御色の熟成 / Diary683
6.3.2019

 

 

 

 

給仕人=ウェイターに愛されていた御勤め着はダブルブレスト,コットンテイラードを基本とする1950-60年代フランス / ミッドセンチュリーの傑作で御座いますが、ウェイタージャケットと呼ばせて頂いている御召物がどのような具合に有用的であるかは全ての衣服において謂える事柄と存じながらやはり “ 旅 ” へと足を御運びになられた際、あるいは国内外問わず旅からの帰路において精確に御感取頂けると信じておりますウェイタージャケット其の有用性が、チップや金銭の出し入れを容易にしたポケットの実践的構図と、テイラードの御姿と、コットン組成の成立ちと、一枚仕立ての軽やかさに終結し、旅から帰還後の回想最中にハッと気が付く高水準な適応力と存じまして、無駄がなく簡潔的な御仕立てながら裏を返せるほど無駄がない簡潔的な御仕立てで御座いますのはモダニズムへの萌芽と相成るミッドセンチュリー其の造形の美しさ、世界水準でも最高位を退かせないフレンチワーク本来的な色香が不規則にブレンドした逸物で或る事に疑いは御座いません。

 

 

 

 

 

ウェイターの中でも高いセクションで従事していたムッシュが着用を許された数在るひとつの推測説、稀有な御姿として、刻みのないショール・ラペル、留めるか留めないかの選択肢に息づく一つ釦の風姿が、油絵画のようなコクのある生彩と、ぶ厚い生命力によって呼吸した御姿であるのは、ミッドセンチュリー造形の美しさやフレンチワーク本来的な色香ではまるで説明がつかない禍々しい風格で御座います。

 

 

天然藍による染色後、マリ共和国で採取した天然泥で黒染めを実行、後に自然界へ1年間投下した複合的プロセスに関しては言わずもがなKARIM HADJAB氏の清浄な愛によるクリエイションで御座いますし、マリ共和国では浄化の精神性により大切に護られている栄養価の高い泥を、浄化の精神性で染め上げる転生と、自然の恩恵が溶解されたテキスタイルも、藍より分泌されたエメラルドとケミカルではない天然黒とのマリアージュがいかに美しいか、いかに美しいか、人工的には決して実現しない不規則な色のぶつかり合いと偶発的な色彩の融合は人為的には決して辿り着けない御色の熟成がいかに美しいか、昨日、唐突かつ不意にご来店下さいましたKARIM HADJAB氏が両の目を輝かせて説明でもレクチャーでも得意気でもなく、大きな御身体と長い手と大陸並みの手の平で我が子の話を始める姿を目に致しましたもので、染めと洗いと自然大気で暴力的に訓練された木綿組成がいかに情感的か、精神的浄化を成功させた衣服がいかに洗練的か、藍より分泌されたエメラルドブルーと濃厚なブラックトーンがクリーミーに溶け合う絵図がいかに美しいか、辿り着いた具像に敬意を評しながら、何方様のご迷惑に成りませんようひっそり伝えて参りたい所存であります。何卒、宜しくお願いを申し上げます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



KARIM HADJAB “Argile” “Overdye” “4Saison”
Body,1950s France cotton tailored jacket

 

 

 

SURR by LAILA 小林

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Navy suits / Diary682
2.3.2019

 

 

 

御身体の数百近くに及ぶ寸法値の採集はビスポーク・テイラードにおける厳格な規律あるいは冷酷なほど正確な仕上がりに臨める美しき世界ゆえ、弊店においても肩幅,身幅,袖丈,着丈,ウエストと淀みなく完璧なフィットをご所望になられる場合は迷う事無く本国でも御構えになられているビスポーク・ハウスへのご依頼を心から推奨させて頂いておりまして、あるいは各所フィットを拝見させて頂きお客様の御身体,御顔つき,姿勢,立ち姿,歩き方,癖、総じた個性に対して成立するテイラードであるか否かを判断させて頂き、誠に僭越ながらご提案申し上げる事も御座います。

 

そこに社会一般的,通例的,常識的に御恥ずかしくない御姿であるか否かも添わせては頂きますが、そもそも今この瞬間貴方様の御身体が貴方様自身において至極完璧の御身体とお認めになられる場合と反対に(大変失礼と存じながら)然うとは想われない場合、並びに必ずしも御身体と寸分狂わない選択が貴方様の総じた個性を完璧に助長するかの判断につきましては一概とは謂えず態々とビスポークを試みる必要性が在るか追考頂くことも自身を編集して往く上で重要な事と存じますのはアンチテーゼ紛いな声明などでは決して消して御座いませんであくまで一意見と一見解に過ぎない長い独り言で御座います。

 

そのような困難や迷いや何かの葛藤というものに苛まれる必要性を根本から打ち砕いて頂けるのはプレタポルテという美しき世界で御座いまして、メゾン・ハウスが愛と英知と美学をもって社会一般性においても社会例外性においても幸せを運んでくれる美しき世界と憶いまして、構築的な成り立ちが伺えるテイラード・スーツにおきましてはここまで約650文字の内容が当て嵌まるフィールドと存じますし国柄が強く表出するフィールドと憶いますし伝統性や文化や辿られてきた服飾史の影響性も間違いなく御座いまして、だからこそプレタポルテ=自由服の提案における其の自由度ないし其れを正解とする創り手=デザイナーの意図を視ますと只只嬉しく想い、例えばそう、構築的な御創りでありながら肩を嵌め込ませずストンと落とすアームフォームに段返りではない妙に大きな3つ釦、挑戦的なダーツ、フロントのカッティング、強度が伺える織り込み、90年代同氏が気に入っていた役目を果たさない極小サイドベンツ(もはやスリット)の御姿がウール×ナイロンを組成とするシーズンレス・ファブリックである事実を大きな魅力点としましても、同年代 / 同氏の提案では稀有な巨大でもなければオーバーフィットでもない徹底したスーツの御創りである意図と御身体に添わせましたら金魚すくいで金魚をすくうように肩にそっと、大切な行いのように肩にそっと乗せる緊張感と軽快さと筋力ではなく人体に添わせる理念はフランスにもイギリスにも日本にもないベルギー独特の香しさと存じます上、大変有用的なネイビー・スーツと清涼的なネイビー・セットアップ其の実相ということで困難や迷いや何かの葛藤を打ち砕くには十二分の威力と想いますのでデイリー・スーツをご所望のお客様、仕入れました新鮮なベルギー産、この機会に如何で御座いましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


New arrival,90s Dries Van Noten navy suits

 

 

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迫力 / Diary681
1.3.2019

 

荷物の運搬を目的とする道具はハンドル=取っての存在有無と箱型か袋型かで名称も大きく異なるようでハンドルが付いていない袋型は単に【袋=Hukuro】で御座いますしハンドルが付いていない箱型は【ケース=Case】で御座いますしハンドルが付いている袋型荷物運搬用の道具は【鞄=Bag】として認められハンドルが付いている箱型荷物運搬用の道具は主にフランス書記官(attaché)が愛用していたことから【アタッシュケース=Attaché case】と総称される公共公式の真実を前にハンドルの存在有無で荷物運搬用の道具であるか否か命運分かれることは理解に至りましたがハンドルが付いているにもかかわらず【ケース=Case】として括られる箱型荷物運搬用の道具はハンドルを持つ事で得られる空間移動能力より容器 / 筐体 / 入れ物の総称である【ケース=Case】に決着がつく名称には4つ等しい側と4つの直角または直角を形成している固形物の収納に素晴らしい能力を発揮する役割と固形物の収納に対する合理性と簡潔性を優先した潔いボックスフォームに、納得のいく物名で御座います。
アタッシュケース=Attaché case

 

 

すなわち箱型荷物運搬用の道具におけるハンドルを持つ事で得られる空間移動能力より容器 / 筐体 / 入れ物としての能力値算出に注視が必要ですが、それは大きさや収納敷地に起因する内容ではなく “ 週末のNBAチケットより最重要書類を角を曲げずに収めることが可能な ” 遂行力に起因するものだと憶うのが通俗としましても “ 週末のNBAチケットに加え最重要書類に加えちょっとしたプレゼントまで忍ばせることが可能な ” キャパシティと物理的容積を求めるのは至極当然と存じますし固形物の収納に対する合理性と簡潔性を優先したボックスフォームに例えば此の厚みのあるレザークラフトと鉱石のような硬さを魅せるパーツによって御手の収まりを完璧に掌握する構築術の結晶 “ ハンドル ” の存在有無を何処をどう考えてもないがしろには出来ず、何処をどう考え抜いても荷物の運搬を目的とする道具で御座いますし固形物の収納に対する合理性と簡潔性を優先したボックスフォーム、純真かつ純一な鞄と存じますし、本作が60sグッジオの歴作と捉えましても意見を手放すつもりは御座いません。

 

 

 


 

つまりは固形物の収納に対する合理性と簡潔性を優先したボックスフォームであり永久保存されたクラシカルフォルムと入れ物としての存在意義が確実なケースとしての御姿に加わえ、 “ より多くの常用品と重要品を収納し,持ち運ぶ事が可能な ” 完全遂行力を実現させる設計に寄せるささやかな私意見で御座います。1部屋の最大幅7.5cmのコンパートメントが計3つの収納部屋として備わる上パッチポケットとジップコンパートメントの計5つの仕切りに46cm×32cm×19cmのアタッシュケース全貌がプレタポルテ発足から間もない時代に伝統的皮革を用いた裁断術と赤みがかった綿糸でハードに縫い合わされた御創りと常用品を濡らさないため上部を折り畳むように,覆うように2カ所の金具でクローズする設計図はモダニズムに振れた提案ではない完全無欠なクラシカル・アプローチと確定付けられる要素として当時1960年代という時代と淑女への華やかで鮮やかな提案をずっしり支える紳士へ求められた正統的出立ちはプレタポルテ=自由服 / 既製服でさえも同様に位置付けられた紳士服飾史の歴線上と存じます故、弊店、いえ、弊社としても初の獲得と相成った1960s同社の紳士用鞄との対面がどれほど貴重でありえないほど稀代の御縁であるかは静かに主張をさせて頂きまして、男性の力強さを表現したディープ・ブラウンと鍛え抜かれた皮革、紳士用鞄=アタッシュケースなる絶世絶品を一語で謂えと問われましたら間違えようも無く【迫・力】そのように想います。

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 


New arrival, 1960s Gucci uomo attaché case

 

 

 

 

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