見てくださいポケットの意匠性が全部違うんです、こういうシンプルだけど在りそうで無かったデザインアプローチ本当に刺さります。なんというか変な言い方なのですが、ハッとし過ぎて涙が出る感じというかなんというか。
グググイっと迫りくるようなモードデザインの迫力と驚くと同時に口角がクイと上がるのを抑えるのが困難な圧倒的レザークオリティとファッションデザイナーとしての業が詰まりに詰まった劇的で芸術的なデザインシルエットに魅了されまくっているので、本当に様々な角度から捉えるのが本当に興味深くじっくりと時間をかけてシャッターを切り続けたのですが、結果的に世界観は捉えきれませんでした。迫力も驚きも芸術性も肉眼で捉えるのが最良で最強、この生業において定期的に感じていますが本物の魅力は写真にも動画にも収めきることはできず、いずれにせよ実物が最も魅力的。この一着はそのコントラストが特に強いです。
New arrival 80s Gianni Versace lamb leather bomber jacket.
鳴々親愛なるジャンニさん、ジャン兄さん。貴方が産み出したモードデザインはかくも私を魅了するのでしょうか、特にクラッシックが際立つ個体が特に私の心の奥底にズシンズシンと響いてなりません。彼が愛したレザーボンバーの創意的でありながらクラッシックでスタンダードでもあり、でもやっぱりモードとしてのオリジナリティを存分に感じさせてくれる絶妙な構築に、フロントポケットが全て異なる意匠性という独創的なデザイン性でありながらヴィンテージカルチャーとの繋がりを強く感じさせるスタンダードな仕上がりに、驚くほどに軽やかなラムレザーのテクスチャー。これと出逢った帰り道の特急電車1時間半の間だけ我慢できずに着たことの告白と、これ以外にも2着のブラックレザープロダクトを御披露目した御報告にてこのDiaryを〆させて頂きます。
SURR 福留
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出逢った瞬間に心の中でやったと叫びましたね。ヴィンテージバーバリーにおける王道スタイルの一つであり最上位個体の一つであり王道でありながら滅多に出逢えない要素性が詰まった一着、このバランス感はいつもぞくぞくします。
ヴィンテージバーバリーにおいて時たま出逢える正々堂々なSPECIALITYの表記、これ以外に何を求めるというのでしょうか。英国式における最上質な高密度ツイードなSaddle Tweedの特徴的なテクスチャーゆえ着用時の動きが一定時間生地に乗り移るほどの立体感を誇りますがにしても立体的過ぎる、そうこの一着はまだ糊の付着を感じさせるほどにフレッシュなコンディション、なんと未着用と推測される一着なのです。
しっかりと古めな70sピース,王道のバルカラー,SPECIALITYなSaddle Tweed,そして未着用推測個体、なんということでしょう。色合い本当に洒落ていますねぇ、この時代はファッションブランドというよりコートメーカーと呼ぶべきでよりクラッシックな世界観が軸となりますが、その上でこの明るいファッション性には感嘆します。個人的にこのベースカラーに赤系のラインが走るカラーコントラストにフィービーさんのCelineクリエイションを即座に連想してしまったので抜群のモダンモード目線でしか見れません。やはりフレッシュなコンディションも明るい印象に拍車をかけてくれているんでしょうねぇ。
ちなみに弊店はツイードの御提案が少ないです、それこそ英国老舗のアチラさん生地の純正個体は一度もセレクションしたことがありません。着こなす姿や世界観は心から好きなのですが硬さと重さから手が伸びないというのが本音でして、三代着られるなんて慣用句は伊達じゃねぇぜぇと触れる度に思います、格好良いんですけどね本格的ツイード…でもこういったメーカー/ブランドの解釈系だと重過ぎないし硬過ぎないし無理なく受け入れられるのは私だけ?なんなら着用感皆無にも関わらず滑らかですらあります、まぁこれは高密度なSaddle Tweedゆえですが。
New arrival 70s Burberry saddle tweed bal collar coat.
とやかく言いましたがとにかく最高ということで今期のウィンターコートはこちらで封切らせて頂きました。今後もウィンターコートを順次御提案させて頂きますが良い意味で他とは異なる世界観をお楽しみ頂ける一着です、まぁそれは他の品々にも言えるのですが。千差万別で全然違くて全て良い、生き物と一緒ですね。
SURR 福留
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SURRに成る少し前かな、渋谷ハチ公前に出るFOODSHOW(ってもうないんですっけ?)出てすぐのエスカレーターを上っていると目の前に自然体に洒落た小粋な老夫婦がいたのですが、その男性が革靴を凛と履きこなしていて私は軽い衝撃を受けました。てっきり年齢を重ねるごとに革靴が履けなくなってゆき晩年はウォーキングシューズやスニーカーに収まるとばかり、きっと私も自ずとそうなるのであろうとなんとなし漠然と思っていたものですからその老紳士の背筋がシャンと伸びた姿に驚くと共に感動し出で立ちが格好良いのは勿論そもそもにおいて身体にも良いであろうということで“私もこう成りたい”と切に想い以降毎日革靴を履くことを胸に誓ったこともあって、それまではそれなりに楽しんで近所のニューバランスで(これはもうないですね)“お、MADE IN ENGLANDとかかっけぇじゃーん”と1500を(そういえば今どこにあるんだろう…)買ったりしていたもののスニーカーの類を全く履かなくなってしまいました。革靴が好きだったし穿き続けることで疲れなくなって日常はもちろん買付の旅でも二足くらいの革靴で何ら不足もなかったのですが、気分の推移というのはやはり訪れるもので“よしカジュアルを改めて勉強しよう”と膝を叩いたものの、その頃には御陰様ですっかりスニーカーがなんたるかを失念し何が良いのか悪いのかが判断できないいわゆるセカンドヴァージン状態に突入していました。
勉強しようと某スニーカーアプリをダウンロードし眺めてみるも琴線には触れず良いと思ったとてテクノロジーに関してやフィロソフィーに関することなのでプロダクトを発端をしておらず、百貨店を巡ってもこれまたピンとこない。元々むかーし昔にはクラシックスニーカーを楽しみ親しんでいたのでその文化であれば引き続き琴線に触れまくりピンときまくりなのですが、どうやら国内におけるそれらヴィンテージスニーカーの世界は私が想うスニーカーの在り方とそれはそれは乖離していることが分かって絶望したりもしました。(ここでも私の中にある母親のカレー理論が当てはまります)
ちなみにこの混乱期に幸運にも文字通り一筋の光となった出逢いがありました。弊店インスタグラムのポストにいいねをくれた中にいた某シューズブランドのPRクルーいて、彼が“WE MADE IT”とポストしていた新作のスニーカーに私は一目惚れ、それは1938年に自社が製作したテニスシューズを復刻モデルでやはりクラッシックカルチャーでした。お気に入り過ぎてこつこつと3カラー所有に至ったのできっとMYスニーカー事情はある程度安定したはずなのですが、先日パリの店舗を見に行ってみると該当モデルが一足も展示されていませんで…ももももう廃盤でしょうか…季節の変わり目で一旦裏に下げられていただけなことを切に切に願います。
世界的にスニーカー人気が高まっているような話を見聞きしますが、ことヨーロッパでの私の環境では皆流行目線でもプレミア目線でもなく素直にスニーカーに向き合っているように感じられ自然と心が洗われました。ランニングシューズを履いている人はランニング感、ウォーキング系のハイテクスニーカーを履いている人はウォーキング感とスニーカーを履いている人が沢山いる中で千差万別のスニーカースタイル、その流行りを感じさせない在り方は本当に素敵だったなぁ。あ、強いて言えばパリはソロモンが多かったのでCHIRICOの鈴木に問うたらソロモンではなくサロモンでパリのブランドであることを教えてくれました。であれば納得ですね。
そのフラットでフェアでピュアなスニーカー環境で心が浄化されたお陰か、先日の旅順では一足のヴィンテージアディダススニーカーをセレクションすることができました。80年代初頭のユーゴスラビアクリエイションで未使用個体、コレクターいわく日常の活用も問題なく雨風にもさほど神経質になる必要はないとのことでした。私でも知っていますよ、アディダスのCITY SERIES。珍しい色合いだなぁと思ったらソールがかなり非王道だそう、現代目線でも新鮮だもんな、濃紺とミルクホワイトって。
New arrival early80s Adidas made in Yugoslavia ATHEN, deadstock.
サイズ表記は10 1/2、これがスニーカーフィッティングだと何センチの足にマッチするので御推奨できるのか大変申し訳ないのですが私には全くもって分かりません。教えてください!今回のセレクションは私にとって大いなる挑戦の一つなので、カメラのビューファインダーを覘いてもドキドキするしSURRの空間に今あることそのものにソワソワしていますが、やはりクラッシックスニーカーは相も変わらず好きなので早く慣れたいしこの挑戦が一回で終わらないと良いなって。
SURR 福留
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