時流や形成循環の一環について回りくどく綴らせて頂きました先日のこと、それは Hunting wear に限定される事柄ではない見解も当然有しておりますが、過去から紡がれてきた優れた衣料もしくは現代では失われている過去の優れた衣料性質あるいは総じてそれらの情報が取っては過ぎ去られて行く風潮を目の当たりにする瞬間に、パッケージされた情報のみで左右前後に行き来するひとつの時流を大いなる危機感として感取するのはわたくしだけかもしませんが、しかしながらシンプルに捉えますと其れをインプットする “愉しむ者” によって鋭いほど鋭敏に、研ぎ澄まされた感覚体によって精査と取捨選択が繰り返される事は決して悪いことでは御座いませんで、むしろファッションを愉しむ見地に置かれては素晴らしい、何事にも代え難く素晴らしい在り方であるように憶います。
さりとて決してコントラディクションとは成らず、もっと全体の大きな事柄で漠然と、不鮮明に、しかしながら確然たる感覚でお話をさせて頂いているので恐縮の極みですが、そもそも Vintage に流行りの兆しが視えたところに在るのかもしれませんし、ここ数年に視られるメゾン/モードの古き良き揺り起こしが然うかもしれませんし、発露は多々あるのかもしれませんし本当は何も無いのかもしれませんが、過去の優れた衣料品が巨大な形成循環の渦に呑み込まれては消え往く,飽きられ,手放される衣料であるべきではない私意と同時に、其の形成循環の一環の必要性と歴史の積み重ねであるファッションモードの尊さに心底惚れている私意もあり、つまりは然うあるべき世界があって、斯うあるべき世界があると、揺るがない太い軸をもって紳士服を御伝えして参りたい所存であります。それは Hunting wear に限定される事柄ではなく、French work に限られた事でもなく、あるいは英国老舗 Barbour にしましても至極同様に。
敬愛して已まないBarbour社の製品ですがスタイル性がより表出化されている昨今ですので本来的能力への評価が後陣に配してはいないかと小さな懸念点を横目に、激しい使用に耐えること,耐久性がある様を臨めば叶う懐は浸潤したオイルと目の詰まった木綿による物理的圧倒性に起因する自明の理で御座います上、私物の4ポケットを完全にオイル抜きしたところ適度な重みは取れますが 物理的な / 強度 という性質は一切失われない事実確認の元そもそもの木綿構成に旗が上がるヘヴィデューティー衣料で御座います故レインウェアに落ち着かせるには勿体がないコットン・スポーツジャケットと熱度を抑えながら本作のご紹介に参ります。
同社の精細を御獲得されている皆様、乗馬用としてリリースされたBEDALEが4フラップポケットを有する旧設計面は扨措き、背面に追加設置されたフラップコンパートメントを視認頂けたことは御座いますでしょうか。恥ずかしながら精細を獲得していると自負を持ちながら当方設計は初見で御座いましたので驚きと歓喜に溺れましたのはポケットをこよなく愛するひとりの男として至極当然の運びでした。英国王室より称号が与えられるワラントをひとつ有する本作は1974年から82年の間に製作された推測点とワラント獲得後に試作として発表された “5flap pocket” とは考えにくい(可能性はあるが)ので十中八九,購入主のカスタムオーダーと腑に落ちる御姿で御座います。
“ TRIUMPH MOTORCYCLE = 勝ち越し ” を胸に抱えて。
次いで、なるべくは目立たせないように視えにくくなるように施される修繕技術の向上というのは比べようもなく今現在素晴らしい内容で御座いますのでわたくしも普段よりお世話になっておりますが、時代によっては「主流」とされた手法を用いた其々を目に致しますとアートピースのように悠然と落ち着く画角に都度驚かされまして、ミッドセンチュリー前後のカラーチューニングの美しさや縦横無尽に織り込まれた佇まいはまるで生き物のように宿りますし “織り” に対して “編み” を用いる技術的選択の他 “編み” に対して “織り” を用いる前衛的なアプローチなど感嘆に尽きない内容を手繰り寄せますと答えは大体をもって一致しまして、あるいは時代によらず「我流」の域に到達しますと上手とか下手とか技術的である/ないに関わらず左手と右手による手縫いの行程数が研ぎ澄ませた意識時間に比例するように明確に、ありありと、鮮やかに到達する “ ただただ、着, 続けるため ” という強い意志やその内容を大いに良しとする当時オーナー様の判断水準こそ説得力のある,強力な事実痕=事実意志であると同時に当時においては未来である我々に向けた衣服への向き合い方を問う反定立であり一向シンプルな修繕痕跡と並びに前オーナー様が注ぎ入れた愛と情感の気配で御座います故、本作に関して比べようものなら間違いようも抗いようも無く「我流の域」で御座いますのでどうぞお含み置きの程を。

Newarrival, mid70s Barbour cotton jacket personal order custom & repaired
SURR by LAILA 小林
03-5468-5966
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前エントリーでも触れました記号という概念はモードの世界においてどのような意義を有するか考えてみるそもそもにおいて計りかねますし、生み出す側の人々がそれを目指しているのか求めているのか私は創り手ではないので想像すらできませんが、意識するにせよしないにせよ結果的にその作品や世界観や美意識が記号にまで昇華することはやはり凄いことであり当事者であったら暖かい感情が喚起するであろうと私は想いまして、こと自身の世界に置き換えますと我々が行っている文字や写真や空間などの表現の全てはふと考えてみると SURR という存在の記号化に辿り着くことを目指す行為であることに気付きました。そうするとやはり 続ける ことの重要性 = その難しさに立ち返り、私は元々在った LAILA VINTAGE としての空間から SURR へと変化させるに際して可能な限り自身の潜在意識の奥底まで潜って時間をかけて向き合った結果 SURR という入れ物の “ 仕組み ” を構築しようと胸に誓ったあの日を想い出しました。
ラベルがある, 看板がある = 良い品という図式は絶対ではありませんが、それこそ永きに渡って存在し続けるいわゆるビッグ・メゾンの中には時を経た今でもなお強い力で心を揺さぶり感性を再度磨きあげてくれる品が存在致しますので、その刺激を求め続けること, 御客様方に御提案し続けることは変わらず弊店にとって大切な要素の一つであり続けるからこそ、旅において幸運にも極めて粋な理念を有する, 視て触れると愉しいという感情に満ち溢れることができる, 何より純粋に良い服であるビッグ・メゾンの一着に出逢え、このように御提案の機会に至れるという過程はやはり何度経験しても飽和することのない豊かさを有します。



振り返ってみるとここまで記号性の高い衣類は今まで御提案したことがなかったように想いますし、衣としての構築特性も歴代において上位に位置致します。同メゾンにおける明らかな記号であり象徴であり、近年強く表現される機会が一層に増えたモノグラムという名のテキスタイルデザインの表情が豊か過ぎて逆に無機質な主張と、柔和な土台に乗せられた粋な色調と、同時代より少し遡った頃より発展の一歩を辿り結果的に高級感を獲得した化学繊維特有の小気味良い不自然さと、当時の技術力だからこその稚拙な, イコール素朴な暖かみに溢れるプリントの対比に、 “ それでは皆様、雨が降ったら羽織りましょう ” という理念だからこその限りなく簡略化された極めて極めて燻銀な構築が合わさった なんなんだこれは な存在感。出逢えた瞬間に驚くと共にとても愉しい感情が湧き上がって想わず私は笑ってしまいまして、誤解を恐れずに素直な感想を申しあげさせて頂くと “ なんだこの最高水準のふざけは。最高じゃないか ” で出逢えた縁を心から嬉しく想いました。

70s Gucci, monogram raincoat.
それでは皆様、雨が降ったら羽織りましょう。さすれば心は快晴です。いずれ雨も止むでしょうか、脱がずにどうぞそのままで愉しい感情湧き上がるままに現代の装いとして。
SURR by LAILA 福留
03-5468-5966
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弊店の規定する一つに Military という区分がございまして、それには世界の様々な国と時代が含まれますが、その中でも取り立ててアメリカ合衆国の品が少ない傾向にあるのは私の一個人的な感想と独善的な基準が関わります。それは国や時代に限らず現代の装いとして現代の品と並び比べても心から御推奨できるか, その区分から抜粋してしかるべき要素が在るか, 品として水準か高いか, 理念として尊敬できるか等の独善基準があり、一言で申し上げますと “ 純粋に一つの品として美しいと感じるか ” なのですが、不勉強ゆえ個人的な感覚のみの判断で恐縮ながらアメリカ合衆国のそれらでそのように感じられる品との出逢いは少ない経験則で今に至っております。しかしながら選択に至らないという判断に関しましてはことアメリカ合衆国の品に限り モードの要素として活用される機会が特に多かった がゆえ、その装飾などの要素が 認識として服飾史に浸透しきっている というように状況を捉えているがゆえも大きな理由でして、すなわちその他の Military は要素としてモードに反映された際に “ モードとしてのミリタリー ” と成るのに対し、アメリカ合衆国の品に至ってはもはや一つの “ 記号 ” と成っていると捉えていることを指し、よくよく考えずともそれは凡庸化ではなく明らかなる昇華ですのでとてつもなく凄いことであると純粋に感じております。そのような不勉強かつ独善的な基準に則ったうえで、私には更に一つ “ 40年代までのアメリカ合衆国軍には稀に絶倫に秀逸な品がある ” という感想がございまして、その秀逸さはとにもかくにも異常なまでに絶倫で、装いの洗練性, 品としての水準, 明確な設計理念はあらゆる軍の中でも群を抜き過ぎており、純粋に一つの品としての美しさもまた異常の極地でして、比べることは野暮であり好ましく考えておりませんが、その絶倫な秀逸さに限ってはミリタリー要素を抽出した現代の最高品質の品も到底敵わないと強く強く感じるほどの存在価値でして、この度のエントリーは弊店で 2 度目となる “ 40年代までのアメリカ合衆国軍における絶倫に秀逸な品 ” の御提案であり、SNSで申しあげるところの #specialmilitary に準ずる一着でございます。




“ 内部にストラップを配置する ” という概念は時に未着用時に背負うためであったり助けるために他者が掴むバンドであったり、1990 年代以降の表現としては前述でいうところの前者であると同時に純粋な装飾性と成り近年にもモードの世界で受け継がれていますが、遡れば辿り着くのは本品で 山での活動時において背面の空間に何がしを収納した際に重みでジャケットが後ろに流れ首元が締め付けられることを防ぐ という純粋かつ確固たる理念あっての設計でした。それに至るまで山々での活動という経験則が乏しかったからこそ結集された叡智に基づく、フロント要素における不変性と同化型背面鞄 & 内部ストラップという特異要素のマリアージュという絶倫な秀逸な仕上がりたるや、天上天下唯我独尊よろしく何も誰も到底到底敵いません。

1943s U.S.military mountain guard’s jacket
“ ストラップに腕を通したうえで羽織る ” という確固たる理念あっての設計に基づいて着て頂いたうえで作為的にストラップをややばかり締めて頂くことによって、形状に独特な歪みの美意識が生まれます。私にとって本品における最もな求心力を感じる論点はそこでして、やはり現代の装いとして, 純粋に一つの品として美しいと感じるか否かです。
SURR by LAILA 福留
03-5468-5966
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