柔らかさと束縛 / Diary 789
11.11.2019

Lieve Van Gorp

ベルギー生まれの彼女は学生時代から人と同じ事を恐れ、制服のブレザーに人形やカラフルなリボンをピンで固定して工夫を施し、規則の白いシャツ、白い靴下を守らずにピンクやパステルイエローのそれらを着用して通学したりと反発心からなのか個性なのか、人との差別化を図り当時からアイデンティティーを見出し物づくりの基盤としている変わり者。アントワープ王立芸術学院を 87 年に卒業後、ハイファッションの世界で様々な媒体のスタイリストとしての活動を経て 91 年にバッグやベルトなどの革小物を中心とした自身のコレクションを発表。彼女のコレクションは宗教的背景にロックスピリットを融合させた独自のフィルターを通したオリジナリティーに溢れた作品が多く、ロックンロール、カントリー、ウエスタンと様々な音楽を愛し、そこからインスピレーションを取り入れた独創的な解釈。本当は敬愛するマドンナやコートニー・ラブの様な情熱的且つ強烈なロックスターになりたかったが現実的に歌が上手くなかったと語っています。モノトーンを基調とした色調に淡いブルーやコントラストある様々なグレーカラーで表現するエネルギッシュな Prêt-à-Porter を 95 年ウィメンズ、97 年メンズのコレクションを発表。 99 年にパリにてコレクションを発表しますが僅か 8 年間の活動期間を経て 2001 年に引退。現在は判り兼ねますが、引退後は母校の教員としても活動されていた様です。

一つの創造物に多様性を感じる彼女は、

” 柔らかさと束縛 ”

” 保守性とアバンギャルド ”

” 伝統と革新 ”

” 男性と女性の間 ”

” 想像と現実 ”

” 古典主義とゴシック ”

と言った表裏一体を作品を通じて表現。

New arrival 90s Lieve Van Gorp letaher bag

 

エイジングされた美しさと張りのある強さを併せ持つ重厚感のあるカウレザーを使用。一枚の為、床面、吟面の表情が愉しめる共に経年変化を感じられる味のある質感。縫製も全て手縫いで丁寧に仕上げることによりワイルドな血筋の跡の残るレザーとの対比、先程の ” 柔らかさと束縛 ” という表現を体感して頂けるのではないでしょうか。仮にこちらを黒を軸としたモードスタイルに背負うのは勿論相性は抜群ですが、例えばオフィスや普段の通勤スタイルにと言っても不思議と馴染んでしまう個体の力があり、急遽友人の家に初期のプレイステーションを持っていかなければならない際もすぽっり収まるサイズ感の筈、恐らくコントローラーも入る筈。側部に 4 つ仕掛けられたストラップによりマチの調整が可能の為、荷物量に応じて絞ったり、広げたりと洗礼された見掛けにも関わらずとても現実的な構築。私は前に綴った通り鞄を持たない性分でして鞄に対し興味が薄いのですが、それは良い鞄に未だ出会ってないからだな。と欲を感じさせてくれた逸品です。

 

両手が空くのはとても有難いことです、背負いながらゲームが愉しめます。

 

 

SURR by LAILA 鈴木

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Leather / Diary788
8.11.2019

三十年以上続くクリエイションを一続きの物語として捉え何年前であろうと誇れる作品しか産み出していないと言い切る、親愛なる一人の女性デザイナーが男性にとって必要な品を問われた時 “ レザーのものなら何でも ” と挙げるように、その有用性を御認識させている御方も多いことと想います。妖艶な艶, 張り, 色合い, 凹凸, 強さ, しなやかさ, 香りなど様々な表情を有する言うなれば別種の肌であるレザーを身体の各所に沿わせるという贅沢を人生から排除してしまっては余りにも余りにも勿体なく想わずには居られませんものの、もちろん様々な判断基準がございますので強引に手を引くようなことは致しませんが、可能な限り皆様方にはその艶や張りや色合いや凹凸や強さやしなやかさや香りから成る物質としての存在価値を季節問わず時流に関わらず引き続き是非とも存分に御愉しみ頂きたく、この度の新作にて改めて御提案させて頂きたく存じます。

 

 


 

 


 

 


 

 

 

 

 

New arrival, Leather.

仕事柄、長らく服飾興味から遠ざかっていた旧友が時を経て再び装いに向き合うようになったらしく、それによりまず向けられた興味が革靴であったことが私はとても嬉しく、思わず四軒もはしごしてしまったのですが最後の一軒は紛れもなく蛇足であったことを二度と同じ過ちを繰り返さぬよう自責の念としてここに記させて頂きますが、きっとまたやる。私は絶対にまたやる。私は欲望に抑え込むのが苦手なのです。現に今もあぁ、革靴が欲しいニットが欲しいカシミア・テーラードジャケットが欲しい。

 

 

SURR by LAILA 福留

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初体験 / Diary787
6.11.2019

つい先日ですが、29 歳にして初体験。と言っても下世話な話では無く、今まで触れず、発想に無かったまだまだ未体験の物事が多いことは、幸せな事だと噛み締めつつ、食わず嫌いは辞めようと身に染みた御話を。まず、弊店にて御会いした御客様方は我々のスーツ姿の印象は強いと存じていますが、私も装いを愛す人間ですので普段は何でもと言ったら語弊がありますが割と雑食の上、好みはかなり偏っています。御恥ずかしい事に弊店で働くまで、スーツ又はジャケットスタイルはあまり関心は無く、自分の中ではシャツが上級の正装の様な感覚からか、クラシカルなものを選ぶより感覚的になんか少しずれてるなと思う不思議と気の合う洋服に心惹かれる面が前提にあり、テーラーの様な硬めな印象、あいつカッコつけてねえ?なんてと思われる気がしてしまい億劫な目線になっていたのは事実です。しかし、最近は普段の装いも含めてカッコつけてて何が悪い?と思えるほどジャケットスタイルの本質的な良さに触れ、一つの新しい側面と共に背筋の伸びる、少なからず威厳と申しますか、良いプレッシャーを感じることの叶うスタイルだとつくづく思える様になり、もしかすると彼女が突然出来るくらいの心境の変化が現れる様な気がして。極論ですが。初めての経験とはカシミアテーラードジャケット。偶然にも手にしたタイミングで弊店でも御案内が叶い、ものは違えど近い生産背景を身に置く一着を着始めたことにより、固定概念が解放された感覚と共に、対価に値する本質に素直な感情が芽生えました。そもそも捻くれてる性分ですのでブランドネームには中々響かず、良いとされていても選択肢には無いのが正直な話、全員が何々の ○○ が良いと口を揃えても疑って掛かるタイプの人間な私でさえ全員に良さを伝えたい程の逸品です。

80s Brioni cashmere tailored jacket for france.

洋服に携わる仕事をしていて抽象的な事はあまり言いたくはないのですが、単純に ” 気持ちがいい ” のです。詳細につきましては、前々回の Diary にて福留の綴りを御覧頂きたいと思いますが、身体に吸い付く様なフィッティングにも関わらず、例えば落ちたものを拾う、煙草を一本吸う、お茶を淹れる、洋服を畳む。単純な行動一つ取っても生地が攣らずに動くことの出来る伸縮性のある素材の妙、ストレスを感じない軽さと可動域の広さは他の素材では表現出来ない、心身ともに穏やかな感情に浸る事が出来ます。それと ” 保温性 ” 、天然素材の織り成す着心地の良さも勿論ですが体温を閉じ込めてしまう性質、最近の 10 ° 台前半の冷えた真夜中でもシャツ、ジャケットで事の足りる程の温かみ、プラスでニットを挟めば真冬でも通用するんではと、重ね着を嫌う方には嬉しい特質かと。
最後に御伝えしたいのは普段の装いに羽織る感覚で御使い頂ければと御推奨致します。言葉選びが難しいですが、それっぽく着ない方が愉しいのでは。

 

私は連日酒を呑んだ次の日、自前のカシミアテーラードジャケットを着てしまうと回復どころか以上な安らぎに苛まれます。それも初体験。それほど心地良いのです。

 

 

SURR by LAILA 鈴木

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