ヴィンテージ・デニムにおいて最もな特性であり、魔性とも言える特徴が “ 個 ” によって異なる仕上がりではないでしょうか。
同モデル・同時代・同サイズ感であったとしても、生産工場や過ごしてきた過程によってテクスチャーやシルエットのバランスが全くの別物に仕上がっているからこそ、ヴィンテージ・デニムは狂おしいほどに人々を魅了し、例えベスト・ピースを所有していたとて、新たな一本もう一本と手を伸ばさせ続けますが、異なる仕上がり全てが在るべき姿で、全てが時代に左右されないスタイルを表現してくれるからこそ、求め続けて然るべきかと存じます。
例えば、
王道 Levi’s 501 redline でありながら、何処かの誰かが何かを目的に行ったカスタムによって、近年のデザイナーが創るそれのような出で立ちを獲得した一本が在ったり、
それよりも前時代にリアルワーカーズのリアルな着用で仕上げられた、Big E ならでは奥ゆかしい一本が在ったり、
従来とは比較にならない画期的なスリムテーパードによって、現代においては独立した存在感と希少性を獲得した 606 Big E において、惚れ惚れするほどの濃さのみならず ” スラックス・スタイルの裾仕上げ ” という、最高にクールでクレバーなスペックの一本が在ったり、
それらデニムに限らず、ヴィンテージ全般の文化と歴史を多角的に解釈したうえで、類稀なる独創性と創造性を発揮したデザイナーによる 99s コレクションのコンセプティヴ過ぎる一本が在ったりと、デニムの ” 個 ” は作為的にも無作為的にも発生し発展するために、どれもが魔性とも言える魅力を備えております。
この度、じっくりとセレクションを重ねて揃ったメンバーを一挙お披露目させて頂きました。これからの季節のための、これからの人生のための一本を機会ございましたら是非に。
Newarrival , Vintage denim.
SURR by LAILA 福留
03-5468-5966
[email protected]
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グリーンカラー、コットン素材のブルゾンという極めてプレーンな一着は、もともと英国のとあるコレクターのアーカイヴピースでした。
1924年設立の英国を代表するブランドの一つ, Belstaff。以前にご紹介した TRIALMASTER を筆頭に今なおヴィンテージピースとして、ファッションアイテムとして高い人気を誇る同ブランドにおいて、その TRIALMASTER が産まれる遥か以前に作られた 40 年代のピースとなると、長らく BIG メゾンと仕事をする生粋の英国人コレクターである彼にとっても極めて重要な存在だったために、当初は譲り受けることが叶いませんでした。しかし、それを目にして以降どうやっても記憶から消えてくれなかったために、私は老獪敏腕刑事よろしく緻密に時に狡猾にアプローチを半年にかけて続けまして、なんとか手にすることが叶いました。
ヴィンテージと向き合い、皆様にご提案するのが私にとって極めて重要な事柄でして、ヴィンテージはこれまでの歴史や文化という要素を多分に含んでおりますので、例えば Belstaff という英国ならではの文化を内包した存在の、これまで目にしたことのないタグデザインを目の前にしますと心底胸が高鳴ります。また、 40s という極めて古い時代の高品質な綿、さらに言えば元々浸透していたワックスが中和されてのテクスチャーとなりますと、無地・単色でありながらテキスタイルデザイン・マルチカラーと同等な奥行きと奥深さを感じずにはいられず、“ 皆様にご紹介したい ” という想いが止まらなかったのです。
しかし、本品は単純に ” 歴史的価値 ” や ” 年代特有の魅力 ” では留まりませんでした。
元々は自転車に乗る際に羽織るために生まれた一着でして、短い着丈やディティール、外側にカーブしたアームの縫い合わせなどにその意図が込められておりますが、軽やかな生地感と後のモデルにも共通する、本当に心から “ モダン ” に感じるパターンメイクによって、純粋に一着の洋服として、一つのスタイルとして強烈に心に訴えかけるのでした。
40s Belstaff , cycling jacket
洋服として、とにかくプレーンな一着です。が、だからこそ年代に伴うテクスチャーと柔和な落ち感、色調、ミニマムな構築、背中のフラットなモード感。全てが調和するスタイルは私にとって一つの完成型に思います。
SURR by LAILA 福留
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