食指 / Diary1178
6.12.2023

数あるウィンターコートの中で弊店がほとんど御提案したことがないプロダクト、それがダッフルコートです。

好みなクラッシックカルチャーかつスタンダードナンバーにも関わらず老舗のそれにいかんせん食指が動かず、となると選択肢がグッと狭まってしまうのは老舗がいかに王道を邁進しているか、言い換えれば間違いない存在なのかを示しているのでしょうが、私自身も経験したことがないし動かない食指は動かせない。記憶が確かならばSURRになってからの約10年間でHermes hommeの個体、そしてAquascutumの個体しかセレクションしていないと思います。そもそもにおいて私はフ―ディーの経験値が圧倒的に乏しくてですね、今の感覚でファッションを楽しむようになってからはおそらくゼロ、これまでパーカーを着たこともなくフードが付いたアウターにも縁がありませんで暖かそうだし落ち着きそうだし色々と便利そうなのでものぐさな私には合いそうなんですけどね、なんとなく自分が着る服として捉えることができず今に至ります。ちなみに“某デザイナーは自身のブランドに在籍時、意図的に作らなかったプロダクトが三種あるんだけど知っている?”と知人がクイズを出してきたことがありまして、その答えはパーカーとショーツとバックパックで本人が好みじゃないからという理由だったのですが、当時その三種とも親しみが無かった私は(今はショーツは大々好き)、ちょっとニヤッとしたのをよく覚えています。

 

要するに単純に良いと思えるダッフルコートにも出逢ってこなかった、ただ単純にそれだけなんです。事実イタリア中部よりちょっと上の少し外れた田舎町にいるコレクターのもとでこれに出逢った時は即決、滅茶苦茶素敵じゃないこのダッフルコート!とここ10年間分の食指が動きました。

 

 

 

なんじゃこのプロダクトなんじゃこのオーラ、と思ったらミッソーニ夫妻のクリエイションでした、納得納得。ブランドラベルがなんとも素敵でして、ロゴに加えて“DESIGN & MANUFACTURE OF SUPERIOR FASHION GARMENT”、“CAREFULLY SELECTED FABRIC”、“TRADE MARK LONG WEARING SMARTNESS COMFORTABLE”、そして“ORIGINAL CLOTHING FOR COMFORT AND PLEASURE”と、涙が出るくらい素敵な文言が書かれまくっている初見デザインなんです。ブランドラベルにそれほどの情報量は新鮮かもしれませんが、御陰様で情熱を否が応にも吹き飛ばされそうなほどビンビンに感じることができます。

 

御存知の通りニットに芸術の概念を初めて注入しモードの世界で新たな可能性を開拓したパイオニーア,オッタヴィオ・ミッソーニさんとロジータ・ミッソーニさん。芸術作品を鑑賞してデザインを生み出していた彼らが紡ぐ糸はプレーンセーターの段階で120点ですしカーディガンやニットジャケットの段階で何倍もの存在感を発揮してくれますから、このようなアウタープロダクトの質量と面積になった時のエナジーとシナジーは計測不能。このコレクターのもとに向かう道中“なんでまたこんなところに…”正直思いましたが(この生業では定期的に思います、本当に色々な地にいますので)、こういうプロダクトを保管,保存(本当の意味でのアーカイヴですね)しているからこそこのような地にいるのだろうなぁ、このような地にいるからこそこれほどまでの逸品を保管,保存(これがアーカイヴという意味ですね)できているんだろうなぁと切に思いました。まだまだ世界には面白いものが沢山あってまだ見ぬ刺激が沢山あります。そういえば以前にNHKで“世界はほしいモノにあふれてる”って番組ありましたね、復活してほしいなぁ。

 

 

 

 

 

 

New arrival,80s Missoni multicolor duffle coat.

 

クラッシックなオーヴァーサイズフィッティングかつラグランスリーヴなのでクラッシック感が強まるかと思いきや肩の落ち感がとっても綺麗で私の身体でもスマートな見え方になってくれました、これは相当に綺麗かつ秀逸なパターンメイクで様々な御身体に無理なく適合すると思われます。次に食指が動くダッフルコートはいつだろうなぁ。

 

 

SURR 福留

 

解/ Diary1177
5.12.2023

寒く     なりましたね。

きっとすぐに辟易するのでしょうが長かった残暑のおかげで冷え込みですら喜びの要素性、本日のSURRは日差しが一切入りませんでしたので今期初の一度も汗ばまない日中を過ごすことができました。ニットの旬、メルトン素材の旬、弊店ではほとんど御提案したことありませんがきっとダウンジャケットも旬を迎えていることでしょう。先週末も心無しか皆様楽し気に御見受けさせて頂きました、やはり年の瀬やはり楽しい要素が増えるウィンタープロダクトということで弊店もやはりハイテンション気味であることは否定できません。ということで今週は毎日Diaryにて一つの新作を粒立てて御提案させて頂きます。皆様2023年の買い収めは完了されましたか、私は幸運にも先日買い収めることができましたよ、多分ね。

 

 

 

遡ること丸々2年、2021年最後の新作御披露目にしたこれに私は大変に心震わされました。慣れ親しんだニットプロダクトであり愛するジッパーカーディガンでありながらそれらとは一線を画す着用感に実用性、一体全体ミウッチャさんはどこまでファッションを愛する人々を喜ばせ楽しまてくれるのでしょうか。余談ですがファッションには実用の側面とロマンの側面があり完全な対比ではないものの異なる捉え方でファッションを現してると思うのですが、後者の方々にとってはどこまで琴線に触れられるかは解りません、如何せん今の私は生粋の前者なものですから。研ぎ澄まされたスタイル性にロマンを感じる人もいるのでしょうか、まぁ好みですね。

とにもかくにも震えた一着、前回と色もサイズも異なるので弊店にとってはRe-Stockではありません。その実用性も洗練性も有用性もスタイル性もモードエナジーも2年前から衰えることなく、ましてや一層の存在価値を放っていることはこの2年でいかに様々な事柄が変化したのか,してしまったのかが改めて浮き彫りになります、うーん年の瀬っぽ~い。

 

皆様ニットプロダクトは好きですか、ジッパーカーディガンは好きですか。どちらも弊店にとって私にとって欠かせない存在で在り続けていますが、好きで向き合い続けて見続けてきてうえで驚けること,一本取られること,惚れまくれることって本当に稀有ことだと思います、言い過ぎかもしれませんが奇跡に近い出来事というか。仰々しいロゴもなく大胆なデザイン性もなくアヴァンギャルドなシルエット提案もないにも関わらず     です。

 

 

 

 

 

 

New arrival,1999AW PRADA Uomo padded zipper cardigan.

 

これぞというジッパーカーディガンをかねてから御探しだった貴方、解はこちら     かもしれません。

 

 

SURR 福留

 

フェチズム / Diary1176
1.12.2023

この度御提案させて頂く親愛なるHermes社のバッグクリエイションはいつも以上に私の趣味嗜好(フェチズム)が反映されてしまっていること、先に記させて頂きます。

 

 

 

このプロダクトと出逢った(=フェチズムが発動)したのは今から5年前の2018年3月2日、何故日付まで正確に覚えているかというとその日はパリの美術館Palais Gallieraでマルタン・マルジェラ作品展のプレオープン日で弊社が招待されていたからです。

当時既に絶大な人気を誇っていたマルジェラの過去作品群が単独で展示されるのは初めてでどうやら本人が相当に気合入っているらしいとかなんとかいう噂が流れているくらいでしたから、大変に盛況な中私は粛々と展示品を見ていたのですが、スタッフが遠くにいる女性に声をかけて話している時、このプロダクトが目に入ってきてあまりの格好良さに衝撃を受けました。

まぁ結論から言うとそのもの女性当人が圧倒的に“格好良い”だけっちゃだけなんですけどね、私は彼女を認識しているものの交流したことがなく人柄もそのスタッフから小耳に挟むだけですが、盛況なプレオープンで至る所にフツーに有名ファッションデザインーがいる中で佇む彼女、デザイナーたちは今の時代見られるのも仕事だからでしょう着飾ったアノ人らやソノ人らの姿と比べるとだいぶと自然体だけども充分に美しい彼女、が肩にかけた“それ”はHermesのバッグプロダクトはそのものが記号となりロゴの役割を果たすことが多い中で圧倒的に記号性もロゴ性も低いアノニマス感で、ファッションとしての飾りではなく荷物を持ち運ぶためだけに持っている感満載の彼女のムードとそれに相応しい程好くくたびれたオーラが相まって私の中での“完璧なバッグ像”と成りました。

 

 

 

もう一回言いますけどただ彼女が格好良いだけなんですけどね、未熟で若輩者で御客様からもすぐ影響を受けてしまう私がこう成りたい/こう在りたいと心に留めるには充分過ぎるバッグスタイルでした(正直言って、こっそり写真撮っとかなかったことが悔やまれます)

そのプロダクトは幾つかのバリエーションが存在するので壁一面をデニムで埋め尽くしたり全ラックをヴィンテージブレザーにしたいとかねてから宣う私は大量のそれらで店内を埋め尽す妄想を何度もしましたが、デニムよりもブレザーよりも現実的ではないのでじっくりと集めた4つだけですが先に御披露目させて頂くことにしました。

 

 

 

 

New arrival,1989-1998-2005s Hermes big and small leather bag.

 

御覧の通り猛烈に大きいAとだいぶと小さいBとBよりは大きいけど充分小さめなC及びDという極端な容量差の4点となっております。“ある人にとっては物足りないもしくは持て余すけど、ある人にとっては抜群に丁度良い”をコンセプトの一つにしている(と私が勝手に思っている)Hermes社のバッグクリエイション、全人類のニーズに応えてやるぜと言わんばかりのバリエーションはいつも私を楽しませてくれますが今回のプロダクトは趣味嗜好(フェチズム)MAXです、御了承くださいませ。

ちなみにAとC及びDは私も愛用させてもらっていまして、彼女が私に与えてくれた完璧な像のおかげでHermesバッグは日常の存在かつ過酷に駆使して差し支えないことを身をもって体感できています。ボロボロになっても格好良いボロボロになったらもっともっと格好良いんです本当に、人間もこう在りたいものですねぇ。

ということで私は物凄く過酷にAを日常使いしています、容量が相当ありますが帰り道に食材をある程度買ったりなんだかんだ仕事で荷物ある機会も多いのでガンガン詰められて本当に助かっています。おかげでだいぶとエイジング効いているのですがカラーケアする気はありません、フレッシュな使い始めよりもボロボロな今(↓)の方が圧倒的に格好良いもん。

 

 

SURR 福留

 

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