非王道 / Diary516
21.3.2018

黄金期の Lewis Leathers を一つの世界観としてまとめて編集する。 もうきっと叶わないことなのでしょう。厳密には非常に非常に長い時間をかければ不可能ではないかもしれませんがそれはなかなかどうして現実的ではなく、場合によってはそれでもまとめることは不可能ではないかと想わされるのは、英国の伝統的な文化と世界を継承する幾人の敬愛なる骨太なコレクター達が揃って口にする “ 無い ” という残酷な二文字によるもので、レザーライダースという文化を産み出し当時から現代におけるまで人々の身体を守ると共に魅了してきた求心力は今なお一切衰えず、様々な時代の流れがある中でそれに良い意味で影響を受けず独立した存在であり続けるのはやはり “ 純粋に良い服 ” であるからで、やはり黄金期の ( 文字通り ) 輝きを目の前にするとどうしても心狂わされずにはいられないと共に出逢う確率の圧倒的なまでの低さを納得せざるを得ない問答無用で唯一無二、それが Lewis Leathers という存在。

前回の旅で幸運にも出逢えた一着は、革質という極めて重要な要素が転換期を迎える1970年代中期に生まれたモデルであり、その特異性によって国営警察の装備品に採用された由緒正しきモデルでありながら、私にとって Lewis Leathers の中でもその看板らしくない出で立ちの非王道性がたまらなく魅力的な存在です。いわゆるコンパクトな着丈のレザーライダースではなく同文化が生み出したもう一つのライダーススタイル, フロント4ポケットのジャケットスタイルで、その特有の洗練性によって醸し出されるはいつの時代でも何処かのメゾンが表現する現代性そのものであり、それに Lewis Leathers 黄金期の品と輝きが強過ぎるがゆえ “ えぐさ ” を感じられるほどのレザーテクスチャーが相まみえるその様は、やはり問答無用で唯一無二。

 

 

 

 

 

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非王道という特異的な存在価値。時代に左右されずいつまでも洗練性を発揮し続ける存在力。ヴィンテージならではのえぐいほどに強く美しい存在感。 mid70s Lewis Leathers, RoadMaster MK2

 

 

SURR by LAILA 福留

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未だ未だ力及ばず / Diary515
20.3.2018

 
 
 
 
この1着をご紹介させて頂くにあたり、時に自然光を浴びせ、時に暗闇に浮かばせ、実際にあらゆる角度から撮影を試みました。文章というのも的確に、適当に、要を得た構成というのを前頭に挑みました。しかしながら今現在のわたくしの技量やら技巧やら技術力やら表現力やらでは、この洋服の常軌を逸した魅力を、表面的に備わる美しさを、内包されている資質を、真っ直ぐで力強い事実を、1ミクロンも逃さず完璧に証明するには “ 未だ未だ力及ばず ” で御座いまして、それはおそらく、私自身この洋服に対する愛情が異常であるということを私自身が誰よりも理解している事、そしてその理解や愛情は常に飽和点に達し、理性や合理性とは程遠く、動物的で感情的でもはや盲目的な種類の愛情である事、その爆発的な性質が、 “ 未だ未だ力及ばず ” に直結する要因の大部分であり、別の視点から分析しましても、マグマのように湧き上がる熱量を抑制し、自身が納得する写真を撮る,文章を書き上げる,圧倒的で人間的な深さが足りない、という結論にも結びつきました。
 
 
いずれにしましても、私事にて誠に勝手な内容の上、まったくもってお恥ずかしい話。いつも足を御運び下さっている皆様に対して失礼に値する結果でもあると、悔恨の念に尽きる想いであります。
 
 
しかしながらこの洋服、素晴らしきマックコートをご紹介せずにはいられない想い、そして概念的やら抽象性をもってお伝えする洋服ではなく、実際的に備わる能力を端的にお伝えする必要が御座いますので、この度は【 online 】に同時掲載させていただく形をとらせて頂きました。クレジットより、該当ページに飛んで頂けますので、お時間叶いましたら是非ご覧下さい。ともあれ、人間的な深さとはいささか難しい問題のように思います。福留は酒の席で「もっと狂ったほうがいい」と狂ったように言っておりましたが、同刻、向かいはLAILA VINTAGEのマネージャーを務める宮本からは「自分らしくあればいい」と経験豊かであろう両者から対極の助言を受けまして、なんとも混乱の道中に在ります。と、これ以上本文を、私の毎日日記と化すわけにはまいりませんので、 日々精進 ということで、より誠実さと、「何事も実直に」を引き続きのテーマとし、精一杯努めてまいりますので、今後とも叱咤激励の程を、何卒宜しくお願い申し上げます。
 
 
 
 
 
 
 
 
OLYMPUS DIGITAL CAMERA
 
early90s Barbour ventile cotton mac coat model “ The Endurance ” fablic from Thomas Mason

 
 
 

 

 

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この靴を心の底より愛する者のひとりとして / Diary514
19.3.2018

 
 
 
 
 
「何事も実直に」を人生のテーマとして心がけておりますので、見たことがないものは見たことがない、知らないものは知らないと申すように致しております。しかしながらお酒の席でドラゴンボールを読んだことがない、と “ 実直に ” 申しますと、はたしてこの男は人間なのであろうかというような目で、それはまるで長年付き添ってきた友人関係最大の裏切りのようで、あるいは冬期には出現するはずのないG級のGを突如目撃した瞬間のように、絶大な怒りと、巨大な哀しみと、無極の絶望が見事に入り混じった視線を向けられるのです。
おまえなんか男ではないと罵られながら。実直性というのはなんとも難しい気質のようであります。
 
同様に、J.M WESTONのGOLFを知らないというだけで、ファッションステージから一線置かれるような扱いを向けられるのはいささか許せぬ想いを常日頃抱いておりまして、あなたドラゴンボールを知らないのと同じだよ、と恥ずかしさを覚えろくらいの勢いで、上記3つの要素に加え、攻撃的な呆然も揃って。それはそう、素晴らしいPR域により、日本という地に力強く浸透したナンバーであること、ふつに符号であるかのように、または記号であるかのように人知れぬうちにネームとナンバーのみが過剰先行し、計りうる実際的な能力と、計り得ない内包的な美しさが共存した呆れるくらい凄い本質こそ知らねばならない情報であるように思いますし、まさにこれこそフランス靴であると。ドラゴンボールの魅力や主要人物、ボルテージが高まった際に発生する髪の増毛と変色の構造について、丁寧に優しく、実直に、教えてはくれないものかと、ビールを喉にそそぎながらそう思うわけです。
 
 
 
 
 
ようするに、私はドラゴンボールをまるで知りませんし、J.M WESTONの「GOLF」というモデルを心の底より、脳の中枢より、愛しているわけであります。
 
ダービーシューズとしての極地点のようにも思います。整合的に打ち込まれたステッチ、矛盾点がまるでない完璧無垢なUチップ、永年を賭けてたどり着いた解答のような5ホール、対大砲用フェルターのごとく分厚く頑丈なウェルト。事務的に足を入れ、手際よくシューレースを結び立ち上がれば、ジュエリーのような正方形のチョコレートを包装紙で丁寧に包み専用のボックスに収めた時のように小ぶりで可能な限りにミニマムな造形、アウトライン、フォルム、おおきさ、おもさ。足を着地させ隣の足を上げる瞬間に生まれる豊かなグリップ力。まるでこれが正解のように並べられるスタイリングなどどうでもよろしく、何を履いても何を着ようと成立する懐の深さ。いまや幻と謳われているロシアンカーフの恒久性。飾って眺めて写真を撮る種類の靴ではなく、紛れもなく人の足を護るための靴であり、その見事なまでの遂行力と、果たそうとする健気な姿勢。フランスの石畳に勝る力強い事実。別に良いのです、【更新】して【保存】を強行せず、右の人も履いてるから選択をしない一点法でも。騙されたと思ってどうぞ、というそれこそ呆れるようなセリフも申し上げるつもりもございません。ただ、ネームやナンバーを知らないという方にだけではなく、本質を知り得ない方にこそ、符号や記号のようの捉えるのではなく、実際的な内容を純粋な想いで知っていただきたいという気持ち。そう思っているわけであります。この靴を心の底より愛する者のひとりとして。
ただひたすら、実直に。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
OLYMPUS DIGITAL CAMERA
70s J.M.Weston, russian calf leather model “ Golf ”
 
 

 

 

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