昨シーズンに ” 際どさ ” というお題目で一着のメゾン・コートを御紹介させて頂きましたが、先日の旅でそのスプリング Ver ともいえる系譜を継いだ一着と幸運にも出逢うことができました。
これから長くお楽しみ頂きたいという想いからコンディションには特に厳正な基準を設けているのですが、時に ” 過去着用者の形跡 ” が魅力を絶大なほど強大に高めてくれることがあります。ゆえにその一着は諸々の判断基準がありながらも、とにかく ” 際どさ ” がとことん際立っており、その説得力は別格なのですが、いかんせん偶発的なものですので求めて出逢えるものではございませんでして。
古い年代らしく、よりアノニマスにベクトルを向けたスタイル提案で、ボタンの刻印以外にそのメゾンと判別できる要素はございません。しかしながらテクスチャーからどうしても滲み出てしまう品位や風格は、やはりトップ・メゾンのそれでして。シルクを思わせるテクスチャーでありながら、その実、最上級な化繊で表現されたエレガンスは驚異的で、素材選びにも元々のバルカラーコートがもつ ” 雨具 ” という定義を表現しようとする実直なメゾンポリシーを感じさせてくれます。
なお、掲載画像で表現しておりますお色味は本体と異なります。ご覧頂くモニターによって差異はありますが、おそらくどのような環境下でも色味を表現しきれていないことでしょう。テクスチャーは基本的にマットでありながらも、光を受けると繊細な光沢感が出ますため、どのように撮っても本質を捉える事ができませんでした。シンプルに申し上げますとモスグリーンなのですが、その印象もお人によってや TPO によって微細に異なるかもしれません。その捉えきれない色調とテクスチャーが、とにかく驚異的な魅力です。
ドイツの写真家, アウグスト・ザンダーが作品において、社会から切り離された人々をラスト・ピープルと表現しているのですが、このコートを初めて目にした時、直観的にその表現を思い出しました。メゾン・ポリシーとそれを手掛けた職人の心意気、そして過去着用者の形跡によってラストピープルな際どさを要していますが、その真隣にはいつもエレガンスが居るかのような変則的すぎる存在感が楽しくて仕方ありませんでしたので、きっとこの一着と出逢った瞬間、私は異様なまでに破顔していたことでしょう。
late 70s Hermes , oversized spring coat
捉えきれない色味とフォルムは、たっぷりとしたオーバーサイズで存分にお楽しみ頂けたらと思います。
SURR by LAILA 福留
03-5468-5966
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今回のセレクションが加わることによって必然的にランダム性が高まり、一層カオティックになりました。個人的には空間のハーモニーが濃くなったように感じ、嬉しいです。
早々の旅立ちもございましたが、新作はまだまだ多数ご用意致しておりますので、空想の映画用 BGM というテーマで作曲された現代音楽のサクソフォンの音色と共に、皆様の御来店をお待ちしております。
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昨日、買付けの旅より帰国致しました。
この度は今期の自分なりのテーマに則って、ヴィンテージという存在に対して一層フラットな気持ちで向き合いました。
各地のコレクターに赴き出逢えた品々は、王道や邪道はもちろん、 “ こうくるか ” と驚かせてくれるものや “ まさかこんなものが ” と唖然させてくれるもの、かねてより探し求めていたものや半年かけて口説き落としたものまで。喜びを噛みしめ想い出を振り返らずにはいられません。
その感情と温度と空気を少しでも多く御体感頂くべく、本日より随時新作をお披露目してまいりますので、機会ございましたら、どうぞ宜しくお願い致します。
SURR by LAILA 福留
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