素直になれ、自分 / Diary244
26.3.2016

スタンドカラーにフロント 4 ポケットのワックスコットン・ジャケット。この要素を満たす一着を以前ご紹介させて頂きましたが、この度は近しいようで異なり、かつ驚異的にイレギュラーな一品に関して書かせて頂きます。

 

 

 

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英国の老舗ライダースジャケット専門ブランド, Belstaff。その代表モデルと言える ” TRIALMASTER ” はかねてより人気の高い、希少性の高いアイテムとして御認識の方も多いことと思います。ライダースジャケットという分野の確立最初期にあたる 50 年代に生まれた本品はリアル・ライダースが相棒として着用していたため GOOD コンディションが残りづらいという背景もございますが、何より希少性を高めた最たる要因は、スタイルの説得力ではないでしょうか。

素材やディティールから成る出で立ちは見事なまでに男性性が強く、また機動力を目的としたパターンメイクにより迫力をも獲得しておりますが、着用すると最終的に収まる着地点はあくまで ” スタイリッシュ ” 。それに論点を置くならばバブアーよりこちらに軍配が上がるかもしれません。
そう、悔しいほどに格好良いのです。

服を見て悔しいというのも可笑しな話ではありますが、とにかく私にとってトライアルマスターは “ 悔しいほどに格好良い一着 ” でした。そしてこれも可笑しな、可笑しいというより滑稽な話ですが、格好良すぎてセレクトを避けてやろうか。と思うほどでした。と申しましても実際は、単純に納得できる一着に出逢えなかっただけなのですが。

 

 

そんな思春期にも似た複雑な想いを胸に抱えて赴いた、とある英国紳士のアーカイヴルーム。
そうそうたるラインナップの中にトライアルマスターが居ることは職業柄わりあい早めに気付いておりましたが、そこで駆け寄っては彼奴の思う壺。それこそ悔しいったらありませんので、我関せず涼しい顔で、精一杯の反抗として一番遠い場所から見進めました。

しかしながら時は酷なもので、対決は避けられません。腕まくりで気合を入れ、上々たるコンディションを冷静に、いつも以上のポーカーフェイスで ( こういう時に眼鏡をかけていて良かったと思います ) 受け止めて第一試合はクリア。こちらの動揺は感づかれませんでしたのでドローです。続いていざ第二試合と心の褌をきつく締め直しバックスタイルに向き合ったその瞬間、それまでの頑張りや反抗は脆くも崩れ去り粉々に打ち砕かれ、私の思春期は終わりました。

 

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『 なぜバックポケットが付いているんだ 』
相手が生粋の英国紳士であることも忘れ、そう日本語で叫んだように思います。いかんせんあまりにも驚きましたので、そこら辺の記憶がやや曖昧です。通常のトライアルマスターには付くはずのないバックポケット。最初は疲れで目がかすんだのかと思いましたが、確かにそこにある二つのバックポケット。
聞けば、モトクロスバイクなどに乗るプロライダーがベルスタッフに個人でオーダーしたであろうカスタム仕様らしく、長らくプロフェッショナルを相手にしてきたその紳士にとっても初見のディティールとのことでした。
誇らしげな紳士のしたり顔は、確か以前も目にしたような。今回も彼には完敗でした。

もう悔しいとかセレクトしないでやろうか、等と言っている場合ではありません。頑張りも抵抗も、いったい誰と戦っているんだという話です。思春期なんぞとうの昔に終わっているではないか。素直になれ、自分。

 

 

 

 

 

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60 – 70s Belstaff , TRIALMASTER , pro – rider’s custom order

一度素直になってしまえばあとは簡単なもので光陰矢の如しと申しますか、今ではすっかりメンバーの一員です。自分の単純さには甚だ呆れかえりますが、これも一つの人生として向き合うしかございませんので引き続き精進致します。
それにしても本当に、素直になって良かった。

 

 

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真に細部に宿る Elegant / Diary243
25.3.2016

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季節とリンクするかのように変化し続ける空間を、常に心から楽しんでいます。今週もピーキーやスタンダード、ピーキーかつスタンダードなどの旅で出逢えた新作が多数入荷致しましたので、それらを今期のテーマに沿ってのべつ幕無し混沌に編集する時間は、私にとって未だに良い意味で未知な刺激体験。

本日はその中からクールなスタンダード・トラウザーズと、ピーキーでレイシーなスタンダード・トラウザーズを御紹介させて頂きます。

 

 

 

 

 

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この時代に数多存在するブラックデニムですが、それらは様々な意味で幾つかのヴァリエーションが存在し、異なるスタイルを演出出来るのが楽しさの一つです。今回の旅では諸々な意味合いの中でも “ テクスチャー ” において特出すべき、喜ばしい一本に出逢う事ができました。

粒のコントラストが明確に際立つブラックデニム。浅薄な私めながらここまでのものには初めてお目にかかります。ヴィンテージ・リーバイスにおいては近年に寄った一本ですが、前々時代を彷彿とさせる奥ゆかしいテクスチャーによって獲得した重厚感と存在感によって元がクールなブラックデニムを一層クールにお楽しみ頂けるのではないかと思い、メンバーに迎い入れた次第です。

 

 

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90s Levi’s 501 , black

この時代ならではのシャープなテーパードに、乾杯。

 

 

 

 

 

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一見猛々しい装い出で立ちながら、どうしても隠せないトム・フォード氏の美意識。その DNA を受け継いだ ( 受け継いでいながらも、良い意味で挑戦的なコメントも残しているという ) 新生 Gucci との寡黙な共通項を感じさせつつも、時間を吸収した要素が折り重なって最高にピーキーでレイシーで、ドラマティックなまでにエレガントなラムレザー・トラウザーズ。
ここまで類似品がないほどに突き抜けていると、問うも語るも愚かな唯我独尊性を感じずにはいられませんが、その実プレーンなディティールと純粋に美しいレッグラインに敬意を表し、これもスタンダードの一つとしてご提案させて頂きます。

 

なお、余談ではありますが、本品のフロントホックは同時代のイタリア・デザイナーズで稀に見ることが出来るパーツでして、私が所有しているトラウザーズでも幾つか確認できているのですが、そこに刻まれている文言に気付いた時、本当に本当に心が震えました。

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90s Gucci by Tom Ford , lamb leather trousers

真に細部に宿る Elegant に、完敗。

 

 

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即断即決 / Diary242
21.3.2016

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生粋のバッグコレクターのもとで出逢った瞬間に、こう表現したくて我慢なりませんでしたので、迷い無しの即断即決でした。

私のような若輩者でも一応様々なモノグラムを目にしてきたのですが、こちらは正真正銘のお初。見慣れなさ過ぎるこのデザインはフランスを代表するデザイナー, ピエール・バルマンによる P とB を現すモノグラムでして、プレタポルテやクチュールなどのピースで馴染みはあったものの、このようなアイテムの存在は全く認識しておらず、驚きました。
どうやら 60 ~ 70 年代にオーダーメイドのみでこれらモノグラム・バッグを展開していたらしく、職人技術と芸術性の探求心から成る、成る程な存在感で ” そりゃ惚れさせるわ ” とおおいに腑に落ちたものでした。

 

 

 

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これらは当時、一人のパリジャンのオーダーによって生まれたペアバッグでして、一つは両面が開く独創的なスタイルでそれぞれ異なるフレキシブルな収納仕様。もう一つはフロントに特徴的なバンドが付随しており、新聞や書類, 傘や薄手のジャケット等々を挟んで持ち運ぶ事が出来る機能性ディティール仕様となります。
オーダーメイドならではのオリジナリティ溢れるカスタムスタイルのみならず、共に日常使いを念頭に置いたであろうサイズ感によって本体の軽量化にも成功した、悔しいほどに隙がない格好宜しさでございます。

 

 

 

 

 

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70s Pierre Balmain , order made briefcase , pair.

ペアで生まれたお品ですが、もちろん単体でお選び頂けます。

一先ず私は、これによって芽吹いたブリーフバッグ欲求を満たすべく精進する所存です。さて、いったいいつ出逢えることやら。これまた長い旅路になりそうな予感を切実に感じつつ、一抹の不安とややこい情念を感じつつ、今回はこれにて失礼致します。

 

 

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