男ってバカよね、 / Diary566
24.7.2018

 

 

公園だろうが三ツ星フレンチだろうが悪友と過ごす週末の寝不足ミッドナイトだろうが誰に対しても失礼のない装いであり、季節によって手に取る1着が変われば、寒暖かまわず1着しか手に取らない者もいて、喜ばしいときも哀しい折も背中から支える心強い相棒であることも、それは当然、すべての男性にとっても。そう、何方様にも失礼のないテーラードジャケットというのは、こと革靴にも当て嵌まるのでしょうが、そのように隣を歩く女性を支える役割を果たしてきた我々男性に対して、真面目にも不真面目にも暫定的にバカであると避け難いメカニズムが女性側に存在するのは、世界共通/衆知の一致するところであるように思います。何方様にも失礼のない衣服を身に付けているにもかかわらず。「男ってバカよね、」

 

あるいは男性にとって何方様にも失礼のないその衣服というのは、タフで非情でワイルドな世の中をジャケットなしで渡り歩くなどいくら身体を鍛えようと真っすぐ進めるわけがないと英国老紳士がぼやくように、米国老舗トラッドスタイルのジャケットをこよなく愛したマイルスデイヴィスがヒップとジャズを奏でたように、10代を過ぎた青年がパートナーの赤いワンピースをより美しく魅せるため70年代ムッシュのテーラードを選択するように、食事後の誘いに見事に失敗したひとりの男を慰めてはくれない只の上着であることも、素直に認めたうえで、

 

 

 

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素直に認めたうえで、男性に許された特権であるのは白いシャツと至極同義、我々にとって切っても切れない文化的共通所産であるテーラードジャケットという衣類を、女性特有のメカニズムを回避しながら,さぁいったいどう向き合おうものか、そのような根本論を御披露するほどわたくしも歳を重ねておりませんし、ドラマティックな体験談など不成功例のほうが圧倒的数を揃えておりますもので、皆様、テーラードジャケットは本当に素晴らしいものです、と声を大にして御推奨させて頂く上では説得力のかけらも御座いませんが、素直に認めたうえで、タフで非情でワイルドな世の中を真っすぐ進むためのマストアイテムであると認めたうえで、皆様にとってマイベストジャケットと笑顔で御迎えを頂ける1着と成ります事、食事後の誘いを見事に成功させてくれる1着と成ります事、男ってバカよね、が発動されん事を、引き続き、切に願いまして。

 

 

 

 

 

 

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New arrival 70s Lanvin tailored jacket

 

 

男性であれば何方様にもお有りかと存じます。わたくしの場合、チェストポケットにペンを差すことを、製作者と初代オーナー様、歴代の男性を支えてきた其の1着に対する深い礼とし、マイベストジャケットに迎え入れる儀式として心得ておりますが、仮に酒の席でそのような規則が女性の耳にでも入ろうもんでしたら、頬杖をつきながら不可避の武術のように発動される、男ってバカよね。それを覆す力は残っておらず、それが自分にとっていかに尊い行いであるかを振り絞る力説ほど滑稽な様子も御座いませんで、そのように避け難いメカニズムが形成されるのでしょう、それはそう、世界共通/衆知の一致するところ。何方様にも失礼のない衣服を身に付けているにもかかわらず。全くを以て、タフな世の中であります。

 

 

 

 

 

SURR by LAILA 小林

03-5468-5966
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ご紹介が大変遅くなりましたが、皆様、70年代はフレンチズム、LANVINのテーラードジャケット、本当に素晴らしいものです。声を大にして、御推奨を。

 

 

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シルクはあるかい? / Diary565
20.7.2018

と、各国のコレクターさんに尋ねるようになって何年かが経ちますが、ほとんど全ての答えが あるわけないじゃないか というニュアンスを含んだ No 。男性がまとうシルクという御提案の残酷な難しさを毎度実感せざる得ません。良くてワンシーズンに一着程度でしょうか。しかしながら前回の旅にて、かねてからお世話になっているその道何十年の PARIS 在住, 妻一筋, 中学 3 年生の息子が遊んでばかりで少々困っている親愛なるコレクター様を訪ねた際に、“ おぃ Mr シルク。見つけといてやったぜ ” という一言と共に、未着用という貨幣には代えられない付加価値を内包した 4 枚の白いシャツが現れました。そう、私は時たま Mr シルク。もしくは Mr ポジティブと呼ばれているのです。

 

 

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“ 息子が遊びまわって全然帰ってこないんだよ ” と独り言ちるコレクター様 ( 私は “ 貴方の息子だから仕方ないんじゃない? ” と答える ) の愛によって実現した 4 枚は、全て 1930 年代に紡がれたシルクにおける生糸を示す Row silk という大変に求心力溢れる要素を備えた布陣。端的に申し上げますとロウシルクは 糸を磨く前 の状態でして、水分にも適応 ( =洗って頂ける ) する、着用を重ねることでの風合い変化をお愉しみ頂けるという従来のシルクとは一味異なる魅力を有する存在です。もちろん特有であり圧倒的な軽やかさと異常なまでの肌触りの良さ, 肌から発される体温を優しく包み込むかつ通気性も良いという従来の要素も兼ね備えておりますので、極暑においても極寒においても極上を御体感頂けます。1930s という時代ならではの丁寧かつ繊細な各所の手仕事による繊細かつささやかながら圧倒的な迫力は、是非実物にて御査収頂けたらと想います。

 

 

 

 

 

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1930s France, row silk shirts collection

男性の白シャツ姿は本当に良い。常に心から切実に。私は日頃よりモードやファッションは基本的に女性のためのものと考えていますが、白シャツは極めて極めて数少ない男性だからこそ真に愉しめる特権的存在ではないかと考えます。それが、袖を通せばその存在価値が五感に響く, 蕩ける表情が男性的な色気を異常なまでに促進してくれる, 類まれなるシルクという御素材によるものとなったら。これはちょっとした事件です。

 

 

SURR by LAILA 福留

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いくら努力して美しく撮ろうとも / Diary564
19.7.2018

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貴方にも私にも 慣れ というものがあるにも関わらず何度じっくり眺めようとも衰えないばかりか新たな輝きに魅力に気付かせてくれる存在がいかに稀有か、そのような存在に出逢えたことがいかに幸運か、そのような感情を抱けることがいかに幸せかを貴方も私も知っている。 慣れ がなければ社会や生活は成り立たないにも拘わらず私は慣れることに未だ慣れておりませんでして、特に探求心や好奇心においては、出逢っては慣れ見つけては慣れを幾度となく繰り返しているにも関わらず、いつぞやは心震えていた事柄にいつの間にか慣れてしまっている自分にふと気が付くと、月並みではありますが物寂しい心持ちとなりますが、慣れがなければ成長もなく、かつそこから更に出逢える新しい輝きの求心力を知っているがゆえに、結局のところ無意識的に 慣れ に向かっているのだろう という究極的な矛盾を貴方も私も抱えているのでしょう。

どれほど探求しようと慣れない、いつまでも愉しいと思えるものごとが有難いことに幾つかありますが、その中の一つが “ 靴 ” という存在。否、造形芸術。そしてその中でも私にとって特出して慣れず愉しいと思わせ続けてくれる一つが Edward Green であり90年代の本品なのですが、貴方はいかがでしょうか?

 

 

 

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同社において最高位区分であるトップドロワー用足型が描くトウから甲にかけての妖艶なカーブに、ウイングチップとストレートチップの中間に位置する極めて珍しい仕様。トップドロワーの定義において足りない点があるものの、その要素を多く見受けられるために そうである とも そうでない とも言い切れないのがもどかしいながら、誇張無しにとろけるような風合い, 革の質を鑑みるとやはりトップドロワーと同格と考えずにはいられない、同格としてしかるべきなヴィンテージ個体ならではの切なさと愛しさに満ち満ち未知溢れる本品。

 

 

 

 

 

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90s Edward Green Semi brogue shoes.

これを切り取る今回の撮影は本当に本当に楽しかった。最期に皆様に強くお伝えしたいのは私にとってヴィンテージなどに携わるこの生業においての定石である “ いくら努力して美しく撮ろうとも、実物はその何倍も美しい ” の法則が本品にもきっちりぴったり当てはまるということ。御期待くださいませ。

 

 

SURR by LAILA 福留

03-5468-5966
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