Newarrival Vo. Ⅱ / Diary401
26.5.2017

 
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乗馬する際に使用する馬具の一種「鐙革」とは、騎乗時につま先を乗せるため鞍に通されたもの。其処より着想を得たとされている、通称「Etriviere」は、ベルトを製作、提供し続けている中で、其のファーストエントリーに位置するHERMESのパテントなる外形。主にミニマムかつ物体的な “バックル” が其れに該当、そしてこのフォルムが「極めてフランス的」と広域的に認知されるモメント、それは十中八九もHERMESが手掛ける「Etriviere」の誕生と存続によって。あらゆるベルトないしバックルを検証する際、“理想な形”と口を揃えて耳にするその固形体は、極めてソリッドで,極めてオブジェクティブ,何よりユニヴァーサル。
 
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永く、永く、愛され続けてきたひとつの外形は、ユニヴァーサルなる内容を潜在させていながらも、年代やシーズン、製作時期によって、やはり個体性が確認できましょう。しかしながらそれは、レザーの種や色のチェンジングによって成されるラインナップ上の固体。“ヴィンテージ”という土俵では稀有なエトリヴィエールですが、僅か0.5mmに満たないゴールドの縄を横幅22列に渡ってメッシュ上に編み込むという非現実的かつ許容し難いメッセジ。最高峰に等しいクオリティレヴェルは、当然に当然ながらも、初見で御座います。
 
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80s Hermes gold metal mesh belt “Etriviere”
 
 
 
2017年SSコレクションのラインアップか否か、そうであるかないか、一切関係なしに、弊店発足以来、エントリーを続けさせて頂いている「HERMES」というトップオブメゾンの作品の内でも、最も、スペシャルな逸品かつ、正真正銘の怪物。さらに恐縮ながらも申し訳がない布石を置かせて頂きますが、本品は特にで御座います、今後ご紹介させて頂く自信がまるで御座いません。其れ程に、其れ程までに、スペシャリティたる一品で御座いますので、ご賢察の程をどうぞ宜しくお願い申し上げます。

 

 

 

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Newarrival Vo. I / Diary400
25.5.2017

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ムッシュが愛した素材の中に例えば「シルク」が御座います。当時ムッシュは“女性のための仕立て”を得意のテリトリーとしながらも、より男性らしい美の追究によって見出されたひとつの素材は、ジェンダーレスの領域にてムッシュが愛した数あるファブリックの中でも突出したもので御座いました。しなやかで力強く何より婉麗さを兼ね備えており、エレガントでクラシカル、何処にも属さない唯一のテキスタイル。また、90年代には彼が好んだとされるブラウスの形状を踏襲した作品群を世に送り出されますが、その原型とも謂える70年代の逸品はエレガントやクラシカルでは物足りない、「迫力性」が全表面に帯びたプロダクト。半端では御座いません。
 
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「ムッシュが牽引してきた rive gauche というプレタポルテ最高品質ラインでは、womensが市場の幅を利かせている中でも、“紳士のための仕立て”を目にすることは厳しくも叶いにくい現状があると先に申し上げておきますが、特に70年代の其れ等はまるで針の穴に糸を通す程、という表現でご理解を頂けましたら」と、いつの日か同じようなセンテンスにて記させて頂いた記憶が御座います。相も変わらずその現状は、“引き続き”、でして、ともあれ最も良き時代の最も才気で溢れたパーソンが仕立てた洋服を皆様にも肌で感じて頂きたいとその想いも勝手ながら、“引き続き”、で御座います。
 
 
 
 
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70s Yves Saint Laurent silk shirt
 
 
 

 

 

 

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柄と少しばかり映画の話 / Diary399
23.5.2017

連日突き抜けるような快晴が続いておりますが、皆様如何お過ごしでしょうか。
4面窓から燦々と太陽光が降り注ぐ店内は、窓際に居りますと冷房の届かず酷烈な一時を感じることも御座いますが、日々、急速に成長を続けるバージニアクリーパー一面の画額は、清涼感すら感じるので不思議なものです。
(その画額を眺める、ということは既に窓際から冷房が行き渡る室内中央へ避難しているという事ですが)
 
さて、昨日いらして下さったお客様との会話の中で、“柄物”の話と、該当するとある1着に袖を通されたその方を後方より拝見しますと、ある映画のシーンが浮かびましたので、本日はその話をさせて下さい。少しばかり長くなりそうですが、御付き合いの程を宜しくお願い申し上げます。
 
 
 
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05s Mrs. Palfrey at the Claremont
 
2005年に公開された「クレアモントホテル(邦題)」は、ルパート・フレンド演じる長髪で優しい雰囲気の青年、ルードヴィク・メイヤーと、 ジョーン・プロウライト演じる老婦人、サラ・パルフリー、そしてゾーイタッパー演じる自然体で美しい女性、グウェンドリンとのロンドンはクレアモントホテルを中心に繰り広げられるヒューマンストーリー。サラが郵便局から宿泊中のホテルへ戻る道中、躓いて転んでしまいますが、半地下の自宅より偶然見ていたルードがすぐさま駆け寄り、傷を消毒するため彼女を自宅へと招きます。その駆け寄るシーン(彼女の横から回り込み、膝をつき、正面から彼女を助ける)をやや引き気味で一画に収めるワンカットが素晴らしく、彼の紳士な優しさと、ボロボロのブルーのシャツ、穴の空いたジーンズが美しく映える名シーン。スポーツスタイルのライトブルゾン、洗いざらしのコットンシャツ、ランダムなブルーストライプのストール、寒気にはショールカラーのセーター。彼は小説家を目指しているため金銭的に余裕がなく、いつも同じような服装を着用していると、各所シーンから読み取れますが、其れがまたパーソナリティを引き出し、やや大きいフィッティングが彼の優しい人柄を丁寧に表しています。
 
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消毒する際、「脱脂綿はないけど、このシャツはコットン100%だ」と着ているブルーのシャツに消毒液を染み込ませ直接彼女の傷口を洗浄します。おそらく、ルードの優しくも色気のある雰囲気があってこそ成り立つと理解(実は何度か同様のアクションを試みましたが、成功した試しがありません)
 
ややシューリングに描いている内容も素晴らしいので、気になられた方は是非。
何より、ゾーイタッパーが可憐で魅力的なポテンシャルを発揮しておりますので、男性の皆様、大変お勧めで御座います。
 
 
 
さて、昨日とある1着に袖を通されたその方を後方より拝見しますと、ルードの姿と重なりましたが、おそらく、ルードが着用していたブルーのシャツと、いつも巻いているランダムストライプのストールがイメージの中でブレンドされたのかなと。ともあれ、洋服とパーソナリティの関係性においては些か魅力的な内容があると考えに及んでおります。“このブルーのシャツは彼がいつも着ていた” “その大きいセーターはきっと彼のだ” “あの柄を見ると友人を思い出す” 。“1着の服”から特定の人が浮かぶ現象は、その1着もその人の一部に成り得ていると理解しても過言ではなく、それこそパーソナリティとして成立しているのでは。顕著に表現できるのが、やはり“柄物”。特にヴィンテージというステージにおきましては、 千差万別の柄パターンが存在しているのは自明の事で、その中より、肌色、顔つき、雰囲気、背丈、体格、骨格、姿勢、髪型、立ち方、座り方、特定のワタシ、ジブンに合致する“柄”を見出すことは極めて贅沢な事ではなかろうかと思う次第です。
 
 
 
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メゾンの中でも突出してカラーリング、柄のパターンが素晴らしいイタリの名手。クオリティは然ることながら、隣り合う対色同士が不思議と成立する様は、魔法そのもの。逸脱した幾何学性、カラーパターンのマリアージュ。何より“個”を重用視するようなプロダクト群。その素晴らしさは昨年の「Knit Museum」、「Chrome Yellow」を経て、確実な認識を得ましたが、昨日そのお客様にご紹介した“柄物”の2着は、偶然にもMissoniの作品で御座いました。
 
 
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ランダムに敷かれたストライプパターンは、まるでキャンバスに油絵具で描いたよう。そしてブルー系統を主力としながらもイエローを混在させる圧倒的なセンス。このパターンを具現化させるための素材の選定が “ウール” というところに凄味を感じますが、極めてライトウェイトなテクスチャーはリネンと間違える程。
 
 
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“編み”の大胆さ、細やかさは然ることながら、多色を容易に手懐ける実力はこのワンカットからご理解頂けるのでは。
 
 
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left 70s Missoni light wool striped shirt
right 80s Missoni cotton cardigan

 
 
 
 
「この柄はどう合わせたら良いか」「パンツは何を」関係御座いません。パーソナリティと見事に合致すれば何ら不自由なく毎日でもご着用頂けるはず。
 
 
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何の狙いもなく偶然のきっかけでセレクトに至った今回エントリーの2着。この2着でさえ、躊躇いもなくブレンド頂けましょう。
 
 
パーソナリティと合致するか否か、ご不安であればどうぞお気軽にご相談下さい。最高の1着をご提案致します。
服が個の一部になる様を 「贅沢だ」 と、確かにご実感頂けるはず。

 

 

 

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