自身の身の回りと成る愛用品の様々が周囲から誉れの対象となるか否かは人, 時, 場合それぞれなことと想いますが、いずれにせよそれは自身にとって可能な限り 100% の熱量となった最善であり、なにより自身の独善的かつ自己的な意思を主軸として選ばれた品であることを、私は心の底から願います。
この生業において、やはり欠かすことの出来ない一つが “ これはどうやって合わせれば ( =スタイリングすれば ) 良いか ” という話題です。色調, 質感, 装飾性, 造形比, 根本的な着用者自身の形状や骨格, そして時流など、多岐かつ複合的な論点にわたるそれは極めて繊細かつ難解で何より興味が尽きない、この生業においての醍醐味的要素の一つですが、私はそれに対して一つの自分勝手な基準がございます。それは申し上げることによって誤解を招く可能性を有しているようにも想われ、そもそも言葉にするべきではないとも想われることでもあり、きっと様々な角度で矛盾している一種の感情論ではありますが、既に幾度も SURR の空間にて御客様方に言葉で現わさせて頂いておりますこともあって僭越ながらこちらにも記させて頂きます。お時間ございましたら、宜しければご査収くださいませ。
私自身において “ これはどうやって合わせれば ( =スタイリングすれば ) 良いか ” と思案することはございません。私は私自身の洋服を選ぶ際に、スタイリングを考えることはなく、着たいものと着たいものをただ単に組み合わせます。( ゆえに職質されるような世界観になることも時たまに。そういう時は自己責任ですので素直に従うまで ) しかしながらそれには一つの極めて重要な要素がございまして、それは前述の自分の独善的で自己的で意思で、かつ可能な限り 100% に近い熱量で選んだ品である ということ。私にとって何かと何かを組み合わせる ( =スタイリング ) という事柄においての唯一かつ絶対的なのは 自分の意志と自分の考えで品を選ぶ という基準なのです。極論であり暴論であり、思慮の欠片もない考えかもしれませんが、その基準さえあれば、どれとどれをどのように組み合わせようとも結局は調和する のではないかと考えています。場合によっては他者や周囲からするとその組み合わせが職質対象になったり, 不均一であったり, 時に非美的に捉えられるかもしれませんが、私にとってはその基準によって構成される物事こそが、誰にも真似できず金銭では手に入れられず貴賤のない “ 真の 個 ” です。
さて、このように独善的自己的基準で物事を選んできたがために、私の愛用品は冒頭の話で申し上げますと全くといって良いほど周囲から誉れの対象となりません。先日も親族結婚式におきましても甥っ子・姪っ子から散々 ( 本当に散々 ) でした。( あんなに仮面ライダー変身ポーズを見てやったのに ) 。そんな私のそんな品でも、誉れの対象にしてくれる友人・知人が何人かいるんだよ。 2 人か 3 人はいるんだよ と言ってやりたかったですが、 10 歳と 5 歳にそんなこと言ってもなぁと自粛しました。そもそも既にそれぞれは人生ゲームとベイブレードに夢中だったので。
個人的な印象としましては、愛用品の中でも体積が小さければ小さいほど独善性と自己性が強まるように想います。小さければ小さいほど、逆に 個 を強く表現するからでしょうか。私は全てにおいて過去の良きもの・新しき良きものを分け隔てなく選ぶのですが、考え返してみると時計とアイウェアだけは過去の良きものしか選んできませんでした。こだわらず素直な気持ちで選んできたら結果的にそう成っています。
写真は 10 代の頃に手に入れた人生初のヴィンテージアイウェア。時を存分に経ても愛用できているというのは、本当に幸せなことです。
SURR by LAILA 福留
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公園だろうが三ツ星フレンチだろうが悪友と過ごす週末の寝不足ミッドナイトだろうが誰に対しても失礼のない装いであり、季節によって手に取る1着が変われば、寒暖かまわず1着しか手に取らない者もいて、喜ばしいときも哀しい折も背中から支える心強い相棒であることも、それは当然、すべての男性にとっても。そう、何方様にも失礼のないテーラードジャケットというのは、こと革靴にも当て嵌まるのでしょうが、そのように隣を歩く女性を支える役割を果たしてきた我々男性に対して、真面目にも不真面目にも暫定的にバカであると避け難いメカニズムが女性側に存在するのは、世界共通/衆知の一致するところであるように思います。何方様にも失礼のない衣服を身に付けているにもかかわらず。「男ってバカよね、」
あるいは男性にとって何方様にも失礼のないその衣服というのは、タフで非情でワイルドな世の中をジャケットなしで渡り歩くなどいくら身体を鍛えようと真っすぐ進めるわけがないと英国老紳士がぼやくように、米国老舗トラッドスタイルのジャケットをこよなく愛したマイルスデイヴィスがヒップとジャズを奏でたように、10代を過ぎた青年がパートナーの赤いワンピースをより美しく魅せるため70年代ムッシュのテーラードを選択するように、食事後の誘いに見事に失敗したひとりの男を慰めてはくれない只の上着であることも、素直に認めたうえで、
素直に認めたうえで、男性に許された特権であるのは白いシャツと至極同義、我々にとって切っても切れない文化的共通所産であるテーラードジャケットという衣類を、女性特有のメカニズムを回避しながら,さぁいったいどう向き合おうものか、そのような根本論を御披露するほどわたくしも歳を重ねておりませんし、ドラマティックな体験談など不成功例のほうが圧倒的数を揃えておりますもので、皆様、テーラードジャケットは本当に素晴らしいものです、と声を大にして御推奨させて頂く上では説得力のかけらも御座いませんが、素直に認めたうえで、タフで非情でワイルドな世の中を真っすぐ進むためのマストアイテムであると認めたうえで、皆様にとってマイベストジャケットと笑顔で御迎えを頂ける1着と成ります事、食事後の誘いを見事に成功させてくれる1着と成ります事、男ってバカよね、が発動されん事を、引き続き、切に願いまして。
New arrival 70s Lanvin tailored jacket
男性であれば何方様にもお有りかと存じます。わたくしの場合、チェストポケットにペンを差すことを、製作者と初代オーナー様、歴代の男性を支えてきた其の1着に対する深い礼とし、マイベストジャケットに迎え入れる儀式として心得ておりますが、仮に酒の席でそのような規則が女性の耳にでも入ろうもんでしたら、頬杖をつきながら不可避の武術のように発動される、男ってバカよね。それを覆す力は残っておらず、それが自分にとっていかに尊い行いであるかを振り絞る力説ほど滑稽な様子も御座いませんで、そのように避け難いメカニズムが形成されるのでしょう、それはそう、世界共通/衆知の一致するところ。何方様にも失礼のない衣服を身に付けているにもかかわらず。全くを以て、タフな世の中であります。
SURR by LAILA 小林
03-5468-5966
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ご紹介が大変遅くなりましたが、皆様、70年代はフレンチズム、LANVINのテーラードジャケット、本当に素晴らしいものです。声を大にして、御推奨を。
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と、各国のコレクターさんに尋ねるようになって何年かが経ちますが、ほとんど全ての答えが あるわけないじゃないか というニュアンスを含んだ No 。男性がまとうシルクという御提案の残酷な難しさを毎度実感せざる得ません。良くてワンシーズンに一着程度でしょうか。しかしながら前回の旅にて、かねてからお世話になっているその道何十年の PARIS 在住, 妻一筋, 中学 3 年生の息子が遊んでばかりで少々困っている親愛なるコレクター様を訪ねた際に、“ おぃ Mr シルク。見つけといてやったぜ ” という一言と共に、未着用という貨幣には代えられない付加価値を内包した 4 枚の白いシャツが現れました。そう、私は時たま Mr シルク。もしくは Mr ポジティブと呼ばれているのです。
“ 息子が遊びまわって全然帰ってこないんだよ ” と独り言ちるコレクター様 ( 私は “ 貴方の息子だから仕方ないんじゃない? ” と答える ) の愛によって実現した 4 枚は、全て 1930 年代に紡がれたシルクにおける生糸を示す Row silk という大変に求心力溢れる要素を備えた布陣。端的に申し上げますとロウシルクは 糸を磨く前 の状態でして、水分にも適応 ( =洗って頂ける ) する、着用を重ねることでの風合い変化をお愉しみ頂けるという従来のシルクとは一味異なる魅力を有する存在です。もちろん特有であり圧倒的な軽やかさと異常なまでの肌触りの良さ, 肌から発される体温を優しく包み込むかつ通気性も良いという従来の要素も兼ね備えておりますので、極暑においても極寒においても極上を御体感頂けます。1930s という時代ならではの丁寧かつ繊細な各所の手仕事による繊細かつささやかながら圧倒的な迫力は、是非実物にて御査収頂けたらと想います。
1930s France, row silk shirts collection
男性の白シャツ姿は本当に良い。常に心から切実に。私は日頃よりモードやファッションは基本的に女性のためのものと考えていますが、白シャツは極めて極めて数少ない男性だからこそ真に愉しめる特権的存在ではないかと考えます。それが、袖を通せばその存在価値が五感に響く, 蕩ける表情が男性的な色気を異常なまでに促進してくれる, 類まれなるシルクという御素材によるものとなったら。これはちょっとした事件です。
SURR by LAILA 福留
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