弊店に足をお運び下さる皆様へ“此れがお勧めで御座いますなぜならば”と、ご挨拶の次に没入モードへ転化する瞬間というのがたまに御座いますが、本来的に皆様がご自身の琴線に触れて頂けた御品とじっくり向き合って頂ければ光栄に想いますし、嬉しく想いますし、如何なるきっかけだろうとそのような人と服飾、つまりは “個と個” として御対峙を頂く事、僭越ながら勝手ながらお願い申し上げておりまして、有り難く嬉しく想いまして、ご自身の感覚体に直接的に訴えるナニカや、目で追い、手で触れ、身体で受け止めた理由のないナニカが脳内でくっきり収まりましたらそれは紛れも無い 個性 と相成りますし、疑いようも無く貴方様自身の形成と憶い、つまりはその感覚や嗅覚というのを何よりも御優先頂きたく、そして貴方様の個を何よりも尊重頂きたい想いで僭越ながら勝手ながらそのようにお願いを申し上げている所存でありますが、ご挨拶の次に没入モードへ転化する瞬間が訪れるのは謂わばわたくし自身の抑制の効かぬエゴで御座いますし、“口を閉じていろ小林”と言い聞かせも効かぬ性癖の深いところで御座いまして「なぜならば、」の次に来る言葉は大体を持って貴方様にとても良くお似合いになられると憶います、と続くものですから説得性の欠片も無く、1月17日晴れの日、終着駅のない雑言で御座いました。
考える事を意図的に止めた時、より鋭敏に嗅覚や感覚体が単純化する気も致しますので、フリーダイビングに倣って脳を空っぽにし精神を研ぎ澄ますよう努めて参ろうと買い物箇条のひとつに加えております。ヒトの身体ひとつで垂直に潜り距離を競うプロダイバーは静寂と光のが届かない闇に支配される環境で、水中は脳が最も酸素を消費するらしく頭で秒数を数えることすらしない圧倒的極致の中では自身が赤ん坊になった感覚や、星の体内に居る感覚に包まれるようで、生命への強烈な尊敬を感取するお話を耳に致しました。厳しい鍛錬の末に得られる未知の経験を獲得するのみでも一回性の人生において途轍も無く贅沢な事柄と憶い、わたくしもやってみようかと憶いながら泳げるところから始めねばなりませんので厳しき道のりになりそうです。エベレスト登頂や自然への挑戦も同じような貴重体験なのでしょうか。ともあれ、感覚体の単純化、または感覚体の純化という積極的な試みは衣服への尊敬を獲得する上で大切な要素な気も致しますので、息はとめずとも無心の連続を心がけております。そして無心の連続の中で手に留るだいたいは例によってタフギアで御座いまして、おまえは似合わんよと店主に一瞥を頂く機会もそう少なくないのですが無意識性の中に発露する僅かな意識を掬い取ると視える、衣服基礎的の強さ、衣服応用的な懐、本質的な実践力に引き寄せられている自身は「タフ」という特性に対する「憧れ」に近い性質に支配されている真実もあるのでしょうが、もっとシンプルに【道具】と【旅】というキーワードが浮かびまして、いつぞや身を投じようと漠然と考えている世界への厳しい旅に耐えうる衣服基礎的の強さ、奪われてはならない愛用品を安全に収納発揮できる実践力、故障しても修繕が効く応力、それらを日常レヴェルへ難なく昇華できるチャンネルに琴線触れるのでしょうか。いずれにしてもファッションから遠いところに身が在る気もしまして、哀しくもあり、切なくもあり、しかしながら脳を空っぽにすると自然希求しているタフネス・ウェア、似合わないと一瞥される常。1月17日夕暮れ、終着駅のない雑言で御座います。
それは素材かもしれませんし、縫い方かもしれませんし、ポケットの数かもしれませんし、パーツかもしれません、目的性への共鳴かもしれません、もしかしたらイメージ想起するカジュアルウェアではなくテーラードスタイルが魅せるタフ/エレガンスかもしれません、いつぞや身を投じる世界への厳しき旅のお供に推奨するわけでも、何度も手縫いしながら御愛用頂く推奨点もグッと堪えまして、性癖の深いところで譬え踠き苦しみながら、皆様の無心の連続に僅かでも,僅かでも触れて頂けましたら、こんな光栄な事は御座いません。そのようなわけで19日(土)より【Duty selection】御披露目とさせて頂きます。
SURR by LAILA 小林
03-5468-5966
[email protected]
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職種にしろ,履く靴にしろ,着るコートにしろ,今夜の酒にしろ、日々懸命に愉しく生きようとする我々は常に選択の連続によって存在を続けておりますが、それは些細なことでさえ、日常の選択によって数秒後のなにかが決定される繰り返しに緊張感を持つ方は然う然ういらっしゃらないと憶いながら、相対的かつ絶対的な時間の中で存在を続けている確かな事実が決して逃れられない性質と解れば、昼のおにぎりでさえ今後のわたくしにとって重大な決定ではなかろうかと0.8秒程考える時間を注いでしまうもので、結局のところ鮭と昆布を繰り返し、結局のところ、なにも変わらない日常で御座いまして、職種にしろ、履く靴にしろ、着るコートにしろ、今夜の酒にしろ、違う選択と後々に判明するや繰り返せば宜しいのではありませんかと憶う反面、その時、その瞬間、その刹那、自由選択が他でもない自身の絶対的な決定である真実こそ、人生とは一回性である素晴らしさを結論付けるもので、蓮見兼一氏の伝えにハッとさせられた2018年の暮れで御座いました。それはヴィンテージ / アンティークの衣類小物を販売させて頂く小売業を 生 とし 業 としている今現在の連続性に限りなく近い性質ではなかろうかと想わずにはいられず、唯一存在であるビスポーク品々との御縁や個体昇華が明確な品々との出逢いや、そんなこんなな機会の数に例年に増して潤いを感じた今シーズン、ひっそり振り返りましても切ないほど其々の1着で御座いまして、嬉しいほど其々の1着で御座いましたので、何事においても其の一回性の美しさと儚さを2019年の明けもこゝろに留めて参ろうと奮い立った次第であります。
「水曜の朝、午前三時」大変お勧めで御座います
明日より御披露目させて頂く英国ナンバーが初対面である事実も、重厚な平織りながら上質布団のような生地感取も、フラップポケット、ダブルブレスト、ブルーグレイのカラーバランスも、個人注文のバックグラウンドを捨てきれずにいる個体偉力と推測を続けておりますが、確かに正統的でありながら英国同社の提案とは憶えないほど古き素晴らしき紳士外套の決定力と存在事実を受け入れると同時に、其の輝かしい純真さを目にしましたら嬉しくないはずはなく、其の純粋な古き素晴らしきオーバーコートの出立ちは喜ばしくないはずがなく、冬期のコートとして今シーズン最期のご提案と相成る本作が極まるくらい一回性の威力を秘め得るBureberrys社の特異個体であらば、日本で小売業を営む青山の小さなお店でエントリーをさせて頂くに生まれる恐縮な憶いも否定できず、翌年元号が移り澄んだあたりで振り返る切なく嬉しい其の1着に成ろう古き素晴らしきオーバーコートが何方様の選択と相成れば、何方様の一回性と相成ることを願いまして、今夜の酒は変えてみようと憶います。
New arrival, 30-40s Burberrys over coat
SURR by LAILA 小林
03-5468-5966
[email protected]
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途轍も無く, chic tailored / Diary583
1881 couture / Diary626
現代Bespokeから最も遠いフリーダムフィット又はイージーフィットが成功しているテーラードとの御縁に恵まれた今シーズンでしたので、例年に増してプレタポルテの可能性と偉大さを等しく受け取ることができました。着用者を限定させず,緊張させない特質的なアプローチは、背筋を伸ばすためでも人様と儀礼的に向かい合うためでもなければ、当然と謂っていいほどフォーマルからかけ離れた非・正式性なもので、非・公式的なものですので着用機会の精査が必要なチャンネルと重々心得てはおりますが、フリーダムフィット又はイージーフィットが成功しているテーラードの有用性を上述反対解釈させるならば、非・正式性なもので、非・公式的で、非・日常ではない、是・日常のゆっくりとした生活時間を拘束されずに御過ごし頂くならば、是・日常のゆっくりとした生活時間を助長する本件テーラードの能力に、僅かな留保はありますか。ディケンズが論じた「生活は万人の闘い」闘わねばならない生活に巨大な緊張があるとするならば、必要とされる上着ではありませんか。
そのように大袈裟で真剣な評価をさせて頂いている限定区分は謂わずもがな、服飾史として深さがあるわけでも世界史として伝統性が沿うものでもなく、紛れもなくプレタポルテの発展から生み出された近代成功のひとつであろうと思いますが、本当のところ40sブルガリア軍の就寝着が資料だったり、30s英国スモーキングウェアが発露だったり、ストリームの形成サイクルが早い女性モードの何かがきっかけだったりするのかもしれない其々は差し詰め重要ではなく、快適性の追求とモダンである事の重みを等しく捉える難しさや厳しさや危うさがあるイージーフィットの基底も、そもそも白紙のような気がしてなりませんで、偏にデザイナー様の舵の切り方によっては歴史的失敗作に成りかねない,すこぶるセンシティブな特質区分とも重々心得ているつもりであります。90年代Dries Van Noten氏の提案も本当に見事な成功例で御座いますし、Cerrutti同社より送り出された提案はおおよそ素材を主にする強い原動力を感取致しまして、プレタポルテの発展から生み出されたイージーフィットの発露が仮に1980年代から(それ以前は想像できない)だとしましても、男性的なショルダーフォルムの構築が左岸を支配していた中【快適性】と【モダニズム】の両立をプレタポルテから発信していたハウスは指折り数えてもやはり少なく、同年80年代テーラードの再解釈を実現したGianni Versace氏のフィールドバックが絶大な成功を収めた傍ら、イタリメゾンの帝王が審美眼を向けたフォーカスは真逆を往く【快適性】と【モダニズム】の両立を視ますと、それが市民と密着性の強いレーヴェル発信である本作との結びつきも容易で、パニナリによって色付くミラノ中心地、ゆっくりとした生活時間を拘束されずに過ごす市民男性の緊張を溶き解すテーラードと成り得たのでしょうか。
ウール主要構成に4%混入させたカシミアの意図をわたくしは知り得ませんし、例によってチョコレートブラウン色へは高い個人評価を置かせて頂きたく、あるいは低く設置された3つ釦ながら段返りになるトップ釦とアンダー釦を留めない紳士性を突き通すと結局のところ中央ひとつしか留められない事実に思わず笑ってしまいましたが、おそらく固定概念の脱却も意図したのではなかろうかと考えを巡らせながら収納を重要視するイタリアスポーツウェアの其々に恥じないたっぷりとしたフラップポケットはハンドウォームではない設計意図を左右極端に切り込まれたサイドベンツで納得致しまして、いずれにしましてもイタリメゾンのセカンドレーヴェルは基本的に高品質である実例の多さは扨措き、late80s-early90sの同社カジュアルレーヴェルが大変素晴らしい御作りをしている評価に曇りひとつ御座いません。
late80s-early90s Armani Exchange tailored jacket from Italy
是・日常のゆっくりとした生活時間を拘束なく緊張なく御過ごし頂けますよう、日々ゴミの分別(弊店所在の港区はとても厳しい)に奮闘している万人のひとりより、静かにお祈りを申し上げます。
SURR by LAILA 小林
03-5468-5966
[email protected]
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