1800年代後半イタリアの地で富裕階層の興味が集中した煌びやかなジュエリーの世界。壮麗さが極限まで凝縮された晴れ晴れしい面持ち、抑制がまるで効かない仰仰しく力強い熱源、曇りも濁りもなく後ろを振り返ることも知らないヴィヴィットで積極的な姿態。惜しげも無く投下された潤沢な資金と宝石類。5文字に置換するならば「ゴージャス」が適当でしょうし、イタリアの街に満ちている豊潤で美しい色彩と調和するには視覚的に愬える “ パワー ” が保存されていなければ成立さえしないように。一方、同年代頃まるで生活の滋味が滲み出たかのように質素で呆れるくらいに消極的な主張、人生におけるギアチェンジの目的で作られた代物でもなく、視覚的に愬える “ パワー ” が保存されているかと問われたら素直に首を縦に振れない極端に控えめな姿。しかしながら10cm圏内に侵入すると淀みなく心血が注がれた種類の其れであることを決定的に認識し、肌に触れることを前提とした9kの習慣的な選定、紳士的なショートスタイル、光に照らして漸く確認できるローズゴールドという特異的な色気。そう、装飾もなければ宝石類も付属させず限りなく簡潔的な意思によって構築された純金無垢なチェーン。仕立ての良いシャツにサマーテーラード、慎ましくも輝く首元。当時を懸命に,時に愉快に生きたイタリア人男性に思いを馳せながら、まもなく。
Comming soon late 1800s Italy 9K rose gold chain
SURR by LAILA 小林
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Newarrival 80s Burberry trench coat
背筋が自然と伸びる心地よい重みは、軽快で軽やかで風と共存するように作られておらず、むしろ敵意が剥き出しな自然気流に真っ向より対抗するべく、あるいは凍てつく天水から身を守るべく目的設定されたように、均一的な “ 強さ ” が求められた重厚感。ポリエステルとコットンによる専門的な織り上げ、綿密に計算された襟のフォルム、寄皺ひとつなく見事に立ち上がるネックホルダー、紳士ルールを徹底したダブルコンパートメント、アシンメトリーの美学を決定づけるガンフラップ、手入れの行きとどいたパーツ。ヘヴィデューティーな具体性を持ち合わせながらも “ エレガント ” に昇華された其の1着は、すっぽりと内包された正統性と伝統性が、品位を保たれながら永い歳月をもって護られ続けてきた質実剛健な逸物。チューニングを続けながら長期的関係が現実的に築けるように、エレガントさと並存する,本質的な力強さ。一切モダナイズされていないクラシカルなプロポーションが永久保存された「キングオブトレンチ」は、80sバーバリーの外套。
そう、“ トレンチコート ” という種類の外套は、絶対王者が実存する以上、その伝統性と圧倒性の背後に隠れてしまう,副次的な魅力に留まる印象が拭えず、特にヴィンテージの枠内ではその印象というのが強まる傾向にあるように思います。対比する要素は同様でも土俵がまるで違うもので比べようもありませんが、その質実剛健な力強さに並列する,あるいは部分要素においては飛び抜けて超えうる “ メゾン ” というカテゴリーくらいではないだろうかと。
しかしながら意は尽くされたように捉えていた考察①が、まるで見事に破壊され、無慈悲なほどに消滅するに至った別アングルの存在。実生活に関わる物として、機能的であり快適であることを前提としたうえでデザインと向き合っていた同社/同氏、80年代〜90年代における生産背景,環境こそ可能にした一定以上のグレードが常に保たれた本質的な仕立ての良さ、それを明瞭に感じ取ることができる「外套」。生地開発に熱量を注いだ独自性と、類似性のない意図したデザインが淀みなく溢れる世界観の先「機能的であり快適である」という現実性にまるで惑星直列のように1本に繋がる様子。 “ オーバーフィット ” を宿命的に受け入れたように、身体に纏わせるという和装独自の認識。無条件に発動する美しいドレープ。そして無慈悲なほどの破壊力をもった同社渾身のトレンチコートは、質実剛健な力強さとはまさに対極。軽快で軽やかで風と共存するような潤沢な生地は、造形の美しさをより一層と引き立て、しかしながらシルクが何層にも折り重なったようにコシのある硬質で厳然とした具合こそ、惑星直列のシステムを証明するようにプラクティカルな魅力として成立する見事な采配。
「トレンチコート」としての本質を、崩すことなく,壊すことなく,犯すことなく独自的に深化させた世界は、袖を通した際に素肌に感じる恍惚感は、様々な角度からの紳士性を受け入れてくれる許容力は、絶対王者が実存しても尚、その伝統性と圧倒性の横に並び、副次的な印象どころか驚異的な魅力に光る、奇しくも同じ80年代に仕立てられた外套で御座います。
Newarrival 80s Issey Miyake trench coat
SURR by LAILA 小林
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シャツとテーラードを綺麗に着て社会に建つようになって数年が経ちましたが、常に意識的に秘めているのが個としての “ 遊び心 ” で無意識的に秘めているのが個として既存への “ No の心 ” でした。それは時期や気分などによって様々な形を成しますが、結局はどのような事柄においても一度学んで実行してから壊すという一連の流れは変わず。そう、私は真面目で面白みのない人間なのである。
様々を身に着けて感じては時に壊し時に残り続けて今に至るものの足元はいわゆる革靴の一択になってからだいぶ経っておりまして、その扱いに関しては 10 代に磨くことを自己鍛錬した結果磨くことに囚われ過ぎないケースバイケースに辿り着き、シューズのスタイルに関しても拘りは皆無ゆえに現在では幾つかの愛すべき相棒達と共に冷凍都市の諸行無常を過ごしておりますが、私にとって足に合う歩きやすいメーカーの一つは John Lobb であるというのが現段階において私の涅槃寂静です。
John Lobb、良い存在です。去年も Womens ラインの上陸は私にとって吉兆で、それを手に入れた知人の姿は大いなる目の保養となりました。初めて John Lobb に足を通した時分は今以上に経験不足の小僧でしたが、それでも背中に棒を入れられたかもように背筋が伸びた心地良い感覚を今でもはっきりと覚えています。
90s John Lobb
毛細血管のような美しい紋様の強くしなやかな革を彩るはキャップトゥの王道性と華やかなメダリオン。屈強なトリプルソールでありながら上品さも兼ね備える出で立ち。仰々しいデザインやスタイルのそれらとは異なりますが、私が初めて手に入れた ( そして自己鍛錬の相手になってくれた ) 革靴が同じくブラウンのキャップトゥ・ダービーであったという個人感情を差し引いても、この “ 彩り ” こそ最初にして最強と言って差し支えない、冷凍都市を生き抜き続けるうえで最善にして最上のなる足元となるでしょう。
私は “ 普通 ” が一層際立つ時代になったと想っております。
SURR by LAILA 福留
03-5468-5966
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