在りし日の恋と遺伝子の核 / Diary607
17.10.2018

羊毛の表情や仕立ての激情を色濃く感じられる時期がやってまいりましたので皆様是非にどっしりと腰を据えて御挑みくださいませ。私は2017年度の非服飾買物部門で金賞に輝いた洋服ブラシの活躍に一人心躍らせております。
羊毛の表情はいつも心が掻き立ててくれる、在りし日の恋によって設定されたいくら年を重ねても変わることのない扇情のような魅力であり、仕立ての激情は衣を愛するうえで欠かすことの出来ない、そして男性の命において遺伝子の核に刻まれた忘れようにも無くそうにも忘れられずに無くせない感情です。その二つを丁寧に内包する本品は男性であれば心に残らないはずがない。と言って差し支えが無いほどの、ある意味八百長試合のような一着。

 

 

 


従来であれば実務的である縫いを適度に強調することで視認点としたステッチワークに他に類を見ないほど芳醇な水牛角のボタン、正統的豪奢さに新たな鮮度を与えるカーコートポケットの設計など、このように自由な感度が丁寧に的確に注がれる品に出逢えると心から幸せな心持ちになりますが、やはり根幹にムッシュが設計した紳士像, そのパターンメイクをしっかりと受け継いでいることが何より物質として後世に残り続ける, 記憶として後世に語り継がれる要因ではないでしょうか。氏がデザイナーとして世に出て以降どれだけ時代を経ようとも Yves と Saint-Laurent と rive と gauche の 4 つの文言からなる不変性は変わらないと私は信じております。

極地的な紳士力であり男性性として異常なまでの妖艶さを誇る一着ゆえ時に圧迫されるほどに圧倒的な存在感を感じるであろう第二者に反して、着用者自身は効能抜群な温泉に肩まで浸かっている如し寛ぎを御体感頂ける一着。至極正統で綿密な仕立てであり妖艶なパターンメイクによるフィッティングでありながらの寛ぎを実現する当温泉の主成分は WOOL 85% と CASHMERE 15% となっております。

 

 

 

 

 

90s Yves Saint Laurent, double-breasted half coat

 

 

SURR by LAILA 福留

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どうしようも無いほどに個性的で強過ぎるほどに強い / Diary606
16.10.2018

私がこの一着の素材が異なる同雛形に目にしたのは遥か遥か遥か以前でして、この一着そのものを初めて認識したのはだいぶ以前のとある資料でした。現在広く認知されるその設計が産まれるより先に “ 国 ” そのものが精魂込めて手掛けた一着は、同種の品と捉えようとも捉えられない異常なまでの個性が結果的に注がれることとなり、着飾ることよりも機能面を論点としていることから極めて極めて強く、そして誤解を恐れずに申し上げますと難しい形状に仕上がっているのですが、しかしながら全てを鑑みたうえでそれが発する熱量はどうしようもないほどに圧倒的であり、抱く感情は一瞬で沸点に辿り着く興奮でした。それは遥か遥か以前に素材が異なる同雛形を目にしてだいぶ以前にそのものを資料で認識したという経歴を差し引いたとて同じくであろうと確信できるほど。品そのものの魅力 ( 力 ) を根本的に信じており、それをお伝えすることを信念の一つとしている私にとってついにこの一着と出逢えたことと、それが様々な意味合いにおいて圧倒的である独善的事実に辿り着けたことを心から幸せに想います。

 

 

 

“ ダブル ” という言葉でまとめるには余りにも特徴的過ぎる大きな面積を活かした前立て, そこに威風堂々と据えられた地図を収納する大きなポケット, 手袋着用時にも扱いやすい大きなボタンにループ, 風の侵入を防ぐ数多の複雑な装飾。1950年頃のスウェーデンにおいて設計された 2 輪車用衣類は現代のいわゆるライダースジャケットとは全く異なる仕上がりでした。
防寒面と機動力から肩幅・身幅・着丈・袖の分量など現代の洋服そのものとも全く異なる着地点に至っており、そのシルエットは街中で見かけられるどれとも異なりますので端的かつ誤解を恐れずに申し上げますと一見極めて極めていわゆる難しいシルエットと捉えられてしかるべきであり、かつ機能面を最大の論点として練りに練り上げられた装飾性とスタイルも街中で見かけた際は異常な個性となりますので、おそらくこれまでに弊店が御提案してまいりました品々の中でも特級の部類に属する “ 強い一着 ” ではないかと想います。

ですので、極上に御推奨したい一着です。

 

 

 

 

 

50s Swedish military motorcycle leather jacket

想像の域を出ませんが、もしかしたら御覧頂いた瞬間に答えを産んで頂ける 0 か 100 の一着かもしれません。しかしながらどうしようも無いほどに個性的で強過ぎるほどに強いこちらに御共鳴して頂ける方がおられることを, 袖を通して街を闊歩して頂ける方がおられることを、それこそどうしようもないほど独善的に確信しております。

 

 

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黒より優しく、紺より暖かく、 / Diary605
15.10.2018

 


 
青年性と紳士性の共存をテーマに考えてみますと、清潔さや誠実さや実直さがキャラクターとして成立していなければならないと憶いますが、それらの性質や共存構成を、例えば 色 によってフォーメーションし得る内容の中で Gray が最も適合であり,重要であり,至極無敵であろうと冬を愛せないわたくしの中で最も愛している冬色のひとつで御座います。そもそも青年性と紳士性の共存を目的に精選するわけでは御座いませんが、男性的シンボリズムとダンディズムをわかりやすく,しかも同時に露出し得る優秀色なうえ、挨拶も交わしたことがないコーヒーショップのあの子に,この人きっと良い人だろうを与えることができ得る最高色なわけで、いよいよ選択しないわけにはいかないカラートーンと心得ている次第です。

 

 

 

 

 

 

 

 

グレイトーンを精選するうえで最も大切な要素は謂わずもがな 素材 で御座います。それは無彩色である事実に起因する事柄のように憶いますし、テクスチャーに誤摩化しがきかない唯一色であり、上品な香りを表出させるグレイトーンはとても優れた本質が備わっていなければならないという基底も、謂わば当然だろうと憶うわけです。そこを損なってしまうと、この人きっと良い人だろうを振り撒きたい不誠実な狡猾者としての正体を明かすことになる危険色となり、つまりは、最も精選が難しい困難色であろうと私物精選の際は細心の注意を払うよう致しております。中でも、極めて黒色に近いグレイトーン Charcoal は最難関であると同時に、上等なカシミアや,最上質の羊毛、本質的に優れた其れらを淀みなく投下した構造であるならば、コートであれセーターであれソックスであれハットであれ、男性的シンボリズムとダンディズム、青年性、紳士性を完璧に包み込む,文句の付けようもなく,何度往復しても尽きることがない 極上色 であろうと重きを置かせて頂いております。

 

 

オックスフォードグレイ、ミドルグレイ、ダークグレイ、チャコール、いずれも共通項として芳醇さや瑞々しさには欠けますが、黒より優しく、紺より暖かく、動物色としての豊かさと情感、意は尽くされている魅力点、その男性基本色を司るカラーテクスチャを慎重にかつ、偏狭的に、御賢察頂きたく存じます。最良の資質をもって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

孰れも素晴らしい属性と、こゝろより。

early00s Dries Van Noten only cashmere knit pullover vest

 

 


90s Gucci by Tomford wool flannel trousers

 

 


late90s Yves Saint Laurent rive gauche, wool & cashmere double breasted short coat

 

 


Newarrival 90s Italy chesterfield coat fabric from Loro Piana

 

 

 

 

SURR by LAILA 小林

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