弊店にとって、そして私の人生において欠かせない存在なのが90年代Hermes hommeのリバーシブルボンバージャケット。国内において価値観がアップデートされ続けている(大部分の古着カルチャーは弊店の区分ではありませんが)群雄割拠なヴィンテージ戦国時代において,いやだからこそ御提案したいと思ったのです、46・48・50・52サイズを着比べてMyベストを見定められるという状況を。


46サイズのブルー,48サイズのクリーム,50サイズのベージュ,そして52サイズのオリーヴ。これまでに幾度か御提案してきたリバーシブルボンバーですがいつもは一点のみでしたので四サイズまとめて四点というのは弊店史上初でして、実際にズラリ目の前にするとCARREテキスタイルの違いによる趣味嗜好をはっきりと探れますしポリエステルモースルキンのカラーリングの個性にワクワク、どれも本当に綺麗なんです。しかしながらなんといってもフィッティングの違いが明確でして、丸い設計のカジュアルでアクティヴで実用的なボンバーシルエットながらサイズによって明らかに異なるフィット感とスタイル印象の差異には驚かされます。鳴々本当に丁寧に綿密に繊細に製作されているものなんだなぁと、当たり前のことではあるのですが改めて感動しました。




余談ですが私は昨年頃から雨などではない限り総柄のCARRE・フェイスでしか着ていません。これは心が華やかさを求めているのだなと後々になって分かったのですが(加齢でしょう)、過去弊店で同プロダクトを御認めくださった皆様はきっと無地のポリエステルモールスキン・フェイスでしか着ていないと思われます。数人のヒアリングさせて頂きましたがやはりそうでしたし、きっと世界中に点在する愛用者たちも同じくでしょう。でも私はきっと今年もCARRE・フェイスが圧倒的なメインになると思います。だって複雑かつ的確なテキスタイルの配置や実はシンメトリーな両袖の柄合わせなどの職人愛情満載のデザイン哲学から成る明るさと華やかさが楽しくて仕方がないんですもの、あとポケットの中まで総CARREのシルク素材で感動すると同時に手が気持ち良いんですもの。


New,early90s Hermes homme reversible bomber jacket selection
御愛顧くださる皆様方全員に一着づつ御提案したい、私は引き続き本気です。
SURR 福留
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親愛なる敬愛なるアルマーニさんのクリエイションにおいて、やはり欠かせない要素の一つがレザーウェア。彼の提案する男性像は良い意味で古典的な漢らしさによる正統派感が軸にあり、それが特に直球だからこそ素直に潔く心地良く感じられるのが魅力であり特徴なのですが、時にDiary1260で触れた1976AWのメンズモードの革命であり転換である“紳士服の世界に女性的モードの概念を注入“する要素性が色濃く反映されたプロダクトに出逢えた暁には、従来のアルマーニらしさは存分に感じられると同時にモードの味付けによる特異性と異質さが際立つという特出した濃密さがもう最高。それはファッションヒストリーがどうとかモードヒストリーがどうとか、そもそもにおいてアルマーニであるか否かすらをも超越した知識でも経験でもない言語化できない存在感が漂うのです、このレザーハーフコートのように。




70年代中期から80年代初頭頃のGiorgio Armani最初期クリエイションであるこちらはあからさまに無駄を拝した研ぎ澄まされたディティールに美しい流線,圧巻のマテリアルオーラとまさに女性的モード概念が詰め込まれた一着でして、これら全ては後々のミニマムモードへと直結するのですがそのような定義が定着するにはまだ10数年の時を要します。しかしながらこの時点で既にミニマム+アルマーニさんの根源的な男性の強さと美しさが同居しますから、後輩たちのミニマムモードとは一味も二味も違うと言うか勘弁してください先輩感が半端ありません。と言うかこのような存在があったからこそ後々の彼らや彼女らがあのような方向性に舵を切流という必然が生まれたのでしょうね。

New,mid70-early80s Giorgio Armani sheep skin minimum half coat
このように研ぎ澄まされ過ぎていたり洗練され過ぎていることでデザインリソース感が感じられないというかお手本にしたファッションヒストリーが読み取れないことってこの生業において極稀にしかないのですが、全てがイコール圧倒的なクリエイションです。女性のモードシーンであればそのようなプロダクトは多いのですが男性のモードにおいては現代においても稀有ではないでしょうか。もちろん明らかに奇抜なデザインやスタイル除きます。
ちなみに今回掲載している画像は全て実物の色味と差異があります。強いて言えば一番最後の全体像が最も近しいのですが実物はもっとモスグリーンに近しい絶妙な色調です。これまたクリエイションが圧倒的ゆえの弊害、大変に恐れ入りますが実物にて御体感頂きますようお願い申しあげます。
SURR 福留
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ダークネイビー、ブラウン、そしてモスグリーン。弊店にとって三着目(ドッキングのバランスやワンポイントの刺繍などが微細に変化しているので全く同じプロダクトではないんですが)となるHermes hommeによるレザードッキングという贅の限りをつくした極めて“らしい“カーディガン。ヌバックレザーとウールとカシミアとシルクという心身が癒される(一説によると温泉旅行三回分と言われています)素材を四種配合したマリアージュはカーディガンというホッコシなプロダクトに類稀なるキレと深みを与え、高めのVゾーンとボクシーなシルエット,そして何よりレザーという素材感のコントラストによってノーカラージャケットのムードで着こなせる個性がまた最高に“らしい“。
本体と同化したクワイエットラグジュアリー(まぁこの時代はこのバランス感が普通だったのでわざわざ呼称することではないのでしょうが)なエンブレムの刺繍はさることながら、私はVintage Hermes homme特有の手彫り水牛の角ボタンに特にグッときてしまいます。注視しないと解らないような要素性ですが特出して輝いて見えてしまうんですよ。

New,early90ss Hermes homme nubuck leather docking wool cashmere&silk cardigan
ごくたまに第三者が“それなんか良いね、どこの?あーエルメスか、なるほどねー“ってなる感じとでも申しましょうか、あくまでベーシックでアノニマスでありながら伝わる人に適切に伝わる求心力がHermes hommeにおける本質的な魅力の一つだと思っているのですが、時にこちらのように圧倒的にエレガントなプロダクトも存在してそれがまた楽しいったらない。エレガントではありますが野暮でも無粋でもありませんからね、もちろん。
SURR 福留
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