アルマーニ最初期クリエイション / Diary1264
4.10.2024

親愛なる敬愛なるアルマーニさんのクリエイションにおいて、やはり欠かせない要素の一つがレザーウェア。彼の提案する男性像は良い意味で古典的な漢らしさによる正統派感が軸にあり、それが特に直球だからこそ素直に潔く心地良く感じられるのが魅力であり特徴なのですが、時にDiary1260で触れた1976AWのメンズモードの革命であり転換である“紳士服の世界に女性的モードの概念を注入“する要素性が色濃く反映されたプロダクトに出逢えた暁には、従来のアルマーニらしさは存分に感じられると同時にモードの味付けによる特異性と異質さが際立つという特出した濃密さがもう最高。それはファッションヒストリーがどうとかモードヒストリーがどうとか、そもそもにおいてアルマーニであるか否かすらをも超越した知識でも経験でもない言語化できない存在感が漂うのです、このレザーハーフコートのように。

 

 

70年代中期から80年代初頭頃のGiorgio Armani最初期クリエイションであるこちらはあからさまに無駄を拝した研ぎ澄まされたディティールに美しい流線,圧巻のマテリアルオーラとまさに女性的モード概念が詰め込まれた一着でして、これら全ては後々のミニマムモードへと直結するのですがそのような定義が定着するにはまだ10数年の時を要します。しかしながらこの時点で既にミニマム+アルマーニさんの根源的な男性の強さと美しさが同居しますから、後輩たちのミニマムモードとは一味も二味も違うと言うか勘弁してください先輩感が半端ありません。と言うかこのような存在があったからこそ後々の彼らや彼女らがあのような方向性に舵を切流という必然が生まれたのでしょうね。

 

 

 

 

 

New,mid70-early80s Giorgio Armani sheep skin minimum half coat

 

このように研ぎ澄まされ過ぎていたり洗練され過ぎていることでデザインリソース感が感じられないというかお手本にしたファッションヒストリーが読み取れないことってこの生業において極稀にしかないのですが、全てがイコール圧倒的なクリエイションです。女性のモードシーンであればそのようなプロダクトは多いのですが男性のモードにおいては現代においても稀有ではないでしょうか。もちろん明らかに奇抜なデザインやスタイル除きます。

ちなみに今回掲載している画像は全て実物の色味と差異があります。強いて言えば一番最後の全体像が最も近しいのですが実物はもっとモスグリーンに近しい絶妙な色調です。これまたクリエイションが圧倒的ゆえの弊害、大変に恐れ入りますが実物にて御体感頂きますようお願い申しあげます。

 

 

SURR 福留

“らしい“ / Diary1263
3.10.2024

ダークネイビー、ブラウン、そしてモスグリーン。弊店にとって三着目(ドッキングのバランスやワンポイントの刺繍などが微細に変化しているので全く同じプロダクトではないんですが)となるHermes hommeによるレザードッキングという贅の限りをつくした極めて“らしい“カーディガン。ヌバックレザーとウールとカシミアとシルクという心身が癒される(一説によると温泉旅行三回分と言われています)素材を四種配合したマリアージュはカーディガンというホッコシなプロダクトに類稀なるキレと深みを与え、高めのVゾーンとボクシーなシルエット,そして何よりレザーという素材感のコントラストによってノーカラージャケットのムードで着こなせる個性がまた最高に“らしい“。

本体と同化したクワイエットラグジュアリー(まぁこの時代はこのバランス感が普通だったのでわざわざ呼称することではないのでしょうが)なエンブレムの刺繍はさることながら、私はVintage Hermes homme特有の手彫り水牛の角ボタンに特にグッときてしまいます。注視しないと解らないような要素性ですが特出して輝いて見えてしまうんですよ。

 

 

 

 

 

New,early90ss Hermes homme nubuck leather docking wool cashmere&silk cardigan

 

ごくたまに第三者が“それなんか良いね、どこの?あーエルメスか、なるほどねー“ってなる感じとでも申しましょうか、あくまでベーシックでアノニマスでありながら伝わる人に適切に伝わる求心力がHermes hommeにおける本質的な魅力の一つだと思っているのですが、時にこちらのように圧倒的にエレガントなプロダクトも存在してそれがまた楽しいったらない。エレガントではありますが野暮でも無粋でもありませんからね、もちろん。

 

 

SURR 福留

⚪︎⚪︎じゃなくてA-2 / Diary1262
2.10.2024

今週の新作は今期初の御提案となるレザーウェア。不変的かつメンズらしさ溢れるプロダクトながら着る人は着る・着ない人は着ないの垣根が今だに存在することを認識していたものの前AWが終わってもなんだかんだ店頭にてオリジンヴィンテージレザー及びデザイナーズヴィンテージレザー及びメーカーズヴィンテージレザーの世界における美しくも残酷な現実に関して会話する機会が多かったもので、弊店は今年も特に熱量MAX特にLOVE MAXの姿勢で御推奨致しますこと、御容赦をば。

 

 

このポケット配置のレザーウェアはことイタリアにおいて石を蹴れば必ず当たるほど と言ったら言い過ぎかもしれませんが、そう言いたくなってしまうほどに出逢えまくる存在でございまして、プロダクトデザインとしての発祥はアメリカながら例によってなんだかんだ全世界のファッションカルチャーで御手本にされ続けてきた影響を与え続けてきた強国宜しく、このプロダクトデザインもまたイタリア文化おいてもにしっかりと根を下ろしたことはきっと御存知の方も多いことと存じます。

アメリカ空軍夏期用飛行士衣類を原点としたボタンの前立て,上からと横からの二重構造となったポケットの意匠,象徴的なリブ、こぇれが本当に本当にまぁ着やすいんだ。着やすい着やすいうるせえよって感じですが、着やすいことは良いことなので仕方がありません。もちろん教科書として影響を与え世界各国の各社が受け継ぎ続けることで結果論的パーマネントコレクションとなるようなマスターピースプロダクトデザイン(幾つかありますねぇ)ですから、スタイルとして格好良く完成されている点は言うまでもありませんが、格好良さ120点であると同時に気やすさと利便性も120点なんだから、もう猛烈です。

 

 

しかしながら石を蹴れば必ず当たるにも関わらず買い付けの旅順において都度必ず連れて帰ってきたかと言うと、否。理由は私の中で明白でして、ずばりレザーの質です。30着に触れても50着に触れても100着に触れてもこれぞの出逢いは無く、となるとデザイナーズやメイカーだと安心して身を委ねられるのですがそれらの出逢いはかなり稀有。先日幸運にもAquascutumとイタリーアノニマスにて一着ずつではありますが出逢うことができました。このプロダクトとして“THE感“が特にビンビンな成熟感満載のブラウンヌバックレザー、セクシー。

 

 

 

 

 

New,80s Italy Anonymouse & 90s Aquascutum A-2 style nubuck leather jacket

 

これは思い切り余談なのですが、いつからか国内ではイタリアのこれらプロダクトをとあるメーカー名を冠して⚪︎⚪︎ジャケットと呼ぶ機会が増えたような気がしますが、例えるならバルカラーコートを全てバーバリーコートと呼ぶようなものだと思うので心がしっくりきませんので、弊店では一貫してプロダクトデザインの原点であるA-2 styleと冠しています。なんか昔からやたらと気にしてしまうし気になってしまうんですよね、冠し方。以上、思い切り余談でした。

 

 

SURR 福留

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