップによるサブコンパートメントと、計3つの収納ながら、ニュースペーパーやマガジン、ドリンクボトルなどは中央のこの空洞に挟んで持ち運べる事から、4つの収納部屋を確保。そしてベルトの調整により実現する最大幅のマチ。ダブルコンパートメントのこのシステムは初見の構造です。
 
 
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Newarrival 90s Lieve Van Gorp leather bag “ Garment style ”
 
 
 
 
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この1点に関しましては、Lieve Van Gorpのバッグというより、純粋にモノを持ち運ぶ道具としてお認めを頂きたく存じます。
 
ノーブルな雰囲気におまとめ頂くのも一興。
そして彼女に経緯を払い、モノトーンの構成で御座いました。
 
ご縁御座いましたら、是非。

 

 

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