強くもあり、美しくもあり、そして紳士的である / Diary364
24.2.2017

弊店において設立当初より重要なカテゴリーのひとつとして皆様にご提案を続けさせて頂いております “MILITARY”というステージ。日常生活する上でいかなるアクションにも耐え忍び、将又その動きひとつひとつが形状として記憶されていくマテリアル。果てしない時間を吸収しても成立する、圧倒的なポテンシャルを秘めたリアルピースたちは、ヘビーデューティーというシーンに最も当てはまるカテゴリー。我々にとって“MILITARY”と“原点”を重ね合わせた際、「エレガント」というワードも等しくも尊く、そして不可欠な要素であることに気が付くことにそう時間を必要とせず、浮かび上がったひとつの回答が、ROYAL MILITARYという選定で御座いました。英国王室直属の各セクションへ向けた最高の仕立て。イギリスにおけるテーラードとは歴史が証明しておりますが、その技術ないし背景がMILITARYへ顕著に落とし込まれた名品の数々。ヘビーデューティーとエレガントは背中合わせな要素であるはずが、磁石のように接合しそしてマリアージュするように屈強でありそれでいて美しい、紳士的重要素を内に秘めた出立ちは、やはり弊店において必要不可欠なエレメント。
 
「原点回帰」に最も相応しいと確信を持ち、自信満々な程に今回のエントリーを迎えます。
 
 
 
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英国王室直属のセクションの中で、陸軍を指すROYAL ARMY。
ウエストにダーツが入り、内面にはドローコード。
身体で沿わせしっかりと着用する理想的なフィッティング。
男性的な美しさを問うなら前立ての釦は全て隠す比翼仕立て。
エポレットは肩線に綺麗に沿わせ、あくまで目立たせず。
フラップポケットは真横に設置の上、傾斜30度に設定するのはアクセスしやすくするための配慮。
ハンギングの環境がより、アームの前振りの美しさも視認頂けるでしょう。
前立ての釦をひとつふたつ留めた際に胸辺りがやや張るようなフィッティングが最も丁度宜しいかと存じますが、其れはテーラードのフィッティング概念と同等でありながらも、生活上繰り出す様々アクションに悠々と耐えうるポテンシャルは、1960年代独特の打ち込みのよいツイル地こそ適う頑強なマテリアル。
 
強くもあり、美しくもあり、何より紳士的である。
個々其々の差異が生じる“身体”と共に年齢を重ねるという意味でも、やはり「原点回帰」の前では外せないリアルピース。
その証明としまして、店長小林の1着と、長年愛用しているであろうディレクター福留の1着をサンプルとしてこの機会のみ、店頭に置かせて頂きます。ジーンズの概念と其れは酷似するかのように、成る程、と、確かにご納得頂けるのでは。
 
 
 
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【小林】92日間着用 One wash&Tumble dry
 
 
 
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【福留】着用回数、詳細共に記憶外
 
 
 
両者共デッドストックより生活を共にしてまいりました。
3回着用したら洗うのか、月に一度タンブラーか、将又一度も水は通さないか、十人十色お好みで。
 
 
 
 
 
 
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フィッティングは2サイズの展開。
表記2と、表記4のエントリーですが、肩幅、身幅、袖丈は変わらず、着丈のみの差異で御座います。
とはいえ、当時の生産背景からか同サイズでも色差、採寸、パターン等、若干の個体差が御座います故、其々の個性を愉しみ頂きながらお好みの1点をお選び頂けます。
 
 
 
 
 
 
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60s British royal army workers overall green “dead stocks” size2 & size4
 
 
お察しの宜しいようで、勿論全てデッドストックをご用意。
空気をたっぷり含ませた最高のコンディションにて皆様を御待ち申し上げております。
尚、店頭では我々のサンプルも合わせてご覧頂けますので、縮率やフィッティング等含め、お気軽にご相談下さいませ。
 
それでは。
 
 
 
 
 
 
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SURR by LAILA 小林

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3代目 SURR 羊飼いシャツ / Diary363
22.2.2017

18 日 ( 土 ) の 2017 S / S お披露目日に足を運んでくださいました誠に光栄なほど沢山のお客様方、本当にありがとうございました。
ゆっくりとご覧頂くこと、普段のようにじっくりとお品物のご提案が叶わなかったことに深くお詫び申しあげますと共に、“ どうぞ、そちらの方に接客を ” とアイコンタクトを送ってくださったり、ティーブレイクを挟んで再々度御来店くださったりと身に余るお心遣いをくださったことに、心から心から御礼を申しあげます。
またいつものようにゆっくりとご提案させて頂く機会を頂戴できましたら、幸いです。

 

本日は既に平常。和香に鼻腔をくすぐられつつ、小さく鳴る音に耳を傾けつつ、冷めたコーヒーで喉を湿らしつつ服に囲まれる時間を過ごしておりまして、このような、言うなれば SURR らしい放電時間を過ごすときはやはりスタイルの歴史に関して、そして服飾史に関して想いが及びまして、私はそれらのいわゆる史実を一個人的に好ましく思っていながら、それと並行して大切なのは感覚であるとも思っているのですが、しかしながら SURR としての表現を追求すると引き寄せ合うように服飾史と大きく関わる一着に辿り着くのは、至極自然なことなのです。例えばそう、100年ほど前の羊飼いシャツ。

 

 

 

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意図せずに、おおよそ 1 年に一着のサイクルで縁が結ばれ、お客様に向けてご提案という円が結ばれる羊飼いのシャツは、秘められた特出して特徴的な機能性ディティールと、その国が秘める文化的な側面において遥か以前から当たり前のようにショーケースに収められてきたお品ですが、それら現状と現実を差し引いてなお、その機能性ディティール=スタイルは純粋に一着の衣類として魅力的であり、強い求心力を秘めています。思い返すと前回 ( 昨年 ) の2代目にあたる一着は、類稀なる女性にお見初め頂きまして、やはり “ アンティークをアンティークとして捉えない ” という一見の矛盾に満ちているかのような初志を貫徹しようと心に誓ったものであります。
そして、この度の3代目となる SURR 羊飼いシャツは、初代, 2代目と文字通り明確に一線を画しているのです。

羊飼いシャツの1900年代初頭となりますとそもそもが貴重なお品ですので、そう沢山に出逢ってきたわけではございませんが、それら全てはリネン、もしくはリネンとコットンの混紡という素材構成でした。今となってはリネン系統以外の存在を何故想像しなかったのかと不思議に思いますが、想像させる隙は一分も無いほど圧倒的に “ 羊飼いシャツはリネン素材 ” だったのです。

しかしながら前回の旅のとある日にその概念は打ち破られ、奇運なことに翌日に跡形も無く消え去りました。まさに胡蝶之夢。でございます。

 

 

 

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この一着とのご縁を結んでくれたのは、その道 40 年のヴィンテージコレクター。仕事柄と長い経験から幾度か羊飼いシャツを手にしてきた彼でありながらも、40 年目にして初めて出逢うことができたという一着は、リネンではなくコットン素材という、思い付きそうで全く思いつかなかった違いでした。
その存在的希少性のみならず、リネンによる従来とは異なるテクスチャーとドレープを有することで圧倒的に明らかにアンティークな時代のものでありながら、言うなれば 3 周ほど巡りに巡って “ アンティークらしくない ” 現代性に着地しているさまに、それはもう心が震えに震えたものです。

見慣れていたはずのものが、ほんのささやかながら明確な、思い付きそうで全く思いつかなかった違いによって新たな印象とスタイルを獲得するというロジックは、尊敬して止まないデザイナーやアーティストがこれまでに与えてくれた希有な驚きと、尊い感動と一寸のずれも無く同じくでございます。

 

 

 

 

 

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20 – 30s French cotton shepherd shirt

“ 羊飼いシャツはリネン素材 ” という概念が打ち破られた翌日、私は知人が推薦してくれたパリ某所で行われる服飾展に足を運びました。そこはナポレオン 3 世の幼少期の衣類から 2000 年代のメゾンピースまで、フランスの服飾史にまつわる品々を網羅した、それはもう刺激的で文化的で知的な素晴らしい展示だったのですが、そこになんと、リネン素材ではなくコットン素材の羊飼いシャツ、前日に出逢ったそれと同時代の近しい一着が飾られていたのです。

これは私にとって真に おもしろき こともなき世に おもしろく でございました。そもそも旅そのものが人生と同じく World is my Oyster と考えておりますが、それでもこの出逢い、そしてタイミングは印象深かったこともあり、事実は小説より奇なり とここに記させて頂いた次第です。

 

 

SURR by LAILA 福留

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2017 S/S First entry / Diary362
20.2.2017

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2/18(土)より、Spring&Summerのフルラインアップとなっておりますが、おかげさまで大変にご好評を頂いております。
初日は多くのお客様がいらして下さったみたいで(あろうことか私は休みを頂いておりました)、大変に嬉しく思う次第です。この場を借りて先ず、御礼を申し上げます。
「原点回帰」と、今回テーマを設けさせて頂いてはおりますが、私としましては店長としてSURR by LAILAに就任してから初となるシーズンチェンジ。このタイミングがいずれ原点になるであろうと勝手ながらの想いを抱いております。
そしていつもの如く、充実したラインナップを前にお客様の目線でも非常に愉しませて頂きました。
店長である以前に、ファッションが好きでたまらないひとりの男として、1着の服と向き合う姿勢というのも軸として保たせて頂きたいと思うのですが、それを皆様に御伝えする場であるこのDIARYにおいて、“何を”、“どこから”、エントリーしようものか、贅沢ながら悩み苦しんでおります。
走る想いを抑えながら、先ずは本日のエントリーと致しましょう。
 
2017 S/S First entryから、早くも化け物を。
 
 
 
 
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触れるもの全てを驚嘆させる上質の極み。
しっとりと滑らかで、肌に吸い付く目の細かさ。
しかしながら驚くべくはシボ革という選定。
此れがまさか、とお気持ちは分かりますが、圧巻する素材力は扨措きながらもトムフォード氏にかかれば其れに構築美と設計美が加わり、一言で表すならば、「最高」です。
素材力を最大限に活かすべく用いた手法は、先ず裏地を排除、さらに切りっぱなしのカッティングに対する細かなソーイング。そして気を配るは“重量の均衡”。裏地を排除することで獲得されるは軽量さ。そこに前立ては2cm幅のダブルジップに大きめのジップフラッグは適度な重量感があり、其れこそ均衡が保たれるバランスを獲得するべく用いた1手は、他メーカーのプロダクトを用いないという事。というのは語弊かもしれませんが、十中八九の推定で、色味、重み、滑らかさ、形状ともに他メーカーに“イメージに対して適うものが見当たらなかった”ので、オリジナルで製作という拘りを貫いたのでしょう。奇しくも“ジップ”を愛おしく感じたのは、私が偏愛する80s初期のバブアーを除いて初めての1着。
 
 
 
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機能面のみを追求するならば、おそらくダブルジップの仕様も重量のあるジップも不必要。
一枚の極上な素材を目の前に、一切の妥協と迷いのない美しさを追求したこのプロダクトは、雨にも強く、極寒を凌ぐようなワイルドライフには適合しない内容を保持しておりますが、そこにはやはり “男性らしい美” のみが静かにそして強く佇み、砕かず一言で表すならば、やはり「最高」のプロダクト。作品力は然ることながら、1着のレザージャケットとしての魅力を是非ともご体感頂きたい。
 
このクリーム色の逸品を手にしたその夜は、絶妙な長さに設計されたアームの先からいつものリングを光らせ、どうぞ美酒をご堪能下さい。
 
 
 
 
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early 00s GUCCI by TOMFORD double leather jacket with perfect condition

 

 

SURR by LAILA 小林

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