さようならロゴ、こんにちは不変 / Diary1152
25.8.2023


2012AWや2018AWと同じく特に名期と言える1998SSより、実用性という概念とミウッチャ・プラダというデザイナーの感性そのものを具現化したかのようなライトナイロンコート。ミニマムな設計に美的で知的なシルエットと着心地の良さは美的で知的な彼女にしか産み出せません。下は1998年の彼女、当時49歳です。私はミウッチャ・プラダという稀代のファッションデザイナーが産み出したプロダクトを実際に触れて楽しめることに心から感謝しています。

 

 




こちらは上と国と素材感と女性が産み出したメンズウェアという条件がリンクしますが異なる世界観、2007年にフリーダ・ジャンニーニさんが製作したGucciクリエイションです。四着ではなく二着、スカイブルー×ホワイトとグリーン×ブラックの素敵過ぎるリバーシブル・プロダクトでこれもまた着る人の穏やかな日々を願って製作されたライフスタイルピースとなります。さようならロゴ、こんにちは不変。下は2007年の彼女は当時35歳、御綺麗ですねぇ。

 

 


こちらはフリーダさんの前任者であるトム・フォードさんによる2002SS Gucciクリエイション、良い意味で全く異なるフレーバーが香るのは私だけでしょうか。この差異こそデザイナーが変化していくことの価値ですね。リジットデニム生地とレザーのコンビネーションでヴィンテージカルチャーを色濃く反映させた本格的なバイカージャケット設計。御丁寧なことに裏地は袖以外総レザー張り、流石過ぎてもう笑っちゃいます。最高。

 

 


まさかの胸ポケット付きヴィンテージBurberryコートとまさかの再会、これには驚きましたねぇ。引き寄せの法則でしょうか。今回も最高の違和感と不変的なスタイル性です。ってか裏地格好良っ!

 

 


これと向き合った時にコレクターが“こんなにも美しいのにまだここにいるんだ”と言っていたので“待たせてごめん”って心の中で呟きました。各所に精査とオリジナリティが潜むサルトリアによる総刺繍のビスポークピース、形状はコートですが構築はテーラードジャケットで、それらと同じくシャツないし肌着一枚のインナーを想定した設計になっているのも良い個性。ビスポークゆえサイズ感は読み辛いですが、細身でありコンパクトな設計です。

 

 


5年前にセレクションしたレザージャケットが本当に本当に大好きだったので、当時の店長が即座に顧客様と御縁を結んでくれた時それが目的なので変な話なんですが“あーもう旅立っちゃったか”と落胆したのをよく覚えています。なので前回の旅順でこの一着出逢えたのはハイライトの一つ、同じレザークオリティだ!と大興奮でした。80年代ジャン兄(にい)による一着、これすっ                 っっごいですよ。超々々々楽しいです。

 

 

以上、テンション上げたい新作群でした。そういえば先日のアカウント停止に際して立ち上げた@surr_vintageですが、この度@surr_fukudomeに名を変えて継続することに致しました。

この生業とは主役は御客様、次いでヴィンテージプロダクトという考えで向き合い続けてきたこともあって意識的に自分を前に出さないようにしてきたのでうまくできるか甚だ不安です。事実昨日は会社の食事会で焼肉行ったにも関わらずポストせず写真を一枚も撮っていませんでした、そういうのも載せようと思っていたのに、下手っぴな自分め。でもとりあえず続けてみますね。御覧頂ける場合はこのDiary以上に適当な御心持ちで宜しくどうぞお願い申しあげます。

 

 

SURR 福留

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ARNYS Paris trousers by BZ / Diary1153
1.9.2023

Diary1104でも書きましたが、私は生粋のパンツ好き。今では上半身から考えることも増えましたが、以前はほぼ100%何を着ようか考える時は下半身からでした。時代を鑑みた時セットアップスーツにシャツにタイドアップというこれまで敷いてきたSURRスタッフSTYLEコンセプトに若干の違和感というか過度な強さを感じるようになってそれを撤廃したり、少し前からカジュアルと向き合えるようになって今年から出勤時にヴィンテージジーンズを穿ける気分になったりで大好きなパンツのふり幅も一層に増えたのですが、だからこそ改めて気付き心の奥底でズシンと強く強く感じることができました、デザイナーのパンツって滅茶苦茶“美しい”って。

 

もちろんリーバイスもラングラーもアメリカ軍もイギリス軍もフレンチワークも綺麗なのですが、こと“ファッションデザイナーですよ”と正々堂々看板を掲げて仕事している人々が、こんなスタイルに成ってほしいこんなムードで着てほしいという想いのもと、職人の技術力と気遣いとこだわった素材と様々な取捨選択によって生み出されるそれらが発するシルエットしかりSTYLE性しかりの“美しさ”は尋常ならざる域に達しているんだなぁと、切に感じました。ヴィンテージジーンズやミリタリートラウザーやワークパンツを改めて楽しく穿けるからこそ思えたんですアノ人やアノ人やアノ人が思い描く美しいパンツって、こんなにもこんなにも美しいのかと。ファッションデザイナーってモードデザイナーってスゲェです本当に。

 

単純明快に美しいと思わせてくれるアノ人がいたり一見なんでもないようで細部に小技を効かせるアノ人がいたり、強いエロティシズムを感じさせてくれるアノ人がいたりそもそもにおいて“美しい”という概念の土台を創ったアノ人がいたりとする中で、コレクターの下で幸運にも5本揃って出逢えて幸運にも全て御案内が叶ったこの度の新作であるARNYS Parisのトラウザー達もまた独特な世界観にどっぷりと浸っています。一部の人々にとっては御馴染みなHermesとの左右対比ですが、私はHermesとARNYS Parisはかなり異なる世界観でありクリエイションでありベクトルであると強く思っています。Hermesが広義的(良い意味で)に対してARNYS Parisは狭義的(良い意味で)と申しますか、Hermesはおおむね良い意味で様々なスタイル性に御提案が叶うのに対して、ARNYS Parisは元来着る人も選ぶし着たいと思う人も選ぶブランドであり世界観でありクリエイションであると感じます。だからこそ両方に惹かれる次第です。

 










今回御提案する5本は全てBernard Zins社によるクリエイション、このARNYS Parisの才覚とBernard Zinsの感性の融合がまた堪らなくてですね、ARNYS Paris的芸術嗜好と美意識にフランス式の職人技術力にプラスアメリカ的工業製品的意識が合わさることでの独自性、本当に凄いんです。ちょっと見たことも感じたこともないチャンネルというか、今回の5本のうち特にプレーンな3本があって前述の解釈と矛盾するようなのですが、素材感,色調,シルエットバランスとスタイル性が合わさってのプレーンなようで“ん?”と思わせる感じ、ちょっと異次元です。なんでも無いようでなんでも在るってこれまで散々言われてきた慣用句かもしれませんが、ARNYS Parisが想ってBernard Zinsが構築したこれらのその感じってかなり特殊で、なんというか現時点では言葉にしきれません。もしかしたら10年20年30年と穿き続けて仕上がった“自分”の顔や形や風格を見た時に合点がいくのかもしれませんね、あぁこれがARNYS Parisが想っていた世界なのかと。

 

 

 

 

 

New arrival,00s ARNYS Paris trousers by Bernard Zins

御縁ございましたら、この機会に深淵を覗いてみてくださいまし。もしかしたら何かと目が合う やも。

 

 

SURR 福留

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私の必然 / Diary1151
22.8.2023

三宿交差点の二階にある香港料理屋の海老チャーハンが美味しいんだよ とか、三茶のあそこにあるほんの数秒しか焼かなくても食べられる薄切りロースが絶品なんだよ とか、鎌倉のあそこのカレー屋は実はハヤシライスが美味しくて実はテイクアウトのルーがあるから並ばなくても食べられるんだよ とか、あそこの瓶ウニは期間限定で通販できるからマストだよ とか、それこそコロナってのはね とか。誰かが体験したことを誰かに伝えないといずれ消えてしまうかもしれないという一種の懸念点って社会においてポピュラーな一つなのでしょうか。私は最近よく考えるようになりました。そういえば口伝でしか受け継がれない自身の伝統文化がいずれ消えることを懸念した素敵な漫画のステキなメインキャラクターも、いましたなぁ。

 

それによって私はファッションに末席にいる一人としてヴィンテージに携わる一人として、ファッションとは心躍る文化であることと何よりも上質なものの美しさと尊さをしっかりと御提案していきたいとはっきり想うことができました。豊かな土壌が培って職人(アルチザン)の技術力と真心が注がれた一着がいかに心地良くて頑丈か、世界を一変させたほどの才能によって構築された一着がいかに豊かな気持ちにしてくれるか、百年二百年と受け継がれ続けてきた設計がいかに理に叶っていて実生活に向いているか、服飾史がいかに豊かで興味深くて飽きないか、頑張って働いているからこそたまに自身へ与える御褒美ってやっぱり楽しい気持ちになれてまた頑張ろうと思えるか、この世にいかに美しいものや尊いものが沢山あるか。自分なりに精一杯にこの仕事を通じて御提案していきたい伝えていきたい、そして一ミリでも一パーセントでも後世に伝わってほしいと強く想うようになりました。これは私の必然であると捉えています。

 

以前は伝えるという行為の重要性ゆえの危うさを恐怖することもありましたが、今それは先立ちません。もちろん不本意な伝え方をすることで正しく伝わらない危険性、赤と認識してもらうべきなものが青と認識されてしまったりあまつさえ魅力的なものとして御提案した結果嫌われてしまうという本末転倒どころかドマイナスになってしまうという危険性がはらんでいる事柄であることは依然として変わりませんが、今は一瞬一瞬、御一方御一方にゆっくりでも良いのでしっかりと御提案(御伝え)したいという気持ちが強まりました。もちろん御耳を傾けて頂ける場合に限りですが。

 

ヴィンテージが面白くない世界とか良くない世界とか思われたら本当に嫌だもんなぁ。そういえばLAILA.CO.,LTD.の設立理由の一つが“古着=安い,綺麗ではない,若者のものという文化が主な日本に上質なヴィンテージカルチャーを根付かせる”だったことを今ふと思い出しました。今まで以上に丁寧に確かに真摯に,時に慎重に御提案していきたいなぁと思う次第。きっかけの一つはやはりインスタグラムアカウントの強制停止、ということで今週は個人的に復活を記念した思いでセレクションしたスペシャルピースを新作として御披露目させて頂こうと思います。ちなみに強制停止は“今となっては”なんて微塵もありません。絶対に忘れることのできない猛烈に苦しい想い出なので少しでも明るい気持ちになれるようテンション上げてセレクションした次第です。

 

 








 

 

 

 

 

New arrival

もっともっとテンション上げたいです。もっともっと。

 

 

SURR 福留

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