建築学,航空学,フランス空軍パイロットを経てからファッションの世界に入り、クリストバル・バレンシアガを師事した後の1961年にデビュー。ファーストコレクション“白の幻想”にて高い評価を得て1965年の“ミニ・ルック”にてそれまで醜悪とされていた女性の膝頭を解放しファッションシーンに大衝撃を与えた後も“コスモ・ルック”や“シースルー・ルック”などの様々なコレクションによって服飾史を牽引していたフランスのファッション・デザイナー,アンドレ・クレージュ氏。ミニスカートの発案者はマリー・クワント女史だと言われていますが、オートクチュール・コレクションで初めて採用したのは彼なんです。私にとってアンドレ・クレージュ抜きに服飾史を語ることは、至極当然不可能。
我々はデザイナーズヴィンテージと定義する区分には様々な人々が居りまして、その内容は年々更新しています。2050年に成ったら2020年代をヴィンテージとしているということですね。はてさていったいどんな内容になっているんでしょう、その頃にはアレやコレが良いクリエイションに感じられるのでしょうか。神のみぞ知る。なので今とSURR設立直後も違いますし、旧体制であったウィメンズとメンズ混合のLAILA VINTAGE時代の頃なんてもう本当に全然違います。更新され続ける今をモダン・デザイナーズヴィンテージとしたら旧LAILA VINTAGE時代は紛れもなくクラシック・デザイナーズヴィンテージ。そう、クラシックなんです。
その頃は前述した60年代を一つのカテゴライズとして強く濃く認識していましたし、実際にそれを特出して好まれる御客様方も少なくありませんでした。今はきっとファッションを学ぶ立場の方や調べるのがお好きな方でしたら一つのカテゴライズにしているかもしれませんね。事実雑誌や映画やCM用の衣装として“シックスティーズスタイル”という御要望の声が消えることはありません。それほどまでに明確な世界観を有するシックスティーズを構築した数人のうちの一人であるアンドレ・クレージュ大先生は元々建築や航空を学んでいたり、1967年の時点でオートクチュール部門をPrototype(原型)、プレタポルテ部門をCouture futur(未来のクチュール)、ニットなどの軽い衣類部門をHyperbole(双曲線)とクリエイションを3つに分けるといった今のアチラさんやコチラさんのような姿勢を先行して行うなど近代未来に対する関心が強くそれらを先読みして行動に移す方で、それゆえに膝頭を開放したりコスモ(宇宙)ルックなどが産まれたのですが、それと同じく大先生本人が愛して止まなかったフューチャリスティック素材にビニールがありました。いわゆる化繊素材、ここでもアチラさんやソチラさんの顔が浮かびますね。
このスタイルを本当に好んでいたようで、時代を越えて様々なシーンでの着用が確認されています。上記の記録写真ではウィメンズプロダクトを着用しているのでCourrages hommeが始動する1973年以前ですね。
こちらは1976年の記録写真。メンズプロダクトになっていますね。
そしてこちらがミッドナイトブルーカラーの同プロダクト。デザイナー本人が愛用していた個体の御提案が叶うなんて本当に光栄ですよ、大先生。
と言うか、と言うか、とゆーか。この時代のCourrages homme自体出逢ったことがないし記録写真もキャンペーンビジュアルも一度も見たことがない。これを譲ってくれたコレクターも同じくでした。2020年にニコラス・デ・フェリーチェが就任して70年代のビニールジャケットをアイコンとしてReedition名義でメンズでも展開した時にこんな感じなんだーって関心したくらいですもん。なんだよラベルデザインかっけぇなぁ、ac(Andre Courreges)ロゴ横並びしか見たことなかったけどHommeだと縦バージョンになるんかい、サイズ表記Cってそのカルチャーを知っているからA→Sサイズ,B→Mサイズ,C→Lサイズって分かるけどそうじゃなきゃ珍紛漢紛(ちんぷんかんぷんって漢字あるんですね)やないかい。15年以上向き合っててもなお“はじめまして”、面白いって。
New arrival,early70s Courreges homme vinyl jacket.
リーバイス2ndジャケットSTYLE、フレッドペリーのポロシャツを愛用していたがための胸元ワンポイント、特徴的なFULLパイルライニング。独創的過ぎるって面白過ぎるって大先生。
これは私にとって紛れもないミュージアムピースであると同時に現代のファッション目線において独創的なテクスチャーで,堪らなく好みなカラーリングで,猛烈に愛する腰丈でクラシックカルチャーを直接的に感じさせつつオリジナリティー満載で,現代的な着こなしにマッチするオーヴァーサイズというリアルクローズに適し過ぎており,コンディションが抜群なヴィンテージピースです。本当ありがとうございます過ぎるって大先生。
SURR 福留
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マスク自由化となって皆様いかが御過ごしでしょうか。もちろん弊店も着用は自由でそれを機にエントランスでの検温を省略させて頂きました。いやぁ、会話が楽で大いに助かります。体感的にマスク着用時の70%くらいの力で充分に話せるのでもしかしたらこの数年で地味に肺活量が高まったのかもしれませんね。かねてより換気を兼ねて窓を全開にしておりまして、こういう時には立地は悪いながら風通しが良い空間であることに改めて感謝。先日よりすっかり春めいてきた東京、大変に気持ち良い日々です。なお先にインスタグラムにも記載しましたが、もし花粉など外気の影響を受ける場合は閉めますので、引き続き御気軽にお申し付けくださいませ。
はてさて3月もそろそろ終わりということで(そういえば先日は天赦日と一粒万倍日が重なる春分の日でしたね。母から宝くじを買うよう指令がありました)、新年度を先行で祝して個人的に特級の新作3点を御披露目させて頂きます。70年代初頭、80年代初頭、1989年と順にデザイナーズヴィンテージにおけるメンズヒストリーを追って頂ける面々です。
80年代初期ですら一部のクリエイション区分だったら大々興奮なのですが、前回の旅順にて70年代初頭まで遡ることができました。これは曲がりなりにも一応デザイナーズヴィンテージを学びその歴史と共に歩んできた私にとって列記とした事件であり天変地異とも言える出逢いで、弊店は品々をアートピースとしてもミュージアムピースとしても御提案する気は微塵もありませんし更に言えば衣類をそのような扱うこと自体に抵抗があるのですが、久しぶりにきました、無理なくアートピースとミュージアムピースと捉えられる存在。
でももちろんデイリーウェアとして御提案させて頂きますよ、それは絶対。時を越えた今のこの社会だからこその感性と着こなしで、是非に。
New arrival,Designer vintage history selection,early70s,early80s and 1989s.
あーこの感じは絶対一人で興奮しちゃうパターンだな。たまに御客様と交流していてあるんですよね、あー今俺一人で空回ってんなって時。たまにじゃないか、てへっ。今回は週明けから1着ずつ粒立ててDiary書く予定です。投稿順を年代を古い→新しいにするかその逆にするか、考え中。
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私は化繊の服をほとんど着ません。薄ぼんやりと回想しているのですが常用していた時期もなかったような気がします。引き出しの奥から出てきたTEEシャツを部屋着にしたらすぐに不快な感覚になったのでタグを見たらコットン50%×ポリエステル50%だった時はどんだけ慣れていないんだと自分に呆れましたし、一昨年くらいから春夏は中川政七商店のピュアコットンソックスを色違いで穿き回し秋冬はモンベルのピュアメリノウールソックスを穿き回すようになりましたし、アウトドアメーカーの服は着たことがないし。そんな化繊経験値が極端に少なく正直に申しあげて若干苦手な私が唯一着るのが、そして手持ちの中でもお気に入り度が高いのがミウッチャさんによるナイロンプロダクトです。
様々な意図と意識によって選出されクリエイションを文字通り彩るポコノを筆頭としたナイロン素材。強い軽い肌触りが良いなどの有意義で有益な存在感は皆様御存知の通りかと存じます。上質な天然素材と同じくナイロンを愛しているミウッチャさん、その起点はやはりポコノとの出逢いでしょうか。その瞬間に今に至るまでの確実な“勝ち”が頭に浮かんだんじゃないかと思うほどにナイロンの扱い方、そして活かし方に長け過ぎているように思います。実際に活用し愛用することで生じる機能性に気が付いた時は狂喜したんじゃないかなぁ。
中でもこのナイロンの有意義さ有益さは尋常ならざるものがあります。体感的にはポコノの1/2から下手したら1/3の薄さと軽さで、それこそ“シャカシャカ”な質感は私が最も縁遠く感じるイージーなクリエイションで目にするようなチープなそれを想わせますが、やはり段違いに上品なのは言うまでもありません。細いナイロン糸を高密度に編み上げた一層滑らかな肌触りは生地の軽さも相まって触っているのに触っていないかのよう。
正直言って私はこれまでここまで軽いナイロンを自身に求めたことはないのですが、今の私はこの軽さと滑らかさに猛烈に惹かれています。触っているのに触っていないかのような着ているのに着ていないかのような軽やかさ、ポケットの実用性、程好い腰丈。こんな絶妙なプロダクト、無いです。ここまで惹かれるのは確実に加齢によるスタイルとライフスタイルの変化ですね。年取るって、面白れぇ~。
ジップアップとマジックテープのコンビネーション、良いぞ良いぞ良いぞ。ぴっちり閉じて防寒性を求めても良いし一箇所だけピッとマジックテープを留めるだけでも良いし。私は確実に大助かりな着方です。ブラックとホワイトのスポーツジャケットスタイルとミッドナイトブルーのフ―ディースタイルはいずれも名期1998SSのプロダクト。そのシーズンの特徴である絶妙なオーヴァーサイズフィッティングなのでスポーツジャケットはともにSサイズ表記なのですが46サイズほどのフィッティングでフ―ディーはLサイズ表記なので50から52サイズほどのフィッティングとなります。ミウッチャさんのスタイル提案に則ってオーヴァーサイズで着るもよし御自身の好みに則ってナチュラルフィットで着るも良し。どうぞご自由に。あーこのストイックなスポーツジャケットスタイルは女性にもはまるだろうな、素敵だろうなーやばいな痺れるなー。
これはブランド側からの提案には含まれていないはずなのですが、あれ?できるんじゃねぇ?と思ったら無理なくできました、ポケッタブル。きっとこうやるのが助かる時もあるはずです。気温が微妙な日とかふとした折りに着なくなった時とか、雨具の替わりとか。ポケッタブルで悪いことはありません。
New arrival,1998SS PRADA Uomo super light nylon sports jacket and foodie.
いやーマジで良い。良過ぎます。
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