金や貴石や天然石を用いたファインジュエリーの類を弊店ではパーソナル(な要素を主張しがちな)ジュエリーと捉えているのに対して、それ以外のほとんどをファッション(的な要素として楽しめる)ジュエリーと捉えてしばし御客様方に御案内することがあります。寿司とステーキ,中華とイタリアン,蕎麦とウドンなどと言ったように、双方それぞれ異なる磁力で惹かれて楽しめるのがパーソナルジュエリーとファッションジュエリーの関係性でして、そこには良し悪しの概念もどちらが偉いという指標は皆無なのは至極当然で、もちろんあくまで弊店の捉え方ゆえファッションジュエリーをパーソナルなジュエリーとしている方も多数居られることと存じます。そういえばいつも御世話になる特定区分における超絶スペシャリストであり私が勝手に心の師の一人としている彼は超ごついインディアンジュエリーをそれこそまさにパーソナルな結婚指輪にしているもんなぁ。
寿司も食べたいけどステーキも食べたい、中華も良いけどイタリアンもなぁ、そんな二択あってこそ人生というもの。引き続き皆様方には二択と言わず三択四択とカオティックに迷いまくるくらい幅広く様々な世界観とカルチャーを御査収頂き、様々な選択肢があって困っちゃうーと言いながら顔は半笑いみたいな日々を過ごして頂きたく存じます。
弊店らしいゆっくりとした空気と同じく本当に有難いことに1点1点とゆっくり旅立っていきケース内がだいぶと寂しくなってしまいましたので新作のジュエリーを御披露目させて頂きます。10あっても1旅立ったら明確に9に成ってしまい補充という概念が希薄なのがヴィンテージの若干切ないところであり、補充がない代わりに新たな出逢いという刺激を得られ続けるのがヴィンテージの最高に楽しいところ。弊店はごく一部を除いてRe-Stockの経験がありません。
個人的にファッションジュエリーの最筆頭株であるデンマークジュエリーを主にヴィンテージTiffanyが1点、PRADAのランウェイピースが1点となります。ソリッドなシルバーテクスチャーはやはり続々とゾクゾクさせてくれますし、個人的にはあの頃コレに出逢えていたらアレ買わなかったんだけどなー的な2本のブレスレットは是非手首寂しい貴方や貴方に御覧頂きたいです。まぁそういう自分用にいつまで経っても出逢えなかったから怒りの銀座ダッシュ即決がアレだったんですけどね。身に着け続ける→一切身に着けない→身に着けるの流れで今はたまに身に着けるのフェイズに突入しています。やっぱり楽しいですよね、ファッションジュエリー。
New arrival,Vintage fashion jewelry selection.
また身に着けたくなってきたな、アレ。
SURR 福留
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そういえば先日御客様からSNSをやっていないのでDiaryの更新は助かるとの有難い御言葉を頂いた時に自分も“そうそう、最近ブログが無かったり更新されないショップ多いんだよな!”と最近思っていたことを言語化できました。ブログというコンテンツからSNSというコンテンツへの移行は当たり前になりましたねぇ今更ですが。ブログは既に形骸化してしまったのでしょうか、引き続きDiaryを更新し続ける自分は相も変わらずで良く言えばクラシックないしオールドSTYLE悪く言えば時代遅れ。私の中では自己形容は後者の方がしっくりきますHAHAHA。
あ!あと日本でもやるんですねゴルチェのミュージカルFASHION FREAK SHOW!!!2018年に運良く現地で観覧できたんです。下はその時のワンカット。
滅っっっ 茶苦茶面白かったもんなぁー構成とか演出同じかなー同じだとしたらオープニングムーヴィーは必見なんだよなー。舞台とか知人が出てるのしか行かない造詣や趣きを微塵も有さない私ですが存分に楽しめました。5/19から6/4までみたいですね、皆様も機会ございましたら是非に。
さて、そんなゴルチェさんとTHE ALFEEの共同ライブが行われた1989年に製作されたこちらのHermes hommeジャケットのライニングはヴェロニクさんの最々初期にのみ採用されていた一見それと認識できないHが隠された超絶格好良いデザイン。私をどこまでも興奮させてくれます。
複雑で豊かなカラーリングと光沢が相まってなんかこの写真CGみたいじゃないですか?特に一枚目。なんというかピクサーのカーズ的なテクスチャーと言うか、たまに自分で撮っておいて脳が混乱することがあるんですが、今回は特に顕著。その理由はピュアシルク・フランネルの起毛を伴う光沢感でして同社ならではの特出して特別で贅の限りを尽くした素材選びに仕上げはここでもまた着る本人だけが濃く強く感じられる最上の楽しさと幸せに成ってくれます。
“着る人の個性特性を邪魔せず、陰ながら支えてそっと底上げする”。そんなクリエイション哲学を一貫することによって一冊の本に一つの章が増えるかのようにコレクションを積み重ね続けるヴェロニクさん、良い意味でその時その時の時代性を感じさせながらも太い縦軸で繋がった世界観は最初期であればあるほどに彼女の根本的なパーソナリティーを色濃く感じさせてくれますが、先の1992年クリエイションよりも更に古い1989年クリエイション、やはり肩と背中が抜群に逞しく凛々しく果てしなく美しく儚い。出逢えて触れられて、そして現代の一着として御提案できて幸せです。
New arrival,1989s Hermes homme houndstooth pure silk jacket.
先日東京でランウェイやっていましたね。その前後日は道端にやはらめったら洒落た欧米人が多数居り眼福でした。ショーの最後に登場したヴェロニクさん絶妙なレッドカラーの腰丈ジャケット着ていましたね、アレアレ、美しさと機能性を天秤にかけた時後者を選んで羽織りました的なスタイルムード。最高です。
SURR 福留
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先日この一着に対して“ムッシュってこんなのも作ってたんだ”という御言葉を頂いたのですが、私はムッシュに対してそのように思ったことが無かった。何故ならばムッシュはなんでも作ってきたから。退任する少し前にキャリア40周年を記念して過去クリエイションを総集結させたドラマチックなショー(BGMはラヴェルのボレロ、最高)がスタジアム,スタッド・ドゥ・フランスで行われたのですが、終了後に幾人かから“あまり刺激的ではなかった”というコメントが寄せられました。しかしながらその理由はムッシュが後々のファッションデザイナーや人々のスタイルに強い影響を与え過ぎたがためにの過去クリエイションの数々が街中で当たり前のように見かけるほど人々の間に定着してしまったがためのものという、一見否定的なコメントながらいかにムッシュが偉大なファッションデザイナーであるかを物語ると言うエピソードがあるくらいですから。
しかしながらなんでも作ってきたムッシュにおいても今回の一着ほどデザインリソースが個性的と言うかユニークと言うかフェティッシュなことはほとんどないように思います。そもそもにおいて60-80年代のRive Gauche hommeが幻のような存在であることを,ウィメンズのクリエイションと比較すると出逢いの確立は1/100以下であることを,デザイナーズヴィンテージを長年専門的に収集してきた現地のコレクターですらその存在を認識していないほどであることを,当然ながら私も10年ほど前にとあるコレクターの下で出逢うまでその時代のRive Gauche hommeなんて存在することを一度も考えなかったことを差し置いて、単純明快にユニークなリソースを採用した一着なんです。
ザラリとドライなライトコットンを採用しアイヴォリーとカーマインでまとめたこちらのツートーンの腰丈ジャケットのモティーフはなんとテニスプレイ。テニスではなくテニスプレイです。サイズ表記が存在しないがためにフィッティング提案が読めないのですが、身幅のボリューム感に対して短めの袖丈バランスもプレイを考慮すると納得で、更に細身なアームと何よりボールが落ちないがための特殊なスラッシュポケット設計が紛れもなくテニスではなくテニスプレイであることを示す特出してユニークかつフェティッシュなリソースなのです。想像の域を出ませんが、本当にテニスプレイ用に製作されたと言われても不思議ではない構築なのです。その可能性がゼロではないのがそれこそなんでも作ってきたムッシュならではというもの。
New arrival,early80s Yves Saint Laurent Rive Gauche homme tennis jacket.
可愛くないですか?でも着用時のスタイルはダンディにも成れます。そこはやはり良質で上質なクリエイション特有の懐の深さで着用者の特性に合わせて印象を変化させられます。軽くてスポーティーで上品でシックでしっかりと個性的なコットンジャケット、春夏の羽織りの最適解の一つですね。
SURR 福留
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