長くやっていても、時に “ 初めての衝撃 ” に出逢う事が出来ます。頻度は高くないものの、やはり各分野, 各文化が長い時間をかけて培った積み重なりは奥深く、例え何十年専門家として生業にしていようとも全てを見尽す事は叶わず、いつまでも心震わせてくれます。
その衝撃は時に直情的に手に入れたくなり、時にそのまま記憶するに留まり、時に取捨選択に迷う事がありますが、私にとって全てが本当に大切な瞬間です。特に、迷うという出来事には重きを置いておりまして、諸々の兼ね合いで難しさを感じながらも惹かれてしまうという感情の錯綜は、やはりどうしようも無いほどに楽しく思うのです。ネガティヴ要素を覆すほどの求心力は、滅多にございませんので。
ロンドンの田舎町に住む “ 仕事としてではなくライフワークとして心底楽しんでいる熟練のヴィンテージコレクター ” から譲り受けた一着は、驚異的な衝撃を私に与えてくれました。諸々の兼ね合いの中には 『 これを認めてくれる人がいるのだろうか 』 という疑問符も、正直に申し上げてあったのですが、それら微弱な懸念を跡形もなく吹き飛ばすほど “ 濃密なモード ” を感じましたので、悩みつつもほとんど直情的にセレクトしていました。私にとってこのモードを連れて帰らないという選択肢は、結局は初めから無かったように思います。
そもそも、 『 これを認めてくれる人がいるのだろうか 』 というアイテムを皆様にご提案するという行為が、私の生業において重要度が高いのではないかと強く感じます。それこそ仕事ではなくライフワークに近しい想いです。着る人が限られる, スタイルが限られる。難解だからこそ編集する意義があり、提案する価値があると心から想うのです。
その特殊性ゆえクリーンナップに膨大な時間を費やす必要がありましたが、ついにお披露目の準備が整いました。
とあるコート
SURR by LAILA 福留
03-5468-5966
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この度の新入荷からは、浅学な私ながらバブアーの中で最も珍しいと認識しております一着を御紹介させて頂きます。
80年代中期の約3年間しか製造されなかった事もあって、その詳細には未だ様々な謎が包まれているモデルですが、やはりバブアーの理念と美学が詰まっておりますゆえ、プロダクト・ピースとして圧倒的な存在感と存在意義を内包する一着です。
モデル名、“ The Military ”
他に類を見ないDPM迷彩による総柄バブアー。一見同ブランドには見えない驚異的なテキスタイルとその名称からイギリス軍の特注品という説もある一着ですが、様々な推測と、何よりこれを譲ってくれた英国紳士の意見を総合的に鑑みると “ 一般向けに販売されていたモデル ” であると考えられます。しかしながら紳士曰く、当時の軍に所属していた人々からも高く支持されており、彼らはわざわざ自費で購入していたそう。
バブアーにおいての様々なモデルの中でも特出して圧倒的な希少性を誇るモデルですので、これに出逢う事が出来、紳士より譲り受ける事が出来た私は本当に幸運でした。
見事なまでに刺激的で、ある種アヴァンギャルドとも言える一着ですが、各所にバブアーのポリシーが存分に詰めこまれており、着用時の利便性, 快適性とそれに比例するスタイルの芳醇さは筆舌に尽くし難く、イギリスという国のもと育まれた同国だからこその美意識には、畏敬に近しいほど尊敬の念を抱きます。
80s Barbour , The Military
今一度申し上げますが、利便性, 快適性は完璧に近いほど。そしてスタイルは Tough であり Utility であり、底知れぬほどに Elegant 。
趣味趣向は様々ですが、それに沿っておられるのであれば間違いなく、またご興味頂けるのであれば必ずや御満足頂ける一着だと、不肖福留、革新的なほどに確信致しております。
SURR by LAILA 福留
03-5468-5966
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現代的な目線か否かは別としても充分に刺激的で個性に満ち溢れた面々は、1970年代という幾何学模様やモチーフが豊かであった時代に則って生まれたテキスタイルデザイン。どの角度から見ても充分過ぎるほどユーモラスなアニマルシリーズは、良い意味で作為的なパーソナリティの演出に相応しく、タイという伝統的な装飾だからこそ際立つというもの。
遊び心存分ながらも可愛らしさだけで済まされないのは、やはり Hermes だからこそ選択できる肉厚なシルクのテクスチャーと、素材が上質だからこそ実現できる色調あってのもの。ゆえにファッションに精通した大人が楽しんで然るべき装飾性だと私は強く想い、出逢えた興奮をディンブルに挟んで Paris より連れて帰った次第です。
70s Hermes , silk tie “ animal Series ”
カレ・デザイナーの中でも古株で、半世紀以上デザインを続ける Cathy Latham による一枚、 “ Oiseawx Migrateurs ” は、彼女の作品の中でも異彩を放っているように思います。
数多の作品を生み出している彼女ですが、実際は決して仕事が早いというわけではなく、一枚のデザインを仕上げるのに膨大な時間を費やす事で知られており、だからこそ本作もユニークなモティーフを取り入れながらも精緻な構図バランスによるエレガンスが両立しているのです。
まとめた際のテキスタイルバランスは絶妙に控えめ。ながら時折り除く顔や羽といった象徴的な要素による圧巻の存在感と、心地良くてならないカラーバランスを存分にお楽しみ頂きたいです。
なお今回は、彼女の代表作である “ Les Clés / 鍵 ” もセレクトしているのですが、らしくなさにどうしようもなく惹かれ、この一枚をピックアップさせて頂きました。
そして、初代カレ・デザイナーである Hugo Grygkar の一枚も、この度セレクトする事が出来ました。
作品名 “ Ex libris ” は、タイトルの象徴性と Hermes で最も代表的なモティーフの “ 馬と従者 ” が描かれている事からもお分かりの通りカレにおいて重要な位置に属する一枚で、 2015 A/W の新生ナデージュを筆頭に、幾度となくデザインソースとされたサンプリングされた紛れも無い名作です。
具象性ならではのテキスタイルバランスと絶妙なトリコロールカラーは、いかなるスタイルにおいても圧倒的なコントラストを発揮。個人的に広げた時の芸術性を特に感じる一枚ますが、だからこそ日常的なスタイルにおいて、静と動にてお楽しみ頂きたいと思っております。
数あるそれぞれの中から抜粋にて御紹介させて頂きました。
いずれにせよ感覚的にお認め頂けましたら、幸いに思います。
SURR by LAILA 福留
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