Armani philosophy coat Ⅱ / Diary1442
25.9.2026

先日御提案しました“アルマーニらしさ”満載のコート、個体数1に対してそれ以上の御要望を頂けましてまたもやヴィンテージの一点ものであることをもどかしく思わずにはいられませんでしたが一生変えることができない残酷な現実だからそんなことを思っても仕方ないのですがこの生業において常に思わずにはいられません、一点ものという永遠のジレンマ。

 

 

こちらは先のらしさ満載コートと同じくのコレクターさんのもとで出逢った一着でオリーヴに対してホワイトベージュ、ベルトレスに対してベルトあり、コットンモールスキンに対してコットンツイルという差異はございますが同じくアルマーニのヴィンテージ広告からドラえもんの秘密道具“実物立体日光写真”を用いて取り出したかのような“らしさ”満載MAX120点のコートです。

それこそ広告のような豊か過ぎるほどの凛々しさは極めて軽いながら確かにそこにあるパデッド構築によるもので、古来のトレンチコートにはないモードアプローチならではの再解釈こそアルマーニ哲学の真髄。それによる防寒性も当然ながら付与されますが本質はそこではなく、違和感になるほどの立体表情,張りの強さ,フォルムのワガママさこそアルマーニ大先生が求めた新たな男性像であり元々は女性のためのモードカルチャーにあった構築理論です。

 

 

 

 

 

New 80s Giorgio Armani light padded pure cotton design trench coat

 

改めて言いますが格好良いロングコートって本当に残酷なほど格好良い。はてさてこれから何年続くかわかりませんが今後の私のヴィンテージライフにおいてここまでアルマーニらしさを感じられるコートって果たしてどれくらい出逢えるだろうか。正直に申しあげますがここまでの濃度はほとんど期待しておりません、もちろん出逢いたいか出逢いたくないかで言ったら至極当然前者過ぎるほどに前者ですがほとんど出逢えないという残酷な現実もまた一生変えることができませんから。なので私は日々意識的に徳を積んでいるんです階段の前にベビーカーの親子がいたら声をかけて上まで運ぶし電車やバスの席も絶対に譲りますし絶対にゴミは捨てません。タバコももう吸わないから副流煙で他者に迷惑もかけないしギャンブルも一切やらないので積んだ徳を手放したりもしていません。ということで引き続き宜しく頼むよ、ヴィンテージの神さまよぅ。

 

 

SURR 福留

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また痺れた / Diary1441
24.9.2026

モーターサイクルカルチャーとファッションがリンクが旺盛を極めた70年代にフランスで産まれ、ムーヴメントというファッションの濁流に呑まれて姿を消したことで一種の伝説的存在となったリー・トレヴォー。それを認識して痺れた私は完璧な新たな風として今後の出逢いと発見を心から楽しみにしていたのですが結局のところ二着目に辿り着くのに三年もかかってしまいました。

60年代に主に英国にて“本格的なモーターサイクルでもありファッションでもある”という角度のバイカージャケットが芽吹いてから一気にその市場が拡大するのと並行して英国の各メーカーはアメリカンSTYLEとデザインを積極的に取り入れていましたが、それらは全て忠実に再現する踏襲性であることが多かったのに対しトレヴォーは踏襲ではなく再構築によるオリジナリティを大切にしていたためやはり英国各社とは異なるモード本国らしさを感じさせる唯一無二の個性と尖りとファッションとしての強さを有していました。そしてレザークオリティにも徹底的にこだわっていたため一見するとオリジンカルチャー的な男臭さ泥臭さを感じさせながらも明らかなる品の良さと美しい仕上がりもフレンチメーカーならではだったのですが、そのカルチャーが盛り上がり過ぎて競合他社が増えたことで納得ゆくレザーが確保できなくなってしまい約十年間という短い期間で幕を下ろすことになりました。“優れ過ぎていたがために自分たちの環境が盛り上がり、その盛り上がりが要因となって姿を消す”、同じような経緯と結末を迎えたサンフランスシコの伝説的なレザーブランドを私は知っています、そういえばそれも偶然かなほぼ十年間のみの活動でしたね。

三年前はレーサーデザインでしたがこちらはアメリカの某ウェスタンデニムブランド,Wra○glerのジャケットデザインを大胆に模すと同時にアレンジも加えたというトレヴォーを代表する個体となりまして、私としてはようやく出逢えた象徴的な一着となります。エイジングも本当に素晴らしい、これが閉業に至るほどこだわったレザークオリティかと、ここまで美しく仕上がったヴィンテージレザーはかなり久しぶりな気がします。ちなみに弊店では当然全てのプロダクトに何かしらのケアや修繕やクリーニングなどのメンテナンスを施してから皆様方に御提案していましてレザージャケットも漏れなくなのですが、スタッフの古川が“これは綺麗にしないで風合いを残したい”と言ってきた時に、フムフム分かってるじゃねーか と。このエイジングをリセットするなんて、そりゃあ絶対にできませんよねぇ。

 

 

 

 

 

80s Lee TREVOR Wrangler-style leather design jacket

 

肩も落としめ着丈短めのデザインシルエットも最高で立体感がとにかく秀逸なのでしっかりとしたレザーのテクスチャーながら軽やかで滑らかな着用感すら感じる抜群に“ファッションしている”一着です。また痺れた。

 

 

SURR 福留

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生産背景 / Diary1440
23.9.2026

私はつくづくアメリカンヴィンテージを知らない人生を過ごしてきましたので昨今のヴィンテージフックアップ・モードアプローチの御陰もあって特に新しく知る機会が増えるのと同時にデザイナーズヴィンテージの文化においてもいかにアメリカンデザインが多いかを、ヨーロピアンデザイナーたちがいかにアメリカンカルチャーを吸収していたかを再確認するここ数年ですが、だからと言ってアメリカンヴィンテージを勉強しようと思うかというとそうでもないのは結局のところファッションを好きになったあの頃の自分の根っこがまだ腐らずにあるんだなぁと独り言ちます。もっともっと月齢を重ねまくったら興味を抱くかもしれませんねもしかしたら、還暦からのG⚪︎Pとかカーハー⚪︎とか。

でもやっぱりモードカルチャーとヨーロピアンデザインが好きだし、何よりヨーロピアンデザイナーによるアメリカ解釈が好き。だから引き続き私の中でのアメリカンカルチャーの解釈はワンクッション入っていてイコール捻くれているんだと思う。とは言え特に油が乗り始めるのがやはり80年代に突入してからで、となると往々にして生産背景の精査によってメンズウェアはヨーロッパ圏外アトリエでのクリエイションがほとんどになってしまいまして、もちろんそれらも立派なデザイナーズプロダクトだし素敵な品も存在するのですがなかなかどうして個人的に比喩じゃなくて本当の意味で手が伸びなくてもどかしい限りですが、その傾向は昨今国内でメンズヨーロピアンヴィンテージの提案店が増え始めたなどは全く関係なく遥か昔からそうでしたので、ある種諦めの境地に達しているレベル。まぁ心境的に一番健康なのは生産背景を気にせずにブランドラベルで選ぶことですが、それをしたら私ではなくなってしまうもんなーと。

だからブルーデニムとグリーンピケのコントラストが心地良いこの一着との出逢いは嬉しかった、80年代Yves Saint Laurent Jeanswearクリエイションのイタリア・アトリエによる一着。これまた心地良いアメリカンSTYLEで濃度はきっとほぼMAXに近いけれど明らかに服飾史的美意識が際立つ立体構築と色彩感覚が光ってくれ増すし、なんと言っても最大の個人的求心点は生地感で、イタリアの糸と染料だからこその上品なエイジングは同時代・同ヨーロッパ圏外アトリエクリエイションではほぼ間違いなく辿り着けませんし、良い意味でオリジンカルチャーとも異なるベクトルの説得力。これは本当に稀有な到達点です。

 

 

 

 

 

New 80s Yves Saint Laurent Jeanswear quilting lining denim & pique half coat

 

見た目で一目惚れして掘り下げたら驚きと喜びに満ち溢れた納得の実情。生産背景にこだわり過ぎるのは時に野暮ですがしっかりと条件が揃った際には徹底的な意義と圧倒的な価値になります。仕立てに長けたイタリアの立体構築で糸も染料もイタリア本国が手掛けたことが無意味なんてことは絶対にあり得ないでしょ。

 

 

SURR 福留

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