ここ半年程、写真多めの構成と我慢できない性分のうえ、センテンスも加わるもんですからボリュームがとんでもないことになっている事に対しては見て見ぬ振り。本日もまた例によって。我慢できなければ。とはいえ暖冬の今年はゆっくりと参ります。明日よりまた宜しくお願い致します。
Newarrival 80s Yves Saint Laurent tweed tailored jacket
Newarrival 50s French work herringbone smock coat for “ Butcher’s ”
Newarrival 80s Paolo Gucci silk hood jacket “ Ruby red ”
Newarrival 90s Italy chesterfield coat fabric from Loro Piana
数ヶ月前に極少数ひっそり御披露目させて頂いたファインジュエリー初区分 “Platinum” 。ホワイトトーン=銀色を具有する金属故に “白金” と呼ばれる天然無垢の其れで御座います。今シーズンはもう出逢いが御座いませんで、本作のみの完結的なエントリーとさせて頂きます故、純然たる白金とビスポークアプローチ、抑制的なカッティング、ブラックダイヤの求心力、其の見事な紳士性を少しばかりでも御感取頂けましたら。(福留が尋常ならぬ驚異的熱量を注いでいる個体ですので、いずれ彼からDiaryのエントリーがあるかもしれませんし、ないかもしれません。)
Newarrival 1950s British platinum & black,White diamond bespoke ring
Newarrival 90s Hermes nubuck vamp loafers “ smoke blue ”
antique / bespoke(=tailored)の世界で、ましてやコートという区分で、コスチュームにならず純然たる外套として向き合える,見事なフィッティングプロポーションを備える個体との出逢い、そのうえお身体に合おうものなら、ひとりの漢の人生においてはこの上ない喜びであり、豊かな出来事であり、至極幸福な事柄で御座います。さらに謂うと、この区分では、その感動というのはこの先2度訪れるものでは御座いませんで、奇しくも苦しくも本作がわたくしにとっての其れで御座いました。裏地を視まして卒倒するのを踏みとどまり、袖を通せばこのまま帰ってやろうかと魔が差しそうになり、豊かな出来事どころか汚い心で胸が充足する始末。集合的な4つ釦、神経質な胸フラップ、コンパクトな襟型、そのうえ過去エントリーの数着中でも触れた事がないエレガントな織り,生地の話を始めると下のエントリーまで夜が明けてしまいますので、この辺りで。
Newarrival early1900s British bespoke horse riding tailored coat
Newarrival 40s US private horse hide leather jacket
手作業の工程数、素材、アプローチング、総合的に精察し、疑いの余地はなく、随一でしょう。
議論、討議、検討の末、弊店空間において御披露目へと至った本作は、詳細を突き詰めると終結しない,筆舌尽くし難い個体である事、昨年辺りエントリーした90s Jean Paul Gaultierと並び、ウェストコートにおいては間違いなく傑作であり極品で御座います。あまりにも上質な木綿のみの組成というので、季節外に置かせて頂いているそれらを愛するわたくしとしては決して見逃せない心持ちと、大切に着用をさせて頂き、大切にシャッターを切らせて頂きました。いつも通り冴えないカットですが、気持ちが違います。
Newarrival 90s Dries Van Noten cotton waistcoat
何卒、御賢察の程を。
SURR by LAILA 小林
03-5468-5966
[email protected]
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本作に関しては綴らねばならない要点があまりのも多いので店頭にてじっくりとご説明させて頂きたい心持ちと、結局のところ話は長くなるので自己抑制に精を出すとして取り急ぎ申し上げたいのは、いよいよをもって70年代含めそれ以前の同社紳士服というのは壊滅的に, 崩壊的に, 絶望的に御縁叶わず、出逢いに希望を持てず、このような実情は例によってLevis社60年以前の個体出土状況と同じ様でありながら弊社体感としては確実に、それ以上 の極希少区分と認識致しております。その実情は数年前とは訳が違う、という事ですが、生産域が拡大していない70年代以前、当時のメゾンカテゴリー/紳士服を資料とする現・世界的な動き、モードクリエイションにおいて基底となる教科書の重要要素として確固たるポジションに置かれるようになったここ数年のリアルストリームは、風潮というより、時代のナチュラルな流れのように感取しますし、そのように該当年代のメゾン紳士服に触手を伸ばしている前線の動きや、息を吐くように使うことでその1着の実際的価値を急落させることもあり得る,危険因子であろう “ Archive ” というワードが世界的にスクイードしている実情に伴い、メゾンピース/稀少年代へのフィジカルな認識も当然。迂回的な御伝えで恐縮ながら。
とはいえ、それ以前の問題なのです。同社同年代の紳士服が見当たらない事由というのは。そもそも紳士服の生産数が極めて少ない、に大きく起因しますし、それはクチュール / プレタポルテ問わず、お洋服ならびにファッションというのは女性のための世界であり、それを明確に意図してクリエイションを続けたモードの帝王も同様で御座いまして、60,70年代も当然、カラフルなテキスタイル、カラートーン、ミリタリールック、上質なシルクファブリック、女性の柔らかさを引き出す繊細なタッチ、テクスチャー。そして、身に纏い、よりスペクタクルにも女性の美しさを際立たせるため、あるいは意味性の分野においても女性よりは目立たせない制御性、謙虚性を確かなものに、つまりは、その実相を衣服をもって表現したフレンチ・シック / クラシカル・エンジン が明瞭に確認できる70年代以前の同社の提案が、極めて実践的で、限りなく紳士的な其れであり、本日ご紹介させて頂く個体も、飾られるものではく,着るためのベクトルを存分に注いで頂けるLate70sムッシュ統制時代の極品で御座います。
そのうえ、初見要素として全的に広がる見事なツイードは、生産域も拡大し,より幅広いデザインと自由表現を注げた80年代以降確認できるフレンチメゾンが提案するエレガントな織り、とは実のところ対極で、しつこいようで恐縮ですが、70年代の極稀少区部において、ここまで質素で力強いツイードの精選に感興を抱かずにはいられず、生のツイード とも謂いましょうか、加工や施しは一切せず、時間,人体と過ごさせることにより素材元来の機能性を高めていく付き合い方が40年代以前の歴史性と合致するように、あるいはヨーロッパ(主に英国地方)においてはカシミアや羊毛、製品として仕上がったニットの状態が硬く、これを我々は 生の状態 と呼ばせて頂いてますが、そこから摩擦、水分,油分,湿気との共存、生活を共にすることにより繊維が花を開き、ありえないほど柔らかく,肌馴染みが素晴らしい肌着へと昇華される歴史性も同義。そのようにして謂いたいのは、本作もまた 生のツイード というべき元来の性質が保たれた印象で(おそらくドネガル地方のツイード地を触れたことがある方はイメージしやすいかと存じます)、たっぷり水分と湿気を吸わせ、身体の油分を馴染ませ、永い時間をかけて御付き合い頂くことで至極完璧な其れへと昇華させる付き合い方も、まさにフレンチ・シックで御座いましょう。
Vゾーンをエレガントに魅せるためのフレンチズム、ミニマムなショルダーバランス、アームの曲線、そして整合的に揃えられた大きさの釦、全体の僅かの歪みや詳細も許さない絶対・左右対称美学はまさに左岸的スタイルの其れであり、同年代同社のエントリーで一貫されたような同氏の精密な表現で御座います。唯一施されたプレタアプローチが、ポケットを囲む外打ちのステッチである事も同じく。
プロポーションは完璧の域で御座います。
骨で着用する均衡/パターンは、大体をもってクラシカルタッチでありオーバーフィットに収まらない大きさを具有したものと感取しますが、懐古的な外套のみに留まらない至極見事な着用感取。総合的に、おそらくここまでの個体をご紹介させて頂くことは極めて困難であり、裏を返して、ここでご紹介叶いました事、心より光栄に憶います。
2着のSpecial tweed、少しばかりでも御愉しみを頂けましたら。
本作は明日10/6(土)12:00より御披露目とさせて頂きます。
New arrival late70s Yves Saint Laurent natural tweed, balmacaan coat
SURR by LAILA 小林
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ツイードというのは基本的に粗野で乱暴でなければならないと憶う理由として湿気の吸収性やら物理的強度やら可視化し得る紳士性と数滴のナーディズム、その他に、修繕が大いに可能である “道具(=外套)” としての付き合いがより明確性を持つためと耽りながら、粗野で乱暴なそれらは結局のところ、粗野で乱暴でしかなく、粗野で乱暴な道具でしかなく、粗野で乱暴な道具でしかないお洋服を皆様へご提案させて頂こうなどとは到底憶えず、綿密な精査と探求と運と時間が必要でした。
もしこいつがいなければこの先の冬をどうやって越せば良いだろうかと、突如として特定女性を失った哀しみやら絶望感を感取する一例と同様、凄まじい求心力を備えるかの一線。その求心力の正体は、今現在、意識のほとんどを其処に向けているフィッティング・プロポーション、身体との均衡、着用感取は主にオーバーコートとしての機能がどこまで正確か。そもそも着て / 過ごす / 人に会う のであれば最も重要な要素と注視しております。そして上記いずれをも基底とする粗野で乱暴なスペシャル・ツイードであらば完璧無比ということで、例えば1951年製のBespokeで御座います。
当時の “御仕立て” においてはグレードランクのウール、カシミア、いずれもデューティー性ではなく重きを置くはラグジュアリー、高級感、より良い質を求める動きと見識は当然の行いでしょうし、パーソナルピースとして存在するそれらの出土は限りなく少数と自明の事ながらも御縁叶うは、其の当然の行いから仕立てられた個体。いや、素晴らしいのですが。ビスポーク・ツイードという選択は粗野で乱暴な酒飲みの粋な思いつきではなく(そうかもしれませんが)戦後、雨と湿気とダストから身を護るリアリストの精選と腑に落ちやすい推考点。イエロートーンにまとめられた情感ある暖色糸、立ち姿が抑えられた襟の形状、制御的な前振り、ターンバックルカフ、特注製のリアルホーン。純然無垢なチェスターフィールドコートとして依頼を遂行した英国テイラーネーム。
何卒、御賢察の程を。
Newarrival 1951s British bespoke tweed over coat
10/5(金)12:00より、
SURR by LAILA 小林
03-5468-5966
[email protected]
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