0から1 / Diary871
27.5.2020

 

 

とあるお客様は当時を懐かしみ、「これもってたなぁ」「これあったね」とお言葉を頂き、とあるお客様は「僕の生まれた年です」と新鮮な目で感じて下さる。当時を体感して改めてそのものに触れる感動や 90 年代のクリエイションに対して既視感すら無く斬新に映る、前情報無しに単純に一つのものとして興味をそそられる事や不特定を愉しむのも一つの方法だと想いますが、今回は私の おうち時間 でまだ未完成ですが Dries Van Noten の 90 年代コレクションを年代毎に画像をまとめていまして(非常に時間と手間が掛かりますが)、現状ご案内の叶う商品をコレクションルック共にご覧頂ければと綴らせて頂きます。また、オンラインショップには全て掲載済みですので併せて見返して頂ければ新しい発見があるかも知れません。

 

 

 

1995AW Dries van noten striped wool sweater.

スポーツ&スクールスタイル

1995 年秋冬コレクションを代表する横縞

クラシックとの調和

 

 

 

1997AW Dries Van Noten military-style hooded coat.

ミリタリーインスピレーション

重ね着をする為に裏地を排除した潔さ

ビックシルエットスタイル

 

 

1994ss Dries Van Noten geometric gilet.

シルク×コットン×リネン

表が裏、裏が表

最後の男女合同ショー

 

 

1997ss Dries Van Noten multi color cotton sweater.
 

色彩豊かなコットンセーター

色×柄、柄×柄、色×色

フランシス・ベーコンの様な毒付いた配色

 

 

1997AW Dries Van Noten wool tailored jacket.
 

90 年代の同社を代表するフロントからヘムに架けての鋭いカッティング

計算された一枚仕立て

ボディコンシャスなフィット
 

 

いつもと違う目線でそのものを見たとき、また触れたときの感じ方は個々で異なると想います。当時私がカスタマーの頃、 SURR で出会った 90 年代の Dries Van Noten 。古いタグに何故か惹かれインディゴカラーのワークジャケットに一目惚れした事がきっかけで このジャケットはいつのコレクションでどんなイメージで着用していたのか と興味本位に調べに調べてやっとのことでそれを目にした時の0から1になる感覚と言いますか想像を超えた着こなしの感動たるや。

 

 

 

同じ感覚をとは想いませんが、同じ空気を御愉しみ頂ければ幸いです。

 

 

SURR by LAILA 鈴木

03-5468-5966
[email protected]

 

 

新作より、UMC / Diary870
26.5.2020

それでですね最近ふと想ったのですが、不変にプラスアルファで何かの要素が注がれた時に、不変の要素をしっかりと突き詰めていればいるほど、そしてプラスアルファが稀有であればあるほど怪物のような品が産まれる と。まぁそもそも数多くのファッションピースが不変を踏まえたうえで様々なアルファを注いで看板を掲げたりなんだりを行っておりますので、結局のところ全部当てはまると言えば当てはまるのですが、その際に不変に軸足を置くかアルファに軸足を置くかによって在り方が変わりまして、弊店は純正の雑食姿勢にてヴィンテージ / アンティークの様々を御提案致しておりますが、感覚的には不変に軸足の方がその化学反応は際立ち、怪物としての存在感は高まるように想います。

不変に軸足を置き追及すればするほどに、稀有ななにかしらのアルファをプラスした際に炸裂する存在価値。弊店における御推奨としてもかねてより、そしてこれからも申し分ございませんし、私は自身の衣としても大好物であります。

 

 

 

不変の追及といえばこちらの看板が代表的な一つでしょうか。“ 手に取ってくれた人が元来持つ魅力を損なわず、邪魔せず。陰ながらそっと押し上げるような存在を創りたい ” という理念を胸に秘めた一人の親愛なる女性が手綱を握って三十年以上経ちますが、その以前から感覚的には同じくなクリエイションを積み重ねていた同社。ですが、ここまで古い時代の Homme ピースは存在自体が未確認な UMC ( Unidentified Mysterious Clothing ) なために驚きを隠し得ないと共に、“ 本当にずっと変わらない目線であり続けて現代に至るんだなぁ ” と物質から再認識でき心が暖まります。

不変の追及に加えて申し分のない品質目線なうえで、この度更に加わりましたプラスアルファは時代性でして、服飾史におけるモッズと申しあげると端的なのですが、紳士においてもシャープでスタイリッシュで様式としてのゴージャスさ ( 時に性を越えるほどの ) が際立っていた時代ですので、各所に注ぎ込まれたディティールデザインとしての基本を押さえたうえでの豪奢さと、何よりもシルエットの美しさがこれまでに御提案してまいりましたどの同社トレンチコートよりも際立ちます。
しかしながら最終的な着地点は、悠然と “ 純・レインコート ” としているところが何よりもたまりませんでして、時代に即した要素を注ぎ込んだ個性が在りながらも、結局のところは何かと言えば身体を守る羽織りだぞ と。あわよくば雨も防げると尚良いぞ と。真にそう思っているからこその、なんとも言えない心地良さが秘められた一着でございます。

 

 

 

 

 

60s Hermes raincoat.

と綴っておりましたらほんの僅かですが雨が降ってまいりました。普段は億劫な心持ちになりますが、このような存在のお陰で悪くない気分です。

 

 

SURR by LAILA 福留

03-5468-5966
[email protected]

 

 

3W / Diary869
25.5.2020

気付いたらポンと、本当にポンという音と共に突如出現したかのようにさりげなく部屋の片隅に落ちていた紙を広げてみると、あまりにも懐かし過ぎるためなぜ今ここにと腰を抜かしそうになりましたが、よくよく考えてみたら数日前押し入れの奥にあった CD を久方ぶりに整理しておりまして、その時にどこかに挟まっていたのが落ちたのでしょうが、 CD という物質の行く末を想い、ジャケットのアートワークであったりブックレットであったりはやっぱり面白いじゃあないかと再確認し、音楽配信サーヴィスの予測推奨機能について考えておりましたので、気が付きませんでした。

 

 

 

十代の終わり頃。働いていたコーヒーショップの先輩 H 氏には業務関連の事柄と並行して様々な意味合いにおける嗜好品の類を文字通り教えて頂いたのですが ( そういえばそこに服飾に関しては含まれていませんでした ) 、そのうちの一つがとあるジャズピアニストでして、当時は今以上に音楽を雑に雑食に嗜んでいたもののジャズには明るくなく、氏との雑談でいつかは色々と聴いてみたいなどと口にした数日後に “ はい、ドメちゃん ( こう呼ばれていました ) これあげるよ ” と一人のジャズピアニストの音源を自身で選曲した CD をくださいまして、その中に推薦文と言いますか推奨文と言いますか、上記の紙が入っていたのです。
いつぶりかも覚えていないぶりの紙を眺めるでもなく眺めていると、今の私の生業との共通点である、いや、私の生業の根幹である “ 御興味頂ける誰かへの御推奨 ” がこの一枚に込められていることに気付くまでもなく気付きました。

俺いまだにめっちゃ聴いてるよキース。すげぇなハッシーさん。

 

 

 

私は H 氏から推薦されたこのジャズピアニストをいまだにとても聴いているだけでなく新譜が出たら買いますし、あまつさえ “ 好きな音楽は? ” と問われたらきっと五人以内に挙げるほどに愛好しているのです。これにはもちろんのことピアニストの才覚そのものが在りますし、それこそ著名な御方ですから、この一件が無くとも出逢っていたのかもしれませんし、それこそ昨今の音楽配信の予測推奨なども考えるときっと出逢っていることでしょうが、果たして今の心のように掛け替えのない存在に成っていたか。不毛な想像の一つですが私は否であると想わずにはいられません。

 

 

 

もしかしたら嫌いな音楽に成っていたかもしれない。そう考えると心の臓が震えますが、存外想像では済まないのではないでしょうか。私は十代の終わりに職場にて信頼する H 氏からの推薦で出逢いましたが、これが別の時に別の場所で別の人を経て出逢っていたら、嫌いに成る可能性なんぞこの世には幾らでも在ります。その危険性と恐怖心を伴うと同時に素晴らしい何がしにも成れる蠱惑的な “ 御推奨という行為 ” には、 5W1H ( ゴダブリューワンエイチ ) ではなく When いつ / Where どこで / Who 誰から による 3W ( スリーダブリュー ) が大きく関わることを一人肝に銘じてきましたが、この一枚の紙という視える形によって改めて認識することができました。

男性に向けてのヴィンテージ専門店であり、ヴィンテージを用いた装いに関して御提案・御推奨させて頂いております弊店。引き続き、いや今まで以上にこの行為と生業を丁寧に向き合わせて頂きたい所存です。

 

 

SURR by LAILA 福留

03-5468-5966
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