これまで様々な時代やスタイルのアイウェアをご提案してまいりましたが、今期はフランスという文化が育んだ、職人気質でありながらウィットに富んだ目元のアクセントがシーズンイメージの一つでしたので、 “ フレンチアイウェア ” を新たなキーピースの一つとしてご用意させて頂いたのですが、その中にとある職人文化が生み出した 80s フレームに関して、今回は書かせて頂きます。
925 シルバーをベースに 22 金を特殊な技法でコーティングした、その当時の世界を見渡してもそこに属した職人にしか仕上げられないとされた、現在では失われてしまったという職人技術によるフレームは、アイウェアとしてと言うよりも物質そのものとして、理屈ではなく五感に響く存在感を有しております。
その “ せい ” か、その “ おかげ ” か、 様々なマニアックピースをご覧になってきたであろうお客様方 ( 私の主観ですが ) におきましても “ 難解さ ” を感じて頂いているように思います。
もちろんその色調が、フォルムが、テクスチャーがお好みに含まれないのであれば取捨選択として相応しく、そもそもこのスタイル自体がこれまでにセレクトしてきた数多のピースと同じく、際どさが際際に際立つ一品ですので、私の根幹的な素養と同じく幅広く沢山の方にお認め頂けるものではないのですが、万に一つでもその物質的存在感に腰が引けてしまったのだとしたら、私はなんと申しますか、切に心寂しく思うのです。
異なる3種のスタイルで展開しておりますこれらは、大変に立派な要素で構築された職人技術の結晶であり、美学の塊ではありますが、そのような背景を差し引いて、私は直感的に心から美しいと思える存在です。
恥ずかしながら正直に申し上げますと、今回のエントリーは私の中にある寂しさを発端としているのですが、なぜ寂しく思うのか、なぜ言葉にしようと思うのか、ここまで書いていてようやく分かりました。
これを良いと思う気持ちを、身に着けて沸き立つ感情を皆様と共有したいのです。向き合ってみればなんとまぁ単純なことでございました。
極論ではありますが、これを身に着けずとも実生活で困る事はないかもしれません。しかしながらこのテクスチャーと美しさは貴方にとってマイナスになることなどなく、静かに確実に引き立て寄り添ってくれることと思いますので、僅かでも琴線に響く何かを感じる方がおられましたら、選択肢の一つとして是非にと思わずにはいられない、素直に私が好きなアイウェアの魅力をよりお伝え出来るよう、引き続き諸々精進させて頂けたらと。
SURR by LAILA 福留
03-5468-5966
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今回はグッジオのとあるピースからエントリー。
今でこそミケーレに魅せられている方も多いかと思いますが、
1970年代はグッジオの真価が問われた時代。
70s GUCCI Tri-fold wallet
粗目のカーフレザーに色はブラウン、幅感のあるステッチは一見クラフトな面立ちですが、
是非一度触れて頂きたい。
驚く程にしっとりとしており、言葉通り「上質」そのもの。
初見と相俟ってラグジュアリーな程はグッジオグッチの本領かと。
横22cm
縦12cm
マチ2.5cm
仕様は、収まりの良い三つ折り。
収納は上部にコインコンパートメントと中央に3部屋、下部に2部屋とコンパクトながら多めの構造。
全ての収納内部は同じくレザーかと思いきや、
しっかりと貼られております。
ブラウンのボディに対し、グレージュの配慮は確かなセンス。
数字通りマチも確保されております。
下部は膨らむ設計は、容量多しの方には嬉しいところ。
嵩んでも全体の収まりが良い事由はここです。
最大のディテールは、ジップ付きのコンパートメント。
70年代のグッジオの仕様では、珍しい機能です。
フラップを開けた時のジップの直線的な位置付けは流石。
内部にも、しっかりと裏地が貼られているので、
滑りが良く、あくまで実用的。
コインは探しやすい出しやすいに越したことはありません。
本品に関しましては、デッドストックでのご用意となります。
ここまで条件が揃うこともそう滅多にあることでは当然ございませんので、
ひとつの作品として向き合って頂ければ幸いです。
お機会ございましたら、是非。
皆様のご来店を心よりお待ちしております。
SURR by LAILA 小林
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順次充実さ高まる A/W コレクション。本日は新作より一着のトレンチコートを御提案させて頂きます。
元はミリタリーピースとして命を受けましたが、そのスタイルは100年以上引き継がれ、今なお原点との共通項を数多く残す不変的な存在。ゆえに多様化・細分化し続けているアイテムですが、約40年前に生まれた本品は言うなれば、トレンチコートを発案したメーカーが近年に至ってから辿り着いたバランスとでも申しますか。
不変性をはっきりと残しつつ、限りなく現代的に研ぎ澄まし終えた。そんな印象の一着です。
明確な意思と確かな品質を根底に秘め、丁寧に力強く打ち付けられたステッチワーク。オリジナルと同じギャバジン素材でありながら、それとは一線を画すより美的で知的なテクスチャー。正確に読み解き的確に再解釈したからこその、不変的でありながら唯一なディティールバランス。
明らかなるダンディズムなれど、そこはかとない繊細な美しさも同居するスタイルはやはり、モードの歴史を牽引したムッシュの感性あってこそです。
お手本となるオリジナルピースの在り方に則っていながら全く異なる成り立ち。先日御紹介したミリタリースタイルジャケットと同じく、モードとして存在する意義を隅から隅にまで秘めた、現実的でありながらファッションの楽しさと夢に満ち溢れた一着ではないかと思います。
Newarrival 70s Yves Saint Laurent , trench coat
最も敬愛するデザイナーの一人によるものというのもありますが、モードやカルチャーの歴史を皆様に御紹介したいと切に願う私にとって、こういったピースとの出逢いは特別です。
SURR by LAILA 福留
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