旅での音楽ないし音 / Diary371
11.3.2017

小林が店長に就任し Diary も託すにあたってお願いした幾つかの中に “ たまに私的なことも綴るように ” という内容があります。これは店という空間は、それを主に携わる人間の “ 個 ” が極めて大きく作用するからであって、それをお客様にお伝えすることが店という空間そのものを、軸そのものをお伝えすることに繋がるという想いあってのことなのですが、実を申し上げますと私はこれまで “ 私的なことを綴る ” という行いがほとんど出来ておりません。

入社した当初、現在のような多コンセプトショップ体制ではなく旧 LAILA VINTAGE のみであった時代は、未熟ゆえに恥ずかしながら運営に精一杯な感があり、私的な出来事がほとんどございませんでした。稀に友人と食事や飲み会に出掛けたとて特出した出来事はなく、あったとてわざわざ綴るまでもない、いわゆる酒の席での失敗くらいなものですので、書くことが無かったと言えばそれまでなのですが、心の片隅には常に “ 何か私的なことを ” という想いがありつつ忙殺の月日が過ぎてゆくことで、いつしか “ 私的なことを綴る ” という行為そのものが “ 出来なく ” なってしまいました。出来ないと申しますか苦手と申しますか、出来事があってもどう綴ればよいのか、キーボードに手を置いても指がまるで進まなくなってしまったのです。

しかし、先日の小林店長 Diary に感化されましたので、本日は私的なことを綴らせて頂きす。彼は以前にミステリー小説しか読まない的なことを言っていましたが本当なのですね。私はその話を聞いた時に “ もっと色々読みゃあいーのに ” と口にした気がします。
彼が文学の話でしたので、私は音楽というか音の話を。お時間ございましたらお暇つぶしにでもして頂けたらと思います。

 

 

 

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たいした趣味のない平々凡々俗人な私めですが、音楽を聴くのが一丁前に好きでして、学生時分には居眠りをする際にもオーディオテクニカのヘッドホンでマリリンマンソン等々を爆音で流しており、今となってはなぜそれで寝れていたのか不思議に思う次第です。今でも大抵イヤホンで音楽ないし音を聴きながら街を歩いているのですが、それは3日前に帰国したヨーロッパの旅でも同じくでした。
私の音楽ないし音の遍歴は現在に至るまで幾つかの 12 の段階を経ています。基本的に節操ございませんのでジャンルは問いませんでして、同じ音楽を聴き続けることが苦ではありませんので各段階全ての音楽をいまだに楽しんでいるのですが、最新にあたる 12 段階目のカテゴリーは “ 落語 ” です。

以前から推薦してくれる友人が居たり最近新しい音楽に出逢えていなかったり、なにより自身の言葉を精査したかったりで “ いっちょ聴いてみますか ” と気軽に踏み込んだ世界でしたが、これがまぁ面白い。語り手によって同じ内容でも印象が変わる点や同じ話を何度聴いても飽きない点がクラシックに通じるものがありまして、このような文化が 300 年前から受け継がれて続けているこの国で生まれ育ったことを喜ばしく感じずにはいられません。

先日の旅でもよく聴いておりました。セーヌ川を横目に文七の恋心に心打たれたり、ヴォージュ広場で佐平治に翻弄されたり、特急に揺られながら金兵衛の奔走を見守ったりと、イヤホンを耳に一人ほくそ笑むその姿はさぞ気色悪かったことと思います。
様々な寓話はどれも個性的で、何度聴いても飽きることがありません。どれも等しく楽しんでおりますが、最近よく聴くのは “ 大工調べ ” です。落語、私としては大変にお薦めな一つでございます。皆様も御縁ございましたら宜しければ。

 

 

 

 

 

P.S.

2014年の9月14日から活用しております SIGMA 社 の愛機。長きに渡る酷使がたたって遂に半再起不能状態に陥ってしまいましたので、一旦実家に帰らせて療養 ( メーカーで修理 ) してもらったところ見事に回復して本日から現場復帰です。彼を選んだきっかけは単純に “ 姿が格好良く、あわよくばモテるかもしれない ” という邪心でしたが、今では欠かせない存在。また宜しく。

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P.S.2

前述の通り3日前にヨーロッパの旅から帰国致しました。今回も沢山の出逢い溢れる希有な時間を過ごし、結果を引き連れてまいりましたので、ご期待頂けましたら幸いです。

 

 

SURR by LAILA 福留

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Tailored Jacket / Diary370
10.3.2017

 
「短いお別れ」で御座いました。
 
本日も快晴。季節の変わり目はワードローブを差し替えたりと愉しい時期です。
3日続けてのエントリーとなりますが、御付き合いの程を宜しくお願い申し上げます。
 
 
 
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2017年 Spring&Summerのテーマとして詠わせて頂いてるは「原点回帰」
SURRという軸を再考した際、真っ先に脳裏を横切ったのはやはり「テーラード」で御座いました。
青年を男性に。男性を紳士に。そのベースとして設立当初よりご提案を続けさせて頂いておりますマストステージ。必要不可欠なカテゴリーであると我々は確かな自覚と認識の元、この度も様々な編集を施しましたが、衝動的にこれまた脳裏を横切ったひとつの想いとして、各所ディテールをじっくりご説明するよりまず、季節問わず“テーラードは良い”、と純粋にも感じて頂けましたら其れだけで。其処に尽きる想いでしょうか。有り難い事に当方Diaryを読み終えた後、クローゼットからお手持ちのジャケットを引っ張りだしブラッシングするも良し、春爛漫の陽気な時期を迎え新調するも良し、SURRに在中している2人の男性に相談するも良し。
弊店のみならず、我々にとっても「原点回帰」なもので。
 
 
 
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新たにテーラードを選択する際、此れまたユニークに感じるのが十人十色ベクトルが異なる事。ある程度の“基準”なりひとつの拘りを持つことは大変に素晴らしくも紳士的であると感じる次第です。
 
 
 
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視るべきはまず裏地か。
 
 
 
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唯一無二の施しか。
 
 
 
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重要視するは素材の選定。
 
 
 
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たまには遠くから眺めながら。
 
 
 
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パターンを愛し。
 
 
 
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縫製に驚き。
 
 
 
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確固たるブランディングに身を委ね。
 
 
 
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パーツに視線を落とす。
 
 
 
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時には悩み。
 
 
 
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ディテールを信じる。
 
 
 
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60-90s Tailored Jacket many pieces
 
 
 
 
 
後はフィッティングするのみ。
 
袖を通し、背中に纏わせ、鏡と向き合い、テーラードの重要性を少しばかりご認識頂けましたら。
 
 
 
 
 
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Chrome Yellow / Diary369
9.3.2017

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昨日にエントリーにてちらりと触れさせて頂きました此方のニット。「快晴の元どこかで書かせて頂きたいものです」と詠いながらも早速のエントリーとなり恐縮な心持ちですが、一歩、家の敷居から外界へ踏み出しそして空を見上げたその瞬間に、思わずにはいられず。「あぁ、今日が書く日か。」
サングラスで光を遮るなんて勿体がない程に快晴、快晴。天気予報で花粉注意報のアナウンスを耳に入れながらも臆することなく街へ繰り出したいものです。本年度は昨年に比べ花粉の量は落ち着いていると、どこぞの研究者が仰ってましたがそれでも花粉は容赦なく舞い上がるもので、そんな時にとあるTV番組にて朗報を目にしました。なんとレンコンが効果覿面との事。1日1本の半分を摂取すれば良いそうですが、あらゆる調理法を実践しながらも毎日食しており、気が付けば然程の症状は出ておらず、今年はレンコンに救われながらも出逢いの春を満喫できそうです。失敬。
 
 
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ビッチに緩急を付けたストライプ調。マテリアルはコットンのみ。驚愕する程にしっとりしたテクスチャーは、恥ずかしながら初見ではシルクが混合されていると思い込んでおりました。やはりイタリ製は良い仕立てだ、と、納得の落し所としてはむしろ悔しいところ。上質という2文字が適う逸品。ともあれ、あまりにも美しいカラーリングパターンは約6色もの染色された糸を用いておりますが、明度と彩度の絶妙なバランスは扨措き、キーカラーとなるYellowについては言及し難い程に素晴らしく、最も近しい色合いを調査したところ、「Chrome Yellow」が最有力。ペイントカラーのように色の主張性を保ちながらも、どこかお茶目で、どこかかわいらしく、どこかユーモラスな印象を発揮する中で、やはりアダルトな印象へ急激に昇格させるのはマテリアルの選定と柔らかく仕立てられたライトオンスの細やかな織り。昨日申し上げたように、いつものジーンズとの余裕あるスタイリングで緑のあるベンチへ腰掛けたいものです。好きな書を片手に。
 
 
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という事で、ここらで一時脱線。最近面白い書を発見しまして。
又もや推理小説の類で恐縮ですが、先日街の本屋に立ち寄った際、アメリカの巨匠レイモンドチャンドラーの傑作中の傑作「The Long Goodbye」(日本題で「長いお別れ」)が目に留まり、普段は陳列の陰に埋もれているはずのレイモンドチャンドラーが何故か表舞台に。それに表紙が何やらオシャレに仕上がっておりました。「今、何故」と思ってしまう辺り申し訳がないのですが、ともあれ、翻訳者名を覗いた際に成る程、理解に到達しました。村上春樹氏の全訳だったのです。レイモンドチャンドラーの作品ともあれば読者のみならず執筆者も敬意を表するという意味ではこれもまた成る程、と腑に落ちたのですが、数ページ読んだ後に気が付いたらレジへ。長期作品のロンググッドバイですが、通常1行から2行で済むセンテンスを村上氏は3行で表現している箇所もあり、それも一興かと愉しむ事ができますので、レイモンドチャンドラーは読んだ事がないけれど村上春樹氏の作品は一通り読んだ、という方にもハマりやすいのでは、と、申す前におそらく狙いとしては其処なのでしょうが。「飲むのなら自尊心を忘れないようにして飲みたまえ」この名台詞も本作で登場しますが、恐縮ながら私も、お酒の席では自尊心のみならず時間まで失わないよう心がけております。主人公のフィリップマーロウも酒好き(ギムレット好き)なので、お酒好きな方であれば戒めとしても有効な作品が多いはず。大変お勧めで御座います。これまた失敬。
 
 
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80s Missoni striped cotton knit
 
 
本を読むも読まぬも其々。
コットンニットを着るも着ないも其々ですが、折角選択できる自由が有りますから、春先はウール地からコットン、ジーンズは濃紺から淡いベビーブルーへ。手元には何処でも読める文庫本に限ります。
 
 
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with early70s Levis 501 “66model”
 
 
 
村上春樹氏といえば新作「騎士団長殺し」ですが、俄然文庫本派の私は未だ読んでおらず。既に読まれた方は店頭での内容語りに御気をつけを。
それでは次回の エントリーまでしばし「短いお別れ」としましょう。

 

 

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