

弊店にとって以前から鬼門のスーツ/セットアップ。調べてみたら前回の御提案は去年の九月末でした(あれもサイッコウに格好良かった)。ヴィンテージという世界は1stオーナー、2ndオーナーと推移するうえでの移動がつきもののためなかなか“揃って”出逢えない存在というかねてからの残酷な経験則である中で出逢えた一着は幸運にもミウッチャ女史のUomo最初期クリエイションピース。表記46、シンデレラボディの貴方様へ。



“トム・フォード氏が手掛けた時代”というGucci史の1ピリオドにおける、ランウェイでもコレクションでもなくSHOWと呼ぶに相応しいフィナーレより。屈強なレザー、屈強なディティール、屈強なスタイル性を異常値なエレガンス概念にて。デザインの世界,モードの世界,ファッションデザイナーという肩書きが産んだ世界へようこそ。



1956年のパラトルーパージャケット。これも嬉しい出逢いでした。かねてより直感的に特別視していましたし、かねてより滅多に出逢えませんでしたし、特殊で特徴的なコンセプトデザインが格好良過ぎる存在。“1956年のデッドストックかぁ。すげぇモダンだなぁ。でもまぁ56年だもんな”と、ふと50sでそこそこ古いくらいみたいに考えている自分がそこには居て、いやいや待てよ今年で65年経過だぞ と。そこそこ古いくらいって感覚狂っちゃってるって と。このように度々自分に語り掛けるのです。なんせゆったりした店だもんで。もしかしたら無意識に一人で喋っているかもしれませんねぇ。




ニットメーカーとして最古とされるスコットランドの老舗。こちらはナインティーズプロダクトですので、培ってきたクラシック概念と当時におけるモダニズムが調和したバランスで、それを約30年経った今捉えると何とも絶妙なバランスで格好良く着易いという、老舗×モダニズム×今が美しく繋がる方程式。特にミニマムフィットで設計された肉厚なショールカラージャケットが最高。どっしりとした佇まいですが滅茶苦茶軽やかな着用感。それもそのはずピュアカシミア。なんといってもグリーンカラーがたまらない。色は本当に楽しい、いつまでも大好きな要素です。



例えば明るいイエローを初めて見るのがこのハーフコートだとしたら、きっとその人はイエローカラーが好きになるし着たくなるし、派生して明るい色そのものが好きになるのではないかと思いますし、その逆もしかりでしょう。色を楽しみ愛する私個人としては大変に由々しきことです。私はこの生業のおかげで色を見るのも着るのも大大大好き。それは弊店及び弊社がどうこうではなく、ヴィンテージという世界そのものが,特にモード史がそもそもにおいて色に満ち溢れに溢れて永遠に楽しく美しいということ。そういえば色の話題は度々お客様方との会話でも挙がります。脱線しましたが、このコートは流石申し分なく素晴らしい。カジュアルでありデイリーであり、自然体にダンディでありファッショナブルでもある。服飾における良い要素が結集したヴェロニク・ニシャニアン女史によるライフスタイル・ファッションピース。
以上、今週の新作でございました。気付いたら前回の新作ご報告から一週間、私はいったい何をしていたのか。何かの皺寄せでしょうか。よし、次回は色に関して書こう。
SURR 福留
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楽器を製作していた会社が1967年にレザーメーカーに変化し、デザインレザー/レザーテーラーという新たなジャンルを確立したところ追随するメーカーが後を絶たず、結果先駆者にも関わらず1979年に廃業という結末を迎えた East West Musical Instruments。ファッションデザイナー“全員”が教科書にしていると言っても過言ではなくファッションデザイナーの“ほとんど”が大なり小なりサンプリングしていると言って過言ではない、紛れもなく服飾史の1ページを刻んだ伝説的なレザーメーカーの残した様々なデザインレザーピースの数々。それらのほとんどは1968年~1970年代半ばまでに製作されましたが、こちらはその前である設立初年度に製作されたとされるプルオーヴァーレザーシャツ。この時代のみラベルデザインが異なります。伝説的デザインを生み出す以前のため良い意味で服飾史に刻まれた East West のイメージとは異なりますが、立体構築の美しさは紛れもなくそれ。48サイズの身体で少々肩がつっぱるフィッティングです。




そしてこちらが全盛である1968年~1970年代半ばまでに製作された個体。East Westはプロダクトごとにユニークなモデル名を付けることで知られていますが(個人的に一番好きなモデル名はEmperor of Low IQ、低知能の帝王です)、こちらは残念ながら滲んでいて判別できませんね。このような純シャツモデルはとても珍しいんですよ。しかもXLほどのサイジング。モダンに着こなせるリアル East West です。


ヴィンテージ Missoni でピュアカシミアは初めて出逢いました!




名匠 Brioni のピュアカシミアジャケット。軽やかな織りで春も無理なくお楽しみ頂ける一着です。個人的にサルトリアの品々はテーラードジャケットとして正統派であればあるほど(勝手ながら)着こなしを崩せない,遊べないと捉えているのですが、ヴィンテージサルトリアのクラッシックなバランスであれば無理なく崩せて遊べて楽しいです。一度知ると抜け出せませんよ。



1995AWの1stキャンペーンビジュアルで採用して以降、近年に至るまでヘリテージ的に製作しているポコノ素材のスポーツジャケット。いかにミウッチャ女史がこのメンズスタイルバランスを愛しているかが伺えます。近年では見られない妖艶なダークブラウンカラー、ライニングがウールなので見た目究極的にさっぱりしながらも抜群の防寒性(私は今日もMy2018AWコートを着てきました。裏地無しの一枚生地仕様なのですが、それでもフロントをしっかり留めて身体を包めばバッチリ暖かいです)にて日々をお過ごし頂けるライフスタイルピースです。フロントがジップアップではなくボタン。このミリタリーライクな個性様式もやはり最初期である1995-1997sプレゼンテーション時代ならではか。


以上、今週の新作でございました。どうか雪がそれほど積もりませんように。
SURR 福留
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昨晩帰宅している時にふと思ったのです、あれ?私まだPRADAのことしっかりDiaryに書いてなくない?と。御披露目のタイミングでサラリと触れて11月のNEWメンバーとしての加入以降定期的に御提案させて頂いているのですが、あれ?Diaryには書いてなくない?と。しかしながらですね、店頭にてお客様と交流している時に思ったんですよ、好き過ぎると上手く話せないなって。ギアが回転し過ぎてしまう感じというか、文字通り空回りしている感覚で変にテンションも高くなっちゃいますし。事実昨晩から今まで薄ぼんやりと考えていましたが、どう書けば良いか分かりませんでしたもん。実際これをタイプしている今も頭の中で喋っていることをそのまま書き出しています。いやー、やっぱり駄目ですね、好きになり過ぎると。皆様も経験ありませんか?好き過ぎて話せない的な。あー甘ずっぺぇっちゃ甘ずっぺぇ感じがして新鮮っちゃ新鮮なんですけどね。
あ、ヤバい。今回のDiaryダラダラ書きで長くなってしまうかもしれません。すみませんが宜しくお願い致します。

以前にも書いた通り、私はこの生業において好きなデザイナーという問いに対し一貫して“観るのは Yves Saint Laurent。着るのはPRADAです”と答え続けているのですが、以前は“あれ、PRADAのメンズウェアってどんなんでしたっけ?”的な顔をされるのがほとんどで、その度に絶妙に悔しい思いをしていたのですが、ある時期から“ですよね、PRADAのメンズウェア良いですよね”という顔をされるようになり、それもそれで微妙に微妙な気持ちになる時もありました。ある日なんて海外からいらした方がふと“貴方自身はどんなブランドを着るの?”と問われた際にPRADAと答えたら、あーそこ行く!分かってるねぇ的に言われて、はっきりと なんそれ と思ったのを強く記憶しています。2016年頃から一機にPRADAのメンズウェアの認知度が高まっていき2018年に意図的なPRADAプレートの積極採用でより一層 という印象です。
先日も某スポーツブランドとの共作が気になったので(特にパンツ。休日に良さそうだなと。ラインをインシームに配置って渋いねぇ。2013SSじゃーん。と)見に行ってきたのですが、改めてロゴで溢れかえっていることを思い知りましたよ。ちなみに共作パンツも特に白が素敵だったのですが少々細身なのと共作で二つ並んだロゴが気になってしまい断念しました。そして改めてミウッチャ女史の過去クリエイションが現代においても受け継がれ、時にリミックスされ時にオマージュされているかを思い知りました。
1995AWの発表を皮切りに始動したPRADA Uomoの歴史。1995AW・1996SS・1996AW・1997SS・1997AWの5シーズンはランウェイを行わないプレゼンテーション方式で1998SSからランウェイ方式に切り替わりました。



こちらは当時のコレクション誌に掲載されたプレゼンテーションの様子。いかがですか、このモデルさんの表情と絶妙な“いなたさ”。たまりませんね。セクシーなファッションとしての味付けがしっかり施されていながらもノーマルの範疇で、ドレスでもありカジュアルでもある。PRADA Uomoは最初から全ての世界観が揃っていました。そして最新のキャンペーンビジュアルで俳優トム・ホランドを起用していますが1stにあたる1995AWキャンペーンでも俳優ジョン・マルコビッチ(私のLINEアイコンはこの横顔です)を起用しており、全てにおいてミウッチャ・プラダという女性ファッションデザイナーの中にあるメンズの世界観がいかに完成していたか、成熟していたかが伺えます。そして何より素晴らしいのは初めから完成していて成熟していてリミックスされ続けているにも関わらず、2020SSまで(個人的には厳密に言うと2018AWまでです。2020AWからラフ・シモンズが加入しますので私は境目としています)1mmたりとも退屈になっていないという点です。
先日お邪魔した際にも弊店で以前に御提案させて頂いた2000年初頭の個体と見紛うレザージャケットがラッキングされており、似てさ加減に驚きました。違いはロゴプレートが胸元に配置されているくらいで、裏地がないところもレザーの軽さもその他ディティールも同じくだったのです。また更に2018AWのランウェイにおいて多くのモデルが着用し様々な着方・見せ方をしていたポコノのラウンドコートがありまして(余談ですが私は当時にパリでPRADAに行ったところ、このコートは丁度今日入ってきたんだ、ランウェイからのファーストデリバリーだよというKILLキーワードにまんまと運命を感じて購入してしまいました。もちろん今も大切に着ています。)、それも翌年のAWもほとんど同じくで製作していましたし、それこそ先日発表された共作コートもそれがベースとなっていたのです。
そしてこの度、2018AWラウンドコートの源流的一着に出逢い、改めて驚きました。ミウッチャ女史のメンズ感性の素晴らしさ、受け継がれ続ける感性、そしてこの一着における様々な要素性に。




厳密に言うとディティールは各所異なりますが、ラウンドのボリューム感やフォーマルとカジュアルのMIX感などのスタイルバランスが極めて強くリンクします。しかしながら2018AWラウンドコートはポコノですがこちらはレザー。しかもどっしりとしたレザー。もんんんんんんんんの凄くどっしりとしたレザー…しかしながらボタンも留め辛いほどの厚手のレザーですが重さはそれほど無いんです。まさかお馬さんレザー?いやでもやっぱりナッパレザーだろうな。いや、でも、まさか…うーんって感じ。
そもそも2018年以降パッと見ビニールレザーかと思わせるような光沢溢れるナッパレザーのオーヴァーサイズコートを定期的に目にするように思いまして、スタイルバランス的にそれともリンクします。もちろんそれらよりも穏やかなナチュラルオーヴァーサイズですし、こちらはパッと見でもしっかりレザーと認識されると思いますが。
なおこちらはプレゼンテーション時代の1995AW-1997AWの期間に製作された最初期時代の一着となります。

Coming soon,1995-1997s PRADA Uomo leather coat.
もう凄すぎてドキドキ。2/11(金)に御披露目させて頂きます。私は一先ず明日MY2018AWラウンドコートを着ます。
最後に。そういえばミウッチャ女史はPRADA Uomoの始動直後に興味深い活動をしています。それはアメリカ映画“Romeo+Juliet”の主演レオナルド・ディ・カプリオへの衣装提供です。


控えめにいってどちゃくそに格好良いです。PRADAマニアの私は震えました。当然衣装のため市販品ではないので、PRADAマニアの私は泣きました。
ふぅ。いつも以上に、いや、いつもと比べものにならないほどの駄文。御目汚し失礼致しました。久しぶりにここまで未精査で書いたのでなんだか楽しかったです。
SURR 福留
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