ありますか?
私はこの色が好きというのはありません。気付いたら赤いスポーツジャケットが2着あったりペンや財布(という名目のカードケース)が緑色だったりしますが、基本的にはどの色も全部大好きです。それはやはりこの生業あってのもので弊店がどうとか弊社がこうとかではなくヴィンテージという世界そのものが、特にモード史が色彩に満ち満ち溢れてCOLORFULLでありながらHARMONYしているのがノーマル というそれはそれは大変に美しい世界で育ったからこそ全色好きで全色抵抗なく身に着けることができますが、それこそこの生業において様々の色に対する意見や印象を目にして耳にして、いつも興味深く・そこはかとなくどこか楽しい気分になります。へぇ、そんな考え方があるんだぁ と。
やはり大小なりに苦手に感じる色が居られますし、雑誌にせよコラムにせよ、この色にはこの色を,この髪にはこの肌にはといった意見(ガイド?)のようなものを目にする機会がありますが、私は基本的にざっくりとした雑な正確なので、それらの意見は基本的に目にした次の瞬間には忘れてしまいます。それはスタイリング概念が希薄なのと同じく私の生業において良くないことなのですが。
先日もお客様が“形のバリエーションは多いけど、〇〇色と〇〇色と〇〇色の服ばかりクローゼットに増えてしまう”とおっしゃっていた時に、私は真逆なことを自覚しました。形のバリエーションは極端に少なく、色が様々在る と。
黒が/白が/寒色が/暖色が/アースカラーが/etc./etc./好きな人or苦手な人、様々居られますし、とある一着を御提案した時に着れるかなぁと優しくおっしゃられる方も居れば、着れませんよ!とはっきりおっしゃられる方も居て、もちろん好きにせよ苦手にせよ着るにせよ着ないにせよ皆様方の御心で是非御判断をと思いますが、一個人的にはもし僅かでも気になる色があれば、是非とも御自身の新たな側面として、それこそ色として御選択頂きたく思います。ヴィヴィッドもペールもダークも、色はとにかく楽しいですよ。いや、厳密には上質な感性や良質な背景や卓越した文化が産み出す色は楽しいですよ です。
ペールでドライのアイボリーの内側にブライトでモイストなスカーレット。このような色の楽しみ方“も”最高です。数多の文化人を楽しませた ARNYS Parisらしい一着。
そういえば先日美容室でシャンプーをしてくれた方が、その前にヘアカラーしたら気分転換になるかな的な話をしていたこともあってピンク色を御薦めしてくれました。20歳少々の御年齢の女性で、いわくピンクのマリモみたいで良いのではとのこと。私にとって20歳少々の御年齢の女性の御意見は本当に貴重です。ピンクの髪の毛、ピンクのマリモ。 有りだねぇ。
SURR 福留
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弊店にとって以前から鬼門のスーツ/セットアップ。調べてみたら前回の御提案は去年の九月末でした(あれもサイッコウに格好良かった)。ヴィンテージという世界は1stオーナー、2ndオーナーと推移するうえでの移動がつきもののためなかなか“揃って”出逢えない存在というかねてからの残酷な経験則である中で出逢えた一着は幸運にもミウッチャ女史のUomo最初期クリエイションピース。表記46、シンデレラボディの貴方様へ。
“トム・フォード氏が手掛けた時代”というGucci史の1ピリオドにおける、ランウェイでもコレクションでもなくSHOWと呼ぶに相応しいフィナーレより。屈強なレザー、屈強なディティール、屈強なスタイル性を異常値なエレガンス概念にて。デザインの世界,モードの世界,ファッションデザイナーという肩書きが産んだ世界へようこそ。
1956年のパラトルーパージャケット。これも嬉しい出逢いでした。かねてより直感的に特別視していましたし、かねてより滅多に出逢えませんでしたし、特殊で特徴的なコンセプトデザインが格好良過ぎる存在。“1956年のデッドストックかぁ。すげぇモダンだなぁ。でもまぁ56年だもんな”と、ふと50sでそこそこ古いくらいみたいに考えている自分がそこには居て、いやいや待てよ今年で65年経過だぞ と。そこそこ古いくらいって感覚狂っちゃってるって と。このように度々自分に語り掛けるのです。なんせゆったりした店だもんで。もしかしたら無意識に一人で喋っているかもしれませんねぇ。
ニットメーカーとして最古とされるスコットランドの老舗。こちらはナインティーズプロダクトですので、培ってきたクラシック概念と当時におけるモダニズムが調和したバランスで、それを約30年経った今捉えると何とも絶妙なバランスで格好良く着易いという、老舗×モダニズム×今が美しく繋がる方程式。特にミニマムフィットで設計された肉厚なショールカラージャケットが最高。どっしりとした佇まいですが滅茶苦茶軽やかな着用感。それもそのはずピュアカシミア。なんといってもグリーンカラーがたまらない。色は本当に楽しい、いつまでも大好きな要素です。
例えば明るいイエローを初めて見るのがこのハーフコートだとしたら、きっとその人はイエローカラーが好きになるし着たくなるし、派生して明るい色そのものが好きになるのではないかと思いますし、その逆もしかりでしょう。色を楽しみ愛する私個人としては大変に由々しきことです。私はこの生業のおかげで色を見るのも着るのも大大大好き。それは弊店及び弊社がどうこうではなく、ヴィンテージという世界そのものが,特にモード史がそもそもにおいて色に満ち溢れに溢れて永遠に楽しく美しいということ。そういえば色の話題は度々お客様方との会話でも挙がります。脱線しましたが、このコートは流石申し分なく素晴らしい。カジュアルでありデイリーであり、自然体にダンディでありファッショナブルでもある。服飾における良い要素が結集したヴェロニク・ニシャニアン女史によるライフスタイル・ファッションピース。
以上、今週の新作でございました。気付いたら前回の新作ご報告から一週間、私はいったい何をしていたのか。何かの皺寄せでしょうか。よし、次回は色に関して書こう。
SURR 福留
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楽器を製作していた会社が1967年にレザーメーカーに変化し、デザインレザー/レザーテーラーという新たなジャンルを確立したところ追随するメーカーが後を絶たず、結果先駆者にも関わらず1979年に廃業という結末を迎えた East West Musical Instruments。ファッションデザイナー“全員”が教科書にしていると言っても過言ではなくファッションデザイナーの“ほとんど”が大なり小なりサンプリングしていると言って過言ではない、紛れもなく服飾史の1ページを刻んだ伝説的なレザーメーカーの残した様々なデザインレザーピースの数々。それらのほとんどは1968年~1970年代半ばまでに製作されましたが、こちらはその前である設立初年度に製作されたとされるプルオーヴァーレザーシャツ。この時代のみラベルデザインが異なります。伝説的デザインを生み出す以前のため良い意味で服飾史に刻まれた East West のイメージとは異なりますが、立体構築の美しさは紛れもなくそれ。48サイズの身体で少々肩がつっぱるフィッティングです。
そしてこちらが全盛である1968年~1970年代半ばまでに製作された個体。East Westはプロダクトごとにユニークなモデル名を付けることで知られていますが(個人的に一番好きなモデル名はEmperor of Low IQ、低知能の帝王です)、こちらは残念ながら滲んでいて判別できませんね。このような純シャツモデルはとても珍しいんですよ。しかもXLほどのサイジング。モダンに着こなせるリアル East West です。
ヴィンテージ Missoni でピュアカシミアは初めて出逢いました!
名匠 Brioni のピュアカシミアジャケット。軽やかな織りで春も無理なくお楽しみ頂ける一着です。個人的にサルトリアの品々はテーラードジャケットとして正統派であればあるほど(勝手ながら)着こなしを崩せない,遊べないと捉えているのですが、ヴィンテージサルトリアのクラッシックなバランスであれば無理なく崩せて遊べて楽しいです。一度知ると抜け出せませんよ。
1995AWの1stキャンペーンビジュアルで採用して以降、近年に至るまでヘリテージ的に製作しているポコノ素材のスポーツジャケット。いかにミウッチャ女史がこのメンズスタイルバランスを愛しているかが伺えます。近年では見られない妖艶なダークブラウンカラー、ライニングがウールなので見た目究極的にさっぱりしながらも抜群の防寒性(私は今日もMy2018AWコートを着てきました。裏地無しの一枚生地仕様なのですが、それでもフロントをしっかり留めて身体を包めばバッチリ暖かいです)にて日々をお過ごし頂けるライフスタイルピースです。フロントがジップアップではなくボタン。このミリタリーライクな個性様式もやはり最初期である1995-1997sプレゼンテーション時代ならではか。
以上、今週の新作でございました。どうか雪がそれほど積もりませんように。
SURR 福留
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