以前にも書かせて頂きましたが、メゾンヴィンテージのほとんどは WOMENS アイテムです。その事実は別段問題なく、ファッション歴史, 特にモードの歴史は女性のために積み重ねられたものですので、そう在り続けるべきで、だからこそ豊かな発展と芳醇な広がりに繋がったのだと思います。
いわゆる MENS メゾンヴィンテージと言いますと、スーツやシャツといったフォーマルなアイテムに限られます。それは60 – 70年代のプレタポルテ発足から全盛にかけては特に顕著なのですが、これまでに2着のみその時代の MENS メゾンヴィンテージに出逢う事が出来ました。( うち1着は昨年のこちら http://surr.co.jp/archives/3459 )
ようやく出逢えた3着目の MENS メゾンヴィンテージ。それはムッシュ・サンローランが人生を掛けて行ったクリエイションにおいての指標とも言えるスタイルの、モードのお手本たる一着でした。
1962年の YSL 立ち上がりから2002年の引退まで。約40年間という長きに渡ってモードを牽引し続けたムッシュは、数多くのデザインやアプローチを打ち出し、世の中に新たなスタイルの旋風を巻き起こし続けましたが、その中でも特に代表的と言えるルックの一つがミリタリーです。昨今においては至極当たり前の世界観で、目にしないシーズンはありませんが、元々着飾るためのファッションではないミリタリーの要素をモードと大々的にコネクトした先駆者がムッシュでした。
写真集やネットアーカイヴなどで数多く目にする機会があり、 LAILA VINTAGE でも稀に実物を御紹介させて頂く事のあるサンローランのミリタリールック。モードの歴史において欠かす事の出来ないアイコンであり、私としては分岐点の一つとすら思っているアイテムでして、本品を右前の合わせにし、ボタンなどの装飾品を豪奢にするとそのまま WOMENS のそれに早変わりするほどの象徴性がこの一着には注ぎ込まれておりますが、そこはやはり流石のサンローラン。精密で繊細なアレンジが随所に注ぎ込まれております。
力強いショルダーラインに厳正なるモードを感じさせつつコンパクトなウエストラインに微塵も違和感無く繋がる、男性のボディラインに配慮の限りを尽したパターンメイク。一見ワイドなアームもその身頃と絶妙なバランスで成り立っており、全体を一つの物語として捉えた時の起承転結は完璧とも言える美しさ。ゆえに男性にとっていささか難解に思われるショートジャケットでありながらも、申し分無く上品かつ力強い男性性でお楽しみ頂ける一着に仕上がっています。
デザインソースはイギリス軍のバトルドレスジャケットでしょう。お手本に忠実でありながら完全なるオリジナルピースと言える成り立ちは、“ これぞデザイン ” 、“ これぞモードのお手本 ” と心から称賛出来る仕上がりで、ムッシュという才能の尊さを再確認させてくれます。
モードの歴史を培ったメゾンヴィンテージにとっての、シンボルとも言えるサンローラン WOMENS ミリタリールック。それと密接な通じ合っていながら、どこまでも男性的にリ・デザインされ仕立てられたプレタポルテ全盛期のサンローラン MENS ミリタリールック。
70s Yves Saint Laurent , prêt-à-porter military jacket , mens
過去出逢ってきた2着も見事でしたが、それ以上にムッシュの魂を濃すぎる程に色濃く感じさせてくれる一着です。幻と思えるほどに出逢えないのも、これでまた納得出来ました。
紛れも無いミュージアムピースですが、いつもの通り SURR は現代の街中で颯爽と着こなすリアルクローズとしてご提案致します。
SURR by LAILA 福留
03-5468-5966
[email protected]
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旅はいつでも一期一会で全てが掛け替えのない時間ですが、今回は格別に衝撃的だった出逢いとその一着を御紹介させてください。
弊社が今も運営し続けていられるのは皆様のご愛顧あってですが、その中でも最も重要な要素は “ 人と人との繋がり ” です。一人が知ってくださり、その方が一人を御紹介くださる。これこそ継続の根幹なのですが、ヴィンテージを探し求める旅もまた人との繋がりが極めて重要です。ヴィンテージにとってその不確定性は不変であり、ゆえに私自身も含めて魅了され続けているのだと思います。
この度も、人の御縁あって知り合う事が出来たパーソナルコレクター。物のやり取りを生業としない高純度なファッショホリックならではの “ 個 ” に振り切ったプライベート・コレクションから譲り受ける事が出来たのは Top of Top な一着でした。
ラムレザー・ヌバックと総裏のシルクという有り得ないスペックのレザーシャツ。これまでの経験や感覚を一切合切クリアにするほどの存在感に圧倒されながらも、自らを奮い立たせ細部に注視すると浮かび上がる “ アメリカン ” で “ セブンティーズ ” な匂い。トップメゾンだからこその最上級マテリアルと熟練の職人技術を惜しみなく駆使して仕立てられた究極のスタンダードに、極めてさりげなく注がれる一種のアンダーグラウンドのバランスは、トレンドに目を向けるのではなく、メゾンが長い歴史で培った品位を大切にし続けているからこそ成り立つのだと感じます。
正直に申し上げると、第一印象は “ 怪物だ ” でした。ファッションを純粋に楽しむ, スタイルを探求する, 職人技術に敬意を払う, クオリティを追い求めるといった、メゾンの存在意義やクリエイションの根幹を具現化した怪物だと思い、心が震えました。
Vintage Hermes , leather shirt
色調、テクスチャー、フォルム、スタイル。全てにおいて100点を掲げられる一着。スリムなパターンですのでジャストサイズでもオーバーサイズでもご提案させて頂きます。
ここまで書いておいて申し訳ありませんが、正直感情の全てをうまく言葉に出来る気がしませんので、ご興味頂けましたら是非実物から感じて頂きたいです。とにかく私はこれに袖を通す時間全てがきっと掛け替えのないものになるのではないかと思わずにはいられません。そのように感情を喚起させてくれるファッションアイテムは、尊いです。
SURR by LAILA 福留
03-5468-5966
[email protected]
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ムッシュのアイデンティティーとメゾンの美学が特に色濃く反映されていた 60-70s イヴ・サンローランのテーラードジャケットは、バリエーションの少なさが遺憾ともしがたいメゾン・ヴィンテージの MENS アイテムにおいては勿論のこと、長い歴史において様々仕立てられてきた様々全般を見渡してもなお、優先的にご提案したいジャケットの一つです。
身体を立体的に包み込む構築、スリムながら負荷の少ない軽やかなフィッティング。正真正銘に紳士的でありながらも、極めてほんの僅かながらの女性性を一滴加えているかのような繊細な色気は、やはりモードの “ 帝王 ” だからこそのバランスだと思います。
それがコーディュロイにて表現されるという極めて興味深いアプローチ。沢山のサンローラン・テーラードを目にしてきましたが、その中でも良い意味で異端的に受け入れられる本品は、前述の妖艶さとヘヴィーデューティーのコンビネーションによって、特別な一着としてお楽しみ頂けるのではないかと思います。
“ コーディュロイの極地的なダンディズムとムッシュの不変的モードの調和 ” 魅力はとにかくこれに尽きます。明確な旨味成分と柔和な旨味成分のそれぞれがぶつかる事なく馴染んでくれておりまので、それと同じように様々なスタイルに馴染んでくれる事と思います。私は一先ず、ニュートラルカラーのショーツと合わせる Spring スタイルまで妄想致しました。
70s Yves Saint Laurent , corduroy tailored
希少な 36size フィッティングですので、少しでも琴線触れられましたらこの機会にお試しになられてみてください。
生地, ディティール, パーツ, 縫製。いつまでも輝き続ける “ 上質さ ” をこれからのリアルクローズとして是非。
SURR by LAILA 福留
03-5468-5966
[email protected]
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