当時特に珍しかったカラフルなエキゾチックレザーを用い素材の力で人々を驚かせて評判となったプラダの創始者、その孫にあたるミウッチャさんがデザイナーに就任するにあたって“私もおじいちゃん(創始者)みたいに素材感で皆をビックリさせたいわ”と(丸々言ってはいないけどそういう意味合いを願った、はず)いう想いから発掘されたシルクのような美しさとナイロン特有の強さを併せ持った軍事用素材ポコノを大看板に始まったミウッチャ・プラダというファッションデザイナーの物語とPRADA Uomoという世界において、ちょっとした時空の歪みのような純正のイレギュラーとして極々極々極々極稀に出逢えるシルクプロダクトはポコノを愛し親しむ私を嘲笑うかのような圧倒的で絶対的な素材感と存在感によって心を掻き立てます。そりゃそうだよね別にシルクのような美しさのポコノを看板にしたからといってシルク使わないというわけではないもんね。しかしながら抜群に稀な存在です、PRADA Uomoにおけるシルクプロダクトは。
本日タイミングと御縁があってシルクに深く関わる専門家さんにこのジャケットを見てもらったのですが、いつも温和な御顔が一瞬でキリっと厳しい職人の顔になっていて、長らく御愛顧頂いているのですが初めて目にした御顔がとても印象的でした。このようにその道の専門家に御査収頂いた時に驚いて頂いたり御褒め頂いたり感嘆頂いたりするのが普段の店舗運営とは違った角度かつ普段の店舗運営と同じ熱量で滅茶苦茶嬉しいんですよね。ちなみに頂いたコメントをここに書くことは控えますが、とにかく作りたくないと。きっと氏が感じたことをしっかりと掘り下げれば様々合点がいくのでしょうがファッションヒストリーのセレクションと御提案はやってきたものの服や生地の作り方などは1ミリの知らない私にとってこのジャケットは“良い生地感ですよねぇ”という空虚な10文字で終わるのです。本当に尊敬します、作れる人々。
New arrival,1995-1997s PRADA Uomo pure silk aviator jacket.
空虚な私にとってこれは親愛なる敬愛なすミウッチャさんがUomoの最初期である1995年から1997年に製作したイレギュラーな一着で、当時の彼女におけるスタンダードフィッティングが採用された素直なLサイズ表記で、すっきりとした見た目ながらパデッドライニングによって知的な防寒性が見込め、これらにおいて必ず採用するボンバーの呼び方ではなくアヴィエイターと呼びたくなるようなオリジン的要素が詰め込まれた、なんだかとっーーーーーても良い生地感なシルクジャケットです。
SURR 福留
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弱冠27歳で個人活動を開始し28歳となる1960年に自身の名を冠したブランドを始動させるValentino Garavani氏。言わずもがなイタリアンモードの最古参であり初めてフランスのプレタポルテ・ランウェイで認められたイタリアンデザイナーとして服飾史における重要人物の一人である氏のヴィンテージクリエイションには様々な側面があってユニーク,インテリジェンス,パワフル,クレイジーetc.といつも楽しい刺激ばかりでしたし、それこそモードカルチャーにおける初めてのジーンズを手掛けた第一人者らしいカジュアルやスポーツの解釈はこれまでもこれからも楽しい存在で在り続けますが、Uomoのメインクリエイション/ファーストラインはクラッシックが特に太い軸足になることが多く、それに注がれるヴァレンティノらしいスパイスや色香,それこそ上の写真のような(1967年、この時で35歳)時代を越える不変的なエロティシズムとダンディズムの個性が堪らない世界観ですが、歴代様々出逢ってきた中で御提案してきた中でここまでモダンなクリエイションに出逢うことはついぞありませんでした。
そういった意味ではヴィンテージ・ヴァレンティノにおいてイレギュラーな存在なのかもしれませんが、実物を目の前にするときっと良い意味でヴィンテージ・ヴァレンティノらしいクラッシック感とクラッシックに相応しい適切な重厚感をイメージするくらいパッと見のムードは王道ですが、いったい何が非王道,ここで言うところのイレギュラーを誘発しているかと言うと“軽さを追求した構築”にあります。
THEメンズコート感溢れるウールのテクスチャーにネイビーのカラーリングのクラッシックな重厚感要素が揃っていながらハーフライニングかつ身体への負荷を軽減したオーヴァーサイズ設計という個性。そう、こちらは旅での持ち運びを想定し小さく畳んで持ち運べるようにと構築された通称トラベルコートというプロダクトなのです。近年においてそれらはテクニカルな素材やカジュアルなスタイル性で提案されることが度々あるのに対してこちらは徹底的なダンディズムかつクラッシック。それを正々堂々と様々な角度の感性と職人技術によって軽量化するそのプロセスはまさにモードカルチャーの正攻法でして、モードの正攻法はいつの時代もモダンの最高峰ですからこちらから醸し出されるスタイル性はそれこそアチラさんやソチラさんといった今のモードを牽引するデザイナーズブランドの世界観と適切にリンク。言ってしまえばこちらは“ヴィンテージ・ヴァレンティノです”と言われるより“The R〇wです”と言われた方がしっくりくるというものです。
New arrival,80s Valentino Garavani hail lining pure virgin wool oversized travel coat.
メンズクリエイションにおいてこの世界観,バランス,スタイル性のリアルデザイナーズヴィンテージには出逢えません。それこそモードの本粋であるレディースのクリエイションであれば出逢える可能性は高いですが、そうなるとクラッシック要素が減ってしまいまた一味も二味も異なりますし言うまでもなく女性の身体のための構築です。逆に現代のアチラさんやソチラさんだったら近しい世界観出逢えることでしょう、そっちの方がよっぽど現実的だし効率的,それこそタイムパフォーマンスですね。なので私はこの世界観はこの一着で忘れようと思います。
SURR 福留
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10/26に御披露目した一着のウィンターコートは御陰様で今パリに。イギリスから日本を経由、長旅だったね御疲れ様。あれで封切られた今年のウィンターコート、続けまして七着を御披露目させて頂きます。以下抜粋にて。
なんとかセレクトが叶いましたバーバリーウールバルカラー今年はかなりのBIGサイズで1989年プロダクトで嬉しい嬉しいベルテッド。別に無くても嬉しいバーバリーウールコートだけれども有ると単純に着こなしの幅と防寒の幅が広がりますもんねぇ。
紳士服老舗メゾンの60sビスポーク。はっきりと大きなラペルにモード本国の品格が香り立つ妖艶なダンディズムプロダクト。
90年代にイタリアのローカルメーカーが製作したこちら、ウールアルパカかつハーフライニングという軽量構築かつクラッシックでありながらスポーティーなポケット構築など各所に個性と有用性と美意識が光る一着、これは秀逸です。母国語で未来を意味するメーカー名も最高にそそられます。
ロロピアーナ社による内モンゴル産のカシミアで題して“Top China”、なおかつブラックカラー。北イタリアにてとんでもない化け物に出逢ってしまいました。いったいぜんたいどんな存在価値を有するのか天井の高さが想像できません。当時のアノニマスメーカーによる一着なのですがクリストバル・バレンシアガが設計したって言われた方が腑に落ちるくらい紳士服の世界観にそぐわない極端な曲線が採用されていますし、意匠のアレンジ感性が女性的に感じられる絶妙なバランスが詰め込まれています。きっとビスポークだろうなぁ。
こちらも前回の旅順のハイライトの一つ、90年代にValentino Garavaniさんが製作した一着なのですが触れて袖を通して目がハートになってしまいました。正々堂々クラッシックでありながらモード過ぎる最高過ぎるロングコート、最近特に評価が高まったLAのあの姉妹さんの一着と言われた方がしっくりくるほどにモダン、ヴィンテージでこのスタイルムードは出逢えません。詳しくは明日のDiaryにて粒立てさせて頂きます。プロダクト名は“トラベルコート”です。
そういえば最近店頭にて御要望頂く機会が多いバランスのプロダクトなのでウィンターコートではありませんが併せてこちらのバーバリークロスによるスリーシーズンコートを御披露目させて頂きます。これは本当に本当に綺麗なバルカラーコートで濃紺&ベルテッドという個人的に数年に一着の極上個体、もしかしたら今までで一番綺麗な肩の落ち方かもしれません。
New arrival,7 winter coat & 1 three season coat.
SURR 福留
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