Scotland cashmere and more / Diary1174
30.11.2023

いつも御世話になっている御近所さんの花茂で“長めに楽しむならこれですね”と店員さんが選んでくれた一輪の薔薇、漫画かって笑っちゃうくらい綺麗に咲いてくれました。

ありがとう、店員さん。他にも地下のおひつ定食屋やギャラリーや食器店や天然木家具屋などありがたいことにSURRの周りは素敵な御近所さんが点在していて長らく御世話になっているのですが、顔を指しあう間柄は一箇所もありません。私、顔覚えられるのが昔からなぜだかちょいとばかし苦手で、人生で行きつけの飲食店と自認できたのは一箇所だけでそれも当時友人がBarで働いていたから無理なく行けていただけですから、すぐ店員さんと無理なく仲良くなれる友人知人なんかが単純に羨ましいです、きっとプラスはあれどマイナスはほとんどなさそうだし、それこそ行く度に綺麗に咲く花選んでくれたら最高だもんなぁ。そういえば愛煙家時代に唯一近所の煙草屋の御姉様が認識してくれており“今日もエグザイルみたいで格好良いねぇ”と言ってもらうために通っていましたがもう吸ってないもんなぁ。きっかけが無ければ未だに喫煙者でしょうが止めて良かったなぁと心から思うのは“煙草とライター分ポケットが空く”です、この点は本当に御薦め。でも楽しいよね煙草、好きですよ吸わないけど。ちなみに止めた後の一定期間“禁煙じゃなくて吸っていない状態を自ら選んでいるだけだ”と言うことで禁煙しているプレッシャーを少しでも軽減しようとしていましたが我ながらちょっと意味が解りませんね。

 

 

 

ということで私みたいな面倒くさい人が自然にさりげなく顔を若干潜ませることが可能なカシミアマフラーの旬がやってまいりました。これがあるから冬が楽しいんですと言っても過言ではありませんね。今年も親愛なるHermesよりTHEジェンツスカーフな140×40cmサイズのTHE日用品的屈強さを誇るスコットランド産のカシミアによるマフラーを軸に変わり種も幾つかと他メーカーもちょっとだけ御用意しておりますので、前回よりも若干バリエーション多めです。今年もゆっくりとじっくりと一本一本御縁結べますように。

 

 

 

 

 

 

そういえばTHEスペシャルなビッグサイズも一点のみですが出逢えました。

デカいです、デカ過ぎです。180×72cmなんで私の身長よりも長いです布団にできます、この面積のスコットランド産のカシミアで漆黒ってちょっと震えるよなぁ。一度巻くと外したくなくなる一枚です。

 

 

 

 

New arrival,90-early00s Hermes pure Scotland and more scarf selection.

 

これらもまた私にとって一本でおしまいにできる存在であり、明確に贅沢ではあるものの享受して然るべき日常の素敵な存在です。意外(?)にも“そういえば学生時代以降巻いてないなぁマフラー”なんて御言葉を頂く機会が度々あるのですが、そんな時私はテンション上がってしまいます、尻尾振っているワンちゃん状態です。この仕事において御客様の手を引っ張るような御提案は基本的にしてこなかったつもりだし何なら苦手なのですが、これほどまでに実用性においても有用性においても完璧な存在を未所有と言われた時だけは手を思い切り引っ張りたくなります。だって在って良いもの手元に!あと首守るの大事だし!

 

 

SURR 福留

 

1995s Italy Levi’s / Diary1173
23.11.2023

あーなんでこのリーバイスジャケット型にこんなにも惹かれるんだろうなぁという自問には明確な自答が二つあります。それは“全てのファッションデザイナーが製作しているといって過言ではない雛形だから”と“多くのファッションデザイナー本人が着ている形だから”。

 

 

私はアメリカンスタイルを好きになるような環境におらずなんだったらジーンズ以外は基本的に自分は着ない存在だと思っていたのですが、この生業に就いてファッションヒストリーとデザイナーズヴィンテージの文化を学ぶことでリーバイスジャケットがいかに不変性な存在なのかを知りいかに多くのファッションデザイナー本人が愛用しているかを自らの眼で目撃し、特に後者のファッションスタイルとして気に入っているのはもちろんだけどそもそもにおいて活動しやすいから仕事にも向いているしポケットの位置感とかも丁度良く便利だから選んでいるんだよ的な美的である以前に知的な“ファッションじゃないんだと”なムードに心底惚れこんで今に至ります。

 

 

なので最近でもスケーターブランドとLevis社の共作のピンクとかスケートボード一度もやったことないのに滅茶欲しいと思ったし、リーバイスジャケット型という時点でまず好きの引き出しに入ってしまうのは定石。単純よねーと思いますが最早フェチズムなので仕方ありません。

 

 

だからこのジャケットなんてもう最高最高最高。1995年にイタリアのリーバイス社が製作したヘヴィーレザージャケットなのですが近年特に積極的なリーバイス雛形の再解釈における出発地点と言っても過言ではないでしょうか。

 

 

Lサイズにしては大柄な設計、オフィシャルだからこその再現性とイタリークリエイションだからこそのスタイルの再設計性、リアルヴィンテージの時代だからこそのレザークオリティとエロい育ち加減、すっきりとした着用感とながらキルティングのライナーという嬉しい防寒設計。古典と現代感がニクイくらいに融合しています。

 

 

 

 

 

 

New arrival,1995s Italy Levi’s heavy leather 4th jacket.

 

これは格好良いって。

 

 

SURR 福留

 

Dior Monsieur by Marc Bohan / Diary1172
22.11.2023

ムッシュ・サンローラン、ヴェロニク・ニシャニアン、ミウッチャ・プラダ、ジャン兄・ヴェルサーチェ、トム・フォード。ファッションヒストリーを最重要視しデザイナーズヴィンテージの文化を最重要視する弊店に中では様々なファッションデザイナーの名前が飛び交いますが皆様の環境ではいかがでしょうか。SURRが出来た約10年前よりは少しは増えたのかな、そうだと良いな。旧時代も含める21年前よりは流石に増えたんじゃないかな。ちなみに私の家庭ではほとんど出ませんし、生まれ育った環境と親兄妹の環境では間違いなくゼロです。以前より少しは飛び交うようになった(と心から信じたい)昨今でありながら、もしマルク・ボアンという名前が挙がることはほとんど無かったとしたら服飾史における存在価値とは非正当であると同時に彼が求めたという意味では正当な結果です。弊店も8年前のDiary176で一度挙げたのみ、何故ならロンドンやニューヨークなどの支社クリエイションではない本国メンズクリエイションなんて一度も出逢ったことがなかったから(90年代の終わりの個体は一度出逢えましたが)。 ゆえに正直言って探してもいなかったし探そうともしていなかった、だって求めても叶わないって買付の旅において相当に厳しい心の傷になってしまうもの、そんな状況でついに出逢えた人生初のChristian Dior Monsieur by Marc Bohanのクリエイションピースは不可思議なデザイン概念と圧倒的な美意識となんとも言えないムードが混在したうえでダンディでありながらモードでもある単純明快に美しい、スタンダードなようで癖に満ち溢れ心地良い衝撃に満ち溢れた一着でした。

 

 

 

ジャン・パトゥやロベール・ピゲといったクチュール界の大巨頭の下で学んだ後1958年にクリスチャン・ディオールに入社してから2年間ロンドンに向けてのクリエイションに携わっていたマルクさん、ムッシュ・サンローランが兵役に招集されたことで急遽パリのアトリエに戻されデザイナーに就任することになったマルクさん、偉大な創始者と天才的な二代目に次ぐ三代目という重責の中発表したファーストコレクション“SLIM LOOK”で人々から絶賛されたマルクさん、そして権力や名声や脚光に興味がなくメゾンを離れる1989年までの三十年間ただひたすらに作品創りに没頭しChristian Diorというメゾンの伝説を継承し続けたマルクさん。そんな彼に敬意を表して近年のコレクションテーマを“Marc Bohan”にするデザイナーがいたり服飾博物館で作品が幾度となく大々的に展示されたりというファッションの本場では名だたるクチュリエやファッションデザイナーと同列で伝説的に語られたとてそうではない世界のみならずファッションを楽しむ世界においてもほとんど語られることはない、そんな現状はマルクさんにとってきっと自然なことだったのでしょう。

 

ということで弊店もマルクさんからこのレザージャケットに話を移します。テーラードジャケットの形でありながらハーフコートのスタイルバランスを採用しなんとも言えない微妙にオーヴァーサイズな立体造形とナチュラルなフィット感を同居させるまさしくクチュリエ的な設計、それを実現するために配置された厚手なライニングの違和感、極端に短いベントや本切羽仕様というさりげなさ過ぎるデザイン感性、驚異的なまでに美しいディアスキンの素材感、そして全体から醸し出される自然体な美しさ。明るめなブラウンカラーのレザーハーフコートという良い意味でワイルドなムードとホースライディングというタフなスタイル提案は当時のモードシーンにおけるサファリやミリタリーといったワイルドでスポーティーなレディースモードへのレスポンスでしょうか。

 

 

 

 

 

 

New arrival,70s Christian Dior Monsieur by Marc Bohan leather horse riding jacket.

 

近年人気を博すDior Hommeの言わずもがな前身であったChristian Dior Monsieurは1969年にマルク・ボアンさんによって設立され翌1970年のスプリング・サマーコレクションの“BOUTIQUE MONSIEUR”の発表によって初めて人々の目に触れこの世の中にChristian Diorのメンズウェアがあるという存在が認知されました。

 

以降はロンドンやニューヨークの支社アトリエにおいて積極的に製作され世界中の男性に愛されましたが、各社の在籍デザイナーによる作品ではなくマルク・ボアンさん本人による本国フランスのクリエイションは私にとってこれが初めてです。

 

 

SURR 福留

 

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