カリーム・アジャブ氏が手掛けるKARIM HADJABの新作発表を今週末に控えているわけでありますが、氏の感性が実際的に、意図的に、あるいは極自然的に保存された作品をどのような日本語句を持ってお伝えすればよいか、沈思黙考する日々であります。それは丁度昨年の今頃もそうでありましたし、只今この瞬間もそうでありまして、この先においても難攻不落の命題のように感じております。先日福留が記していたように、氏の初来日に伴い、同じ空間で同じ空気を吸い、等しく流れる時間を共有することにより理解が層一層と複雑化した事実というのは、わたくしも同様であります。ごく控えめに申し上げるとしましても、パワーがすごいのです。氏あるいはクリエイトされた作品から無意識に放出される不可視のパワー。その力強さや増強された資質というのは、袖を通すというファーストコンタクトを実際的に経ることで確実な目路を手に入れ、所有したその瞬間から共に人生を歩んで往く必然的な誓約なるものが必然的に結ばれる感覚というのもまた、そのパワーに起因するのでしょう。どのようなクリエイションを通過し、いかなる自然的恩恵や意図のセーヴがなされ、つまりは目の前のパワーを手に入れているという現実的内容を各作品毎にご説明させて頂くことは勿論叶いますし、そのようなメソッドが何よりも好ましく思いますが、概念的分野におけるカリーム・アジャブ氏が手掛けるKARIM HADJABの鬱然たる絶対領域に関しましては、「理解していたつもりであったが、それ以上に、あまりにも深かった」という正直な想いと、その及ばない理解というのがより複雑化した、という正直な心境に起因する具体例として、“ 氏の作品に対する圧倒的な愛の深さ ” をお伝えせねばなりません。例えるならば、氏は作品に対してまさに実子のように向き合い、時に誉め称え、時に叱り、個を尊重し、敬い、無条件に愛する。当初から一貫された氏の哲学である『 衣類=ヒト つまり、1つ1つの自立性 』が意志の制御の支配下にない領域で、「愛情」という形で顕われている、もっといえば、その愛情という無垢な性質の中に「敬意」が内包されておるのです。このようにコトバで表すのは容易なことでしょうが、無垢の敬意を孕んだ愛情というのを呼吸するのとまるで同じように習慣的に、何より偏執狂的に注ぐというのは、注げる人間というのは、そう多くはないとわたくしは感じております。そうであると思いますし、時間を共有した先日の機会で、よりハッキリと感じた次第であります。異常なまでの愛の深さについて。

わたくしが勝手ながら氏が手掛けた作品に対して感じる感情、コトバ、表現として “ 民主的 ” である、という事も記しておきます。常軌を逸した段階を踏もうとも、ありえない、という言葉で括れるクリエイションであったとしましても、着地された作品というのはどこまでも現実味を帯び、どこまでも民主的であり、純粋な衣服であります。ピュアでクリアな目的をもった衣服であり、我々人類に深く添え得る衣服であります。それは、初見よりずっと抱いている具体的な感触であり、今でも一貫として心に深々と刺さっているような感銘であります。気に入った色彩、色調、クリエイション、フィッティング、コート、ジャケット、シャツ、分類できない衣、二面性、四面性、本来の実相、希少性、夥多性、特異性。どの方面でどのベクトルでどのように向き合おうと、どのような精選法を用いようとも、どのようにお選びになられましても、どのようなスタイルで着用されましても正解で御座いますし、心の底より、オーナーとしてたっぷりと愛情を注げるような1着、そんな出逢いでありましたら。
僭越ながら、我々としましても至極幸福に尽きる想いであります。
SURR by LAILA 小林
03-5468-5966
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正統的個体から極偏執的個体まで。
プラクティカルからエキセントリックまで。
精査御一考の程、宜しくお願い申し上げます。



New arrival 60s Italy military NATOs combat jacket

New arrival 90s Best Company sweat shirt, crazy camouflage




New arrival 90s Hermes wool & silk tailored jacket



New arrival 80s Missoni summer stole




New arrival 60s France herringbone twill coverall “ white ”




New arrival 80s ISSEY MIYAKE special



New arrival 60s J.M.WESTON, opera shoes
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例年に比べて潜思する機会が多いので、ああだろう、こうだろう、と心の中で推測と答え合わせを繰り返しておりまして、蓄えた経験や知識で正しく推量しようとする過程もまた至福の時間でありますので勝手ながら愉しませて頂いております。
そのようにして擬似的なディベートごっこが開催される機会が多いというのは、例年に比べて潜思する機会が多い、詰まるところ、例年以上に出逢いが多い、という極めて幸運な事実でありまして、然もややこしく思案を巡らせる正体の大部分というのは、80s ISSEY MIYAKEで御座います。ああだろう、こうだろうと推測と答え合わせを繰り返す内容というのはディテールの正体を究明するという無邪気な行いですが、そんなことはどうだっていい仄かなプロットに過ぎず、蓄えた経験や知識の外で辿り着く “ 素晴らしい衣服 ” という単純明快な着地点。さらにそのように着地する衣服というのはおおかた「コート」に分類されるものでして、同社,同氏が提唱する哲学というのをより明確に感じ取ることができる実現物であるように思います。そのような機会が多いのです、例年に増して。そう、80s ISSEY MIYAKEのコートというのは意義を挟む隙間もなく素晴らしい。これは紛れもない事実で御座います。ここにわたくしの一意見というのを僭越ながら置かせて頂くと、もっと爆発的な評価を獲得して良いのではないか(現時点で高い評価を得ているという事実のうえで)、安っぽい文句ですが純粋にそのように想うのであります。ヨーロッパ圏においても本国においてもクリエイターやデザイナー様に評価を得ている印象も拭えず、決然としたオーバーフィッティング、あまりにも美しいドレープ、和洋折衷の個体性、仕立ての良い1着の外套として、真髄を求める者にこそお認め頂きたいと。なんとも偉そうでな一意見でありまして、失礼にも不快なお気持ちにさせてしまいましたら申し訳ありません。
しかしながら、長年に渡り心を奪われてきた「コート」という区分、以外のステージで素晴らしい資質を放つ1着、この邂逅というのは今シーズン最も幸運であった出逢いのひとつで御座いました。同社においてもっとも心血を注いだとされる要素に「素材」があるのはご周知の通りと存じますが、引き続き日常への探求と快適性、何より “ 天然素材への追求 ” に渾身の力を込めた本作クリエイションライン「Plantation」。羊毛、綿、麻への礼讃。その無垢な資質への圧倒的追求。メインファブリックとした生地開発。同社の魅力が極限まで保存される「生地」という要素。その中で採択された “ 麻=リネン ” という素材。初見立ち会いの際、擬似的なディベートによる回答ではリネンに加えウール(羊毛)の混成を推測致しましたがおおきく裏切られ、占有するはリネンのみ。その軽快さと相反するような弾力のある強力な織り上げ。テーラードでありながら裏地を付けない選定と、無垢本来の勝負。ラペルは排除。背面のプリーツ。細やかな仕事。袖を通すと蓄えた情報や知識の外で辿り着く “ 素晴らしい衣服 ” という単純明快な着地点。
生地の縒れや、癖すら天然物のように美しく、質素でありますが、ここに色気と習慣性を備える技巧的な技というのには、咀嚼するたび、深く感服致します。






80s Issey Miyake “ Plantation ” lapel less linen tailored jacket
SURR by LAILA 小林
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