例えば私が今着ているリネンのカバーオールのステータスバランスを紐解くと、“洒落ている”というロマンの想いが35%,“軽くて涼しい”という実用性の想いが35%,“ポケットの位置感が使いやすい”という機能性の想いが20%,そしてコーディネート的な意味合いのその他の想いが10%というバランスになっていまして、時にはロマンが強くなったり実用性が強くなったりその他が強くなったりと、季節や気候や気分や年齢によっての変化を楽しんでいます、ある年は洒落ている気分満々で着ていたら次の年にはそんな気分が霧散して実用性MAXみたいな。私はこのように一着の洋服をどう捉えているか考えることが多いです。
ロマンが全てではないし実用性や機能性が正解ということではなくて、洋服にも適材適所の在るべき形があると思いますし、気に入っていればどんな思いで向き合っていても楽しいし嬉しいんですが、ステータスが二つとか両立しているとより一層堪りませんしテンションが上がるものの、それはやはり当たり前ではないので個人的に今日のリネンカバーオールは特に優秀な一着です。端的に言えば格好良くて便利な服ってなかなかどうして出逢えないですよね、そりゃ格好良いの好みも便利の好みも人それぞれ違うのに二つも組み合わせてマッチさせようだなんて、我儘もいいところ。
でも私にとってヴィンテージmaloのプロダクトは多くの人々に、白米ってわけではないのですがそれくらいの気持ちで幅広い方々に御提案が出来きっとお気に召して頂けるであろうという思いを抱いている存在です。それこそステータスも実用性の想い80%に対して洒落っ気の想いが80%という、100のゲージを余裕でぶっち切りにぶっち切ってくれるようなちょっと奇跡的なプロダクト、それがヴィンテージmaloです。
時代が異なるからこそ個性的に感じるシルエット提案、乗るも反るも自由なサイジング提案、圧倒的に楽し過ぎるカラーリング、この時代のmaloらしい絶妙なスパイス。この五着のコットンニットプロダクトにはそんな圧倒的な存在感が詰まっていて、しかもそれらが自然体だからこそ時に余裕でオッサンっぽくなったりユースっぽくなったり、部屋着っぽくなったりボクちゃんっぽくなったり、少女っぽくなったりエレガントな女性っぽくなったりしてくれて、全てが絶妙なバランス感覚なので良い意味で洒落っ気で向き合うロマンの気持ちを忘れてしまうほどに最高に洒落ていて、そしてなんと言っても脳内でβ-エンドルフィンが分泌されるほどに着心地が良いのですぐに手に取る時の気持ち、それこそステータスの最大要素が“着心地”という実用性の想いになってくれ、当人にとって着飾るファッションの服ではなく人生に必要不可欠なライフスタイルの服になってくれる状況でありながら、周囲からしたら“アラ素敵ね”な洒落た服に映る。
そんな存在、ヴィンテージmalo。春夏秋と無理なく着られて場合によっては冬も楽しめる、今も着られて先も着られる。そんなコットンニットプロダクトを5点新作として御披露目させて頂きました。
New arrival,90-00s malo cotton knit product selection
服飾史には様々な変で素敵過ぎる方が居たこともあって弊店のヴィンテージプロダクトの数多くは御提案できる方が限られる品であると私は考えていますが、そんな中でもヴィンテージmaloのニットプロダクトは前述の通り数少ない様々な方に御提案できると思える存在です。しかもオッサンっぽい,ユースっぽい,部屋着っぽい,ボクちゃんっぽい,少女っぽい,エレガントな女性っぽいと本当に様々な見え方になってくれ、それがどれも素敵なんです。余談ですが私の親愛なるアイコンさんが弊店で御認めくださったとあるmaloセーターを着て道を歩いていたら、ある人がその姿を素敵に思って結果的にその印象がきっかけで一つの仕事に繋がったという経緯があったと見た側の人が教えてくれました。そのストーリーは私にとって心が温まりまくる素敵で嬉しい話であったと同時に、アイコンさんだったらなんも不思議ではないなニヤリとしたストーリーでした。
SURR 福留
03-5468-5966
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2012AWや2018AWと同じく特に名期と言える1998SSより、実用性という概念とミウッチャ・プラダというデザイナーの感性そのものを具現化したかのようなライトナイロンコート。ミニマムな設計に美的で知的なシルエットと着心地の良さは美的で知的な彼女にしか産み出せません。下は1998年の彼女、当時49歳です。私はミウッチャ・プラダという稀代のファッションデザイナーが産み出したプロダクトを実際に触れて楽しめることに心から感謝しています。
こちらは上と国と素材感と女性が産み出したメンズウェアという条件がリンクしますが異なる世界観、2007年にフリーダ・ジャンニーニさんが製作したGucciクリエイションです。四着ではなく二着、スカイブルー×ホワイトとグリーン×ブラックの素敵過ぎるリバーシブル・プロダクトでこれもまた着る人の穏やかな日々を願って製作されたライフスタイルピースとなります。さようならロゴ、こんにちは不変。下は2007年の彼女は当時35歳、御綺麗ですねぇ。
こちらはフリーダさんの前任者であるトム・フォードさんによる2002SS Gucciクリエイション、良い意味で全く異なるフレーバーが香るのは私だけでしょうか。この差異こそデザイナーが変化していくことの価値ですね。リジットデニム生地とレザーのコンビネーションでヴィンテージカルチャーを色濃く反映させた本格的なバイカージャケット設計。御丁寧なことに裏地は袖以外総レザー張り、流石過ぎてもう笑っちゃいます。最高。
まさかの胸ポケット付きヴィンテージBurberryコートとまさかの再会、これには驚きましたねぇ。引き寄せの法則でしょうか。今回も最高の違和感と不変的なスタイル性です。ってか裏地格好良っ!
これと向き合った時にコレクターが“こんなにも美しいのにまだここにいるんだ”と言っていたので“待たせてごめん”って心の中で呟きました。各所に精査とオリジナリティが潜むサルトリアによる総刺繍のビスポークピース、形状はコートですが構築はテーラードジャケットで、それらと同じくシャツないし肌着一枚のインナーを想定した設計になっているのも良い個性。ビスポークゆえサイズ感は読み辛いですが、細身でありコンパクトな設計です。
5年前にセレクションしたレザージャケットが本当に本当に大好きだったので、当時の店長が即座に顧客様と御縁を結んでくれた時それが目的なので変な話なんですが“あーもう旅立っちゃったか”と落胆したのをよく覚えています。なので前回の旅順でこの一着出逢えたのはハイライトの一つ、同じレザークオリティだ!と大興奮でした。80年代ジャン兄(にい)による一着、これすっ っっごいですよ。超々々々楽しいです。
以上、テンション上げたい新作群でした。そういえば先日のアカウント停止に際して立ち上げた@surr_vintageですが、この度@surr_fukudomeに名を変えて継続することに致しました。
この生業とは主役は御客様、次いでヴィンテージプロダクトという考えで向き合い続けてきたこともあって意識的に自分を前に出さないようにしてきたのでうまくできるか甚だ不安です。事実昨日は会社の食事会で焼肉行ったにも関わらずポストせず写真を一枚も撮っていませんでした、そういうのも載せようと思っていたのに、下手っぴな自分め。でもとりあえず続けてみますね。御覧頂ける場合はこのDiary以上に適当な御心持ちで宜しくどうぞお願い申しあげます。
SURR 福留
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Diary1104でも書きましたが、私は生粋のパンツ好き。今では上半身から考えることも増えましたが、以前はほぼ100%何を着ようか考える時は下半身からでした。時代を鑑みた時セットアップスーツにシャツにタイドアップというこれまで敷いてきたSURRスタッフSTYLEコンセプトに若干の違和感というか過度な強さを感じるようになってそれを撤廃したり、少し前からカジュアルと向き合えるようになって今年から出勤時にヴィンテージジーンズを穿ける気分になったりで大好きなパンツのふり幅も一層に増えたのですが、だからこそ改めて気付き心の奥底でズシンと強く強く感じることができました、デザイナーのパンツって滅茶苦茶“美しい”って。
もちろんリーバイスもラングラーもアメリカ軍もイギリス軍もフレンチワークも綺麗なのですが、こと“ファッションデザイナーですよ”と正々堂々看板を掲げて仕事している人々が、こんなスタイルに成ってほしいこんなムードで着てほしいという想いのもと、職人の技術力と気遣いとこだわった素材と様々な取捨選択によって生み出されるそれらが発するシルエットしかりSTYLE性しかりの“美しさ”は尋常ならざる域に達しているんだなぁと、切に感じました。ヴィンテージジーンズやミリタリートラウザーやワークパンツを改めて楽しく穿けるからこそ思えたんですアノ人やアノ人やアノ人が思い描く美しいパンツって、こんなにもこんなにも美しいのかと。ファッションデザイナーってモードデザイナーってスゲェです本当に。
単純明快に美しいと思わせてくれるアノ人がいたり一見なんでもないようで細部に小技を効かせるアノ人がいたり、強いエロティシズムを感じさせてくれるアノ人がいたりそもそもにおいて“美しい”という概念の土台を創ったアノ人がいたりとする中で、コレクターの下で幸運にも5本揃って出逢えて幸運にも全て御案内が叶ったこの度の新作であるARNYS Parisのトラウザー達もまた独特な世界観にどっぷりと浸っています。一部の人々にとっては御馴染みなHermesとの左右対比ですが、私はHermesとARNYS Parisはかなり異なる世界観でありクリエイションでありベクトルであると強く思っています。Hermesが広義的(良い意味で)に対してARNYS Parisは狭義的(良い意味で)と申しますか、Hermesはおおむね良い意味で様々なスタイル性に御提案が叶うのに対して、ARNYS Parisは元来着る人も選ぶし着たいと思う人も選ぶブランドであり世界観でありクリエイションであると感じます。だからこそ両方に惹かれる次第です。
今回御提案する5本は全てBernard Zins社によるクリエイション、このARNYS Parisの才覚とBernard Zinsの感性の融合がまた堪らなくてですね、ARNYS Paris的芸術嗜好と美意識にフランス式の職人技術力にプラスアメリカ的工業製品的意識が合わさることでの独自性、本当に凄いんです。ちょっと見たことも感じたこともないチャンネルというか、今回の5本のうち特にプレーンな3本があって前述の解釈と矛盾するようなのですが、素材感,色調,シルエットバランスとスタイル性が合わさってのプレーンなようで“ん?”と思わせる感じ、ちょっと異次元です。なんでも無いようでなんでも在るってこれまで散々言われてきた慣用句かもしれませんが、ARNYS Parisが想ってBernard Zinsが構築したこれらのその感じってかなり特殊で、なんというか現時点では言葉にしきれません。もしかしたら10年20年30年と穿き続けて仕上がった“自分”の顔や形や風格を見た時に合点がいくのかもしれませんね、あぁこれがARNYS Parisが想っていた世界なのかと。
New arrival,00s ARNYS Paris trousers by Bernard Zins
御縁ございましたら、この機会に深淵を覗いてみてくださいまし。もしかしたら何かと目が合う やも。
SURR 福留
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