生粋のバッグコレクターのもとで出逢った瞬間に、こう表現したくて我慢なりませんでしたので、迷い無しの即断即決でした。
私のような若輩者でも一応様々なモノグラムを目にしてきたのですが、こちらは正真正銘のお初。見慣れなさ過ぎるこのデザインはフランスを代表するデザイナー, ピエール・バルマンによる P とB を現すモノグラムでして、プレタポルテやクチュールなどのピースで馴染みはあったものの、このようなアイテムの存在は全く認識しておらず、驚きました。
どうやら 60 ~ 70 年代にオーダーメイドのみでこれらモノグラム・バッグを展開していたらしく、職人技術と芸術性の探求心から成る、成る程な存在感で ” そりゃ惚れさせるわ ” とおおいに腑に落ちたものでした。
これらは当時、一人のパリジャンのオーダーによって生まれたペアバッグでして、一つは両面が開く独創的なスタイルでそれぞれ異なるフレキシブルな収納仕様。もう一つはフロントに特徴的なバンドが付随しており、新聞や書類, 傘や薄手のジャケット等々を挟んで持ち運ぶ事が出来る機能性ディティール仕様となります。
オーダーメイドならではのオリジナリティ溢れるカスタムスタイルのみならず、共に日常使いを念頭に置いたであろうサイズ感によって本体の軽量化にも成功した、悔しいほどに隙がない格好宜しさでございます。
70s Pierre Balmain , order made briefcase , pair.
ペアで生まれたお品ですが、もちろん単体でお選び頂けます。
一先ず私は、これによって芽吹いたブリーフバッグ欲求を満たすべく精進する所存です。さて、いったいいつ出逢えることやら。これまた長い旅路になりそうな予感を切実に感じつつ、一抹の不安とややこい情念を感じつつ、今回はこれにて失礼致します。
SURR by LAILA 福留
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昨シーズンに ” 際どさ ” というお題目で一着のメゾン・コートを御紹介させて頂きましたが、先日の旅でそのスプリング Ver ともいえる系譜を継いだ一着と幸運にも出逢うことができました。
これから長くお楽しみ頂きたいという想いからコンディションには特に厳正な基準を設けているのですが、時に ” 過去着用者の形跡 ” が魅力を絶大なほど強大に高めてくれることがあります。ゆえにその一着は諸々の判断基準がありながらも、とにかく ” 際どさ ” がとことん際立っており、その説得力は別格なのですが、いかんせん偶発的なものですので求めて出逢えるものではございませんでして。
古い年代らしく、よりアノニマスにベクトルを向けたスタイル提案で、ボタンの刻印以外にそのメゾンと判別できる要素はございません。しかしながらテクスチャーからどうしても滲み出てしまう品位や風格は、やはりトップ・メゾンのそれでして。シルクを思わせるテクスチャーでありながら、その実、最上級な化繊で表現されたエレガンスは驚異的で、素材選びにも元々のバルカラーコートがもつ ” 雨具 ” という定義を表現しようとする実直なメゾンポリシーを感じさせてくれます。
なお、掲載画像で表現しておりますお色味は本体と異なります。ご覧頂くモニターによって差異はありますが、おそらくどのような環境下でも色味を表現しきれていないことでしょう。テクスチャーは基本的にマットでありながらも、光を受けると繊細な光沢感が出ますため、どのように撮っても本質を捉える事ができませんでした。シンプルに申し上げますとモスグリーンなのですが、その印象もお人によってや TPO によって微細に異なるかもしれません。その捉えきれない色調とテクスチャーが、とにかく驚異的な魅力です。
ドイツの写真家, アウグスト・ザンダーが作品において、社会から切り離された人々をラスト・ピープルと表現しているのですが、このコートを初めて目にした時、直観的にその表現を思い出しました。メゾン・ポリシーとそれを手掛けた職人の心意気、そして過去着用者の形跡によってラストピープルな際どさを要していますが、その真隣にはいつもエレガンスが居るかのような変則的すぎる存在感が楽しくて仕方ありませんでしたので、きっとこの一着と出逢った瞬間、私は異様なまでに破顔していたことでしょう。
late 70s Hermes , oversized spring coat
捉えきれない色味とフォルムは、たっぷりとしたオーバーサイズで存分にお楽しみ頂けたらと思います。
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今回のセレクションが加わることによって必然的にランダム性が高まり、一層カオティックになりました。個人的には空間のハーモニーが濃くなったように感じ、嬉しいです。
早々の旅立ちもございましたが、新作はまだまだ多数ご用意致しておりますので、空想の映画用 BGM というテーマで作曲された現代音楽のサクソフォンの音色と共に、皆様の御来店をお待ちしております。
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