大々々好きな“こんなんあるんだ“シリーズでありそもそもにおいて考えてみると“こんな服の形あるんだ“シリーズなこちらの新作は80年代バーバリーの本国クリエイション。いつの時代も特別な存在感を発揮してくれる同社のレザープロダクトで今回はディアスキンでしょうか、特出して柔らかく軽いテクスチャーにまた惚れ惚れしてしまいシャッターを切るのが楽しかったです。
ボンバージャケットというより今回はスポーツジャケット、まぁドライヴィングジャケットと言っても差し支えないけどやっぱりスポーツと称したいサッパリ感スッキリ感なのですが、
ジャージみたいなネックのリブがそのまま前立てに直結するのも独特だしベストを重ね着しているような構築も不可思議だしレイヤードがそのままポケット口になるのも癖だし、じゃあそのノリで上にマフポケットもあるのかと思ったらそれは無いし。スポーツジャケットと呼びたいシンプルでコンパクトな形状で前立てが細いリブになってベストレイヤードしてるみたいな構築のこのジャケットの形って、何?っていうシンプルかつ結構気になるのが今回の一着です。どっかの文化にある形なのでしょうか、なんかすごく独特なんですよねぇ。なんとなく和を感じるのは私だけでしょうか。
New arrival,80s Burberry leather design sports jacket.
でもね、ここでもやはり上質なクリエイションであることが効いてくれます。いや、独特さによって特に効果的に作用しているかもしれません。明らかなるレザーの美しさにクラシックだけどちょっと個性を感じる明るいカラーリング、王道感が際立つスタイルバランスとボリューム感、まず“良い服“であることが真っ直ぐ伝わるからこそ独特さが毒ではなくデザインという味として無理なく馴染みます。表記がありませんがフィッティングは48の身体でナチュラルフィット、今回もやはりゆったり感を高めることがプラスになるプロダクトバランスなので、様々なフィッティングとスタイル性への適合が叶うと思います。特に軽くて上質なレザー、こちらも超優秀超優良です。
SURR 福留
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造形美と色彩感覚、この類稀過ぎる二つ感性はやはり後のBerlutiに吸収された新体制では受け継ぎ切ることはできなかったのでしょうか。会社も時代も文化も違うので仕方ないと言えば仕方ないのでしょうが唯一無二の文化力が失われてしまったと思うとANRYSが消える当時に“買収なんかさせずに国が守るべきだった“と悲しみつつ怒っていたパリの友人の姿を思い出します。
造形美も好きだけど私は色彩感覚が一番好きな要素かな。創始者の奥さんが日本人だったから着物からの影響も大きかったという点も含めてシックなトーンもヴィヴィッドなトーンもペールなトーンも単体はもちろん組み合わせの感性が本当に唯一で無二、スタンダードでシンプルに組み合わせるのが好き(と言うかそれしかできない)身としては一着が放つ妖艶さだったり癖者感だったり明快に美しいオーラは本当に楽しいです。
これはテーラードジャケットのプロダクトバランスなのですが、物としてはハーフコート。しかもフォレスティエールのように室内で着たままでも支障がないカバーオール的概念と構築と設計かつフォレスティエールのように着る人を選ぶ(万人向けではないからこそハマると強い)シルエットバランスではなくスタンダードで王道的スタイリッシュさを秘めたテーラーメイド。
気軽に羽織れて気楽に過ごせてスタンダードに綺麗なスタイル性でリネンコットンの清涼感溢れるテクスチャーで優しさの中にしっかりと色の個が光るという控えめに言って相当に優秀な一着。この楽チン感なんかANRYSを当時楽しんでいた人々の全体的な世界観をまんま現していて、やっぱりそうですよねと合点がいく感じも大好きです。
New arrival,90s ARNYS linen cotton half coat.
もう一度言いますがテーラードジャケットではなくハーフコート、しかも室内で着ていても不自然じゃない気楽な羽織りです。それこそ当時楽しんでいた人々はほとんどがシャツでタイドアップでドレス系のトラウザーなのかな、革靴なのかな、ポケットチーフなのかな。もちろん言うまでもなく抜群な世界観だけど私は絶賛カジュアル勉強中とあってファイヴポケットパンツやジーンズが特に気分なのでARNYSの世界観と言えど今のカジュアルで合わせたいのですが、当時の人々からしたら眉をひそめる着方なのでしょうか、まぁいいけど。それこそ13年ぶりにスポーツスニーカーに惚れることができてよりカジュアルテンションが上がっているんですから!出張のたびに実用品として必要性をしとどに感じ幾度となくアレ買おうかとかコレで良いかとか思いあぐねていたんですが、適当に買わなくて本当に良かった。まだヴィンテージジーンズと合わせる勇気はないけどこれからの気分に合わせて色々と楽しみたい。もちろんARNYSともね。
SURR 福留
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イタリーモードの最古参であるヴァレンティノ・ガラヴァーニ。各国(やはり主に本国イタリア)のコレクターの協力もあってそのヴィンテージプロダクトと出逢えば出逢うほどいかに偉大なファッションデザイナーであったかモード史に置いて重要な人物かをスルメのごとく噛み締めててじんわりかつ確かに味わって年々好き度合い尊敬度合いが高まっておりますので、先日のアレッサンドロ・ミケーレのディレクター就任のニュースはやはりヴァレンティノを大いに盛り上げてくれるのではないかと喜ばしく思うと同時に、ヴィンテージカルチャーにしっかりと敬意を評する人物なので1959年から2007年と約半世紀に渡って展開されたヴァレンティノ・ガラヴァーニ大先生の作品群をどのように再解釈するかが楽しみな次第で、まだまだ私の中でのヴァレンティノ愛は高まっていきそうな予感ムンムンです。
構築的なサドルショルダー、綿密に配置されたダーツ、テーラードジャケットの襟元とボンバージャケットのスタイルを融合させた抜群の個性、全体に及ぶ立体美、心が洗われるような美しい裏地(ポケットの中まで同じく)、そして一目で品位が伝わる圧倒的に上質なラムレザーのエナジー。80年代にPelle(レザー専門)のクリエイションラインから発信されたこちらの新作も本当に本当に見事でして、もちろんラベルにValentinoの文字が刻まれていますのでデザイナーズクリエイションのそれということは認識できますがこちらに関してはそれを認識する前段階の佇まいから何かを感じて頂ける方、きっと居られると信じたい一着です。
New arrival,80s Valentino Pelle lamb leather design bomber jacket.
先日のMilletもそうですが、ラベルでもネームでもなくまず強烈に心惹かれるような出逢いはSURRに成った2014年4月29日から現在に至るまで変わらず稀有。いや時間が経つごとに高まっているな、間違いなく。
SURR 福留
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