フランス,イタリア,イギリス。それぞれの国の様々な地にいる各分野の専門家のもとで出逢えたファイヴポケットジーンズやチノ,カラージーンズやミリタリートラウザーといったカジュアルに振り切ったパンツの数々。そういえば長らくポツポツとしかパンツ類を御披露目していなかったことにふと気付いたのでこの度一挙に御披露目です。
トラウザーなどのドレス寄りなパンツももちろん素敵ですが、これらカジュアルパンツも最高で個人的にはどちらもちょうど同じ熱量で大好き。各国で様々な文化のカジュアルパンツに出逢い、そしてこの度のように一挙御披露目すると思いますが腰回りの設計からレッグラインの伸ばし方,時に幸運にも出逢える特出した個性など本当に様々が存在することからもデザイナーカルチャーしかりメーカーカルチャーしかりワークしかりミリタリーしかり、カジュアルの概念はどこにおいてもいかに欠かせないかが伺えます。どの個性も楽しい。
New arrival,17 casual pants.
引き続き私は何着ようか考える時にパンツから決めることがほとんどなパンツ好き人間です。
SURR 福留
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メーカーは作らない作れない、と言うか作る必要がない(棲み分け的にも)。それがデザイナーによる造詣的なデザインシルエットとSTYLEの数々でメーカーとデザイナーの差異があるとしたらまずそれらは非常に大きな要因になりますし、やはりデザインの概念による様々な味付けや演出は楽しいし心躍るし時に感動させてくれるし、高確率で高い美意識が注がれているからこその美しさや格好良さへの探究心はいつもファッションの本質的な楽しさを思い出させてくれます。おかげで私は自分自身の身体で測ったビスポークプロダクトにほとんど興味を示さなくなりました、だって私の身体で測ったシルエットやSTYLEより親愛なるミウッチャさんやヴェロニクさんが造詣して演出するシルエットやSTYLEの方が綺麗で格好良いもん。
今回は新作春ニットより3点のデザインセーターと2点のデザインカーディガンを抜粋です。
イタリーモードの重鎮,ヴァレンティノ・ガラヴァーニ。前回も記しましたが彼のなんでもないようで静かかつ確かに美しいデザイン造詣は本当に秀逸かつ絶妙な無二感が漂います。このドッキングコットンセーターの時代性を反映させアメリカンスピリットをさりげなく注入したスポーティーでスタイリッシュなラウンドシルエットなんかもまぁ絶妙。そういえば先日楽しそうなネットニュースが発表されていましたね、また楽しく創造してくれるのでしょうかミケーレさん。
こちらもヴァレンティノ御大による一着、ここまで絶妙に複雑な織りの組み合わせはなかなかどうしてお目にかかれないにも関わらずアクセントカラーの赤と白以外を全てミッドナイトブルーのワントーンであえてさりげなく仕上げる、これがクリエイションだよなぁ。なんでもないようで後のミニマムモードを先行したコンパクトでスマートなフィッティングもまた拍手です。
コットン50%・ヴィスコース30%・シルク20%による特出して爽やかでモッタリとセクシーなテクスチャーにコンサバティヴなようで明るく華やかなカラーリング、リブラインのさりげないカラーコントラスト。全てにおいて抜群なデザインセーター過ぎて出逢った日にホテルで試着して自撮りしてしまいました、夜中の3時半に。これは先取りでサマーセーターと呼べるプロダクトになります、はぁ堪らん。
ニットプロダクトが大看板だったのでヴィンテージにおいても今のところは安定して出逢えるもののセーターではなくカーディガンとなるとハードルの高さが尋常ではなくなってしまうのはやはり実用性の高さゆえワードローヴから無くす必要性がないメソッドでしょう。しかもここまでアヴァンギャルドでエレガントなテキスタイルデザインとの出逢いは相当に久しぶり、特有のコクーンなオーヴァーサイズフィッティングはここでも健在で相も変わらず無二な美的感覚のミッソーニ夫妻なのでした。
フェラガモ一族が培い創始者次男のレオナルドさんが紡いだ男性像とデザインの世界観ってむせかえるほどに品があって鋭利なくらいエレガンスで、数あるファッションデザイナーの中でも特異な“ステージ“にいるなと時に出逢える特出して上質なクリエイションを目の前にする度に思います。このカーディガンは私にとってまさにそれで、無地幾何学模様編みの圧倒的な存在感にエロティックなコルクカラーにナイロンを12%配合することでの特にモッタリとしたテクスチャーとシルエットムードの全てが混ざり合ったデザイン造詣物の感、圧倒的です。
それでは先日のプレーンシリーズと併せまして機会と御縁ございましたら宜しくお願い致します。
SURR 福留
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プレーンしかりベーシックしかり、弊店ではいつからかメーカーカルチャーとデザイナーカルチャーの2種を明確に分けて考えるようになりました。前者は時代やその国々の時流に合わせたスタンダードを展開するのに対して後者は独自解釈のデザインを展開、前者はSTYLEにおける創意性や装飾性を排除するのに対して後者はデザイナーそれぞれの創意性や装飾性を積極的に注入する。この違いは私にとって非常に大きな要因であると同時にメーカーが良いや偉い/デザイナーが良いや偉いといった優劣が微塵も介在しない、ただの単純明快な事実になっています。時代と時流に合わせたスタンダードが好きなのであれば心身にフィットするのであればメーカーカルチャーを、好きなデザイナーのデザインSTYLE提案が好きなのであれば心身にフィットするのであればデザイナーカルチャーを、どっちも好きでフィットするのであれば両方を選んで楽しめば良い、ただそれだけのことだと切に心から思い折に触れては御客様方に御提案している次第です。
この度の新作春ニットより3点のメーカープレーンセーター、2点のデザイナープレーンセーターを抜粋しました。たった5点ではなく5点も、弊店にとっては珍しくしっかりとお選び頂けるなという感覚です。
2点のBallantyne Cashmere社とmalo社。いずれも弊店にとっては純粋無垢な“ニット専門“メーカーなのですが、国の違いだけでは説明がつかないスタンダードなクラッシックプレーンの差異、面白過ぎます。
Ballantyne Cashmere社の1点目はピュアスコットランドカシミアで2点目はピュアメリノウール、共に90sのVネックなのですがインナーにシャツを着込むことを前提としながらもあくまで肌着を原点としているクラッシック概念を軸としたリラックスムード溢れる自然体なオーヴァーサイズでして、そのゆったり感こそ“ヴィンテージ“Ballantyne Cashmere社ならではなのですが、時代と時流に合わせたそれは当時スタンダードSTYLEが今となってはこうもデザインSTYLEに感じられるとは。
対するmalo社は同じくオーヴァーサイズながらBallantyneと一味も二味も異なるまん丸シルエットでしてずばりアメリカンSTYLEからダイレクトに影響を受けたボンバーの概念、これがまた抜群にこの時代のイタリアらしくて最高なんです。BallantyneがまさにセーターらしいSTYLEなのに対してこちらは完全にスウェット、それこそUSカルチャーのアチラさんやアチラさんのスウェットムードを想定して頂いて決して遠くありません。それにイタリーカルチャーの最高峰カシミアの素材感と色彩感覚が調和するものですから、最高で最強の独自性と個性ってなもん。この世界観は出逢えません。
上から表記48、46(にも関わらず先の48よりも着丈が6cm長いという)、48ですがフィッティングバランスが全然違いまして、その自由に捉えられる感もまさしくデザイナー設計の世界観。これら純粋なメーカーだからこその時代を経ることで生じる結果論的個性デザインSTYLE感が弊店は面白くて興味深くて堪りません。“え?デザイナーズじゃないの?“と良い意味での矛盾を感じさせてくれるムード、メーカー側はそんなつもりは微塵もなかったはずですから。
対するこちらはデザイナーカルチャー、今回の春ニットには他にも複数のデザイナープロダクトがあるのですが、この2点はクラッシックプレーンと捉えて差し支えなしに感じました。
1点目はBallantyneと同じくミッドナイトブルーカラーでVネックで48サイズ表記ですが全然違います。先にBallantyne着て次にこれ着て同じ48サイズですよとアナウンスされたら混乱しちゃいます、サイズ表記って何?って哲学みたいなこと考えちゃいそう。この差異こそ個性こそある種の癖こそミウッチャ・プラダさんが考えるクラッシックかつプレーンで、御人によっては小さいと捉えられても,時にいやいや小さ過ぎるぞと捉えられても致し方ないコンパクトでミニマムでコンパクトなフィッティングこそ彼女が思う普通かつ格好良い男性像。猛烈になんでもないような一着ですが、ミウッチャ・プラダという稀代のファッションデザイナーの真髄そのものを現していると言っても決して言い過ぎではありません。
2点目のヴァレンティノ・ガラヴァーニによるピュアコットンケーブルニット、この世界観とムードがまた堪りません。彼はファッションデザイナーとして濃い味付けのSTYLE提案ではなくそれこそメーカーカルチャーのように時代と時流に合わせたクラッシック概念にさりげなく知的で美的な流線型を注ぐくらいのSTYLE提案が軸な方だったものですからこちらもエイティーズのスタンダードかつスポーティーなバランス感でして、袖丈もちょっと短め9.5分丈くらいでちょうど良いくらいの絶妙にコンパクトな設計なものですから、サイズ表記5(=XXLくらい)の構築ながら現代感覚ではゆったりめのLくらいに着地しているのがまたユニーク。このヴァレンティノさんらしいなんでもないようで静かかつ確かに美しいシルエットバランスの、例えるなら第三者がふとした瞬間に“アレ?なんかそれシルエット綺麗だね、、、あぁヴァレンティノ・ガラヴァーニ、なるほどね“と腑に落ちるくらいのさりげない美しさが、これまたデザイナーの真髄だと心地良く感じます。
はてさて、貴方のちょうど良いはどこにありますでしょうか。明日は造詣的なデザインの世界観を御提案させてくださいね。
SURR 福留
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