本日の一着は言語化が特に難しい。最近では一番かもしれません。
頭の中ではまとまりきっていませんが書きながら派なので、進めさせて頂きます。
《 フランスで出会った一着の難解さたるや 》
『 渋み 』 はほとんどの男性にとって欠かせない要素であり
昨今は特にオーセンティックなある種 “ 野暮な渋み ” が高まっているように思いますが、
それらを渋み100とすると今回は1000。
自ずと難解であると同時に実に興味深い。
《 そこはかとなく漂うのはベルギーの香り 》
多彩な各国に囲まれ、アートなどのコンテンポラリーな要素もはらんだベルギー
ファッションには、個人的に独立した魅力を感じています。
やはりアントワープ王立芸術学院の出身者が作るファッション,スタイルの数々は
それを顕著に示しており、時には理解の範疇を越える事があるのですが、それらは共通して
感覚的な美意識を感じる事が出来、無意識に共鳴する事が出来るのです。
今回の一着に出会った時も、それと同じ無意識な共鳴を得ました。
《 野性と洗練 》
カッティングは既存の美意識では語れません。
立方体を組み合わせたような構築は素朴とも言えますし粗野とも言えます。
まるで野生のテーラードの如き荒々しさですが、美しく感じられるのは何故なのか。
ニッティングワークのようなツイードの表情と色調,何気なく削ぎ落とされた
ミニマムなディティールがキーとなっているのかもしれませんが、
とにかく、テーラードそのままの着方を許してくれないのです。
《 壊した中に残るテーラーリング 》
もうこれは壊してしまいましょう。ある程度の芯が入っていますが気にする事はありません。
肩を落として形をとことん崩してミドルコートに変換する事で、粗野は洗練され
極地的な渋みがモードに成ってくれます。
崩れてもなお主張する立体的なカットはどの角度から見ても独創性を発揮してくれますが、
理屈ではない美しさがそこには残っているはず。
こういったアイテムをメゾンと,ハイファッションと同列で捉えてこそ
“ スタイル ” というものですから。
圧倒的に魅了するか無理かのどちらかです。
0か100の一着。さて、どなたの心に収まるのでしょうか。
50s French, oversized tailored coat
感覚的に書いていたらレポートのようになってしまいました。
まぁレポートなどは書いた事がないので、勝手なイメージですが。
SURR by LAILA 福留
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正々堂々、歪む 歪む 歪む。
既存を覆す という至極シンプルな行いによって
従来から大きく変容させるのがデザイナーの役割の一つ、だと思います。
その高低差があればあるほど心に残り、時代を越え続けますが
Maison Martin Margiela のマルタン・マルジェラは、
それに関しても大きな才覚を備える人物。
今回ご紹介の一品はご覧の通り、ミリタリーがデザインソースです。
その分野に限らずバッグというアイテムのほとんどは
芯を入れる事でフォルムを安定させますが、
それを一切合財無くすというのが、今回行なわれたデザインの一つ。
ミリタリーらしいへヴィーデューティーながら、柔軟性の高いコットン素材と相まって
面白いまでに歪む不定形の定形が、多彩な可能性を予見させてくれるのが、楽しい。
限りなくオリジナルに近しくもあり、オリジナルとは異なる各部パーツ。
無機質でありながら不思議とエレガントな着地点の塩梅が、相変わらず美味過ぎる。
“ これぞメゾン・バッグ ” “ これぞハイファッション ”
といったアプローチとは一味異なる、静かながら適格なスタイルで
確信犯的淫靡な男性像を。
99s Maison Martin Margiela, military style bag
発表以降、やはりお客様との会話に挙がります
新デザイナー就任。
メゾンの継続において、通る道の一つではありますし
アクションを起こすにこした事はないと思いますので、
様々な想いが去来するものの楽しみです。
しっかりとしたスタンスを持つ方ですので、個人的には様々行なって頂きたい。
四つ留めを残すか無くすか、取り急ぎそこが気になるところ。
SURR by LAILA 福留
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本日は定点なり。
Over oversize / 90s Dries Van Noten
Two pocket / 99s Maison Martin Margiela
Sophisticated / 60s Levi’s
Nice / 50s French
Moss / 90s Dries Van Noten
Dual face / 90s Dries Van Noten
Origin / 50s Pro-Keds
以上、新入荷でございました。
SURR by LAILA 福留
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