“ 人形の洋服を人間のサイズに拡大する ” 言葉からも想像が膨らむコレクションが行われたのは1995年の事でした。
一般的に人間のものと同じマシンやパーツを用いて作られる人形用の服は、その小ささゆえに通常の服作りでは行われない縫製上の個性やディティールを有しますが、それら全てを忠実に拡大するという極めて前衛的かつ独創的な着眼点で、数ある名作的な初期作品の中でもまず挙げられるほどマルジェラにおいて重要なコレクションとされています。
的確なコンセプトのオリジナル・アイディアはややもすれば奇抜で終わってしまいますが、それをモードに直列で繋げるバランス感覚と色褪せる事のない感性濃度がマルジェラの本質的な魅力の一つ。忠実に拡大されているがゆえに非現実的な各パーツのサイズ感、オーバーサイズに潜む特異に独創的なフィッティングパターンなど、極めて高度な個性が詰め込まれていながらも綺麗に統合されたスタイル。
マルタン・マルジェラが居た頃の Maison Martin Margiela に対しての評価は今なお高まり続けているようです。ある種カリスマ的な支持はやはり濃密な頃のコレクションピースを目にすると、紛れも無い実力によるものだと再認識できます。なにせ袖を通すと圧倒的ですので。
95s Maison Martin Margiela , DOLL collection blouson
機会ございましたら、見にいらしてみてください。これもまた、ファッションが純粋に楽しいと思わせてくれる稀有な一着です。
SURR by LAILA 福留
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『 一度手にすると手放さない 』 一種の中毒性を秘めたアイテムは様々ございますが、ことオリバーゴールドスミスのヴィンテージに関しましても、それが言えるのではないでしょうか。
Victoria and Albert Museum 収蔵という事実が物語る通り英国にとって極めて重要な存在で、ゆえにヴィンテージ市場になかなか姿を現しませんが、その中でも一層の希少性を誇るのがオプティカル ( 眼鏡 ) タイプ。やはり “ 個 ” をより明確に濃厚に、直線的に示すアイテムとして、所有者が滅多に手放してくれないのです。
しかしながらこの度、私達が認識している最古年代のオプティカルに出会う事が出来ました。なんと販売当時のラベルが完備したデッドストック ( 未使用品 ) にて。
素材生成からフォルム形成に至るまでの全過程に注がれた職人の技術と熱意による “ 説得力 ” こそ、ヴィンテージ・オリバーゴールドスミス最大の魅力です。
際立つ限りに際立ったエッジと、とろけるようなカッティングは英国らしい重厚感を保持していますが、フレームラインは英国らしくない繊細さ。この “ らしさ ” と “ らしくなさ ” の共存こそ本品の特異性で、王道的なスクエアフォルムを静かかつ危険なほど妖艶に仕上げています。
喋れないのではなく喋らないだけ。真の実力を秘めているからこそ黙っていられる。そんな器の大きさと無限のポテンシャルを感じてなりません。
初代オリバーゴールドスミス氏は元々眼鏡のセールスマンでしたが、良いと思えるフレームが無かったために自らのオプティカルブランドを設立しました。そんな彼の理想の一つが本品であれば、完敗と乾杯の心持ちで素直に感服するしかないと思います。
人の好みは様々ですが、御人によっては相対するにあたって完敗を御覚悟頂く必要があるかもしれません。少なくとも私にとってはオリバーゴールドスミスの本質である “ 寡黙で芳醇な圧倒的説得力 ” をマニアックなベクトルで示してくれる、興奮するアイウェアです。
そう、私はオリバーゴールドスミスに完敗した人間なのだ。
early 60s Oliver Goldsmith 『 Mayfair 』 , deadstock
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