だいぶと春めいてきましたね、ヴィンテージシャツの御提案ですよ。

我々の環境でかねてからどっしりと腰を据えているのが“王道ほど出逢えないメソッド“。ファッションを楽しむうえでクローゼットの内容が変化するのはある程度必然かと思いますが、ブレザー然りプレーンセーター然り眼鏡然りキャップトウシューズ然りの一部プロダクトは気分が変わったとて時代を経たとて恋人が変わったとて環境が変わったとて、クローゼットに在って良い手放す必要が無いと判断されるがゆえにヴィンテージの世界において滅多にこれぞな品と出逢えない。 これが“王道なほど出逢えないメソッド“ です。
それはシャツにも、特にプレーンシャツにも的確に当てはまりますので弊店において定番的に御提案が叶っておりませんでして、年間でラックにかかっている時期とかかっていない時期を比較すると後者が圧倒的に長いのは統計を取るまでも無い明らかな実感。どんな気分になっても時代になっても手元にあって良い,あって然るべき,あるべきシャツはさらに肌着というプロダクトならではの着用回数が寿命に直結してしまうという特性もまた出逢えなさに拍車かけまくります。

この度は12着のプレーンシャツを御披露目。弊店(と言うか私)にしては珍しく“ちゃんと“コツコツコツコツ集めることができました。ファッションデザイナーによる王道設計や王道+デザイン構築、老舗メーカーのプレーンや徹底的なドレス構築など。それこそ10年前は定番メンバーであったCharvetなんて久しぶりです。良いものは良いって感覚、改めてイイですよねぇ。






New arrival,12 plain shirt selection.
心身にフィットして気分とマッチする一着がありましたら幸いです。
SURR 福留
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こちらでも何度か書いていますが鞄はできるだけ持ちたくないし考えたくない私で、いわゆる意識下での鞄貯金によって一つを手に入れ“よしこれでおしまいヨカッタヨカッタ“と数年過ごしていたらふとした瞬間に別の鞄の必要性を感じたり、また別の鞄の必要性を感じたり、はたまた別の必要性を感じたり。10年かけてスタイルの振り幅がどんどん簡略化されていき着る服の型がどんどん少なくなっていったのに対して、持ちたくないし考えたくないし何なら苦手くらいに感じていた鞄の振り幅が増えたのは10年前の自分からすると皮肉な話です。でも思うんです私、鞄って純粋に道具だからなんだかんだ色々と必要なんだろうなって。そう、欲望より必要が先立ってじゃあ欲しいな って。
今回ご提案する鞄のタイプが欲しいと思ったのはある買付の旅路、最終日にセーヌ川沿いに座ってホットドッグを食べていた時(私、パリのホットドッグ好きなんです)に突然思ったんです、ある程度ちょっとした物が入って身体に沿わせられる鞄が欲しい と。言ってしまえばサコッシュみたいなやつでしょうか、カーゴパンツのサイドポケットまではいかないものの財布とスマホとプラスアルファくらいは収納できて、なおかつ場合によってはアウターの内側にも忍ばせられるくらいの、街中でも良く見かけるそれこそ旅で言ったらツーリストの必須品と言っても過言ではないような扱いのプロダクトが、セーヌ川沿いに座ってホットドッグ食べてビール呑んで蜜蜂が飛んできてホットドッグに留まったり足元見たら数本の吸い殻と共に使用済みの避妊具があるじゃんな時にふと思ったんです、身体に沿わせるスモールバッグが欲しい と。ちなみにその時(蜜蜂と避妊具)の動画がクラウドに残っていたのでここに貼ろうかと思い見返してみたのですが、第六感的に自粛です。
で、その日は時間があったので自転車でいろんなところ見に行ったんです、とは言えいわゆるサコッシュ的なのって使ったことも無いし探したことも無いしで検討付かなかったんでとりあえず数件の百貨店をハシゴしたんですが釣果はゼロ。こんなん絶対勢いっしょ旅の勢いパリの勢いっしょとなんかしらの身体に沿わせるスモールバッグを買う気満々だったのですがいざ見てみると勢いと言えどピンとこないものは流石に選べず、唯一ちょっとピンときたのが数年前某社グループ傘下となってちょっと前にロゴが一新された(私は前の方が好き)老舗ラゲージメーカーの新作バッグだったのですが、欲望と価格帯の釣り合いが取れないのとやはりロゴが気になったので断念。結局何も選べなかったのですがその日に自分なりの一つの答えが出せたので良しとしました。






“身体に沿わせるスモールバッグもレザーが良い“
なんて思っちゃったら見つかるわけがないですよねぇ、しかもレザーとなったら自ずとクオリティが定まっちゃうし。結局自分のは出逢えず皆様への御提案が先になってしまいました。引き続きある人にとっては丁度良くある人にとっては足りなかったり持て余したり、人ぞれぞれの要望と欲望があって全て肯定されて然るべきなプロダクト、今回は身体に沿わせるスモールバッグをベルギーの至宝Delvaux社から二種と親愛なるHermes社から一種御提案致です。

New arrival,90s Delvaux small leather bag Blue & Dark navy,1988s Hermes small leather bag.
上からW17/H11/D0cm、W18/H17/D4cm、W17/H16/D5cm。いやぁ、小さいですね良いですねぇ。
SURR 福留
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Yves Saint Laurent Rive Gauche homme。
1965年にひっそりと始まっていつぐらいまで続いたんだろう、70年代が終わってクリエイションが細分化される頃に一旦無くなった(休止?)のではと思っています。そして今回御提案クリームプロダクトが1997年に再始動した頃の品なのでセカンドピリオド、こちらも変わらず弊店にとって最重要なモードクリエリションの一つです。



ムッシュ・サンローランが在籍し、しっかり師として君臨していた時代のエディ・スリマン(のはずですが、それよりも前の未記録クリエイションの可能性もあります)によるこちらは一見すると無垢で無機質で非デザインなようですが秘められる美意識とモードフィロソフィーは強烈で、久しぶりにこのチャンネルでドキドキできたなと嬉しく思いました。フレンチカルチャー特有のVゾーンのネックを少し拡大したりより構築的なスプリットラグランスリーヴを配置したり、なんでもないフラップポケットなようでしっかりと美的なカッティングを取り入れたりと、良い意味で着用時に大きく主張しないバランスながらしっかりとスタイル性に影響を及ぼすデザインの加減、これぞビッグメゾンに“在るべき“説得力であり存在感であり“デザイナーの仕事“、本当に感服しますし色々と考えさせられます。

New arrival,late90s Yves Saint Laurent Rive Gauche homme oversized design coat.
トドメは生地感。これまた写真に写らず実際に御着用頂かないとほとんど御伝えできない要素性なのですが、このようなオーヴァーサイズコートでは新鮮な裏地ゼロの設計によって異次元の軽やかさと揺れ感とシルエットバランスを生み出してくれるので前述の美意識とモードフィロソフィーと相まって一着の洋服としての存在感が計測不可能です。時代性とデザイナーの個性もあってかこの時代のRive Gauche hommeもまた後の00年代に繋がるミニマムなフィッティングが軸となっていましたから、このプロダクトもオーヴァーサイズコートでありながらそちらを向いていたのか、52サイズ表記にしてはだいぶと大きくない印象を抱くのもまた良い個性。46の御身体でも全然御提案叶うと言うか、ましてや逆に“ちょうど良い“感じになる可能性大です。
いやぁ、痺れる服って良いですね。
SURR 福留
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