親愛なるミウッチャ・プラダ女史。彼女ほど最初期のクリエイションに後々の全てが詰まっている/揃っているデザイナーはいないのではないでしょうか。ゆえに後の23年間(PRADAにラフシモンズが参入したファーストコレクションは2021SSですが、個人的に彼女のフルクリエイションは2018AWのキャリアハイにて終了していると勝手ながら捉えています)は最初期のプロダクトをリミックスしたり若干アレンジしたりシルエットスタイルを調整したりといった時代のムードと彼女の気分に則ったREクリエイションが数多く行われました。
“私もおじいちゃん(創始者)みたいに素材感で皆をビックリさせたいわ”という想いから発掘された軍事用素材ポコノの発見であったり、“なんか私たちの鞄の偽物を作っている会社の社長(後の伴侶)が私にメンズウェアをやれとか言ってるわ”というアドバイスから始まったPRADA Uomoのクリエイションであったりと、常に革新的で挑戦的であると同時に歴史と伝統を重んじ、今を未来へと繋げて未来で過去を見返すヘリテージ要素が元来から強かったミウッチャ・プラダ女史。彼女のクリエイションはラフシモンズへと受け継がれて新たな世界観として一層の人々を楽しませていますが、弊店にとって今のPRADA Uomoと1995年から2018年までに発展し続けたミウッチャ・プラダによるPRADA Uomoは明らかに違う存在です。どちらが偉い偉くない,凄い凄くないではありませんが、ミックスコーディネートを前提としたスタイル性でロゴを前面に掲げないコンサバティヴな基本姿勢を貫き、オーヴァーサイズフィッティングであっても直線ではなくクラッシックな仕立て文化の曲線を採用していたミウッチャ・プラダによる Vintage PRADA Uomoが弊店は好き。
2021年11月27日(土)に御披露目させて頂いて以降、弊店のレギュラーメンバーとなったVintage PRADA Uomo。これからもじっくりとゆっくりと、大きな声ではなく大きなうねりも生まないかもしれませんが一点一点着実に御提案させて頂きたい所存。それでは2023年初のVintage PRADA Uomoセレクションです。
1998SS RUNWAY EXIT19, pure fleece wool sports jacket.
2000AW RUNWAY EXIT30,padded trench coat.
2001AW RUNWAY EXIT30,medicine bag.
2002AW RUNWAY EXIT4,wool and nylon inside-out coat.
そしてこちらが上記と異なりランウェイがないプレゼンテーション形式のみであった最々初期の1995-1997sクリエイション。全世界3店舗のみでしか展開されていなかった母数が極端に少ない時代の御品です。相変わらずポコノが服として構築された時の存在感は凄いですねぇ。。。二着目なんて自分で撮っていおいて何色だよって一人呟いてしまいました(若干青みを感じるグレーです)。
2018AWのクリエイションが大好き過ぎて絶対に何か買おうとPARISのフォーブール・サン=ドニの店舗に行ったら丁度今日入荷したよというスーパーキラーワードと共に提案してくれたナイロンギャバジンパンツを愛用しまくっていてもう一本買っておけば良かったと後悔している私的にはやっと出逢えたVintage PRADA Uomoのナイロンギャバジンパンツ。しかもパデッド、しかもウエストドローコードと喜ばしい限りの構築。これは堪りません。100本入手して常に店頭に置いておきたいです。
New arrival,1995-2006s PRADA Uomo selection.
御期待頂けましたら鳴々此れ幸い。
SURR 福留
03-5468-5966
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やりました、ヴェロニク・クリエイション初期時代のブレザー。しかもカシミア×シルク、しかもダブルブレスト。嬉し過ぎて踊りだしたくなる出逢いです。
“美しいネイビーのフランネルのジャケットとレザーのものなら何でも”
過去のインタビューで男性が身に着けるべきものという質問にそう答えたヴェロニク女史。確かにランウェイの最後に姿を見せる彼女の姿はいつも極めてナチュラルでスタンダードで何より彼女に良く似合っているコンサバティヴゆえにその解答も説得力しかありませんし、時代,トレンド,ムード,気分に応じて/適合して変化しながらも彼女曰く就任から最新のコレクションまで一貫して同じテーマで同じ本の章を積み上げ続けていると語るHermes hommeのクリエイションも、やはりスタンダードやコンサバティヴのファイナルアンサーばかりであるように感じます。私は以前からスタンダードスタイルやコンサバティヴスタイルを好んでいたものの、服飾という生業ゆえスタイルとしての攻めが少ない自分で良いのだろうかと悩むこともありましたが、彼女のような存在に人知れず励まされて今があります。とは言えやはりコーディネートを楽しんでおられる御客様や匠に精査される御客様と相対すると羨望が止まりません。如何せん弊店の御客様方、本当に素敵な方々ばかりなので。自信のスタイルはコンサバティヴで良いですが生業としてのスタイルの攻め方コーディネートの精査性は最近改めて勉強している心持ちです。それこそCHIRICOのディレクター鈴木とかスタイリング好きですからね。勉強になりますね。
と言うことでこの度三連続新作Hermesクリエイションの最後はメンズスタイルヒストリーにおいても現代のスタイルにおいても王道のブレザーであり、勢を極めたHermes hommeクリエイションであり、ヴェロニク・ニシャニアン就任して間もない初期個体という個人感情としては幻レベルの存在であり本気で垂涎な一着です。彼女の初期クリエイションはそれこそ時代,トレンド,ムード,気分に適合された当時のHermes hommeスタンダードバランスでありながら時代を経た今向き合うと個性と癖を感じる良い意味で簡単ではない設計バランスが猛烈に蠱惑的で、個性と癖があるからこそ良い意味で簡単ではないからこそ、それを咀嚼して受け入れた際には他では得難い旨味を御認識頂ける、一種の麻薬のような魅力要素を備えているのです。
端的に申しあげるとその個性と癖は肩の強さ。彼女は洒落た粋な両親の元で育ち、とりわけ父親のスタンダードだけどさりげなく御洒落な姿に,その背中に強い影響を受けてファッションデザイナーを目指すに至ったため、Hermes hommeのクリエイティブディレクター就任直後はそんな父の背中を連想させるかのような強いショルダーラインが特徴となります。当然コンセプトプロダクト以外はスタンダードを極めるのでことテーラードジャケットは着丈もしっかりと在りますし、様々な身体への適合を目指すためシルエットバランスもベーシック。それに方の強さが調和しますので、ヴェロニク・クリエイション最初期の味付けは特にクラッシックで、それが現代目線だとデザインシルエットないしコンセプトプロダクトに感じられるというのが興味深くて面白くて堪らないロジック。個人的にも超幸いなことに彼女の初期クリエイションのテーラードジャケットを所有していて毎年楽しく着ているのですが、今期は特に今っぽさを感じる一張羅として例年以上に楽しめています。
1992s Hermes homme cashmere silk double breasted jacket.
カシミアとシルクによるフランネル,ミッドナイトブルーカラー,ゴールドボタン。兎にも角にも最強の一着。彼女の個性と癖を独自に解釈して是非現代の装いとしてお楽しみ頂きたい。いずれにせよ彼女の就任から最新のコレクションまで一貫して同じテーマというクリエイション・フィロソフィーは確かです。ネバーエンディングストーリー。
SURR 福留
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地味にカウンターが回って1100になりました。1に戻るまであと8899、1100になるまで約9年かかったので単純計算であと72年で、仮に週五でDiary更新するとしても37年ですか。頑張ります!拘ることが気分的にトゥーマッチになり持論を可視化する行為が心的にトゥーマッチになってから数年経ちまして、自分としてはそれまでよりも自分らしく書けている気分なのですが、先日顧客さまに最近のDiaryはテンションが高いと指摘された時はちょっと気恥ずかしくなりました。引き続きトイレ時間や電車の待ち時間や一服中に御査収頂くべき片手間読み物を目指して精進です。
先日のリバーシブルボンバーに続いてHermesクリエイション。同じHermesの看板を背負っていてもHommeもFemmeもバッグもアクセサリーも全て別会社のような独立部門であるのがまた天晴れ。なので昨日のリバーシブルボンバーと本日の一品は完全に別チャンネル。楽しいですねぇ。
スモールレザーバッグ・シリーズなどでもいつも様々なニーズに向けてプロダクトを発信する姿勢に気付く度、個性を重視し自分に対して謎に自信があるにも関わらず自己肯定感が低い私は“そのままで良いんだよ”と優しく声をかけてもらっているような、その“誰が欲しがるねん”と言われそうな存在にも必ず何処かの誰かが必要としていて、その際は往々にして求める熱量が大きいという厳しい世界の優しい事実を可視化してもらっているような、暖かく幸せな気持ちになるのです。王道としてモテてこられなかった(一応まだ諦めていないけど),主役として脚光を浴びてこなかった(これはもう諦めているけど),常に赤レンジャーではなかった(これは別に良いけど)私はそんなHermes社の日陰者の私にも手を差し伸べてくれるかのような全方位型の姿勢が大好きでならず尊敬して止みません。
ですのでこれもまたズガンと痺れました。見た目はゴン太のロングウォレットのようですがその実は旅に持ち運ぶ用のノート。素晴らしい、なんて素晴らしいニッチプロダクトなんだ!ステーショナリーカルチャーには以前から在りますね装丁が極端に柔らかいので丸めたり畳んだりできるノート、それを現在は既に廃盤となった軽くて柔らかくて擦れや汚れに強く耐水性も有した加工の雄仔牛レザー,クシュベルで製作したのがこちらのHermesプロダクトとなります。
シンプルの極み。最強です。
New arrival,1992s Hermes Veau Graine Courchevel travel note.
とんでもない贅沢かもしれませんが、それが与えてくれる豊かさは言語化も理論家も叶わない生きる希望です。“ずっとこれだって言うトラベルノートを探していたんだ!”な貴方の御来店、心よりお待ち申しあげております。
SURR 福留
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