セーターについて / Diary348
13.1.2017

 
“セーター”か、“ニット”か、その表現の差異については論争が及ぶまでもございませんが、
厳密に「ニット」とは生地を指し、「セーター」とはその生地を用いた衣類を指す、という簡単な定義付けがあるようでして、とはいえ情報社会の現在ではその生地を用いた衣類をも「ニット」と表現するのがおそらく一般的であり、お客様からも「“ニット”はありますか」と問われることが殆ど、何せ我々も「ニット」という認識で今までもエントリーさせて頂いておりますので、やはり一般的には「ニット」という認識が世の大半を占めるのだと思います。さらに憶測の範疇で詰めますと情報社会の現在ではファッションを心から愉しむフリーカーが「セーター」をもひとつの織り、ひとつの生地として捉えるある種の美学なるものの認識、いえ、無意識が、そう、情報社会の現在だからこそ拡散していったのではと思いますが、反比例論が成立するならば、「セーター」という音が使われなくなった事由として「ニット」という音の拡散が其れにあたり、詰まるところ、情報社会の現在だから、というやはりひとつの結論が浮かびます。「セーター」という音はどこかこうレトロな印象を持つかな、と私見がございますが、やはりそれもそういう事由がそうさせたのかなと。
ですのでここは「セーター」という音の揺り起こしを目的、とまでは当然言いませんが、敢えて、前頭に置いて頂くのも一興かなと思いまして、本日は様々上質な“セーター”を。
 
 
 
 
 
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50s British guernsey sweater “Black & Green”
 
60s British sweater “Black & White ”
 
 
柔らかいカシミアも宜しいですが、しっかりと編み込まれた厚いウール地も宜しいのでは。
 
“Black & Green”は所謂ガンジーセーターの其れでして、海上や海辺で働く男性等のマストウェアとして当時着用されていた背景から、毛質でありながら“隙間をなくす”という編みを施しているため、目が詰まっており、風の侵入を防ぎ、身体に沿わせるフィッティングを成立させることでしっかりと暖をとる、という理にかなったセーター。オーバーフィッティングが多い中で、非常にアダルトな御品。贅沢です。
“Black & White ”は機械織りでは到底叶うことはない独特の織りとパターンが非常にハンドクラフトな逸品。ボートネックに対して身幅とアームに余白を残し、それでいて着丈がすっきりしているバランスは、クリエイター等がサンプリングしそうな匂いを纏いながら、極めてモダンなシルエットは“凄い”という表現が最も適切です。
 
 
 
 
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70s Ballantyne Vneck sweater “only cashmere”
 
 
厚いウール地も宜しいですが、肌に沿うような柔軟なカシミアも宜しいかと。
 
スコットランドが世界に誇る絶品のカシミアは、一度袖を通した者は他のカシミアの存在を忘れるくらい、とは決して過言ではなく、中毒性がある程に極上でいて非常に危険なトップメーカー。
その圧倒的な肌触りは扨措きながら、バランタインでは珍しいカラーパターン。此方もアダルトな逸品。
偏に「Vネックのニットはどう着れば良いですか」とのお声をよく頂いておりますが、
確かに街中ではクルーネック又は数年前より市民権を獲得したであろうタートルネックのセーターが多いなかで、“Vネック”のセーターを着ている方は多くはない印象をもちます。
「Vネックのニットはどう着れば良いですか」ですが、いつものクルーネックのカットソーにどうぞ合わせて頂ければ。
 
 
 
 
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70s Ballantyne Crewneck sweater “only cashmere”
 
 
「これでいて、バランタインのカシミア」という落し所が成立するであろう本品は、ノーストレスのフィッティングから成される袖口の溜まりは、やはり極上のカシミアの特性あってのスタイル。どこまでも柔らかいので。
クルーネックに空気を含んだようなハイゲージは柔らかくもしっとりとしたテクスチャー。これを頑に「セーター」と呼び着用する喜びは、フィッティング頂ければ十二分に感じて頂けるかと。ミッドナイトブルーとネーブルスイエローのボーダーは他にはまず見ない配色パターン。「これでいて、バランタインのカシミア」
 
 
 
 
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80s Corgi high neck wool cardigan
 
 
プルオーバーのセーターも良いですが、高さのあるウールのカーディガンも宜しいかと。
 
“ニット”においてトップメーカーのひとつとして認知されているコーギーですが、歴史が裏付けているのはやはり最も日常に特化したニット、であるということ。コーギーでカシミアとはあまり聞いたことがないので、それぞれ専売特許といいますか、カシミアはバランタインに任せておけば宜しいので、このやや目が粗いウール地こそコーギーが世界に誇る“ニット”であり、餅は餅屋のご認識で強ちお間違いございません。
高さのあるネックはスタンド頂ければしっかりと首元を暖めて頂けます。これでいてポケット付き、これでいてフットボール釦も大変素晴らしいディテールですが、特記すべきはやはりこのヘビーデューティーな面持ちを成立させているマテリアルに尽きるかと。マテリアルや種類は違えどこちら(90s British military Extreme cold weather cotton “half zip up”)と類の扱いで宜しいかと思います。春先にはバッグに忍ばせ肌寒くなってきたら羽織り、風が強い時間には襟を立て、帰宅後はベッドへ投げ、翌日また羽織る。雨だから避ける、という柔なプロダクトではございません。最も日常に特化した“セーター”というご認識で。
 
 
 
 
本日様々「セーター」に合わせた1本のデニムですが、いえ、ジーンズ、、この表現についても別の場をお借りすることになりそうです。
 
お後が宜しいのでこの辺りで。

 

 

SURR by LAILA 小林

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合同企画1_Style_一枚画像 / Diary349
17.1.2017

これより、小林店長
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SURR by LAILAに携わる2人の男は、年齢、身長、体重は勿論、嗜好する音楽、映画、スーツのフィッティング、愛用するカメラ、好みの女性、愛飲のウイスキー、シガレット、生活環境、過ごしてきた地域は当然にも違い、閉店後渋谷方面への帰路すら相違がございます。(因に福留は、日々の帰路について都度ルートを変えているそう。)
今回この合同企画なるものが実現するにあたっては、奇遇にもお互いが同じ頃合いに同じ事を思っていたことにより成立したエントリー。ある種“らしくない”企画でありながらも、弊店は横軸も縦軸も広域なヴィンテージ専門店でございますため、これは贅沢な内容かなとも思いまして、またフラットな目線からも相違する2人の男が皆様にお披露目する“Style”というエディットを、御愉しみ頂けましたら。3日続けてのエントリーとなりますので、少しばかりの御付き合いの程を宜しくお願い申し上げます。
 
第一稿は、royal navy , aircraft carrier crew’s trousersを軸に捉えたスタイリング。
数ある中で何故この1着かと問われましたら、やはりヴィンテージ専門店、“ミリタリー”の選択は必然でしょうか。
前置きが長くなるので早速わたくしから。

 

 

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今回初の試みでありながら、お互いコーディネートを考えてきた、という素振りは失礼ながら御座いませんでして、“即興”とまではいかずとも頭で考えるより心が感じるままにという綺麗なセンテンスを、一応布石として置かせて頂きます。スモックトラウザーを主軸に、という際、例えば寒いのでフィット感のあるカシミアのニットに、例えば出掛ける目的が街へ繰り出す、でしたら、例えばいつものディナージャケットを、くらいのテンションで。発色の宜しいカシミアのピンクとスモックトラウザーのネイビーとの対色比が美しいから、というわけでもなく、アクリルのイエローでも、ウールのネイビーでも、春先ならばグレーのコットンスウェットでも、成立はすることでしょう。そしていつものGUCCIのピットローファーに肌身離さず付けているシェーヌダンクルのブレスレット。例えば素敵な女性とディナー、となるものならニットをインして頂ければ其れだけで。例えばひとりでラーメンとなるものなら、そうですね、携帯を開き、友人を呼びましょう。そしてスタイリングの裏付けに参ります。お気づきの方もいらっしゃるかとは思いますが、圧倒的な耐水性を誇りヘビーデューティーさを兼ね備えたベンタイルトラウザー、反してそこに極上な程にシルクで仕立てられたディナージャケットを羽織るというスタイリング上アバンギャルドこの上ない“ヤバさ”を感じて頂きたく思うと同時に、当時は理に叶うものが多いミリタリーピースですが、あくまで生活レベルに落とし込み、そこの“ヤバさ”を愉しむのもまたファッションの醍醐味。例えば雨が降ってきたらどうするのか、そうですね、出掛ける前に天気予報をご覧ください。
“日常とファッションとは常に密接である”ことをこの場を借りて主張させて頂きます。個人の意図嗜好が最も身近に昇華されるスタイリングは“例えば”の延長ですので。
 
さて、福留の1枚が楽しみです。

 

 

Trouser : 60s British royal navy , aircraft carrier crew’s

Jacket : 90s Gucci by Tomford
Knit : 90s French

 

 

SURR by LAILA 小林

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これより、福留
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まず初めに。
今までに行ったことがなく、一種の実験的要素を含む合同企画。第一回目である今回は文字に関しても実験性を付与させて頂きたいと思います。今までに用いていない表現や単語が出てまいりますが、ご了承くださいませ。

それでは始めさせて頂きます。

 

 

不敵

不良、不遜。いや、最も相応しいのは “ 不敵 ” でしょうか。ミリタリーを着ると、ワイドなトラウザーを選ぶと私は自動的にそんな感覚になります。
若い頃、当時お世話になっていたファッションにおいての大先輩に “ お前はワイドな方が似合うよ ” と言われてから意識するようなレッグライン。そしてモードに向き合ってから欠かす事の出来なくなったミリタリーというジャンル。その二つが合わさった時は、とにかく機動力最重視のアクティヴ・チャンネルが ON になるのですが、やはり全てがヘヴィーデューティーでは面白くない、何においても全て同じジャンルが好きではない、カオティックなまでに様々が混ざり合うのが好物な自分はやはり、タフとエレガントをランダムでアラカルトにマリアージュしたくなります。

不良で不遜で何より不敵な気分の時は ( いつも以上に ) 気を遣わず、目に付いたアイテムを気分なアイテムを、感覚的に重ねて重ねて。色合い?シルエット?知らない知らない。大切なのは 120% 気に入っている服を着る事。でも、いやだからこそ、タフとエレガントは丁度気持ち良く混ざり合ってくれる、と私は思って日々。

 

 

Trouser : 60s British royal navy , aircraft carrier crew’s

Jacket : 70s Yves Saint Laurent
Knit : 90s Dries Van Noten
Shirt : 40s U.S.marine corp’s

 

 

SURR by LAILA 福留

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Chocolate Brown / Diary347
11.1.2017

 
 
ムッシュが牽引してきたrive gaucheというプレタポルテ最高品質ラインでは、womensが市場の幅を利かせている中でもmensの其れ等を目にすることは厳しくも枯渇的な現状であると先に申し上げておきますが、特に70年代の其れ等は針の穴に糸を通す程、という表現でご理解を頂けましょう。1970年代にrive gaucheの名の下で誕生した1本のトラウザーは、当時プレタポルテの波幅が拡張した背景でありながら、その背景を鑑みましても腑に落とす事が困難であるかの如く、非常にテーラー的であり、バイブル的であり、そして“左岸的”でありながらも非既成的な匂いを感じずにはいられません。おそらく、の域に過ぎませんが、1本のトラウザーとして成立させた後又は、成立する直前のイメージの段階若しくは、初めから別の各パーツを一寸の誤差もなく縫製、したかの如く、本体中央付近シームに対して直角直線に縫製痕。とはいえシームにも一切ズレが見受けられませんので、おそらくは、前者。裁断という予測の域を超越したアプローチ。“敢えて”という意図のみでは到底受け入れきれない程。非既成的の匂いの発生源は、艶と配色のみで君臨する釦、そして柔らかくもしっとりと重厚なまでに存在する最高級のラムレザーはムッシュのイメージカラーではなく、チョコレートブラウンという精選。一度脚を通すとカラーリングから想像される土臭さや野暮ったさが完璧なまでに排除されるのは扨措き、プレタポルテというある種の概念や文化を形成したたったひとりの天才の仕事を、明瞭に感じ取ることはできましょう。ベルトループ、裾の処理、非常に滑らかな総裏地、左右のタック、レザーパンツでありながらもあくまで、最高位に位置するトラウザー、としてのご認識でどうぞ宜しくお願い申し上げます。
 
 
 
 
 
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70s Yves Saint Laurent rive gauche lamb leather trouser “Chocolate Brown”

 

 

SURR by LAILA 小林

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